「俺の、タァアアアーーーン!!」
李は咆哮をあげ、気合を入れた。だけなのに、遊生はあらたな脅威の誕生を感じる。
客席という、無関係な場所に座っているのに、それでも圧を感じてしまう。これは...
「そんな、三澤先生と同じ!?」
「フハハハハ!良いぞ、良いぞ李受験生!素質がある!」
「うっ、こんなもの、そうそう相手したくないですよ...!」
薫も顔を顰め、おもわず腕を上げて防御体勢をとってしまっている。
李がターンを開始する。
「ドロー!スタンバイからメインまで!」
李 LP 1575
フィールド:空
手札3枚
三澤 LP2000
暗影の闇霊使いダルク 攻1850
ヴァレルロード・S・ドラゴン 攻 3975
李が腕を翳し、ターンが始まる。
「俺は、デッキの「斬機」モンスター、【斬機マルチプライヤー】を墓地に送り、【斬機サーキュラー】の効果発動!手札からこのカードを特殊召喚する!」
李のフィールドに光が灯されるが、
「やはりここだな。チェーン発動、【ヴァレルロード・S・ドラゴン】!ヴァレルカウンターを一つ取り除き、【サーキュラー】の効果の発動を無効にする!」
「解決!ヴァレルカウンターは除かれ、俺のサーキュラーの発動が無効になる!」
その光が消えてしまう。
「だが、まだ終わりませんよ!手札から、【斬機ダイア】を、通常召喚!」
今度は、地面から光が溢れ、白い戦士が召喚される。
「【斬機ダイア】の召喚成功時の効果発動!墓地の「斬機」モンスター、【斬機マルチプライヤー】を特殊召喚!」
金色の戦士がさらに召喚される。
「そしてぇ!魔法カード、【斬機方程式】を発動!俺は墓地から更に、【斬機サブトラ】を、攻撃力を1000アップして特殊召喚!」
「モンスターが3体...なるほど、ここから大型を召喚するのか」
「俺は、フィールドのレベル4【斬機マルチプライヤー】とレベル4【斬機サブトラ】に、レベル4の【斬機ダイア】をチューニング!」
遊生はもう驚きを...隠したこともないが、尚のこと隠せなかった。
「レベル12!?そんなシンクロモンスター実戦で見たことないよ!」
「プロでは、一応少数ながら使う方がいらっしゃるはずですが...確かに、実用的なレベル12のシンクロモンスターは少ないです」
遊生と薫は、すっかりこのデュエルに見入っている。
「現れろ、レベル12!紅蓮の刀携えし、最終斬機士!!その炎を統べし刀で敵を滅絶せよ!!シンクロ召喚!!【炎斬機ファイナルシグマ】!!」
炎斬機ファイナルシグマ ⭐︎12 炎
攻3000
「だが、そのモンスターでは攻撃力が足りないぞ!!」
「だから俺は、シンクロ素材となった時に墓地へ送られた、【斬機マルチプライヤー】の効果を発動!EXゾーンに存在する、サイバース族モンスターの攻撃力を、エンドフェイズまで2倍にする!」
「何!!?」
三澤の表情が、この時初めて驚きに彩られる。
炎斬機ファイナルシグマ ⭐︎12 炎
攻3000 → 6000
「バトルだ、行け【ファイナルシグマ】、【ヴァレルロード・S・ドラゴン】を、攻撃!」
ファイナルシグマは、燃える炎の刀を上段に構え、一直線に振るう。
「いけええ、紅蓮羅斬ぁん!!!」
Sドラゴンが、一閃のもと断ち切られる。
「そして、【ファイナルシグマ】の効果!このカードがEXモンスターゾーンに存在し、相手モンスターを破壊した場合、与えるダメージは倍になる!!!」
「なんだと!?貴様、それは!!!」
三澤がはっきりと驚きを隠さずに表し、それと同時に、断ち切られたSドラゴンが大爆発を起こした。
「ぬおぉおおおおおっ!!」
LP2000 → 0
三澤が吹き飛ばされ、転がる。転がりながらもなんとか足と手をついて堪え、膝をつくが、力が入らないように前に傾いた。
-------
デュエルが終了し、ソリッドビジョンが表示を終了する。
「ぬぅ...貴様、李受験生。最後の効果、宣言しなくても良かったんじゃないのか?」
「いえ、お返しなので」
「ふ、ふふふふふ」
李は、手を差し出して、三澤と握手する。
『なんのことなんだ?』
『お返し...?』
理解できないのかと、薫は少し呆れた。
