青いチビの使い魔   作:だしィー

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久々に更新だぁ




出発

 リオンSide

 

 ルイズが逆さまになってから数日が過ぎた。

 あの頭の痛くなる出来事以降、ルイズの生活はもはや監禁と言って差し支えないようなものになった。

 

 具体的に言えば、杖を取り上げられて寝所が地下室になり、部屋の扉は錠が掛かった鉄扉となり、食事と散歩には夫人がルイズに首輪を掛けて行われると言うような、色々とアレ過ぎて見ているこっちも本当に頭が痛くなってくる光景が日々行われている。

 

 しかもタチが悪いことにルイズはそんな目に合っていても脱走することを諦めておらず、虎視眈々と夫人の隙を窺っている。

 

「この国の貴族は基本的に頭がどうかしている奴らしか居ないのか?」

 

と、僕はルイズの今日の午後の散歩風景を屋敷の書斎から見下ろし、呆れながら眉間を抑えて呟いた。

 

「まあ、本来ならそんなことは無いと言いたいところではあるのだが、実際身内がアレでは否定などできるはずが無いのがな…。妻も昔から感情的になると色々やらかして後に引けなくなると、とことん突っ走る悪癖があってな。娘たちもそう言う気があり、特にルイズは一番性格が似てしまってな。はっはっはっは。……はぁ」

 

 僕の呟きに答えたのは同じように散歩の様子を見ているヴァリエール公爵であり、その大きなため息には強い疲労の色が見える。

 まあ自分の妻と娘があのような状態ではしょうがないのだろう。

 

「で、自分に話とは?」

 

「ああ、そうだな。立ったままというのもなんだ、茶を入れさせている。こっちへ」

 

 ヴァリエール公爵はそう言って窓辺から離れ、お茶が用意されているテーブルへと僕を促した。

 

「まあ、話しと言うのは他でもない。ルイズと共に学院へと戻ってあげて欲しいというものだ」

 

「…よろしいので? 言っては悪いが、あいつ(ルイズ)は屋敷を出て学院に行けば、確実に虹翼を使って戦争に向かう。一応止めはするが、言う事を聞かないのは公爵殿が一番分かってるとは思うのだが」

 

「分かってはいる。しかし、屋敷であのような生活をさせ続けるのも如何なものかと思うのも事実。はっきり言ってあの光景を見る度、胃が痛い。

城で会議でキチ〇イ老人共の妄想戯言に付き合わされて疲れているのに、家に帰ってみれば妻と娘が理解に苦しむ行動をしているッ!。もう私の胃は限界だ。

君に丸投げするようで悪いのだが、ルイズの事は任せる。

丁度、明後日に友人が訪ねて来て3日程滞在する。あいつの帰りにルイズと共に荷物に紛れてここを出るといい。妻の事は私が相手をしておくから心配は無い。では任せたよ」

 

 公爵はそこまで捲し立てるとカップに残っていた紅茶を飲み干すとスッと立ち上がり、足早に書斎を出て行った。

 それはまるで僕から断りの言葉を聞くまいと逃げる様だった。

 

「いや、様だったではないのか。…はぁ、気持ちが分からない訳では無いがな」

 

 しかし、えらく信頼を持ってもらえたものだ。僕の何が公爵たちにここまで強い信用を与えたのか分からないが、使い魔と言う身の上で屋敷で好待遇の生活をさせてもらっていた以上、公爵の頼みを無下には出来ない。

 僕はしょうがないと、公爵と同じように残った紅茶を飲み干し書斎を出た。

 

 そして、後日。

 アルベルト卿と公爵に呼ばれた奇抜な恰好をした緑髪の大男が来訪し、しかも見知った顔が一緒に来ていた。ジンとチトセだ。

 どうやらアルベルト卿とはジンの父親らしく、ルイズの様子を見る為とチトセがルイズに会いたがった事も兼ねて一緒について来たらしい。

 

 ただ、

 

「しかし何故彼女はあんなドレスを着ている?」

 

