双子の片割れを失って覚醒するのって良いよね! 作:入魂ロフス
巌勝side
縁壱が死んだ。
モンちゃんが死んだ。
二階に行くと父さんと母さんが苦悶の表情で死んでいた。
俺は一人になった。
『キィィィユア?』
「……他にもいたのか」
目の前に新たなおばけが現れたのを感じる。
もう……どうだって良い。
「好きにしろ…」
『キヒッ!キァァ「でいやぁぁぁ!!」ギャッ!?』
ドタドタと階段を駆け上る音の直後に喜作爺さんがおばけを蹴り飛ばした。
「オラっ!クソがっ!死ねっ!」
『ギッ!ハギョッ!ギャッ!?』
喜作爺さんは何度もおばけを蹴り抜き最後に床を凹ませるほどの威力で蹴り潰した。
「子供二人を残して全滅か……クソが!!
何でこんな日に限って呪霊が出るんじゃあ!!クソクソクソクソクソぉぉぉ!!!」
爺さんが怒りを露わにして荒れ狂っている。
っていうか子供二人…?縁壱は心臓が止まって死んだはずじゃあ…
「爺さん…縁壱は…?」
「ハァ……ハァ……あ?あの小僧なら少々失血はしてるが軽傷じゃぞ?」
「………っ!!」
「あ、おい待て巌勝!お前怪我しとるじゃろう!」
爺さんの声を無視して縁壱を寝かせたところまで走る。
外でボーッとしている縁壱の姿を見つける。縁壱が生きてる!
俺は全速力で駆け寄った。
「あ、お兄ちゃんうわっ!?」
「縁壱……!生きてる…!」
俺は縁壱を優しく抱き締めた。
なんで生きてるかなんて関係ない…!生きてて良かった……!!
縁壱side
「あ、お兄ちゃんうわっ!?」
「縁壱……!生きてる…!」
お兄ちゃんが苦しいぐらいの強さで抱き締めてきた。お兄ちゃんもなんで心臓に穴が空いて止まったのに生きてるか気になっているだろう。
なんでかって言うと………
意識が飛ぶ寸前、僕の頭の中に声が鳴り響いたんだ。
『『『拡張術式「受胎」』』』
眷属side
私たちは継国縁壱の術式…奪魂胎術の式神。
私たちの作成にはそれぞれ主の父母とペットの魂が使用されています。
魂に刻まれた記憶を頼りに人格が形成される為、生前と同じ人格と記憶で主の式神として誕生することになり、術式は魂に刻まれた願いや記憶に影響されて確実に何か一つの術式が刻まれます。
呪術に関しては呪術的存在になったからなのか基本的な知識が頭に叩き込まれました。
説明はここまでにしておいて………
今主は心臓に穴が空いて仮死状態、極めて危機的な状況です、呪力特性が血で無意識に脳に呪力を巡らせてなかったらとっくに死んでますね。
もう少しで反転術式に目覚めそうですが今目覚めたところで心臓は再生できないのでまた今度にしてもらいましょう。
さて、皆自身の能力の確認は出来ましたか?
『出来たぞ!』
『できた!』
『では術式の開示を始めましょう。
私の「倍培呪法」は基本的に生物の対象を複製する術式です。
今回はその効果を細分化し、心筋細胞と胸の傷の再生を行います』
『俺の「震伝呪法」は振動を発生させる術式だ。
今回は振動を利用して心肺蘇生を試みる』
『僕の術式は今回は使わないから割愛するよ!僕の呪力は電気の性質を持つ、今回は父さんと同じように電気を利用して心肺蘇生を試みるよ!』
『はい、ということでさっさと治療を終わらせましょう』
『了解!』『オッケー!』
縁壱side
っていうやりとりがあった後にササッと俺の傷を治したらしい。心臓の傷って治るんだね…。
「ええ……」「なんじゃその出鱈目な術式は…」
僕の説明にお兄ちゃんと喜作爺ちゃんはめっちゃドン引きしてた。
死者の魂を材料にして仲間を作るってやばいよね。
しかも色々聞いた感じだと本当に父さんと母さんそのものって感じの性格だし遺言聞いてお兄ちゃんも泣いてた。
モンちゃんは生前喋れなかったから分からん。
改めて喜作爺ちゃんにこの事件の真相と呪霊?や呪術のことを聞いた。
「今回の事件はわしの責任じゃ、いくらでも貶して良い。
定期的に呪霊の間引きはしておったし呪霊よけの呪符も渡しておいたんじゃ。
二級呪霊と準一級呪霊のどちらか片方なら呪符で防げたんじゃが両方は無理じゃった……。
二人とも……本当にすまん」
「じゃあ言わせてもらうぞ」
「おう…来い…」
「お兄ちゃん…」
「おらっ!!」
「ぶへっ!?」
そう言ってお兄ちゃんは喜作爺ちゃんの頬をぶん殴った。
ええ!?それ良いの!?
