キヴォトスの執行官   作:ふぃーあ

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えー。向こうから来ている人は知っていると思いますが、どういうわけか、大人気作の『HENTAIの野望〜キヴォトス同人誌化珍道中〜』とコラボさせていただけることとなりました。

このような問題作とコラボいただき、感謝の極みです。

さて、本文に入る前に向こうのオマージュとして警告を。

ひとつ!この世界はルカ世界とスバル世界の混合である!

ふたつ!トリニティは向こうが基板!ミレニアムは現在デカグラマトン氷海編!

みっつ!本編とは違ってスバル世界線にルカはじめ看取り手が割り込んでる……つまり正常なストーリー沿いに進む世界!

よーっつ!解釈違い甚だしかったらごめーんねっ!!

向こうさんは下記リンクからどうぞ!まあでもこの作品にたどり着いてる人で向こう読んでない人あんまいない気もするよね!

https://syosetu.org/novel/311789/

では、どうぞ!


collaboration Story『魔王と執行官の関係性について、端的に述べよ』

 白崎ルカと、間島スバル。二人の関係を言葉に示すには複雑がすぎた。

 

 法と正義によって対立し、信念のための無法、テクストの技術の利用を否定し、互いに中々に相容れることなく。

 

 なれども、2人はとある時だけはそれら全てを超越している。

 

「お疲れ様です、プリンスメロン先生」

「ル……じゃねぇわ、白鷺。よく来たな」

「百合モノ新刊、3冊。……売れ行きは?」

「好調だ……ん、確かに受け取った」

 

 普通に買うもん買ってるルカと、買うもん買うのに特にツッコまないスバルの関係は、まあ……『作家とそのファン』くらいにしておくのがいいのだろうか。プレアデス性団という、スバルが主宰する部活のメンツからは正気じゃないという目線を向けられてもいるが、2人は意に介さない。なにせ……

 

「いやオフの時くらい嗜んだっていいじゃないですか。このキヴォトス、えっちなコンテンツってレアなんですから」

「全くだな……」

 

 片方は、転生者。片方は、生徒にあらざる年齢上の大人(一応戸籍上は19歳なんですよ私って)……共通点はひとつ、アダルトコンテンツに合法的に触れられる立場にある/あったということ。

 

 故にこそ、2人は互いの信念が絡まない……いやある意味スバルの信念が絡みまくりなのだが、とにかくこの場においては一旦全てを忘れることにしている。

 

 気にしないったら気にしない。スバルは気にしない。

 

 可愛らしいワンピースに身を包んだ少女が注文したのが最近自分が好奇心に身を委ねて描いたカヤルカ本であることも。

 

 どうやったのかそれを事前に知っているようで、すごく……そう、すごく笑顔でそれを購入して「んふふ……」と声に出るほどの笑いを漏らしていることも。

 

 気にしないのだ。目の前にいるのは、同志。それでいいじゃないかとスバルは半ば思考を放棄していた。

 

 ミレニアム郊外のプレアデス性団の即売会は、今日もそれはもう盛況であった。

 

『ソレ』が起きるまでは……。

 

『ミレニアム81番区域街の皆様に警報のお知らせです』

 

 響き渡る警報、同時に首元のストラップに繋がった小さく震える携帯をワンピースの少女は谷間から引き抜く。

 

『現在、当該区域に暴走したロボットが走行中。対応まで避難してください。該当区域のミレニアム生徒の端末には避難マップが表示されます。ミレニアム生徒は余裕があれば市街地にいる一般人を誘導してください』

 

 その警報の中で、ワンピースの少女は端末を耳に当てた。

 

「現在応答は白崎です! 緊急ですね?」

『防衛室不知火です。ルカちゃん、今どこに?』

「ミレニアムに居ますよ、オフで!」

『ちょうど良かった……では。白崎執行官、現地の生徒と連携し、81番市街地のロボットを破壊してください』

「万事、お任せを」

 

