キヴォトスの執行官   作:ふぃーあ

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アンケートの結果にお答えしますとも。

70000PV……お気に入りめっちゃある……今更ながらにありがとうございました。

マージで無頓着ですいませんでした、ここすきもなんかすごいついてるし怖いですよ私。モチベに繋がってはいますので欲しいですけど。

マジで小説投稿あんましないからここまで来ると怖いです


Past story『望箱エル3年生、大聖堂にて』

「……祈祷中でしょうか?」

「いいえ」

 

 思ったより明瞭に帰ってきた独り言に対する答えに、歌住サクラコは少し驚いたようだった。今の時刻は19:30。シスターフッドの長たる彼女……望箱エルはここ数日のこの時間、誰もいない大聖堂のステンドグラスの前に拝跪して何事か祈ってからどこかにいなくなる。

 

 しかしながら、彼女の今の返答では、祈りをしているわけではないようだ。サクラコは、己を捉えた好奇心が猫をも殺す悪魔の類でないことを恐らくは願いながら、ソレに従って問う。

 

「では、なにを?」

「懺悔を。……歌住サクラコ……あなたならば恐らく、次のこの座につく。この座に着くまでは、私の懺悔の理由は教えられません」

「そう……ですか」

 

 エルは立ち上がると、サクラコを真っ直ぐに見た。それまでは、ステンドグラスに向かっていて、彼女には一瞥もくれなかった瞳がこちらを射抜く。

 

「あなたはもし、ワタシからここを受け継いだとしてなにを成しますか?」

 

 それはエルの、珍しい問である。エルは人にモノを問わない。1を聞き、10を知り、100を恐れ、1000の手を産む……故にこそ、トリニティの中でシスターフッドを動かしながらも、多数の慈善活動などを新たに行う余裕を作れていた。

 

 サクラコは、自分にそれは無理だと知っていたのだろう。きっとエルが居なくなれば、今行っている活動の半分は打ち切らねばならないはずだ。といっても、ひとつ……治安維持活動協力を打ち切ればほぼほぼ業務量の半分なので、ある意味本来の領分に戻せば良いというべきなのだろうか。

 

 サクラコは、エルからその座を受け継いだとするならと考えているのだろうか、手を顎に当てて考えてからひとつ頷いた。

 

「望箱さん。貴女からその座を譲り受けた暁には、私は完全なる中立の組織としてシスターフッドを運営し続けようと思います」

「それは、何故?」

「トリニティは権謀術数蔓延る地です。せめて、シスターフッドに入ればそれらからは無縁であると……そう思わせてあげたいのです」

 

 エルはそれを聞いて、笑みを浮かべつつもふぅ、と息をついた。

 

「貴女の言う未来に期待していますよ。……ワタシはつくづく良い後輩を得ましたね……しかし、今晩はもう遅い。ゆっくりと眠り、明日に備えるといいでしょう」

「はい。……それでは、おやすみなさい。貴女に祝福があらんことを」

「えぇ。貴女の夜に安らぎがあらんことを、未来に祝福があらんことを」

 

 立ち去るサクラコの背を見送り、その背が完全に夜闇に消えてから、エルはすっとその背を伸ばして歩み行く。

 

 壁を叩き、煉瓦を押し込み、わざとらしく飛び出てきた煉瓦を無視してその二つ下を押し込んでやると、煉瓦壁は扉となって、彼女の目の前に洞穴を開いた。

 

 そうして、その作業を終えて中に入ろうとするエルは……

 

 こちらを向いた(・・・・・・・)

 

「何時までお隠れのつもりですか」

「やはり……勘づかれていましたか」

 

 私はその姿を柱から滑らせるように出した。たゆんっと、大して気にしてもなかったがこの姿になるようになってからは酷く趣味に合ったように思える2つの塊が揺れる。

 

 望箱エルは、私の水着姿を上から下まで眺めやって、こう呟いた。

 

「……まあ、理解はできますよ」

「……え?」

 

 私は思わず声を漏らしてしまった。何を理解したというのだろうか? 水着姿から? ……もしかしてそういう趣味だったりするのだろうか? 

