青いチビの使い魔   作:だしィー

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気づけば半年近くたってしまった。

夏場は体調崩すわ、仕事がいきなり忙しくなるわでモチベーシュンただ下がりでした、すいません。

そして半年かけておきながらほとんど話は進んでないです、すいません。


ラグドリアン湖へ

 リオンSide

 

「…ん、朝か」

 

僕は固まった体をほぐしながら起き上がり外を見る。そして…

 

「…はぁ」

 

と、部屋の中。正確にはベットの上の惨状…いや、珍妙な状態に大きなため息が出る。

ベットの上にはセーラー服とか言われる水兵服に似た物を着たルイズとシエスタが倒れあっていた。

何故こんな状態なのか説明すると、昨夜ルイズとシエスタがこのセーラー服とかを着て突如として現れ、どっちが似合う?と聞かれ、さらに僕の好みは自分だと言い合いになり、そして最終的に騒がしくつかみ合いになったのでピコハンで気絶させた。と言うのが理由だ。

 

「おい起きろ。もう朝だ」

 

僕はベットで寝ている二人を起こすために声をかけた。

 

「ん~…リオンだめぇ~。それ…私のクックベリーパイ~」

 

「あんッ♡ リオンさんったら大胆。そんな処を…」

 

僕は近くにあった水差しを持ち、そしてそれを食い意地の張ったピンクと頭のおかしいメイドの顔へと中身を傾けた。

本当はエアプレッシャーを使ってやろうかと思ったが、さすがに怒りに任せてそんなしょうもないことをするわけもなく、おとなしく二人の顔へと水をひっかけて起床を促した。

 

「うわっぷッ!? な、なにすんのよいきなりッ!!」

 

「うきゃーっ!? え? うぇ? なにが!?」

 

顔に水のかかったルイズとシエスタは飛び上がり何が起きたのかよくわかっておらずキョロキョロと首をめぐらした。

 

「朝だ」

 

「え? あさ? ……朝ッ!!? あわわわッ!! ね、寝坊! 早く身支度しなきゃ!! す、すいませんルイズさん、リオンさん失礼します!!」

 

シエスタは僕の一言で今の状況を理解したのか顔を青くして大慌てで部屋から飛び出していった。

 

「まったく。…おいルイズ、いつまでボケっとしている?」

 

「ちょっと! いきなり人に水掛けといて何なの言いぐさはッ」

 

「いつまでも寝ているのが悪いんだ。それよりも朝食を食べる時間が無くなるぞ」

 

「あ、…もうッ! 着替えるから早く外出てて!!」

 

「先に行ってるぞ」

 

「え!? ちょっ・・・」

 

相変わらずのルイズの叫びにやれやれと肩をすくめ、僕は部屋の外へと出ていく。

 

「はぁ、まったく」

 

食堂へと向かう途中、僕は小さく溜息を吐いてここ最近のあの二人について考えを巡らせる。

タルブの村での戦いの後、いつも以上に僕に引っ付いてくるようになったり、突然プレゼントと言い色々と渡してきたり、最近では少し傷んできていた僕のマントをルイズが直してあげるわ!と言って勝手に持ち去り、そして半日後にボロボロの布の塊になって戻ってきたり…。釜風呂に入っていたらシエスタが背を流すと言い、いきなり服を脱いで風呂へと入ってきたこともそうだ。

どうも最近の奇行は常軌を…………いや、誤魔化すのは止そう。

どうやら僕はあの二人に強い好意を抱かれているようだ。

 

「…どうしたものか」

 

はっきり言って困惑している。もちろん好意を抱かれて悪い気などは決してない。

が、しかしだ。こうも積極的に来られてもどう対応していいのか分からない。

もしかしてマリアンもこういう気持ちだったのだろうか?

こういうことに頭を抱える事になるとは思ってもみなかったな。

 

「はぁ。……ん?」

 

何度目かもわからないため息を吐いていると、ふと廊下の、正確にはある部屋の扉の前に座り瞑想しているキキを見つけた。

見つけたのだが……

 

「自制心自制心自制心自制心自制心自制心自制心自制心自制心自制心……………」

 

その顔色はお世辞にも言いとはいえずに青白く目の下には濃い隈ができており、何があったのか顔には噛み跡、首には絞められた跡なのだろうか赤い手の跡がくっきりと残っており、服装もいつも以上によれよれで、そして何かしら小声でずっとブツブツと言っていた。

ジンの奴がああなっているのはよく見かけるが、キキがというのは珍しい。

 

「おい、どうした?」

 

少し心配になり、声をかけるとキキには珍しく近寄った僕に気づいていなかったのか一瞬身体をビクつかせゆっくりをこちらを振り向いた。

 

「あ、おう。リオンか。おはよう。元気か? 俺は超元気だぜ」

 

震える声、引き攣った笑み。どう考えても元気には見えなかった。

 

「どうかしたのか?」

 

「べ、別にどうもしてないぞ。そう、ホント何も無い。なければ良かったのに…。なんでこんな…。こんなの俺の役割じゃない。こういうのはジンのキャラだろ。なんで俺なんだよぉ」