 端末の通話を切り、空へ向かって投げ上げて……1歩前に踏み出し、2歩で助走をつけて。

 

「『武装展開』!」

 

 ぐるん、とターン。黒いスーツの裾が翻ると、そのままワンピースが後ろに流れていくのを気にもとめず、地面に剣を突き刺して左手にショットガンを握り締める。

 

「プリンス……じゃない、たまたまそこに居る特段屈強そうな貴女」

「気が利くねぇ……ま、スバルで構わねぇ」

「じゃあスバルさん、手伝ってくださいな。なに、貴女と私です……40秒もあればいいのでは? まずはスバルさん」

「OK……『見聞色の覇気』ッ!」

「おーけーです。だいたい思い出しました……こうでした、かねっ!」

 

 解き放たれる2つ目の覇気……厳密には、『匣』のリソースをエネルギーに転換して解き放つエナジーソナー。流れ込む情報量は、匣の演算と比較するには少なすぎるが、一般のものと比べれば多い、その程度。故に、ルカは解き放った擬似的な覇気が取得する情報のすべてをノータイムで精査して。

 

「じゃ、行きましょうか。右手側、デカブツは?」

「あんたがいいだろ……俺は左の群れだな」

「異存無いです。では残りの皆さんは……」

「ミレニアムと協力して避難誘導だな。だがとっ捕まっちゃまずいから気をつけて動けよ」

「「はい!」」

 

 全員がそれぞれのやることに向けて飛び出す。スバルが地にヒビを入れて真っ先に地を走る。ルカがその手の剣にヒビを入れ、わかたれた剣が鎖を成して、ミレニアムの標識などを自在に絡めながらスパイ〇ーマンもかくやとばかりのワイヤーアクションによる高速移動を行う。

 

 その後、暴走ロボットたちが鎮圧されるのにかかった実時間はわずか一分に満たず、出動要請がなされたC&Cが現場に出向こうとした瞬間現場で解決したので出動しなくて良い、と言われて困惑したらしい。

 

「デカブツは片付きましたね……あっちも片付いてそうですし、戻りましょ……いや、違うか。スバルさんの方に急ぐべきですね」

 

 しかし、現場単位ではまだ全く解決とは言えない状態である。地下を、なにかが移動していることに気付いたのは、覇気に近い概念としてのソナーを制御しないことを選択したルカであった。

 

 本来は指定して解き放つべき覇気は、エナジーソナーとして代替されたが故に球状に、無秩序に解き放たれる。それであるが故に地中までも探知してしまった結果判明した敵対存在の影。

 

 飛び回るルカはスバルの前に降り立つ。

 

「スバルさん、下ですよ」

「……『ホド』か?」

「うぅん……まあ、強いて言うならホド・偽典(イマジン)、とかでしょうか? 暴走はしていますが……デカグラマトンなる存在は深い水底に沈んだと聞いています」

「ま、いいか! とにかく……ぶっ飛ばせば終わりだな!」

「ですね」

 

 ルカとスバルはそう脳筋極まる結論を出すと、地面に空いた穴を見る。この補修・配線用機械の名を、この場では『ホド・偽典(イマジン)』とすることをスバルに伝えつつ、スバルからは出てきた瞬間の一撃を予約される。

 

 スバルが力のチャージを開始し、ルカはその手に4本の鎖を握り締める。

 

 同時、地面が揺れる。インベイドピラー……本来教化の侵食を推し進めるべきソレは、巨大な砲塔として新生、同時に4本が起動して地より生え来る。

 

 さらに、その雄々しき本体が、そのカメラライトを赤に染めて現れる。

 

 だが。それでも2人を傷つけるには、全くもって足りない。

 

「ナメてんだろ、なぁ?」

「外部からのハッキングによる人為操作ですかぁ……たまったまヒマリさんとエイミさんがいない、かつ副部長のチヒロさんが案件でいない一瞬を狙った凶行、残存しているヴェリタスくらいならなんとかなるとでも見込んだここでは最早天才とも呼ばれない、なれども確かな天性の才能持ち……ですね」

