短命種メリアと恋をしたお話   作:足首

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1話を投稿した後に、レナちゃんの見た目の描写ほとんどしてないことに気が付きました。しかし上手く表現する術は生憎と持ち合わせていないので…少しだけ描写してあとは皆さんの想像力にお任せすることにしました。

ちなみに主人公くんの種族ですが、筆者は人間を想定しています。


第2話

 

彼女の姿が目に入った時、まさしく目を奪われたという表現が適切だっただろう

俺の知っている彼女というのは、確かに美しい人ではあった、しかしどちらかというと庇護欲をそそる、どこか子供を思い出させるような、そんな少女的な可愛さを持っていた。

 

 だが今、目の前に立っている彼女はどうだ?上手く髪が結べないと代わりに俺によく結ばせていた綺麗な銀色の髪は、長く伸ばされた髪を後ろで1つにまとめた簡単なものだが、丁寧に手入れをしていたのだろう、きらきらと輝き鏡のようだった。

 

 髪だけじゃない、化粧、服装も、全てがレナの魅力を引き出していた。自らの持つ花のような可憐さを損なわせないような派手すぎない落ち着いた服装。メリアという種族の特徴である青空を思わせるような一輪の青色の花は彼女の頭上で花飾りのように咲き誇っている。

 

 身長は流石に伸びなかったのだろう、昔と違い今の俺が抱きしめればすっぽりと俺の腕の中に収まってしまうほどだ。だがその小柄さが余計に愛らしさを増している。

 

 きっと…町で少し歩くだけでも周囲の視線を独り占めにしてしまうことだろう。

だがそんな彼女は、頬を紅潮させながらこちらを見つめている。

 

「えへへ…ずっと会いたかった…」

 

「会って、たくさんお話したいことがあったの」

 

「手紙には書ききれないようなことを沢山…」

 

「…?どうしたの?」

 

「も…もしかして…私が誰か分からない…とか?」

 

彼女の姿に目を奪われ放心していた為か、レナは自分のことを忘れてしまったのではないかと思い、焦り出す。

 

「ほ、ほら貴方にお世話してもらったり、森の中で迷子になったりした…」

 

「え?ほ…ほんとに分からない?」

 

必死に昔の話をしている彼女は可愛らしいが、これ以上は可哀そうだ。あまりにも綺麗になっていて見惚れていたと伝える。

 

「!!ほんと!?よかったぁ…何も言わないからてっきり私のことを忘れちゃったのかと思ったよ…」

 

 そんな俺の陳腐な誉め言葉で幸せそうに笑みを浮かべる彼女を見つめる。レナのことを忘れる?そんなことある訳ない、レナは俺にとって大事な妹分で、それ以上に大切な人だ。2年ほどだけだったレナとの思い出は未だに色褪せず輝いている。

 

「そういうキミこそ、見違えたね?もう立派な冒険者だ」

 

「それに、噂は聞いてるよ?何でもブラッドトロールとオーガバーサーカーの集団を討ち取ったんだろう?とんでもないお手柄じゃないか!」

 

「きっと色んな人に声をかけられたんじゃないの?」

 

 レナはいたずらっぽく笑う。確かにこの数年、女性関係で何もなかった訳では決してない。有名になるにつれ、声をかけてくる人もいたし、仲間同士の付き合いで風俗にいったこともある。ただ…事あるごとにレナの顔が頭に浮かび一定以上の関係になることは無かった。

 

 俺も馬鹿じゃないから、これがどういう感情かよく分かってる。きっと俺はレナに惚れている。でも別れて随分と時間が経っていた。冒険者になってから色んな話を聞いた。色んな種族のやつにも出会った。どうしようもないような感情を抱えてるやつにも。メリアというのは自分の番を探すために冒険者になるやつが多いらしい。同じメリア同士でないと子供(正確には種らしい)がつくれないからだ。

 