「これでトントンだ、あんたがいなかったら俺も死んでた。ありがとう」
「お…お兄ちゃん!爺ちゃんの歯が…全部取れちゃった!!」
「え"!?ごごごごめん爺ちゃん!そこまで強くやるつもりなかったんだ!…どうしよう…!!」
どうしよう…借金…暴行罪…逮捕…!もしかして俺らの人生終わった…?
「もがもがもが…違う違うこれ入れ歯!作り物だから!大丈夫!」
「「すげえ何それ!!」」
「そりゃ知らんわな…」
すげえ!歯って作れるんだ!
数日後ーー…
巌勝side
何やら呪術とか術式とかの力でみんなの魂が縁壱の元にいるのはわかったけど三人が死んだのは事実。悲しくないわけがない。
事件の日の次の日には呪術関係の人たちが事後処理にやってきて父さんと母さんとモンちゃんを火葬してくれた。
今はお葬式が始まったところだ。父さんと母さんは強盗に殺された事になっているらしい。
犯人の諸々は適当な凶悪犯の余罪としてでっち上げたそうだ。それって良いのだろうか。
父さんと母さんがなんで山に住んでたかっていうと宝くじの一等賞当てちゃって存在しない親戚が湧いてきた事に辟易したからだって。
今回の葬式も知らない親戚がたくさん来たらしいけど呪術関係の人たちに締め出されたらしい。
犯人関係のことといい呪術の人たちって結構でっかい勢力なのかもしれない。
そもそも何でこんなに贔屓してもらえるのか気になって爺さんに聞いてみた。
「何でこんなに沢山の人が手伝ってくれるんだ?」
「わしは偉いんじゃよ」
爺さんによると昔爺さんは禪院家って偉い家の分家の当主だったらしく今は呪術界?から離れて隠居してるけど昔は偉い人だったそうだ。
「そんな偉い人ぶん殴って良かったのか?」
「良いんじゃよ、殴ってくれないとわしの気が済まんかったんじゃ」
「そっか」
じゃあ縁壱の術式のこと知ってる?
「いや知らん。なんじゃあの術式マジでわけわからん。魂とかマジで言ってんの?って感じじゃ」
「そっか……」
今も涙ぐんでいる縁壱の周りに微かな血の匂いを漂わせながらうろうろしている何かが父さんと母さんとモンちゃんだというのは信じられない。
でもさっき頭ポンポンされた時確かに父さんだと思ったのは事実、どうにかして信じるしかない。
それにしてもモンちゃんデカすぎるし母さん小さすぎない?
数年後ーー…
縁壱side
あれから数年間、僕…私達は喜作爺さんの下で暮らし、将来生きていくために呪術界のことや呪術のこと、社会の一般常識などを徹底的に叩き込まれた。
私達はムキムキマッチョとモデル体型の双子でとても目立つらしく、呪詛師を警戒してちょっと残念だけど小学校と中学校には行かなかった。
双子は呪術的に凶兆だということとその理由も詳しく教えられた。
本来なら兄上も呪霊が見えて呪力も術式も持っていたらしい。
私がいなければ母さんも父さんもモンちゃんも死ななかったのかもしれない…そう考えるといつも三人に叱られるので皆が体内にいる時は考えないように気をつけた。
そして明日は入学式、呪術の学び舎…呪術高等専門学校に入学する日だ。
爺さんから今年は2年生に五条悟と夏油傑と家入硝子という天才三人組がいて問題児だということを警告された。
どんなやつか知らないが本当に危険な奴だったら距離を置こう。
「兄上、同級生はいると思うか?」
「呪術師は…万年人手不足と聞く…そう都合良く同級生は…いないだろう…」
両親とモンちゃんだけでなく私をも失いかけたのが相当ショックだったらしくこの数年間私がやったら半日で死ぬような鍛錬を8年間続けてきた兄上はすっかりイケメン寡黙ゴリラになってしまった。
「おやすみ兄上…」
「…おやすみ縁壱」
今ならどんな困難も兄上と乗り越えられる気がする…。
新生活が楽しみだ…。
どっち死なせる?
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巌勝
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縁壱
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両方書いて