終わり方が相変わらずてきとうな感じですがご容赦を。
ルイズSide
ジェームス1世から聞かされた驚愕の内容に私は目を見開き一歩後ずさった。
だって、今聞いた話が本当ならとんでもないことだもの。
私以外にも虚無の系統に目覚めている人がいると言う事もそうだけど、何より生き返った陛下は姫様がウェールズ様を亡命させるために自分の暗殺を命じたと言う。
確かに姫様は幼い頃から血が頭に上り切ると、頭がどうにかなってしまったんじゃないかと思うような暴挙に出る事がしばしあったけど…。でも、暗殺なんて末恐ろしい事をする人じゃない!
「ジェームス1世陛下! 姫様はその様な恐ろしい事いたしません! 何かの間違いです」
私は姫様の名誉の、ウェールズ様を思う心の為にジェームス1世陛下へそう叫んだ。
「…ッうるさい小娘が! なら誰がウェールズにこのような生き恥を晒させる様な無様な事をさせているッ!」
しかし、陛下は目を血走らせ怒りを言葉にしたのではないかと言う程の強い叫び声で言い返してきた。
その表情にはウェールズ様も顔をこわばらせて黙ってしまっていた。
でも確かに今ウェールズ様が生きていらっしゃるのはあの陛下の手紙のおかげ。だけど本当はその手紙は偽物で、ワルドも陛下の暗殺をしていないって言ってて、それからそれからえっと……あーッもう! 何が何だか!?
「はぁ、言いたいことはそれだけか?」
私が混乱し、ウェールズ様も動揺して口ごもってしまっている中、リオンがいつものようにため息を吐きながら呆れたふうに陛下に言い返した。
「何だと?」
「言いたいことはそれだけか? と言ったんだ。まったく、2人もこんな与太話をバカ正直に聞いてどうする?」
「え?」
「む?」
と、リオンはやれやれと首を
え? 与太話って…つまり陛下の喋ったことは嘘?
それはウェールズ様も同じ思いだったようで、驚き呆けたような雰囲気を出していた。
そしてリオンの言葉を聞いて呆けた私たちとは逆に、その表情を更なる怒りに歪めた陛下は
「貴様ッ。私の話しを戯言と抜かすか!」
と、叫んだ。
「当たり前だ。まさか敵対していた相手に蘇された奴が、真っ当な記憶や意識を持たされているとでも思っているのか?」
「リオン君、どういうことだい?」
「そのまんまの意味だ。奴らの蘇生の魔法がどれほどの束縛性を有しているか分からないが、敵の人間を蘇させたとしてそのままにしておく訳が無い。何をしでかすか分からないからな。
となれば取る対処は行動の制限か記憶や意識の改竄だ。ここまで言えばもう解るだろ?」
と、リオンはウェールズ様の疑問に丁寧に説明した。
そしてその説明にウェールズ様は目元を険しくしながらなるほどと頷き、ジェームス陛下とワルドを再度睨み返した。
「…あははは。中々面白い推理だけどそれは見当違いというものさ。
「ふっ、蘇生の魔法そのものに意識や記憶を弄る効果が含まれていないと無い言い切れるのか? 虚無の魔法は伝説で誰も詳細はわからないと聞いているが?」
「…君の減らず口は相変わらずだな。おいジェームス1世、今回はここまでだ。退くぞ」
ワルドはリオンを忌々しげに睨みつけると会話を打ち切ってジェームス陛下へと声を投げかけた。
「何をふざけた事を言っておる!? ここで退くことなどできようものか! せめてもアンリエッタの命をいただくまではッ!」
が、ワルドの言葉にジェームス陛下はそんなふうに叫び返して姫様を憎悪の目で睨み続けていた。
「冷静になれ。貴様1人でその2人を相手に何が出来る? いくらその
「くっ、ウェールズよ! 真実を見極めるのだ!! いつか必ずその女の、トリステインが行った非道を暴き、お前の目を覚まさせてやる」
「と、言う訳でさらばだ諸君。ウル・ウォータル…」
ワルドがそう言って呪文を唱え始めると彼の目の前に一抱え程の大きさの白い煙の玉のようなものが現れ、そして…
「
ワルドのその一言で玉が爆発を起こして辺り一帯が白い煙で包まれてしまった。
これってもしかして霧? と、私は肌に貼り付く湿り気から白い煙が濃い霧であると分かった。
まあ分かったところでどうすることもできないのだけれど…
そんなことよりワルドの作り出した濃霧はワルドとジェームス陛下の2人の姿を完全に隠してしまった。
「ッ!? ウインドッ!!」
その霧の中、2人の姿を見失ったウェールズ様はすぐさま風の魔法を放ち、充満していた濃霧を吹き飛ばしてワルド達が居た場所へと目を向けたけれども、そこに2人の姿は影も形も無かった。
「ルイズ、何ともないか?」
霧が晴れ、ワルド達の気配が無いのを確認したのかリオンは剣を仕舞いながら近づいてきて声を掛けてくれた。
「う、うん、大丈夫」
「そうか」
私の返事にリオンは小さくまるで安堵するかのように息を吐いた。
あれ? もしかして心配してくれてたのかしら?
