青いチビの使い魔   作:だしィー

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遭遇

 ジンSide

 

昼の空。太陽は天高く昇り、暖かな陽光を俺達へと注いでいる。……などと言う戯言はどーでもいいとして。

俺達は今とあるお屋敷の上空、シルフィードの背の上でのんびりとしていた。

 

「いやー、実はラグドリアン湖を見るのは初めてだったが、噂に違わない雄大で美しい湖だったね!」

 

「そうですねぇ、中々に綺麗でしたね。幼い頃トランスバール水族館で見た宇宙電飾クラゲと同じぐらいに」

 

ギーシュとチトセがここに来る途中に眼下に広がっていたラグドリアン湖の事を語り合っていたり。

ってか宇宙電飾クラゲってなんだよ…。

 

「確かに雄大って言えば雄大だけど…さすがに村が半分以上水に沈んでるのは雄大過ぎじゃないかしら?」

 

「いやどう見たってアレは異常でしょ。私が昔行ったときはさっき見たのよりもっと小さかったわよ」

 

と、キュルケは呆れた感じに、モンモランシーは何か落ち着きが無いように下を見ながらキュルケの言葉に答えた。

 

さて、何故こんな感じになっているのかというと、昨夜の話し合いでキキがタバサの実家がラグドリアン湖の近くにあるからそこを拠点にラグドリアン湖のトラブルの解決しに行くと宣言したのが始まりである。

その後キキはまるで用意していたかのように、というか用意してあった考えを一通り説明し、そして俺達はその計画を了承し今に至るわけだ。

 

「ね、ねぇ。ミスタ・アルベルト。ちょっと聞きたいことがあるのだけれどもいいかしら?」

 

「ん? いいよ。後俺のことはジンって呼んでくれても構わないよ」

 

先程から妙に挙動が不審なモンモランシーが声を掛けてきたので俺は笑顔で答えた。最近キャラ崩壊が酷いが一応俺は超エリートで頭も良く性格も良いイケメン凄腕メイジである。

断じて不憫不幸キャラやチトセのお守りキャラではないッ! 決して無いんだッ!!

おっと少し熱くなってしまった。

 

「そ、そお? それならお言葉に甘えて…。あ、それで聞きたいことっていうのは、ここってガリア側の領地よね?」

 

「ああ、そうだね」

 

「えと、あの私の記憶が間違ってないならなんだけど…、ラグドリアン湖のガリア側の領地って確かガリア王家の直轄だったような?」

 

「うん間違ってないよ」

 

「えーと、それでそのお屋敷がタバサの実家って事は、その彼女もしかしてだけどまさか王族の関係者…ってそんな訳ないわよねぇ? だって彼女家名を名乗らないし。あ、あれよね? お屋敷の使用人の娘さんとかよね? そうよね!?」

 

と、モンモランシーは(みずか)ら喋っている内にドンドンと顔を青くしていき、思い当たってしまったタバサの正体を否定してほしいと涙目になって迫ってきた。

そんな彼女に俺は優しく笑いかけ…

 

「その、モンモランシー。君の事は忘れないよ」

 

あからさまに目を逸らして残念そうに言い返した。

 

「…………おわった。我が家終わったわ。…あ、あああ゛あ゛~」

 

モンモランシーは俺の回答にその場で突っ伏して泣き始めた。

いや、まあ本当は大丈夫なんだけどな。

タバサの実家であるオルレアン家は後継者争いの色々で王族としての権利や地位を剥奪されている訳で、この事が明るみに出ても多分モンモランシーが捕まってその煽りでモンモランシ家が色々マズイ立場になるだけ…あ、全然大丈夫ではなかった。

 

「自業自得よねぇ。ま、路頭に迷うことになったら友達のよしみでウチの使用人として雇ってあげてもいいわよ? 