(三澤先生は、その前のターン、攻撃宣言をした時に発動した【斬機刀ナユタ】の効果を止めなくても良かった。寧ろ、あのカードの効果を止めたから、エンドフェイズの特殊召喚を止められなかった。【墓穴の指名者】を温存して、【斬機超階乗】の方を止めていれば、負けることはほぼ無かった)
これを理解できる生徒は、この地方ではあまり居ないのもあるか、と薫は嘆息して結論を出した。
「ねえねえ、あれって何のことかな?」
隣の人間も、理解できていなかった。まあ、細かいことを気にしてないだけかもしれないが。
三澤は、その非礼を詫びて言った。
「ああ。悪かった。まあ、入学してからの楽しみにしておいてくれ」
「では」
「当たり前だ、勝たなくても良いと言ったデュエルに勝ったんだ、これで合格にしなかったら、私がクビになっちまう」
「おお、やった。ありがとうございます!」
『おおおおおお!!』
観客席から歓声があがり、拍手が湧き起こる。
『すげえぞ、あいつ』
『三澤静香に勝った』
『良いぞ、李受験生!!』
『デブなのに、ちょっとかっこよく見えちゃった、どうしよう...』
「お、おおお...」
遊生も、薫も拍手せざるを得なかった。
「まさか、手加減された形とはいえ、本当に元プロに勝つなんて...」
「万能無効を使っておいて、手加減も何もないと思うけど...」
「まぁ、確かに...」
李は笑って手を離した。
「いつか、先生の全力を超えて見せます」
「そう簡単に超えられては困る。何せ、私も常に進化するのだからな」
「はい!ありがとうございました」
もう一度、拍手が湧き起こる。李は頭を下げた後、堂々とした足取りで観客席に戻って行った。彼はこの後他のデュエルも観戦する気でいるのだろう。
「さて、そろそろ私の番でしょうか」
薫は立ち上がった。次の瞬間、
『受験番号957番、宮永薫さん。受験番号957番、宮永薫さん。準備ができましたので、8番フィールドまでお越しください』
「では、行ってきますね、東雲...遊生さん」
「うん。いってらっしゃい、薫!」
呼び捨てにされるのが少し照れるのか慣れてないのか、頬に少し赤みが掛かった後、振り向いてデュエル場まで歩き去る薫。それを見届ける間もなく、遊生は呼ばれた。
-管内放送ではない、肉声で。
「さて...。998番!東雲!東雲遊生!!」
「うぅっ...え!?」
「番号的には少し早いが、今注目が集まっているところだからな!降りてこい!」
「え、えぇえええ!?」
-------
「なんでこんなことに...」
遊生は、衆人環視の中、2番フィールドに立っていた。このフィールドの周りの観客席だけ、異様に人が集まっている。席などとうに埋まり、立ち見の人間までいる始末だ。
「さっき言ったな、東雲受験生。君の相手は私が直々にすると」
「は、はい...」
「このままほかの受験生を相手した後では、私がやる前に他の試験官に当たってしまう事だろう。だから今なのだ」
「な、なるほど...」
確かにそんなことを言っていた。先ほどのデュエルが凄かったので忘れていたが、自分は薫の遅刻の原因の一端でもある。チャンスをもらう代わりに、この人が直々に相手をすると。
「さて、東雲受験生。先ほど貸したデュエルディスクに、デッキのデータはインストールしたな」
「はい、しました」
遊生は左腕の、貸し出された薄型デュエルディスクを見せた。
「では、私もデュエルディスクを変える」
「えっ?」
三澤は、左腕の、同じく薄型のデュエルディスクを地面に置くと、ポケットからキューブを一つ取り出した。キューブは、よく見ると一つの面が9つに割れた多重構造...ルービックキューブのような見た目をしていた。
「それは...?」
「これは私の夫の特別製でね。こうするんだ。ふっ!」
三澤が上にキューブを放り投げると、キューブは回転しながら変形を始める。
立方体一つ一つが割れ、形を変え、角度を変え、みるみるうちに腕に装着する部分を表し、
「来い!私の声に答えろ!」
三澤が左腕を上に伸ばすと、ぴたりとその腕にハマって、かわるがわるの色の光を放った。
「ここには、初期のプロ時代の私のデッキが入っている」
「ええええええ!?」
遊生は、驚き通しだった。この人の傍若無人ぶりには、そりゃ権力とか実力とか、いろんなことがあって許されてることなんだろうけど...!
