短命種メリアと恋をしたお話 作:足首
みんなもSW2.5やろう!
突然だが、君はメリアという種族を知っているだろうか?ラクシアでも珍しい部類に入っている植物から人族になった種族のことだ。
まぁ、植物から人間なったと言っても見た目は人間とほとんど変わらない。なんなら男女の性差もあるし、おまけに美男美女ばかりときた…まったく羨ましい限りだね。
見分けるための分かりやすい特徴を挙げるとすれば、メリアは必ず体のどこかに自分を象徴する花を咲かせていることだ。多くのメリアは頭だったり、手首だったりと目につきやすい場所に花を咲かせている。咲いてる花の数は個人差があるみたいだな
あとは…そう、寿命だ。メリアには長命種と短命種が存在するのさ、長命種は300年くらいで、短命種が大体10年くらいだそうだ。長い年月をかけて成長していく樹木のように、時期を迎えると咲き誇り、終わればあっという間に散っていく花のように、メリアはその一生を駆け抜けていくのさ。
これから話すのは、短命種のメリアと恋をしてしまったとある少年の話
‐8歳の夏-
ある日、元冒険者の親父が変な種を持って帰ってきた。何でも冒険者時代の友人に押し付けられたらしい。要らないなら捨てればいいのに…
親父は預かった命を捨てる訳にはいかない、なんて変なことを言っている。ただの花の種だろ?
そんなことを言いつつ種は植えたし、水やりとかの世話もした。
‐一週間後-
なんか女の子が生えてきた
何で?????
親父が混乱している俺に教えてくれた。この子はメリアという種族で、この種族はこうやって生まれてくるらしい…だから命とか言ってたのか…
細かいことはよく分からないが、こいつは妹みたいなものってことだけ分かった。俺は兄貴だからきちんと面倒をみてやれってことだ。女の子には優しくしろ、だろ?分かってるよ。自分より小さな女の子に意地悪するほど俺の心は狭くないよ、親父。ところで名前は?…え?俺が考えるの?うーん…
数日悩んだけど、『レナ』って名前にした。難しいことは分からないから、呼びやすい名前にした。自分で言うのもなんだけど、中々悪くないと思うんだ。…どう?
‐半年後-
もう俺の背は抜かれてしまった…おかしい…ほんの3ヶ月前までは俺より小さな女の子だったのに…というかもうほぼ大人と変わらない。メリアって凄い。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!こっち見て!泥だんご!」
「おー、綺麗にできてるな、お兄ちゃんにも作り方を教えてくれ」
レナはピッカピカの泥だんごを満面の笑みで見せつけてくる。…どうやって作ったんだ?俺も作りたいんだが?
見た目は大人になってもレナの中身は変わってない。相変わらず俺の後ろをついて回ってくる。言葉はいつの間にか話せるようになっていた。でもそれ以外はまだまだ子供だ。だから俺が一緒にいてあげないといけないな。
そんなある日、あいつが森で迷子になってしまった。薬草や木の実の採取のために近くの森に入ったのだが、俺が目を離した隙にはぐれたみたいだ…この森は蛮族はほとんど出ないけど、動物は普通にいる。なんならそこらへんの蛮族より動物の方が怖い。
だから…レナを探さないと、レナは見た目はもう大人かもしれないけど、寂しがり屋だから、俺が一緒にいてあげないと…
俺の頭の中は、不安と焦りでいっぱいだった。怪我をしてたらどうしよう、もしこのまま見つからなかったら?自分の身体に傷つくのを我慢して森の中を探し回る。
必死で探したおかげか分からないけど、真っ暗になる前に見つけられた。レナは目を真っ赤にしながら泣いていた。ごめんな、怖かったよな、次からは離れないよう手を握っておくから…
しっかりと強く、でも優しくレナを抱きしめながら慰める。
「…ほんと?置いて行ったりしないでね?」
もちろん、置いて行ったりしないよ
「約束だよ?」
あぁ、約束だ、絶対に守るから、だからもう泣くな、俺がいるから
「…うん!」
そういうとおずおずと手を差し出してくる。こういうところを見るとまだ小さい子なんだなって思う。
柔らかいその手をぎゅっと握って、家に帰ることにした。
無事でよかった…大人の見た目のレナと手を繋ぐのは恥ずかしかったけど…もう気にしない。
ちなみに帰ってくるのが遅くなったせいで両親に怒られた。ちなみに怒られてるときもレナと手を繋いだままだった。その日の夜は2人で手を繋いだまま寝た。普段だったらドキドキして寝るどころじゃなかっただろうけど…疲れてたからよく眠れた。
‐2年後-
「ねぇ…、キミは…どうして冒険者になりたいの?」
たくさん理由はあるけど…やっぱり憧れ…かな?町の吟遊詩人が歌う冒険譚に、物語に憧れたんだよ
「ふぅーん…そっか」
おう、だから俺は身体づくりを頑張ってるって訳だ!ちょっとは男らしくなったろ?