それにしてもまさかガリア王家ゆかりの出だったなんてねぇ。何か事情があって名を隠してるとは思ってたけど、こういうことなのね」

 

キュルケは(うずくま)って震えているモンモランシーの背をポンポンと叩きながらしんみりと眼下の屋敷、オルレアン家を見つめた。

 

「ん? あ、来た」

 

キュルケにつられて屋敷を見ると丁度屋敷から黒く小さな鳥の様な物が飛んできた。

俺はキキに言われていた通りに渡された巻物をほどき中の白紙を外へと開く。

飛んできた黒い鳥の様な物は開いた白紙の上へと迷いなく着地するとまるで糸を解いたように形を崩して白紙に広がり文字となって行った。

 

「へぇ、これはすごいマジックアイテムだね。彼の居た国では優秀なメイジがいるんだね」

 

とギーシュ達はこれを見て感心したように声を上げた。

キキの使う忍術は基本的にマジックアイテムを使っていると本人から嘘の説明をされていた。

本人曰くその方が色々と面倒がなくて楽だそうだ。確かにその通りである。

 

「どうやらもう大丈夫みたいだ。降りて訪ねて来てくれって。シルフィード、お願いできるかな?」

 

「きゅい」

 

シルフィードは鳴き声1つゆっくりと地上へと降下していった。

 

「これはこれはお越しいただきありがとうございます。お嬢様からお話は伺っております」

 

そう言って俺達を出迎えてくれたのは背筋がピンッとしている若々しい印象をもった老執事だった。

名をペルスラン。ローエン(・・・・)・ペルスランと言うらしい。

俺はこの事に対し何も言わないしツッコまない。

 

「おう。来たな」

 

客間に通されるとキキが1人でくつろいでいた。

 

「あら? あの娘は大丈夫なの?」

 

「なけなしの特性睡眠薬を飲ませて眠らせてある。明日の朝まで何があっても絶対に起きない。むしろケチらないで最初から使っておけばよかったと後悔してたりもする。しかもロ…ペルスランさんがどう見ても指揮者(コンダクター)な人にそっくりなせいで実は見透かされてるんじゃないかと言う恐怖と言うか罪悪感がヤバイ」

 

とキキは大きなため息を吐いた。

しかしその割のはくつろいでいるように見えるのだが、キキって言動が少し滅茶苦茶なところ多いよな。

実は結構精神が不安定なアレな奴っぽい?

 

「ね、ねえ。わ、私はどうなっちゃうのかしら…。や、やっぱりその、打ち首になっちゃったり…」

 

俺がキキのアレさ加減に悩んでいると顔を青くしてビクビクしていたモンモランシーがキキにタバサにやってしまったことについて自分はどうなってしまうのかと質問した。

 

「え? あ~。そこら辺は適当に誤魔化しておいたから公的には何もないと思うぞ。まあ、ただ解毒後にタバサにこの二日間の記憶が残ってたら本人から報復されるかもだけどな~」

 

「そ、そうなの!? ま、まあ本人から多少の折檻で済むなら…。よかった~~」

 

モンモランシーはキキの言葉を聞いて顔色を戻してその場にへたり込み安心したと一息ついた。

しかし、タバサちゃんはあんな事にされてただの折檻ですむのだろうか?

 

「で、モンモランシーの折檻やらなんやらは後にして、この後はどうするの?」

 

「とりあえず湖に行くしかないだろ」

 

「ふむ、ならばはやくいこうじゃないか。先ほど上から見たラグドリアン湖もとても良かったが近くで見るのもまた別の風情があって…」

 

「ならお弁当を作っていきましょう! やはりピクニックにはお弁当です」

 

「「ピクニックじゃないから!」」

 

ギーシュとチトセの言葉に俺とキュルケがハモってツッコミを入れる。

チトセはともかくギーシュも何気に観光気分だった。

でも確かにギーシュもどちらかと言えば巻き込まれた側の人間だったし、実際観光目的もあるのかもしれない。

 

 

 

 

 

………ってなわけで俺達はラグドリアン湖までやってきた。

もちろん弁当なんて無い。実際チトセが作ろうと他人様の家の厨房へと駆けだそうとしてたが物理で止めた。フラグメント・パワー使って殴り倒した。

結構加減無しで後頭部を殴打して一生目覚めないように祈ったのにタンコブ一つ作っただけでケロっとしてやがった。

 