「そんな!学生がプロのデッキに挑めっていうんですか!?」
「貴様は、遅刻をした」
「うぐ」
遊生は痛い所を突かれ、動きを止めてしまった。
「それは学生と言えど、義務教育の範囲をこれから外れようとする社会人としては許し難い事だ。それはわかるな」
「そ、それは...」
三澤は腕を組んで言う。
「だが、私はそれを許すことにした。何故かわかるか?」
「えっと...事故だから?証明書とかは無いけど...」
「違うな。今言った通り、証明書の発行できない類の事故や、今回のような軽い事件であれば、普通は認めないで失格にする所だ。東雲受験生の壊れたデュエルディスクは大切なものだったかもしれないが、それは私たちには関係ない。それはわかるな?」
「は、はい」
「それでは、なぜ私が、それを許してチャンスを与えることにしたか、分かるか?」
「い、いいえ...わかりません」
三澤はさらに足を踏み締めて宣言した。
「それは、デュエルアカデミアの理念が、あくまで“有能なデュエリストの発掘及び教育”だからだ」
「有能なデュエリストの発掘及び教育...」
「本来失格にするところとはいえ、しかも些細な事故で、もし貴様がすごく有能なデュエリストだったならば、それはデュエルアカデミアにとって損失だ。だが、それと同時に、貴様には規則を曲げるに足る、十分な能力を持っていると証明しなければならない」
「そ、そう言うことですか...」
成程、本当に自分ルールが過ぎる人だが、この人は我欲を満たすためにルールを曲げるのではない。ほんの少しの遅刻をしてしまった自分や、学校の理念など、色んなことをプラスにするために実力と権力を使い、たまに自分の我を通しているだけなのだ。あくまで全ては周りのため。少々勝手な形だが、周りのために力を使う人間なのだ。
遊生は笑った。
遊生は、この人が少し好きになってしまった。
「だから、初期のプロの私と言う、厳しい条件をプラスさせてもらう。何、勝つ必要はない。私の満足する過程を示してもらえれば、私としては文句はない。合格にしてやろう。だが、それは私が更に強い分、厳しいぞ!」
三澤がデュエルディスクを構え、そのディスクが再度光を纏う。
「いいえ、三澤先生」
遊生もデュエルディスクを構える。
「勝って見せます!」
「フハハ、行くぞ、東雲受験生!!」
『デュエル!!!』
かくして、賽は投げられた。
-------
遊生
LP4000
三澤
LP4000
サイコロの出目
遊生5
三澤4
「東雲受験生、決めるが良い」
「じゃあ私の先行ね!スタンバイからメインまで!」
遊生は自分の手札を一瞬見る。
「私は、【魔法少女(マジックガール)・ファイア】を通常召喚!」
赤を基調にした衣装を纏い、華麗に舞う赤髪の少女がフィールドに現れる。丈の短いスカートから覗く足と、長く赤いソックスがキュートだ。
魔法少女・ファイア ⭐︎4 炎
攻1600
「召喚成功時の効果発動!デッキから「魔法少女」モンスターを一体手札に加える!アタシは、【魔法少女・アクア】を手札に加える!」
周りの人間は、このモンスターを見て様々な反応を示した。
『勇んで出したモンスターにしては普通のモンスターだな』
『可愛いわね、魔法少女...ふふ』
『ははは、あいつ、魔法少女で三澤に勝つつもりらしいぞ』
『はははははははは!』
「ちょちょちょっとぉ!魔法少女舐めてんじゃないわよ!文句あるなら、後で全員相手してやるんだからね!!」
「東雲受験生、お前は、誹りを受けて復讐するためにここに来たのか?」