「いいかリオン? 世の中あえて我儘を聞く方が被害が少ない事もあるんだ。決してあいつに俺が屈したわけじゃない。決しだ」

 

「そうか」

 

と、無表情で何処を見るでもなく視線を彷徨わせながら力強く言いうジンに、僕は一言そう返すことしかできなかった。

 

 それから3日はチトセとルイズが屋敷に火を放とうとした事以外に特に騒ぎなど無く、公爵の計画通りにアルベルト卿たちの帰りの日に僕とルイズは荷物に紛れ、シエスタはジンに任せて馬車に乗り込ませてもらい、ヴァリエール邸を後にした。

   

 

 

 

 

 キキSide

 

と、言う中々に混沌とした話をジンとリオンから軽い気持ちで聞いて後悔してから1週間程が経った今日この頃、ルイズとチトセが何か叫びながらレアバードに乗って天高く舞い上がり飛び去って行った。

 

「もうホント元気がいいなぁ」

 

「元気がいいで済ませられる問題ではないッ」

 

「何やってんだよぉッ!! 責任取らされんの俺なんだぞ!? これ以上の負債は本気で取返し付かないんだって!」

 

呑気に呟いた俺の横で、リオンは頭を押さえ大きくため息を吐き、ジンは青ざめ絶望に染まった表情になって頭を両手で抱えていた。

 

 「まあ、なんと言うか、応援しかでき…そだ。これ餞別に忍具。使い方と効果は…えーっと、コレに書いてあるから。餞別だと思って使ってくれ」

 

 俺は応援だけではと途中で思い直し、ポーチ内の誰でも使用できるタイプの忍具セットを即席で書いたメモを渡した。

 あ、文字は一応ハルゲキニアの文字を使ってある。これならジンが読めるし大丈夫だろう。

 

「助かる。おいジン。いつまでも頭を抱えてないであの大馬鹿共を追うぞ!」

 

「ハッ! そ、そうだ。お、追わなきゃ! 息の根止めなきゃ!!」

 

 息の根は止めてあげるなよ。と言うツッコミは心な中に留め、目が血走っているジンはリオンと共に厩舎へと駆けて行った。

 

「主人公って大変だよなぁ」

 

 なんて冗談交じりで呟き、俺は再度ルイズ達が飛んでった空を見上げた。

 もちろんそこにはルイズ達の姿は影も形も無い。って言うか、皆が里帰り中に暇を持て余して乗り回してた時のレアバードより機動力がヤバイぐらい跳ね上がっている気がする。

 

「あれ、無事に帰ってくるかなぁ? ……無理かも」

 

 まあいいや。良くは無いけど。

 そんなことより、ジンに今後のゼロ魔の展開聞くの忘れてたなぁ。

 

 えっと……、

 

「まあいいか。何かあったら適当に対策・処理すればいいか」

 

 この世界において俺が負けるとか苦戦とかありえないしね。

 まあ確かに場合によっては先に色々手を打って面倒臭い事を失くしておきたいってのはあるけれども…、まあいいや。

 

「うおぉぉぉお!! 待ってろチトセッ!! 岩に埋め込んで海の底に沈めてやらぁっ!!」

 

「ジン落ち着け! お前はそうやって感情的になればなるほどドツボにハマる事をそろそろ理解しろ」

 

 と、鬼のような形相のジンと珍しく引いた様子のリオンが俺の横を馬で駆けて行った。

 俺は心の中で頑張れ! と応援をしつつ、ジンはやっぱり碌な目に遭わないんだろうなと思った。

 

「腹空いたし、飯食いに行こ」

 

 空腹を自覚したら腹の虫が鳴った。

 俺は昼食を取りにいつもの厨房裏へとタラタラと歩いて行った。

 

 

 

 

 

 マチルダSide 

 

 夕刻時、もう半刻もすれば完全に日が沈み夜のとばりが訪れるという中、私達は数日前にクロムウェルから命じられた任務の為にロサイスの港に停泊しているちょいと風変わりな船に乗り込み出航を待っていた。

 