「広いな~」

 

キキがそう言ってラグドリアン湖を見渡した。

他のみんなも上空からでは無い、近くでまで来て見たラグドリアン湖の異常な広さに驚嘆の声を上げていた。

 

「で、これって何がどういう感じなの?」

 

とキュルケは当たり前の疑問を口にした。

そりゃそうだ。俺とキキは原作を知っているからラグドリアン湖のトラブルって言うのがある理由によって精霊が増水させていると解っているが、他の皆はそんな事知るはずがない。

さて、どうやってそれを教えるか……。

 

「とりあえず湖畔(こはん)に沿って歩いてみよう。さっき向こう側に動く何かが見えたし」

 

俺がどうするか考えていたらキキがある方向を指さして行動方針を提案した。

 

「何かって…、何だい?」

 

「何だろうな?」

 

「いやいや、キミは相変わらずだね!? 大体向こう側って、距離があって全然見えないじゃないか。ホントに見えたのかい?」

 

「ん、眼は良いからな」

 

「眼が良いって、そんなんで見える距離じゃあ…」

 

「そんなの行ってみれは分かるんじゃない? ごちゃごちゃ言ってるより今は動いてみるのが一番でしょ」

 

そう言ってキュルケはキキとギーシュの言い合いを止めて歩きだした。

ギーシュはまだ何か言いたそうだったけれども俺も含め皆がキュルケの後に続いて移動し始めたので諦めたように項垂れて最後尾を歩いて来た。

 

「あら、何か居るわね?」

 

「本当に居たわね」

 

しばらく歩きキキが示した地点の近くへと来た頃、キュルケとモンモランシーがそこそこ遠くの方に動く何かを発見した。

そして俺達は更に近づいていくと動いてるそれの形が見えてきた。

どうやらそれは馬と人のようで、向こうも歩いて近づいていく俺達に気づいたのか立ち上がりこちらを振り向いた。

容姿は赤い長髪に黒地に赤いラインの入った独特な衣服を着ており、腰には剣が下がっていた。

………ってかさ、こいつ、

 

「おひさ~」

 

「なんだ、お前か」

 

アッシュだった。

あのテイルズオブジアビスのアッシュだった。

あ、いや確かにアッシュだけど別に本人様って訳じゃないか。いつもみたいにそっくりさん…

 

「あ、因みにご本人様だから」

 

俺の表情から何か察したのかキキがボソっと耳打ちして来た。

意味が分からない。なんで本人いるねん。

 

「あら知り合い?」

 

「ああ」

 

「それにしてもカッコイイ殿方ね。それにその真っ赤な髪。私とお揃いで情熱的で素敵だわ」

 

「いきなり何ってんだ? それよりも確かこの湖の指令は飛ばしてねぇはずだが、なんで居るんだ?」

 

「指令? いや俺達は……」

 

と、俺が混乱している間にキキはアッシュにこちら側の事情を説明していた。

 

「なるほど。だからいつものチビが居ねぇのか」

 

「ああ。ところでアッシュは何でここに? さっき指令って」

 

「俺はここの湖の増水の調査だ。増水で村1つ沈んだ事で看過できなくなったみたいでな。原因の水精霊をどうにかしろって話が来たんだよ」

 

「ってことは精霊に用があるのはお互いさまって事か」

 

キキとアッシュはお互いに何か精霊をどうにか出来る手段をどうする?と、こちらの事を置いてきぼり気味で話を進めていく。

 

「ねえ、2人だけで話進めないでよ。私達にも分かるように説明しなさいよ」

 

「ん、そうだな。…えっとこいつはアッシュって言って、ガリアの姫のイザベラの近衛騎士兼花壇騎士団の副団長で、偶にこうやって国として看過できなくなった出来事の解決に出張ってたりするみたいな奴だ」

 

キキの説明に皆ポカーンと口を開けた。

 

 

 




毎回思う事だけど、やっぱり話の終わらせ方が凄い下手だなぁと思った。
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