「いえ、違います...くっ、覚えてなさいよ!」
遊生はグッと堪えてターンを続ける。
「行きます!「魔法少女」は、それぞれの方法で特殊召喚することができる!私は、手札の罠カードを1枚捨てることで、【魔法少女・アクア】を特殊召喚!」
水色のツインテールを下げ、青のドレスを纏った少女が現れる。丈の長い、足を隠すドレススカートが、あしらわれた白いフリルがアクセントになっている。
魔法少女・アクア ⭐︎3 水
攻1200
「【魔法少女・アクア】の召喚成功時効果!デッキから、「魔法少女」の名が記された魔法・罠カードを1枚手札に加える。私は、速攻魔法、【魔法少女の防壁(マジックガールズ・ウォール)】を手札に加える!カードを2枚伏せて、ターンエンド!」
遊生 LP4000
魔法少女・ファイア 攻1600
魔法少女・アクア 攻1200
伏せカード2枚
手札2枚
「ふむ。一見凡庸だが...能力があると言うならこれでハッキリするだろう。私の、ターン!」
「ぐっ...!」
三澤のプレッシャーは健在だった。なんなら、今の方が強く感じる。近いからだろうか、相手が今度は自分だから?
「ドロー!スタンバイからメインまで。フフフ、久しぶりにこいつをつけてデュエルする...昂ってくるぞ!」
なるほど、初期の現役時代の思い出が蘇ってきて、テンションが上がってきているのか。遊生は、プレッシャーを堪えながら思った。
「私は、永続魔法、【剣闘排斥派(グラディアルインジェクション)】を発動!」
永続魔法が、フィールドに立ち上がっていく。
「そして、手札から【レスキューラビット】を通常召喚!」
フィールドに、黄色い安全帽を被ったウサギが出現する。
レスキューラビット ⭐︎4 地
攻300
「【レスキューラビット】の効果を、このカードを除外して発動!デッキからレベル4以下の、同名の通常モンスターを2体、特殊召喚する!」
「させない、チェーン発動!【灰流うらら】!デッキからのサーチ、特殊召喚、墓地送りの効果を、無効にする!」
「ふ、通してやっても良いが...さらにチェーン発動!【抹殺の指名者】!宣言するのは、【灰流うらら】だ!」
「くっ!」
Chain 1 レスキューラビット
Chain 2 灰流うらら
Chain 3 抹殺の使命者
「ふん。解決!私のデッキから指名したカード、【灰流うらら】を除外し、このターン同名カードの効果を無効にする!」
「仕方ないけど、その効果により、私の【うらら】は無効になる」
「私は、【レスキューラビット】の効果により、【剣闘獣アンダル】を2体、特殊召喚する!」
剣闘獣アンダル ⭐︎4 地
1600
x2
「永続魔法、【剣闘排斥派】の効果を発動!デッキから【剣闘獣】が特殊召喚された時、デッキから、フィールド上に同じ種族が存在しない【剣闘獣】を特殊召喚する!フィールド上の【アンダル】は獣戦士族なので、私は【剣闘獣オクタビウス】を特殊召喚!」
剣闘獣オクタビウス ⭐︎7 光
攻 2500
「さらに、私は手札の【スレイブタイガー】を特殊召喚!このカードは、フィールド上に「剣闘獣」モンスターが存在する時、手札から特殊召喚できる!」
スレイブタイガー ⭐︎3 地
攻 600
「このカードをリリースし、フィールド上の【剣闘獣】を選んで、【スレイブタイガー】の効果発動!選択した【剣闘獣アンダル】をデッキに戻し、【剣闘獣】モンスターをデッキから【剣闘獣】モンスター効果の特殊召喚扱いで特殊召喚する!現れろ、【剣闘獣ノクシウス】!」
剣闘獣ノクシウス ⭐︎5 闇
守1000
