青いチビの使い魔   作:だしィー

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気づけば三ヶ月過ぎている事実。

そして、本編よりおまけの方が筆が乗った。




水の精霊

 キキSide

 

あの後、アッシュの正体と言うか肩書き的な物を教えた皆の反応はとても面白い物になった。

特に面白かったのはモンモランシーが辞世の句っぽいものを言いながら入水自殺を図ろうとして皆で止めた事だ。

いやー、自分が生きてたらモンモランシ家がー!って暴れるわ暴れるわ。

まあ、そんなことはいいとして。

とにかく色々と騒がしくなったのも落ち着き、再度アッシュと水の精霊をどうするかと言う話へと戻った。

 

「まあ、なんにせよ水の精霊って言うのとコンタクト取らない事には話は進まないよなぁ」

 

「何か手があるのか?」

 

「ん。ほらさっき錯乱して湖に入って行った奴いるだろ? あいつの家なぁ、元水の精霊との交渉役なんだ。だからなんとかしてくれるんじゃないか?」

 

「ほう? どうなんだ?」

 

と、俺の説明にアッシュは地面にへたり込んで呆けた顔をしているモンモランシーへと問いかけた。

 

「え? あ、はい。私の家は代々交渉役を承っていました。今は訳あって外されてしまいましたが盟約は切れていないので呼べば来てくれると思います」

 

モンモランシーはしおれながらもアッシュへと丁寧に言葉を返す。

 

「なら呼び出すのを頼めるか?」

 

「あ、はい。大丈夫です。すこし待っていてください」

 

モンモランシーはアッシュの頼みに素直に頷いて立ち上がると湖の畔へと近づいた。

しかしやっぱアレだな。権力って言うか肩書きって偉大だよなぁ。モンモランシーどころかギーシュとキュルケも妙に大人しい。

まあただ……

 

「うわぁ、なんですかこの毒々しいカエルッ。中々良い毒を出しそうでいいですね! 毒出しますか?」

 

チトセはいつも通りだけどなぁ。

なんでそんなに毒に興味深々なん? 毒が手に入ったとしてそれを何に使うのさ。

…まあいいや。

で、そんなこんなでモンモランシーが自身の血を付けたカエルを湖に放してから十数分ほど経った頃、水面がまるで水遁を使った時の様なうねりを見せ何かの形が出来始めた。

 

「きた?」

 

「らしいな」

 

それを見て俺とアッシュはやっとか、と言う感じで一言発し、

 

「なんだかスライムみたいですね。経験値とか入りそうです(笑)」

 

「お前は少し黙っておけ!」

 

チトセはその動きを見て馬鹿にしたように笑い、ジンがいつものように怒鳴る。

 

「おお、アレが噂に聞く水の精霊か」

 

「私も初めて見るわね」

 

ギーシュとキュルケは2人とも初めて見る水の精霊に感嘆の声を上げていた。

                 

「わたしはモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。水の使い手で、古き盟約の一員の家系よ。カエルにつけた血に覚えはおありかしら。覚えていたら、わたしたちに分かるやり方と言葉で返事をしてちょうだい」

 

俺達がそれぞれ物珍しく見ている中、モンモランシーが一歩前に出て水の精霊に対して言葉を放った。

すると水の精霊はモンモランシーの言葉を了承したのか、先ほどまでの前衛芸術的なよくわからない形から一旦崩れ再度ぐねぐねと動き、そして水の精霊はモンモランシーの容姿とそっくりに形作った。

 

「覚えている。単なる者よ。貴様の中に流れる体液を、我は覚えている。貴様に最後に会ってから、月が52回交差した」

 

モンモランシーの姿をとった水の精霊は最初何かを確かめるように様々な表情を作った後、無表情に戻ってからあらためてモンモランシーの問いかけに返答して来た。

水の精霊が覚えていてくれたことにモンモランシーはよかったぁ、と安心したように一息つくと俺とアッシュの話を聞いて欲しいと説明し、後ろに下がって行った。

 

んじゃ、とりあえず俺から話してみようかな?

俺はアッシュに自分が先にいいか? と人差し指で自分を指して許可を貰う。

 

「あー、話しと言うかお願いなんですが、体の一部を分けてもらえないでしょうか? 俺の(あるじ)を治療するのに必要なんです」

 

俺は水の精霊に精霊の涙を貰えるようにお願いした。

……簡潔過ぎた? まさかのここにきて地味に口下手が災いしたような気がする。

現に水の精霊はさっきから一言も発しない。ってか視線を俺からアッシュへと移動させたし…。

 

「…俺の番か? 俺の話しってのは、この湖の増水を止めてくれって事だ。もし何か理由があるって言うなら教えてくれ。もし俺に出来る事なら可能な限り協力をする」

 

と、アッシュも結構簡潔に要件を伝えた。

おや、アッシュもこんな感じならさっきの俺のも別に変じゃないか? 変じゃないよな? まあ大丈夫だろう。

そんな事より、俺とアッシュの話を聞き終えた水の精霊は黙ったままその表面を波たたせ始めた。

そして、

 

「よかろう」

 