私はリオンのその小さな挙動に気づき、自分の事を心配してくれていたことに内心嬉しくなりちょっといい気分になった。
「敵は去ったか。ならば私も行くことにしよう」
私はその言葉にハッとニヤけかけていた表情を引き締めウェールズ様を見た。
ウェールズ様は空に待機させていた風竜を呼び寄せ、すぐにでもこの場を去ろうとしており、私はそんなウェールズ様の後ろ姿を見て、胸の中がもやもやと嫌な気持ちになった。
だってウェールズ様は大好きな姫様を救うために下手な変装までして駆け付けてきたと言うのに、その姫様とは一言も言葉を交わさずに去ろうとしているんだもの。
せっかく愛しの人がこんなにも近くに居るのにそんなのって無い!
もちろん本当はウェールズ様が生きている事を知らせてはいけないと言うのは分かっているつもりだけど…。
でも、それでも、と私は我儘と分かっていても、少しだけでもいいから姫様に声を聞かせて欲しいと思い、その背中へと
「待ってください!!」
声を掛けようと思ったら突如として私の後ろから何かが地面へと落ちるような重い音と共に声が響いた。
「ひ、姫様!?」
そこには馬から急いで降りようとして失敗したのか、転げて土まみれになってしまっている姫様が居た。
姫様はどうやら目を覚ましたばかりのようで、多少ふらつきながらも立ち上がって歩きだし、私の横を通り過ぎて変装して顔を隠しているウェールズ様のへと近づいて行った。
「……ウェールズ様、なのです…か?」
「人違いだトリステインの女王よ。私はただの通りすがりの者だ」
弱弱しい声で姫様はウェールズ様の背へとその言葉を投げかけ、それをきっかけに2人は言葉を交わし始めた。
「……いいえ。そのお声。そのたたずまい。忘れるはずがありません。貴方はウェールズ様以外ありません! なぜ、なぜ生きておられると知らせてくれなかったのですか!? 貴方が生きていると分かっていれば私は私の全てを使ってあなたの事をッ」
「アンリエッタ女王、それはやってはいけない事だよ。君は今や国を率いる身なんだ。滅多な事をそう簡単に口に出すべきではないはずだ」
「あ、……ごめんなさい。軽率な言葉でした」
「それと、君が私のことをウェールズと言う人物と勘違いしているようだが、人違いだ。私の名はウルタス・ブイ。今回はたまたま悪漢に攫われていた君を助けたに過ぎない、ただの通りすがりの義賊だ」
「分かりました、ウルタス・ブイ様。今は…、今はそうお呼びしましょう。……次はいつ貴方様にお会いになられるのでしょうか? これっきりと言うのは寂し過ぎます」
「次、私に会う事など無い方が良い。私は正義を成す者。私に会うと言う事は君が今回のように危機に陥っている時だ。そんな事ない方が良い」
「そう、ですか」
「たがもしもッ! もう一度君の身が危険に晒されるような事があるのならばッ。私は、すぐさまその危機から君を救い出すと宣言しよう」
「ッ!? はいッ、その時は…お待ちしております」
ウェールズ様は最後に少しだけ振り向き姫様の顔を見ると、素早く風竜へと飛び乗り、そして2つの月が輝く空へと舞い上がり飛び去っていった。
「姫様…」
「……さあ、お城へ帰りましょう。きっと大変な騒ぎになっているとこでしょうね。ああそれと、お二人にはお話を伺いたいことがあるので今夜はお城へ泊まっていってもらいますからね?」
そう言って、ウェールズ様の去った空から顔を下し、いつもの柔らかな表情に戻った姫様と共に私とリオンは城へと戻っていった。
元々、ワルド&ジェームスVSリオン&ウェールズのバトル展開させようとしてました。
しかし、書いている途中でワルドがタルブの時の戦闘でリオンに深傷負わされて戦えるような状態じゃなくね? って事に気づき。
じゃあアンデットジェームス1世と、と思ったけどルイズがディスペル覚えてないから倒せなくね? って事に気づき。
かと言ってリオン&ウェールズ相手にジェームス1人が勝てるわけないしって事に頭を悩ませた結果、
ワルド達の逃走と言う形に変更しました。