「【剣闘獣ノクシウス】の効果発動!このカードが【剣闘獣】モンスターの効果でデッキからの特殊召喚に成功した時、デッキから【剣闘獣】モンスターを墓地へ送る!私は【剣闘獣ウェスパシアス】を墓地へ!」
ざわざわと、見惚れていた観客たちが騒ぎ出す。
『す、すげぇ!こんな連続召喚...』
『私あのデッキ諦めたのよ、運用が難しいと...』
『確か、固有効果は...』
『三澤静香の剣闘獣デッキが見れるなんて...!』
遊生もその一人だった。
「す、凄い!こんなに使いこなせる人、初めて見た!」
「ふ。褒めても何もでんぞ。しかも、まだまだ終わらない!ここから、更に課題を出すぞ、東雲受験生」
「さ、更に!?」
「わからないとは、勉強不足だな。私は、フィールド上の【剣闘獣ノクシウス】と【剣闘獣オクタビウス】を使って融合召喚!」
「え!?」
「この「剣闘獣」たちは、【融合】カードを必要としない融合テーマの一つだ。「剣闘獣」は、フィールド上のこのモンスターたちをデッキに戻すことで融合召喚ができる!このカードの召喚条件は、レベル5以上の【剣闘獣】2体!」
【ノクシウス】と【オクタビウス】が、それぞれ渦に巻き込まれながら、体が歪み、溶け、混ざり合っていく。
「囚われの猿人よ!渦巻く憎悪と怒りの炎滾らせ、ここに敵を討つ将を呼び出さん!」
三澤が、両手を掲げて組み、胸の前に振り下ろす。これは、融合召喚をする時にやる動作だと、いつか聞いたことがあった。
「融合召喚!現れろ、レベル8!【剣闘獣総監(グラディアルビーストテイマー)エーディトル!】」
赤紫の装束に身を包んだ大きな猿人が現れた。手に持って構える黄色の杖が、その存在感を倍増させる。
剣闘獣総監エーディトル ⭐︎8 闇
攻2400
「で、でかい...!」
「私は、【エーディトル】の効果発動!EXデッキから、【剣闘獣】融合モンスターを、召喚条件を無視して特殊召喚する!」
「な、なんだって!?」
「集いし獣の頂点、最大の脅威となりて、ここに見参せよ!恐れよ、その怒れる竜の姿!!現れろ、【剣闘獣ドミティアノス】!!」
【エーディトル】がその杖をかざし、力を込めると、虹色の渦が現れる。虹色の渦から姿を現す、蒼き鱗の龍。その威容に遊生は息を呑んだ。
剣闘獣ドミティアノス ⭐︎10 闇
攻 3500
「ダメ押しだ。手札から魔法カード、【融合派兵】発動!私は融合モンスターを相手に一枚見せ、そのカードに記されたモンスター1体をデッキから特殊召喚する!私が見せるのは、【剣闘獣ガイザレス】!現れろ、【剣闘獣ベストロウリィ】!」
剣闘獣ベストロウリィ ⭐︎3 風
攻 1500
「私は、残り1体の【アンダル】と、【ベストロウリィ】をデッキに戻して融合!いにしえに生きる猛禽の闘志よ!剣闘士の魂と交わり歴戦の勇士となれ!来い!【剣闘獣ガイザレス】!!」
【ベストロウリィ】と【アンダル】が混ざり合い、渦から出てくると、大きな緑色の鎧を着た猛禽が立ち上がって咆哮を上げた。
剣闘獣ガイザレス ⭐︎6 闇
攻 2400
遊生の前には、杖を構えた巨大な猿人、緑の鎧の猛禽、そして、蒼い鱗の海竜が立ち塞がり、咆哮を上げる。
「うっ!こ、これが三澤静香...!」
遊生 LP4000
魔法少女ファイア 攻1600
魔法少女アクア 攻1200
伏せカード2枚
手札2枚
三澤 LP4000
剣闘獣ガイザレス 攻2400
剣闘獣ドミティアノス 攻3500
剣闘獣エーディトル 攻 2400
手札2枚
「さぁ、この私を超えてみろ!【剣闘獣ガイザレス】のモンスター効果!融合召喚に成功した時、相手フィールド上のカードを2枚まで選んで発動!そのカードを破壊する!」