 

 ルカは張り巡らせた諜報網から拾い上げた情報から解を導き出す。

 

 この事件を今この場で起こした、仮に『彼女』とする人物の計画は、比較的優れたものである。

 

 自身のヒマリほどでないにしろ優秀な、かつ隠し続けたハッキング能力。それでもってホド・偽典(イマジン)を作成、操作してハッキング範囲を拡大。その範囲の機器と演算の総計でもってエリドゥとリソース戦を行いエリドゥを奪取、エリドゥとその兵器をもってしてその元の主……調月リオを始末する。

 

 だが、余分なものが多すぎるだろう、とルカは笑った。意趣返しなのか悪趣味なのか、相手の作った最高のもので相手を殺そうなどとは。

 

 殺したいならハナから全力で隠れた上で後ろからワンマガジン打ち込むなり、対戦車ライフルで昏倒させて括り付けてからなぶり尽くすなりなんなりした方が確実だし早い。というか、ガチでやるなら完全に認識されてない状態の背後をとって袈裟斬りに斬り捨てるか爆破するべきだ。

 

 とにかく、人を殺したければさっさと終わらせるべきだ、とはルカの持論である。

 

 暴走の本質を準備だと見破れなかった場合の成功率は確かに高いかもしれないが、見破られていた場合なんともまあ陳腐なものに成り下がるのがこういった策の常。

 

 そして、こういった策がそもそも上手くいかないのはルカの前での常識である。

 

 なお、そのルカがこの場に現れた理由はスバルの著したエロ同人の即売会であるため、割と冗談一切抜きで、エロによって今この場は、救われているという現実を直視する必要があろう。

 

 少し遠く。ビルの執務室。

 

「うっ……?」

「ユウカちゃん!? 大丈夫ですか?」

「いえ、目眩がしただけよ……この状況に参ってるのね。C&Cに早く出撃要請を……」

 

 後々、ルカとスバルがいたことを知ることが出来、かつ、2人が居た理由を精査できる……すなわち、事実に行き着く頭脳を持った……持ってしまった少女たち。名をセミナー。彼女たちに、幸あれ。胃痛さんは今後とも長い付き合いをしたいと言っているのだから。

 

 

 

 ずしん、と。響き渡る音。それは終幕を告げる音。

 

「はっ……こんなもんですかね」

「さすがだな、執行官……仲間に回ると頼もしいねぇ」

「あなたこそ。大魔王……さすがに敵対した時技の素受けを徹底回避しましたが、ここまでの威力はちょっと想定外です」

 

 久々にテクスト抜きでの戦闘をしたな、とルカは軽く骨をパキパキとならしながら、グッと上に伸びをした。

 

 スバルがナニを見てか、サムズアップ。グッと下に向けられたルカの親指とクロスする。

 

「どこ見てんですか……」

「いや、だいぶ着痩せするタイプと見た。その上でサラシ巻いてんだろ……俺の目は誤魔化せねぇぞ」

「どこ見てんですか!?」

 

 くだらないやり取り。児戯に等しいと、あっさりと片付けられた預言者の偽典は、その身を大地に投げ出している。

 

 やはり、というかなんというか。1預言者、その偽典如きで彼女たちが敗北することは無い……傷を負うことすらも。

 

 対価として、街の風景がやや荒れているものの、むしろ預言者が暴れたと考えればより大きな被害が出た故にまあまだマシな方だと思って欲しいとはスバルの言。

 

「ちなみにB96ですね」

「は? ……いきなりドコの公開してんだお前!?」

「いえ、気になっていそうだったので……知りたくなかったです?」

「いや、ご馳走様。太っ腹なお大尽だこと」

「今回の協力の個人的なお礼、ということで」

 

 そして、スバルとルカは互いの顔を改めて見て、固く握手して……

 