 

これはあまり深入りするべきじゃないな。僕はそうか頑張れと、キキに言い返してその場を後にした。

 

「おう頑張る。欲望には負けない。俺は理性的で常識と良識がある人間。どんなに誘惑されても負けない。負けて手出したら嫌われる。手を、出したら……手を、出し…たい……」

 

後ろからまたボソボソとキキの呻き声が聞こえたが僕はなるべく速足で食堂まで移動した。

 

 

 

「もう! 本当に先に行っちゃうなんて信じらんないッ。少しは待っててくれてもいいじゃないのよ」

 

「お前に合わせて朝食を抜く羽目になるのは御免だからな」

 

「な゛ーーーッ」

 

ルイズは猫みたいな声を出して怒りをぶつけてくる。が、前までのような本気さ的なものが無くなっている。

やはり一度こいつらの好意を認めてしまうと、どうしても妙に意識してしまうな。

 

「? どうしたのよ?」

 

先ほどまで僕に掴み掛ってきていたルイズは僕があまり反応しないことに疑問を感じたのかキョトンと首をかしげてきた。

 

「いや、なんでもない」

 

僕は本当に何でもないように言い返し、ルイズと共に教室へと入った。

 

 

 

「今日は変な日だったわね」

 

日も落ち、部屋で本を読んでいたルイズが小さくそう呟いた。

確かに、今日は妙に落ち着いた日ではあった。

いつも何かと集まっている奴らがこぞって休んでいた。ギーシュ、モンモランシー、ジンにチトセ。タバサとキキ。まあキキとタバサに関してはちょくちょく休むことはあり、今朝と先ほどキキの様子から何かしらのトラブルが続いているのだろう。

キュルケは授業に出ていたものの、いつものようにルイズに絡んでくることが無く、逆にルイズが絡んでいくほどたった。

 

「色々あるんだろ。いつもバカみたいに騒がしいんだ。たまにはいいだろう」

 

「うーん、そうね。珍しく元気のないキュルケってのも見れたしね。ん、ふぁ~あ。そろそろ寝ましょうか」

 

「わかった」

 

「おやすみ、リオン」

 

「ああ」

 

ルイズが欠伸(あくび)と共に本をしまい、僕も読んでいた本に栞を挟み棚へと戻して寝床へと就いた。

 

 

 

 

 

 キキSide

 

「「ごめんなさい! 精霊の涙を手に入れられませんでした!! どうか命だけは!」」

 

夜、街から帰ってきたギーシュとモンモランシーが土下座の様な体勢で俺とキュルケに向かって謝ってきた。

 

「無かったって…。あんた達ねぇ、覚悟はできてるわよね? ねぇ?」

 

キッとキュルケが2人を睨みつつ、ペチペチと2人の頬を行ったり来たりしながら杖で叩く。

 

「しゅッ!?、しょうがないじゃないか! 何処を探しても品切れだって!!」

 

「しょ、しょうよ! 私達だってギリギリまで探したのよ! でもどこも無くて…。再入荷にしてもラグドリアン湖でトラブルが発生してて目処が立たないって言うし。どうにもならなかったんだもの!!」

 

「だから? なに? ん?」

 

と、キュルケは無表情で2人の言い訳を切り捨て、杖を先ほどよりも強く振るってベチッベチッと言う感じで2人を叩き続けた。

 

「ちょッ! まっ、痛いッ。待って、くれたまえ! ホント、まっ…」

 

「痛い痛い! ホントごめんなさいって! 止めて!! 痛いってば!」

 

ちょっとキュルケがガチギレしてて怖いが予想していた事なのでしょうがないと思う反面、今日一日待ってる間のタバサの狂悪な誘惑が予想以上に酷かった(どんな誘惑だったかは本人の名誉のため黙秘)ので真面目に探してんの? とイラっとした気持ちもあった。それはまあいいとして。良くはないんだけど…

 

「なあ、精霊の涙ってラグなんとか湖のトラブルを解決できれば手に入るのか?」

 

「ん? そうだけど知らないのか?」

 

「覚えてねぇよ」

 

俺はモンモランシーの言ったトラブルについて隣にいるジンに話を聞く。多少口調が荒いのは許してほしい。結構マジで精神的にキてる。

ジンも俺の顔と喋り方を見てうわーって表情してるし。

 

「えっと…、精霊の涙ってのは正確に言えば水の精霊の体の一部の事でだな。そんでそれを手に入れるには当たり前だが水の精霊に分けてもらう必要があるわけで…」

 

「あー、なるほどなぁ。その水の精霊がトラブル起こしてるから手に入れられない、と」

 

俺は大体察して納得した。そういえばそんな感じだった気がする。どんなんだったかは全く思い出せないけど。

 

「まあ、そんな感じだ。で、水の精霊を説得してトラブルを解消してやれば精霊の涙をまた手に入れられるって訳だ」

 