 クロムウェルに命じられた任務は至極簡単。トリステイン魔法学院に行き占拠し、トリステインに対して政治的に優位に立つこと、らしい。

 まあ簡単な話し、学院のガキ共人質にしてトリステインを脅そうって魂胆である。

 

「それにしても面倒な事を任せてくれたもんだよ。ったく」

 

「陛下の御命令だ。文句を言うな」

 

「何が御命令よ。あんただって不満たらたらじゃないのさ」

 

「…それでも、だ」

 

 と、私の言葉に腕を組み壁に背を預けていたワルドの奴は仕方がないと言葉を吐いた。

 今回の任での私達の仕事は、とある傭兵団を秘密裏に目的の学院まで案内することであり、難しい事など一切ない、それこそ子供の使い走りでも出来る仕事だ。

 

 ワルドの奴は自身がそんな使い走りの配達屋みたいなことを命じられた事に不満を持ち、少し不貞腐れている様子だが、私としては危険なとこに飛ばされるよりかはマシだと思っている。

 じゃあ何で私はため息を漏らし文句を漏らしているのかと言うと、この傭兵団のせいだ。

 

「あいつらまともに仕事すると思うかい?」

 

「報酬は十分払っている。それにしくじった時の私達だろう?」

 

 と、ワルドは目の前の傭兵団の連中を見て言うが、私としちゃあコイツ等の相手なんぞ御免被る。

 

 裏の界隈でも悪名高い傭兵団『アドリビトム』

 

 街の裏組織、荒くれ者の傭兵団、盗賊に空賊。そう言った金の為なら他人の命なぞ知ったこっちゃないような連中の中でも尚、鼻つまみ者、はみ出し者。

 そういう連中が一体どういう理由か知らないが、集まった集団。それが奴らだ。

 

 狐のような面のニヤケ男、珍しいピンク髪の三白眼の男、身の丈ほどもある剣を背負った男、まるで娼婦のような露出の多い服の小娘。他にも各々くつろいでいる奴ら含め、皆が皆独特の雰囲気を纏っていた。

 

 私も盗人として裏で色々やってきてコイツ等の噂なんかは耳に入っている。

 そして実際に会ったことで私はその噂が誇張されたデタラメな物でないと言うのが本能的に分かってしまった。

 

 例えばメンヌヴィルという大男。白炎の二つ名を持つ傭兵の世界では知られた男であり、その狡猾さと残虐さ、そして生き物を自らの炎で焼くことに至上の悦びを覚え、その実力は一人でオーク鬼の集落へ行き全滅させたと言う。

 

 例えばアリスという女がいる。こいつは外見は清純な乙女と装っているがその腹の内は真っ黒。人の心や記憶を操作する禁制の薬や魔法等を使い依頼をこなすらしい。 

 その昔、魔獣の討伐依頼を受けた際に偶々(たまたま)森に行く途中にすれ違ったという農夫を丁度いいと操り、大量の火薬を背負わせ一切の躊躇なく巣穴へ潜り込ませ自爆させたという話がある。

 

 そんな狂人まがいな奴らであり尚且つ、その実力は誰しもが耳に聞く程。

 そんな連中の集団、もし万が一の事があり、敵対するような事にでもなったらゾっとするよ。

 

「帆を張れッ!!」

 

 と、私が顔を少し青くさせていたら野太い船員の声が聞こえた。どうやらいつの間にか日も沈み、出港の時間となっていたようだ。

  

 ゆっくりと港を離れ十分に距離を取ったこの銀色の船は、船側に有るドラゴンの翼のような帆を広げると一気に加速し、私たちをトリステインへと運び出した。

 

 

 

 

 

 

 




【これと言って深く考えず選考したアドリビトムメンバー】

 アリス、デクス、サレ、トーマ(兜で顔を隠している)、ミリッツァ(ターバン巻いてる)、ヒルダ(左に同じ)、ザギ、アルヴィン、プレザ、アグリア、ルナール、サイモン、ロクロウ、マギルゥ、ダイル(マントや被り物等で姿がバレない様にしている)

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