双子の片割れを失って覚醒するのって良いよね! 作:入魂ロフス
縁壱side
私の奪魂胎術は術式範囲内の死者の魂を術式の中に抑留させる……人が犯すべきでない領域に土足で踏み入るような傲慢な術式だ。
私にしか分からない…死後何処かへ還ろうとする魂が術式に吸い取られる感覚。
私が吸収してしまった魂達にも還る場所があることを私の術式が証明してしまっている。
私が死んだらどうなる?
私が集めた魂達は、母さん達は何処へ行くのか…もしかすると何処にも還ることが叶わず消滅してしまうのではないか…。
私は呪術師として生を受けたのだ。
私と共に消えてしまうかもしれない数多の魂達と共に、今生きている人々を守るという責務を全うせねばならない……。
五条悟。私は力を示さなければならない。だからここで負けてくれ。
「術式順転『揺籠』」
術式順転『揺籠』はストックした魂を使用して新しく式神人形を作成するもの。
この試合は命を賭けたものでは無い…故に今回は雑多な呪霊の魂を一つにまとめたものを使用する。
「極の番『黄泉帰り』」
『グギョッ……!?』
式神と言えど受肉すれば立派な一つの生命。
私が生きる限り…この先何十年も生き永らえるはずだった命を踏み躙り…呪力を搾り出す。
雑多な呪霊の魂が元になった式神とは言え…この罪悪感は耐え難いものだ…。
式神の命を犠牲にして作り出した呪力の塊…純粋な魂のエネルギー。
本来ならこのまま撃ち出すのでも十分だが、五条先輩にはバリアのようなものがある。
なので今回は…
「モンちゃん、あげる」
『ワン!』
ズン!!
「「!!?」」
「ヒュッ!?」
「何っ!?」
「は?」
「……やべ」
モンちゃん…崩狼が魂のエネルギーを食べた途端、一帯が凄まじい重圧に包まれる。
私の作り出した式神は全て同格の存在、その同格の存在の魂…そしてその中に秘められたエネルギー全てを取り込んだ崩狼は…
一時的に存在の格が上がる。
『堕ちろ』
額に一本の角が生えた、見た目の変化はただそれだけ。
だが存在の格が上がった崩狼は呪力量と呪力出力が倍になり……ヒト語を話せるようになる。
バリバリバリバリィィィィ!!!!
崩狼の呪力特性は電気…莫大な呪力量と出力があれば雷を発生させることが可能になる。
もちろんそれだけなら五条悟のバリアを突破するのは不可能、しかし崩狼には…未だ明かしていない術式があった。
「……なるほどね」
絶対不可侵を誇る無下限バリアに…ヒビが入る!
そしてついでに雷が通過した空間がひび割れて壊れたテレビみたいな感じになった………直るかな。
『六眼を持つお前なら既に知っていたであろう…私の術式は「崩壊術式」…術式を込めた呪力に触れたものを崩壊させる…その対象は肉体・呪力・魂・空間…私が認識するすべてだ!』
ヒト語を話せるようになって解禁された術式の開示により…バリアのヒビは加速的に拡大し、バリアが崩壊…する前に五条先輩はバリアを解いた。
「傑もやられたか…お前ら……強いなぁ!!」
兄上が戦っていた方向にちらっと目を向けると頭にでっかいたんこぶを付けて倒れ伏す夏油先輩の姿か見えた。
つまり兄上は今フリー…!
そして五条先輩は無下限を解いた!
「今だ皆っ!たたみかけ「術式順転…『蒼』…最大出力!」
「『『『!?』』』」
ギュオオオオオオオオオ!!!!
凄まじい呪力の唸りと共に地面から引き剥がされるような感覚。
五条先輩から離れていた私や崩狼は全力の呪力強化でなんとか地面にしがみつく、放浪は蒼い呪力に向かって電撃を放ち崩壊させようとするが時すでに遅し。
五条先輩の周囲にいた数多の式神達が蒼い呪力に吸い込まれすり潰された。
グチャッ!!!
「これで少しはスッキリしたなあ……!」
「バカですか…!?これ模擬戦ですよ…!?」
「ヒューヒュー!」
普通の式神使いならこれで式神を二度と使えなくなるところ…!マジで洒落にならない…!
あと家入先輩さっきから何言ってるんだ…!
私のツッコミに五条先輩は少し黙り込んだ後叫び出した。
「そうか?そうだな!そうかもなあ!!」
こいつ…ハイになってやがる!
初めてバリアを攻略されて興奮してんのか…!?
気持ち悪い…!
「さあ!もっと俺に魅せてくれ!」
「があっ!?」
五条先輩がモンちゃんの崩壊付き電撃をバリアのオンオフ切り替えで対処しながら私にステゴロを挑んできた。
巫山戯るな…!電気って雷速だぞ!?なんで対処できるんだ!?