 

「気を取り直しましょう……ご機嫌よう、浦和ハナコさん」

「はい、こんばんは♡」

 

 エルさんは、私を見ても赤面ひとつせずに口を開き、話を始めた。

 

「夜に水着姿でなにを、とは言いません。……疲れたのでしょう? 派閥争い……というかどこかに所属したという話は聞きませんし、勧誘でしょうか」

「……よくお分かりですね」

「ワタシもそうだったもので。最も貴女のそれは天性の持ち合わせで、ワタシは後付けの理性なのですがそれはさておき、賢い判断ではあると思いますよ、ワタシは」

 

 エルは笑って、こう続ける。

 

「派閥の勧誘から逃げる方法は2つある……あなたはそれに気付き、しかし実行する勇気を誰も持たないが故にやらなかったそれを実行した。貴女のその度胸もまた才能でしょうね」

 

 そういって、指を1本立てる。

 

「ひとつは、派閥に入らずにシスターフッドや正義実現委員会などの共同組織に入ること。……しかしこれは、貴女の場合は裏を返せばいつでも1派閥の形成に携わる位置に立つ可能性があるということでした」

 

 そこで、と指の2本目を立てる。

 

「貴女は狂人になることにした……誰からも望まれなければ、結果的に勧誘はなくなりますからね。全く末恐ろしい方です。狂人の真似では勘づかれる、だからこそ本物になった……なれてしまった。貴女は、何事にも天賦の才を持っている。トリニティの才媛とはよく言ったものですねぇ。しかし本質を捉えていない以上はどうしようもない話にすぎませんか」

 

 私はその言葉に胸の奥底までを見られているような気持ちがした。真実、その言葉は私の本質だ。強いて付け加えるならば……

 

「狂人の真似をしよう、というわけではなくて、狂人が理性で枷をしていただけなのですよね」

 

 結局本質的に「コレ」(変態)なので、と内心でつけ加える。それを聞いて、エルは首を振った。

 

「いいえ。貴女はまだ普通の女の子に過ぎませんよ……狂人というのは自覚がないものです。ワタシを悪く思う者がよく言うあだ名のひとつは『トリニティの狂信者』ですよ? ワタシが狂などとはまったくもって思えないのにです。つまり、多角的な評価の結果総合的に「狂人」のレッテルが与えられるわけで……あー、なんと言いますか」

「自分がそうだと思わない限りはそうではない、と」

「さすがですね。そうまとめてしまいましょう。そういうことです。さてハナコさん……酷く悩む貴女に、ひとつ、切り札を与えましょうか。そのために、ここ数日貴女がこの大聖堂にどのような形であれ……自ずから来るのを(・・・・・・・・)待ちわびていた(・・・・・・・)のですからね」

 

 彼女の言葉に、私の思考は完全にフリーズした。確かに探ろうとした好奇心があったのは事実だった。しかし、その好奇心すら「制御された好奇心」だったという現実を彼女は今何よりも明確に私に突きつけていた。

 

「……最初から、私を呼ばずにここに呼ぶために」

「トリニティの才媛ともあろう方が秘密主義のシスターフッドの秘密にノーアクションで居られるわけが無いと思っていたので。ワタシは自慢では無いですが、人読みだけは得意と思っています。……少しは驚いていただけたようですね。水着で出てきた時は心臓をぶち抜かれたかと思いましたので借りは返しましたよ……あとこちらをどうぞ」

「……ワイシャツ、ですか?」

「せめて着ておきなさいな……私物ですよ、私物」

 

 仕方なくワイシャツをバッと羽織り、ワイシャツオンリーの下にスクール水着というよりインモラルな姿に進化した私を見てエルは一言独り言。

 

「しまった……ワタシとしたことが読み違えた。もっとえっちじゃないですか」

 

 

 

 エルが開けた洞穴を通り、大聖堂地下の巨大な空間に私とエルは降りてきていた。

 

「あの……ここは?」

「地下遺跡ってヤツです。……貴女の切り札はここにあります」

 

 最奥と思われる石扉を開くと、そこには古代文字がビッシリと刻み込まれているのを確認できる石版を並べた広大な空間が広がっていた。

 

「……これは……?」

「言ったでしょう、『切り札』です。……解読してみなさい。そこに記された文字列は、いわば『トリニティ過去最大の汚点』……ソレを使えば、ティーパーティーすら1度か2度くらいなら『使える』。無論、私達も例外ではありません。極大の切り札……トリニティの才媛にして、1年生という未来ある立場の貴女に託します。派閥のない貴女に、この力は大きすぎるかもしれません。だけれども……ワタシは信じていますよ」

「…………」

 

 無言で、手を伸ばす。それらの石版をエルの協力の元読み解き、脳に内容を叩き込む。追放されたアリウスという存在を刻み込み、ユスティナという存在がシスターフッドの前身であったことを記憶する。

 

「確かに、預かりました」

「えぇ。あなたにはとんでもないものを背負わせますが……」

「いえ。……今こうなった私にしか出来ないことも、きっとあるのでしょう?」

「……そうです。何度も言うようですが、託しました」

 

 その日、トリニティの才媛に極限の武器が手渡される。それを知るものはなく、知る故はなく。

 

 誰にも知られずにその武器は、ただ1度未来に輝く時を待っていた。

 

その時は、近い。

 




閑話のつもりだった。本編にガッチガチに絡んだ。お茶会の回だって本編に絡む設定出すつもりなかったんですとは言い訳させてください。
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