と、波が収まった水の居精霊はいともあっけらかんと俺達の要望を了承した。

なんだよ、モンモランシーが気難しいとか何とか言うから構えてたのに。

まあいいや。

俺がそんな感じで内心ホッとしていると水の精霊は更に言葉を続け始めた。

 

「本来であれば、単なる者の言葉など捨てるところ。だが、そこの共生せし者とその言葉あれば、我はお前らの願い聞き入れよう」

 

水の精霊はアッシュを見ながら言った。

あー、これってつまりアッシュが居たからこんなに簡単に話が進んでるって事か。

…おお、超ラッキー。やっぱり俺、普段の行ないが良いからなぁ。

 

「では、そこの理を()る単なる者」

 

水の精霊は俺を向いてそう言った。

どうやら俺の要望から聞いてくれるようだ。と言うか理を繰る単なる者って何よ? 俺、そんな意味の分からない設定いらないんですけれどもー。……まあいいや。

俺は水の精霊に言われた呼称に関して考えるのを止め、腰の忍具入れから水筒を取り出して蓋を開けて水の精霊はへと口を向けた。

 

「うおっ」

 

水筒を向けた瞬間、水の精霊は身体の一部を切り離すとそれを飛ばしてきた。

俺は多少驚きながらもしっかりと水筒へとキャッチ(?)する。

よし、後は屋敷に帰って解毒剤をモンモランシーに作らせるだけだ。

 

「では、共生せし者。汝の要望通り水を引かせよう。代わりに我が要求をお前らに叶えてもらおう」

 

と、次に水の精霊はアッシュへと顔を向け話を進め始めた。

 

「ああ、構わねぇが少しいいか? さっきから俺に対して『共生せし者』って言うが、もしかして俺の中のコイツが分かるのか?」

 

「分かる。我が同朋をお前に感じる。そしてただ有るのではなく共にある事も」

 

「…そうか。話を遮って悪かった。続けてくれ」

 

アッシュは水の精霊との意味深な会話を終わらすと話の続きを促した。

アッシュの中にあるもの…。話の内容から推察するにアレだよな? 第七音素集合体(ローレライ)

アッシュが一体どんな経緯でこっちに召喚されたのかは分かんないけど、精霊でアッシュと一緒って言うとそれぐらいしか思いつかない。

なんていうかぁ……カッコイイなーそれ。

っとか俺が思っていたら水の精霊とアッシュの間では話がトントン拍子で進んでいた。

 

「では我が秘宝。『アンドバリの指輪』を頼んだ。もし、約束を反故にしたならば、如何な理由を語ろうとも我は秘宝を取り戻すまで再度水を増やし続けようぞ」

 

「ああ、分かった」

 

と、アッシュは水の精霊との約束を承諾し、そして水の精霊は用は済んだとばかりに水分身が解ける時の様にその姿を崩し、湖へと帰って行った。

 

「結構簡単に済んだな」

 

「そうだな。だが、俺の方はこれから大変になりそうだ。クロムウェル。アルビオンで新皇帝やってる奴だったか…。死人を操ることのできる指輪。戦争に利用するにはうってつけだな」

 

俺の言葉にアッシュは小さく一息つきながら答えた。

確かに大変だろうなぁ。まあ頑張ってくれとしか言いようがないけど。

 

「んじゃ、お互い目的達成ってことで。アッシュはこの後どうすんだ? 直ぐに城に帰るのか?」

 

「そうだな。あの2人を放っとてくと喧嘩ばっかして勉強を一切しねぇからな。爺さんの奴は全く止めようとしねぇし」

 

「2人? まあよくわかんないけど姫様さんにはこの事は内緒でお願いな」

 

「言いやしねぇよ」 

 

俺の頼みにアッシュは一言、呆れたように返すと馬に乗り去って行った。

 

「さて、屋敷に戻ってタバサを元に戻すぞ。ってことでモンモランシー解毒薬頼んだぞ」

 

「え、ええ。これだけの量があるなら簡単にできるわ」

 

アッシュを見送った後、俺達もさっそく解毒薬を作ってタバサを元に戻すためにモンモランシーに水筒を渡して屋敷へと足を向けた。

ただ帰る途中、チトセが

 

『これだけの量が有るんですから、解毒薬だけに使うなんてもったいないですよね。…あ、そうだ! 実は私ちょっと作ってみたい薬があるんです。なので後で分けてもらってもいいですか?』

 

などと言うどう考えてもやらかしそうな発言をしていたので屋敷に着いたら幻術かけて意識を奪っておこうと心に誓った。

 

 

 

 

 

--おまけ--

【とある日のプチ・トロワ】

 

アッシュがとある山奥の村で任務を終えてからしばらく経った後のこと、いつものようにイザベラへ政治や兵団の運用やらなんやらと教育している時だった。

 

メイド 「失礼します。あの、アッシュ様。実はアッシュ様に会いに来た、と言うお方がいらっしゃたらしいのですが…」

 

イザベラの部屋のドアの向こうから声が掛かった。

アッシュは一瞬「なに?」と首を傾げ、ドアを開きメイドを部屋の中に居れた。

 