もちろん体の弱い私がマトモに殴り合ったら勝機はまず無い。
だがそんな弱点は既に兄上に嫌というほど突かれてきた…!
受け流しを主体とした武術と喜作爺さん直伝の技術…『落花の情』を掛け合わせた防御の秘技…秘伝『凪』!
最初の一撃をわざと喰らったのは威力の微調整のための確認だったんだが…ヤバいぞゲロ吐きそうなくらい痛い…!!
父さんごめん!
「呪胎・震牛!!」
「あ?そいつさっき壊したよな!?まあいいや!オラァ!!」
『ブモォッ!?!?』
ドゴォォン!!!
殴り飛ばされた震牛が校舎を貫通して吹っ飛んでいった。
五条先輩との間に出した震牛が瞬殺されたが今はその一瞬がありがたい…!
今の時間で殖鼠に腹の内出血等を治療してもらいコンディションを整えられた!
「っ来い!五条悟!!」
「…っ!ハハッ!お前最高だなぁ!!」
満面の笑みと共に五条悟が消えたかのような速度で私の背後に回った。
…だが『凪』に前後は関係ない。
パァン!
「今のを防ぐか!」
「………来い」
五条先輩の怒涛のラッシュを防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ「アハハハハハハハ!!!」防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ「すげえなお前!やり辛え!」防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ防ぐ………今っ!
「兄上っ!」
「は?」
「よく…頑張った…縁壱」
兄上が私の横に現れる。
「あ?まだ勝負は終わっ……て……きゅう」
「さすがです…兄上」
おそらく不意打ちで脳を揺らされたのだろう。
兄上に襲い掛かろうとした五条先輩が突然白目を剥いて倒れた。
「本当に…よく…頑張った…ただ…少し…やりすぎだ…」
「すいません兄上……zzz」
兄上に頭を撫でられ、安心からかどっと疲れが押し寄せてきた。
疲れた…もうマジで無理………!
巌勝side
「いい加減にしろ」
「「すんません」」
「ウケる」
「すごい戦いだったね七海!」
「( ゚д゚)」
「無礼…極まりない…」
縁壱が気を失ってから少し経ってから五条先輩達の担任らしい夜蛾先生がダッシュでやってきて怒鳴ったと思ったら倒れ伏す五条と夏油を見て口をあんぐり開けて困惑状態から戻ってこれなくなった。
五条先輩達が起きてからは気を取り戻してたぶんいつも通りの感じでゲンコツと説教を始めた。
「でもコイツらマジで面白かったぞ!まさか負けるとは思わなかった!」
「それには同感だね…まさか私たちが負けるとは…ここまで悔しいのはいつぶりだろうか…」
「俺の…弟は…最強だ…」
「説教の途中なんだが!?」
なんかやけに素直に負けを認めた二人に夜蛾先生から喝が飛ぶ。
先程から吹き出すのを堪えていた家入先輩が爆笑しながら喋り出した。
「ていうかお前ら死なないように意識だけ飛ばされてたしマジでウケるんだけどww手加減されてんじゃんww」
「「ああ!?」」
「私が…本気でやると…確実に…死人が出るぞ…」
私がチョークを人差し指と親指で粉々に潰したのを見て五条先輩と夏油先輩がドン引きした。
「コワッ…ゴリラじゃねえか」
「呪力で追えないのも相まって透明人間のようだったね…透明ゴリラは無法じゃないかい?」
「しかも擦り傷再生してなかった?バケモンじゃんウケる」
「話を聞けぇ!?!?」
説教を無視してワイワイ騒ぎ出した俺たちに夜蛾先生が怒鳴った声で縁壱が目覚めた。
「zzz………ハッ!?兄上は無事ですか!」
「幸い…擦り傷だけで…済んだぞ…」
「良かった……!…………夜蛾先生…でしたっけ」
「お前起きてただろう……そうだが?」
「二人にお仕置きして良いですか?」
「許可する」
「「え?」」
「呪胎・震牛!崩狼!」
「「……え?」」
夏油先輩の肩に父さんが手を乗せ、五条先輩の肩にモンちゃんが前足を乗せた。
「やれ」
「ヴヴヴヴヴア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!?!?!?」
「あばばばばばばばばば!?!?!?」
「よくやった縁壱!もっとやれぇ!!」
「……フフ…ブフッ…!!何コレ絵面エグいwww」
「……滑稽」
「楽しそうだね七海!」
「貴方の目は節穴ですか…?」
喜作爺さん…呪術高専での新生活は上手く行きそうです…!
夏油くんが落ち込んでないのは自分だけ置いていかれたんじゃなくて二人で最強の悟と一緒に叩き潰されたので悟に劣等感は抱いてないからです。
どっち死なせる?
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巌勝
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縁壱
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両方書いて