「なあ」

「はい?」

「首元」

「? ……!!? ……ぁ……その、そのぉ……忘れて?」

「無☆理」

「……すぅー……わたしの、ばかぁ……カヤちゃぁん……」

 

 スバルだけがずっと気付いていた首元に残った虫刺されのような痕をルカに告げ、ルカが茹で上がる。

 

「いいネタ、ご馳走様でした!!!」

「……まあ……これでカヤ本が増えるなら構いませんか」

 

 ルカは恥ずかしさと期待の半々の感情に折り合いをつけるため、そう呟いた。

 

 次の瞬間。飛び込んでくるメイド服に、2人は同時に飛び退いた。

 

「はい解散、撤収っ!! 帰るぞお前らァ!!」

「お疲れ様でしたプリンスメロン先生」

「ブレねぇなぁお前らはさァ! いっつも言ってんだけど回収も大変なんだよ!! ついでになんかバケモン出たって聞いたけどぶっ潰れてるアレか!?」

「「アレ!!」」

「やったのまあまずお前らだな!!?」

「「YES!」」

 

 両手のツインマシンガンを下げ、メイド服の少女……ネルは2人に呼びかけた。できるだけ平和的に。

 

「OK、事情聴取もあるんでな、ついてきてもらうぜ!?」

「「あそれはごめんなさい今は無理です」」

「なんでそんな息ぴったりなんだよ!!?」

「「……なんでだろう」」

「分かってねぇのかよ!」

「「いぇーい!」」

「そんで無駄にテンション高ぇ!」

 

 2人はもちろん応じるつもりは微塵もなかった。当たり前である。1人はトリニティの魔王でありエロ漫画描き。もう1人は7連勤後のオフ中である。過程、有り様は違えども、今この時ばかりは2人は一致していた。

 

「「めんどくさいからマジで嫌だ……!!」」

「あァクソコイツら最悪の利害一致で味方になってるのかよ!? 前敵対してただろうが!!」

「今は今」「過去は過去」「「水に流そうねー!」」

「クソが……!」

「さ、ズラかるぞ!」

「悪いですけどネルさん、ユウカさんに『明日報告書出すから今日だけは許してください、今7連勤4徹明けです』と伝えてくれます? お願いしますね」

 

 ネルがルカの言葉に軽く頬を引き攣らせる。どう考えても正常な業務量ではなかった。7連勤4徹……ハッキリ言って、死に体だろうそんなものとわかっているが故に。だがそれでも仕事は仕事だ……スバルは逃がさないと決意して、地を蹴ったネル。

 

「俺かよ!?」

「あっちも苦労人だから私の置かれてるやばさに気付いたんでしょうか……では失礼!」

「逃さん……貴様だけは……」

「ちょっと鎖は私の専門分野ですよ!!?」

 

 なにやらスバルの手から伸びる鎖。超高速移動によって、ルカが戦闘中に使ってそのまま巻き取りを済ませきっていなかった鎖の先端を握り締め、思いっきり引っ張っていたのである。

 

「覚悟は出来たか」

「まずっ……あぁもう! スタイリッシュ自殺ーっ!!」

「はっ!?」

 

 引っ張られる勢いに抗わずその場で転んで、銃を腹に押し当て、引き金を引き、剣で左胸を貫いて体を黒いモヤに変える。

 

「脱出マジック……!!」

「そういう逃げ方できるのかよお前!!?」

「意外とやってみたら出来たり?」

「「いやねぇよ!!」」

 

 黒いモヤを再結集させてビルの外壁のでっぱりに乗り、ルカは手を振った。

 

「改めてお疲れ様でした!!!」

 

 天へ。地を蹴り飛ばす。魔王と怒髪天の魔王がいる地上など死んでもゴメンだ、私はエデンに帰るのだと、ルカは4徹明けの頭でそう考えていた。

 




作者も書き始めたタイミングは4徹明け。後で直すかもしれねぇ……。
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