アッシュ 「おい、俺に客との事だが、どんな奴らだ?」

 

メイド 「えっと、わたしは衛兵の方からアッシュ様を呼んでくるようにと言伝を預かっただけですのでお姿は…。なんでもこの手紙を渡せば分かるとの事らしく…」

 

懐から預かったらしい手紙を取り出しアッシュへと渡した。

 

アッシュ 「ああ、こいつはぁ…。なるほど分かった。言伝ご苦労だった。お前はもう戻っていいぞ」

 

手紙を見てこの小宮殿に来た者に思い当たり、メイドを下がらせた。

 

アッシュ 「少し開けるぞ」

 

イザベラ 「はいはい、ご自由にどうぞ。でもアッシュに客って、珍しいなんてもんじゃないわね。あんた外でまた何かやったんじゃないでしょうね。前に貴族連中からとんでもない量の陳情(ちんじょう)の書簡が届いたんだけど?」

 

アッシュ 「あ゛? 知るか。俺は間違ったことをしてるつもりはねぇ。それよりも俺が居ねぇからってサボるんじゃねーぞ」

 

イザベラ 「そんな怖いことしないわよ。ベーっだ」

 

ふくれっ面のイザベラを(あと)にアッシュは来訪者が待っている門へと移動した。

 

==========

 

エドナ 「遅い。乙女の肌は弱いの。こんな日が強い場所に長時間いさせるなんて男としてどうなの?」

 

門の近くへとアッシュが歩みを進めると邂逅一番文句を浴びせられた。

 

アッシュ 「日傘さしてるくせに何言ってやがる」

 

エドナ 「そうゆう問題じゃないのよ。まったく」

 

ユルバン 「はっは。お久しぶりですなアッシュ殿。っと言ってもひと月も経ってませぬが」

 

アッシュ 「まったくだ。まさかこんなに早く来るとは思ってもみなかったぞ」

 

目の前に居る2人に呆れたようにアッシュは言い放った。

 

エドナ 「しょうがないじゃない。あの村から来たってだけで気味悪がられて色々不便なのよ」

 

アッシュ 「…はぁ、そうかよ。村の方はどうしたんだ?」

 

エドナ 「村はそのまんまよ。元々10年も村を維持し続けてたんだもの。これからも維持しておいてって命令しておけばガーゴイルたちは土石の魔力が切れるまで維持し続けるわ」

 

何も問題ないわと言う様にドヤ顔でエドナは語る。

 

エドナ 「さて、じゃあアッシュ。約束通り頼らせてもらうわね。とりあえず当面はお爺ちゃんと住める場所を提供してくれればいいわよ?」

 

アッシュ 「ッチ、似合わねぇことはするもんじゃねぇな。……ついて来い。とりあえず部屋を用意させる」

 

ユルバン 「すいませんなアッシュ殿。お世話になります」

 

==========

 

アッシュ 「っつーことで、しばらくの間こいつらを住まわせるが文句ねぇな?」

 

イザベラ 「あるに決まってんじゃないのよッ! 何勝手に決めてるのさッ。大体ここは私の小宮殿なのよッ!」

 

メイドにエドナ達の部屋の用意を頼んだアッシュはイザベラへと事の顛末を伝えた。

 

エドナ 「あら? 一国の姫のくせに器が小さいわね。噂通りのボンクラっぽいし」

 

イザベラ 「はぁッ!!? ど田舎の木っ端貴族の娘っ子が姫である私になんて言いざまなの! 不敬罪よ! 今すぐその首を()ねっ…て、ちょっとーッ、何アッシュの後ろに隠れてるのよッ。しかもそんなに引っ付いて!! 離れなさい!」

 

エドナ 「いやよ。大体わたしたちはアッシュの正式な客人なのよ。いくらお姫様だからって礼儀を欠くなんてどうなのかしら?」

 

イザベラ 「アッシュの後ろに隠れて言う奴が礼儀がどうのなんてちゃんちゃら可笑しいわね!」

 

アッシュ 「だぁーッ!! うるせぇ! 人を挟んでぎゃあぎゃあ(やかま)しいんだよッ。テメェらそこに並べッ! 大体お前らはなぁ……」

 

自分を挟んで喧嘩し始めた2人にアッシュが眉間に深い皺を寄せ叫び、そして長い長い説教をし始めた。

 

これ以降、このプチ・トロワでは2人の娘が1人の騎士を巡っての悶着が色々と起こるのだが、これと言って話を考えてないので脳内補完で適当に妄想してください。

 

 

 

 

 

 

 




とりあえずキャラ設定。

【おまけに出てきたメイドさん】

・毛先が強く外側にカールする癖がある茶髪で、黄色い瞳の15歳の少女。
・魔法の系統は水。
・元々貴族であったが治療魔法の権威である父親が戦場にて「命に色は無い」言い、敵の兵士、将校までも治療をし続けたため、爵位を剥奪され没落した。
・なんやかんやのコネでとりあえずは王族付きのメイドとして職を得る。
・ぶっちゃけアニー・バース。

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