「うーん…お義父さんと比べると、まだまだだね?」
そういうとレナは腕やお腹をペシペシと触ってくる。悔しいがまだ親父には勝てそうにない。でもちょっと触りすぎじゃないですか?レナさん?
そう言えば、いつからか、レナは俺を名前で呼ぶようになった。切っ掛けは分からない。ただ単にお兄ちゃんと呼ぶのが恥ずかしくなったのだろうか?理由はなんであれ、少し寂しい
そんな日常はあっという間に過ぎて行き、ある日レナは旅に出ると言った。
俺も冒険者になって外の世界を見たいが、まだ旅に出るには準備が足りない。魔法の才能はないから体を鍛えないといけないし、もう少しの我慢だ。必ず追いつくから心配するな。
あ、でも手紙とかは送ってくれよ?その方が安心する。あれ、なんか戻ってきた、どうしたんだろ?
何か忘れ物か?
「忘れ物とは…ちょっと違うかな?」
「しばらく会えないから、元気を貰おうと思って」
元気?
「そ、元気」
なるほど?でもどうす…
言葉を最後まで言い切る前に、柔らかな花の香りが俺を包んだ。
「ぎゅーって、キミからも抱きしめてよ、ダメ?」
こっちがいきなり抱きしめられて混乱してるのをいいことにアイツは更に畳みかけてきた。とりあえず抱きしめ返すか…
「…うん、ありがと!これならもう5年は頑張れそう!」
いいってことよ、ていうかやけに具体的だな
「じゃあ…いってくるね、またね」
そういってレナは本当に出ていった。レナと出会ってからの2年間は本当に一瞬だった
これから寂しくなるが、俺も負けていられない。体を鍛えて冒険者になってレナに追いつく。気が付けば俺の後をついて回っていたあの子はいなくなってしまった。
…大丈夫、俺も元気を貰ったからな、頑張るよ、俺も
-4年後-
レナが出て行ってから、数年後に俺も冒険者として、活動するようになった。
そこから本当に大変だった、気の合う仲間を見つけてパーティーを組んで活動を始めたんだが、何か依頼を受けるたびに厄介ごとに巻き込まれた。
魔香草を取りにいくだけの簡単な依頼だったのに、守りの剣をすり抜けて入ってきた蛮族の偵察兵とかち合ったり。本来そこにはいないはずの幻獣が紛れ込んでいたり、本当に文字通り冒険の日々だった。
遺跡だと思って入ったら上位蛮族の隠れ家だったり、竜化したバジリスクに追い掛け回されたり…何度死んでもおかしくなような日々を送った。まぁ…奇跡的に誰も死ななかったんだけど
-2年後-
そんな忙しい生活を送っていたら、故郷に一度も帰ることもなく、レナに再会することもなく2年ほどたっていた。パーティーメンバーと話し合って、流石に一度休もうってことで、故郷に一度帰ることにした。正直、俺も少し疲れた。
そして、故郷の家に戻り扉を開いた直後、俺は衝撃に襲われると同時に懐かしい香りに包まれた。
あぁ…何年振りだろうか、手紙を送り合ってはいたが頻度は次第に少なくなっていた。忙しさにかまけてすっかりこの香りも忘れてしまっていた。すさんだ心を癒してくれる、そんな優しい香りだ。
「…久しぶりだね」
ふわりと花が咲いたよう微笑みを浮かべながら、過去の記憶よりもずっと美しくなったレナがそこにいた
俺はあまりの変化の驚きと再会できたという喜びでいっぱいだった。
もう少しだけ続きます。
文章を書くのは難しいですね、でも楽しさもあります。