 それを聞いたとき、どこからか諦めの気持ちが溢れてきた。きっとレナは既に相手を見つけて幸せにんっていると。だって別れてもう5年以上は過ぎてる。それだけの時間があれば充分だ。諦めよう、そう何度も思った。けど…けれど、確かめたい。きっと幸せな彼女を見れば納得できると思ったから。

 

 苦笑いしながら、彼女の質問を誤魔化す。そういうレナこそ、いい人は見つかったのか?と意趣返しにそう彼女に質問を投げかける。

 レナのことだ、照れ笑いでもしながら答えてくれるだろう…そう思っていた。

 

「え?…それは…そのぉ…」

 

 なんだか歯切れが悪い、もしかして悪い男に引っかかってしまったのか?レナはよくも悪くも素直な子だったから、そういうこともあるかもしれない。もしそうならその男は見つけて潰すが…

 

「そういう相手は…見つからなかったというか…何というか…」

 

しどろもどろに彼女はそう答える。そこで俺は動揺すると同時に、もしかして?という気持ちが一瞬浮かびあがった。それはすぐに頭の隅に追いやったが。

 

 「と、とりあえず家に入りなよ!お義父さんもお義母さんもご飯作ってくれてるみたいだから」

 

押し込まれるように家に入る。行き場のない感情が脳内で駆け巡ってるが、それは時間が経てば落ち着くだろう。そう楽観的に考え、その日は家族で食卓を囲み久しぶりの団欒を噛みしめた。

 

 

 

 

――――――――――

 

 お互い、何かと大変な経験をしてきたようで話は大いに盛り上がった。冒険者になって苦労したこと、物語と現実の違いを痛感したこと、背中を預けれる仲間に会えたこと、似ているようで全く違う体験をそれぞれしてきている。

 

 日も落ちてしばらく時間が過ぎ、俺は寝ようとしたが、結局落ち着くこともできず、気を紛らわす為に外に出て少し歩くことにした。冒険者になってからできた癖のようなものだ。緊張や不安で眠れず外を気が済むまで歩く、もしくはボーっとする。それだけで少しは落ち着けるから。

 

 それでも眠れないときは仲間の神官に魔法をかけてもらったりしたが…その仲間は今この場にはいないからどうしようもない。だから目的もなくぶらぶらと歩く

 

 俺の故郷はかなり小規模で村とも言えないような、たまたま家が数軒集まっただけ、言われてもおかしくない、そんな村だ。ただ生活している人が元々冒険者だったり狩人だったりと不便な生活に慣れているような人ばかりだから成立している。故郷を出て、戻ってきて、そう実感した。

 

 周囲を照らす灯なんて無いに等しい。ランタンを片手に暗くなった周囲を彷徨う。しばらく歩いていると少し開けた場所に出る。ここなら空を見上げることもできそうだ。手頃な座れる場所を作り腰を下ろす。冒険中に野営することになった時、よくこうやってボーっとしていた。

 

そうして時間を潰していると、何かが近づいてくる気配を感じ、意識をそちらに向ける。ガサガサと葉を揺らしながらこちらに向かってくる。…動物だろうか?熊とかにはいい思い出はないから勘弁してほしい。

 

「…あれ…誰がいるのかと思ったらキミだったんだ」

 

「寝れないの?じゃあ私が話し相手になってあげようか?」

 

 予想に反して現れたのは熊なんて狂暴な動物とは正反対の存在だった。確かにメリアは睡眠が必要ないんだったな。だが、必要ないだけで寝ることもできるはずだ、レナは寝ようとしなかったのだろうか。

 

「まぁ…キミに話したい事があって部屋にいったらいなかったから探してたんだけどね」

 

 俺に話したいことか…俺も、自分の気持ちにケジメをつけるために言葉にしないといけない。

 

「キミも私に言いたいことが?」

 

「そっか…ふふっ、お互いに大事な話みたいだね?」

 