『おい、やりすぎじゃねえのか』
『こんなの学生は普通勝てねえって』
『お、おい...』
ざわめきが増す。いつしか周りはこのデュエルを観戦するために人が集まりだし、多くの受験生のみならず、ちらほら見える在校生までもが観戦しにやってきていた。
三澤が、構えて息を吸った。
「だまれぇえええええ!!!!」
三澤が一喝。遊生は耳を両手で咄嗟に塞いだのに、まだ耳がキンキンする。おかしい。
「黙ってみろ!やり過ぎだと?彼女の面構えを見てみろ!あれが、余裕のない顔に見えるか!?」
辺りは静かになり、全員が遊生を見た。
「私は、大丈夫ですよ!」
「ふっ。さあ、【ガイザレス】の効果だ!私は、お前の伏せカード2枚を対象に取る!」
その場にいた全員が、遊生のモンスター達の後ろにある伏せカード2枚を見た。LPが4000のデュエル、攻撃力の合計は8300、遊生のフィールドにはサーチ効果持ち故か、攻撃力の低いモンスターが2体。1600と1200。伏せカードを失ったら、そのまま負けに直行するーやはり無理なんじゃないかーと思った。
ただ一人を除いて。
「さあ行きますよ先生!速攻魔法をチェーン発動!【魔法少女の防壁(マジックガールズ・ウォール)】!」
Chain1 剣闘獣ガイザレス
Chain2 魔法少女の防壁
「このカードは、フィールド上に「魔法少女」が2体以上存在し、尚且つフィールド上のカードを対象に取る効果が発動した時に発動できる!その効果を発動したカードの効果を無効にし、そのカードの種類によって違う効果を得る!【ガイザレス】はモンスターカードだから、フィールド上の【魔法少女】の攻撃力が500アップ!」
魔法少女ファイア ⭐︎4 炎
攻 1600→2100
魔法少女アクア ⭐︎3 水
攻 1200→1700
「ふん、小癪な。その程度で捌けると思うてか!バトルだ!【剣闘獣ガイザレス】、【魔法少女アクア】に攻撃!」
「攻撃宣言時、リバースカード、オープン!速攻魔法、【魔法少女の患難(マジックガールズ・アフリクション)】!フィールド上に「魔法少女」が2体以上いる時に発動可能!フィールド上の「魔法少女」モンスターは戦闘では破壊されず、戦闘ダメージを受けるたびに私はカードを1枚ドローできる!」
【ガイザレス】が飛び上がり、翼をはためかせて【アクア】に嘴を向けて突撃する。が、直撃する直前に青色の障壁が出て、【ガイザレス】の攻撃から【アクア】を守った。だが、
「ぐっ、ぐぅううっ!!!」
衝撃派がその後ろに抜け、遊生が痛みとダメージを受ける。
遊生LP4000→3300
「私は、【魔法少女の患難】の効果により、カードを1枚ドロー!」
「ふん、そういう事か...では」
三澤が少し考えた後、更に宣言する。
「【剣闘獣ドミティアノス】、【魔法少女アクア】を攻撃!」
【ドミティアノス】が、その手に持った槍を構える。槍が、力を受け取ったように、光り、伸び、そして、跳んだ。
【アクア】に空気を貫き殺しながら凄まじい速度で飛ぶそれを、また青い障壁が防ぐが、後方に凄まじい衝撃が抜ける。衝撃が津波のように、嵐のように、稲妻のように遊生に迫り、打った。
「ぐあああああああっ!!?」
遊生の体は軽く持ち上がって、転がった。
遊生 LP 3300→1500
「くうう...いたた」
「どうした?これを耐えるつもりだったのではないのか!」
ゆっくりと、遊生は立ち上がった。