そこら辺は覚えてる。なんとかの指輪? を取り返す代わりに涙を貰えたんだったけなぁ。

……じゃあ話は簡単じゃん。

 

「よし。その湖行ってトラブル解決して涙貰おう」

 

俺はそう宣言し、そして行くよな? と、皆を一瞥した。

 

「へッ!? ちょ、ちょっと何言ってるの? そんなの無理に決まってるじゃないのッ! あなた水の精霊がどれだけ気難しくて面倒臭いのか分かってるの?」

 

「いや、全く分からん」

 

「バカじゃないの!? これだから平民ってのは…。良い? 水の精霊ってのはね私達人間とは全く別の価値観持ってるの? しかもすんごくプライドが高くて我儘というか自分本位というか…兎に角、水の精霊にとって人間の事情なんて関係無いの。だから例えグラドリアン湖に行ったとしてもトラブルの解決どころかそれ以前に水の精霊にすら会えないわよ」

 

俺のテキトーな返答に対し、ぜぇ…ぜぇ…とモンモランシーが一気に(まく)し立てた。

その剣幕にすっと俺は目を逸らした。なんかごめんなさい。

 

「あんた妙に水の精霊に詳しいわね?」

 

「あ、えっと…。あたしの家はトリステイン王家と水の精霊との交渉役を何代も務めてきていたのよ。……まあ、今は別の家が交渉役になっちゃったんだけど」

 

キュルケの質問にモンモランシーは微妙に気まずそうに答えた。

まあそんなことより、

 

「交渉役だったってことは呼び出せるんだろ? なら問題無いんじゃ?」

 

「あのねぇ…。確かに一度だけ会った事あるから大丈夫だけど」

 

俺の質問にも妙に歯切れ悪く答えるモンモランシーの肩に突然ガシッとキュルケが叩きつけるように手を置いた。

 

「ねえ、アンタさぁ文句言ってられる立場だと思ってるの?」

 

「はいッすいません! 全力で協力させてもらいます!!」

 

キュルケの睨みとドスの利いた声によってモンモランシーの態度は一転し、協力してくれることになった。

うん。女の子って怖いね。

まあそんなことは置いといて、とりあえずの計画をテキトーに話し合う。

 

そして……

 

「んじゃこんな感じでいいか?」

 

と、大体の話をまとめてジンが締めくくる。

 

「わかったわ」

 

「了解した」

 

「それじゃあ明日ね」

 

モンモランシー、ギーシュ、キュルケが返事をしてそれぞれ部屋に帰り、

 

「んじゃ俺も」

 

「おう。…その、頑張れ?」

 

ジンの言葉に笑顔と殺意をぶつけて俺はドロンッと影分身を解いた。

 

「ふぅ…」

 

と、ジンの部屋に送った影分身を戻した俺は小さくため息をつく。

 

「ん? どぉしたの~」

 

俺のため息に俺の胸に倒れ込んで引っ付いていたタバサが俗に言う甘ったるい砂糖菓子のような、多分一生聞くことは無いような声色で話しかけてきた。ホント誰だよレベルである。

俺はそんなタバサを撫でながら先ほどまで話し合っていた事を思い出し、意を決してタバサに話しかける。

 

「な、なぁタバサ…」

 

「シャルロット」

 

「…えっと」

 

「シャルロットってよんでくれなきゃいや~」

 

プク~っとタバサは頬を膨らませつつその瞳を潤ませ甘えた声で我儘を言ってくる。

 

「……シャルロット」

 

「うん」

 

鈴を転がしたような可愛い声と笑顔で男の本能を刺激してくるが、俺は我慢ができる子だ。

 

「シャルロット。俺、シャルロットの両親に会いたいなぁ」

 

「……なんで?」

 

一瞬にして部屋の温度が下がった気がした。さっきまでの甘デレ空間が一気に殺意と冷気で満ちていく。

ってか両親相手ですら嫉妬対象って…。今朝よりさらに悪化してる気がしないでも無い様な有る様な。うん悪化してるな。

 

「ほ、ほらシャルロットと恋仲の身としては親への挨拶は必要な礼儀だろ? 大切な一人娘を貰う訳だし? な?」

 

俺の言い訳にタバサの目に光が戻り、能面の様な表情は崩れてニヤアと言うような崩れた笑顔となり、手に持っていたナイフを床へ放り再度抱き付いてくる。

 

「んっもう~。そうよねぇ、わかった。じゃあいついく~?」

 

「お、おう。善は急げって言うし明日にはでたいなぁ。忍術使えばあっという間だろし、シャルロットには家まで案内頼めるか?」

 

「うんッ!まかせて」

 

そう言ってタバサはぎゅーっと俺の胸に顔を嬉しそうに埋める。

ああ、可愛い。色々とやらかしたい気持ちを必死に抑え、俺は目を瞑った。

 

 

 

 

 

 




タバサの精神状態悪化の原因はキキが幻術をかけてはタバサが数分から2~3時間間隔で起きるを何回か繰り返したせいです。

そして気づいた時には初めの頃より数段酷い状態になってました。
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