 微笑んでいるはずなのに様々な感情が入り混じった、不思議な表情だった。メリアの特徴である感情を表す花を見ても、見たことない動きでよく分からなかった。

 

 でも彼女の方からも大事な話があるのか…正直どんな話なのか予想がつかない。そう若干困惑していると彼女はするりと俺の隣に座った。近い…あと相変わらずいい匂いするな…

 

「隣、座るね?」

 

「私ね…貴方と離れて、冒険者になって、外の世界を知って、色んな人と出会ったの」

 

 吸い込んだ息をゆっくりと吐きだすように言葉を紡ぎ始める。故郷を離れた後、彼女が体験してきたことを交えながら。

 

「それでね?ある時冒険で知り合った人が結婚することになったって」

 

「わたしも、それが喜ばしいことだから一緒に祝ったの」

 

「…でもその人たちが幸せそうに笑い合ってるのをみて、その瞬間から、私の幸せって何だろうって思ったんだ」

 

「多くのメリアは、自分の番を探すために冒険者になる。でもわたしは違った」

 

「冒険者になったのはキミと冒険するときに足を引っ張らないようにするため」

 

「その時の私は、どうしたらいいか分からなくて、いっぱい考えて、仲間に相談したりもした」

 

この数年で彼女も成長し、世界を知ったのだ。悩みだって出てくるに決まっている。悩みが無いようなやつはよほど能天気でないと無理だろう。

 

「あはは、それもそうだね?グラスランナーやソレイユみたいに何でも楽観的に考えていれば楽になったかもしれないねー」

 

あそこまで行くと特有の悩みも生まれそうだけど、どいつもこいつも大抵は何か抱えてるってことだろう

 

「それでね?他のメリアみたいに相手を見つけたら解決するかなと思って、探してみたの」

 

…予想はしていた。でも実際に聞くとやはり心に来るものがあるな、だがレナは今相手はいないともいっていた。何か問題がそこで起きたのだろう

 

「話しかけてくれる人はたくさんいたし、優しくしてくれる人もいたの」

 

「どこかに誘ってくれる人もね?でも…」

 

 ここで彼女は一度口を閉じた。周囲が暗く表情はよく見えない。大きく息を吸ったり吐いたりを繰り返して、必死に何かを言葉にしようとしている。

 

「でも…」

 

「でもね?どの人と話していても恋に落ちるなんてことは無かったの」

 

 また止まる。その理由は?どうして?もしかして?なんて、俺はそんなことを考えてしまう。

 

 何度も深呼吸をして、彼女はこちらの顔を向いて意を決した表情で告げる

 

「私、分かったんだ。」

 

「私はずっと…ずーっと貴方に」

 

 

 

 その瞬間は、その一瞬だけは周囲からの音が消えた。虫のさざめきも風に吹かれ揺れる木々の音も全て

 

 

 

「貴方に、恋をしていたの」

 

 

 

 

「私は貴方のことが好き、家族としてだけじゃない、1人の異性として…」

 

「私を見てほしい、私を…愛してほしい」

 

今にも泣きそうな顔で、目に涙を貯めながら、一度溢れ出した感情を抑えるなんてできない、そう言わんばかりの感情がその言葉には乗せられていた。きっと彼女も俺と同じことを考えていたのだろう。きっとこの想いが届くことはない。そう考えていたのに…抑えられなくなった。もしかしたら、少しでも、そんな思いだったのだろう

 

 だから…俺も伝えなければならない。女の子に先に言わせるなんてダサい真似をしておいて、俺が言わない理由なんてどこにもないんだ

 

 彼女の手を取り、引き寄せる。

 

 そのまま抱きしめ、気の利いたお洒落な言い回しなんてしらないから、素直に伝える

 

「俺もキミを…愛している」

 

 




拙い作品ですが、目を通していただきありがとうございます。

次回はレナちゃん側の内情を書きたいと思います。
ちなみにくっついた後が本番です。
まだもう少し続きます。
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