「ちょちょちょぉっと...思ったより衝撃が強かっただけですよ...。【魔法少女の患難】の効果で、更に1枚ドロー...!」
遊生はゆっくりと立ち上がって、問うた。
「ねえ先生。もう攻撃するつもりはないんでしょう?」
「...そうだ」
『な、なんでわかるんだ...?』
『なんか宣言してるけど...』
「先生は、2撃目を放つ前、少し逡巡した...あなたは、見た目通り、無茶苦茶なことを言ったり、通したりする人だけど、見た目に反して、ちゃんと自分なりに道理は通す人だ」
「ほう。続けてみろ」
三澤がニヤリと笑って相槌をし、先を促す。
「アタシは、このターンの総攻撃力じゃ仕留めきれない。【ガイザレス】の攻撃だけじゃ700ポイントしかダメージを与えられないし、1枚ドローさせたら割に合わない。だけど、ライフの半分以上を削れるのであれば、そこまでは削ろうとする。
あと、妨害の数と私の手札の数が、釣り合ってる」
遊生は空間に手で指示を出し、手札を表示した。
「今の手札は3枚、そして、多分【ドミティアノス】は何かの妨害を持ってるモンスター...もしかしたら他にもいるかも。だけど、雰囲気からして【エーディトル】は妨害をする効果は持ってなさそう。【ガイザレス】も、コストの重さ的に、他に【剣闘獣】を出す効果があるくらいが関の山...だけど、先生の手札はまだ後2枚残ってる。それが2つとも妨害カードだったとしたら...」
『確かに...』
「次の私の手札は4枚。先生の場には、妨害を加えてステータスも優秀なモンスターが3体。普通に考えれば、ワンアクションじゃ突破できる盤面じゃない」
『す、すげぇ...あいつ本当はすごいやつなんじゃないのか?』
「普通に考えればな。だが、東雲受験生、君の言う通りだ。私はおおよそその思考によって【ドミティアノス】での攻撃を続行し、そして【エーディトル】の攻撃はやめる。フフ、フフハハハ...!良い、良いぞ、君」
「えっと...えへへ、なら合格になっちゃったり...」
「それはないな」
「あらがっくし」
少しがっくりと体が折れる遊生。
「まだ返しのターンを見せてもらっていない。考えがいくらか熟達しているのは認めるが、デッキのセンスも見せてもらわないと、決められないな。最初のターンは、近年のカードプールから見ても少し凡庸に過ぎたからな...」
「そう言われればそうですね...」
少し渋い顔をしていた遊生だったが、納得すると一度表情をリセットし、面を上げた。
「じゃあ、そろそろターンを終わらせて下さい!私の力を、お見せします!」
「ふ、そうだな。さて、私はカードを2枚伏せ、ターン終了だ!」
三澤は腕を組み、待ち、構える。
「さあ、乗り越えて見せろ!」
「はい!アタシのターン!ドロー、スタンバイ、メインまで!」
遊生はドローしたカードを{見ずに}宣言した。
「私は墓地から、罠カード、発動!」
to be continued...
現代の【剣闘獣】は使ったことも対戦した事もあまり無いので、頑張って考えましたが、何かお気づきの点があったらよろしくお願いします
オリジナルカード紹介
魔法少女(マジックガール)ファイア 星4 炎
魔法使い族/効果 1600/800
このカードの召喚・特殊召喚は、1ターンに1度しかできない。このカードは手札の魔法カードを捨てる事で、手札・墓地から特殊召喚する事ができる。
①このカードが召喚・特殊召喚に成功した時に発動できる。デッキから「魔法少女」モンスターを1枚手札に加える。この効果の発動後、ターン終了時まで、「魔法少女」モンスターが相手フィールド上のモンスターを戦闘破壊する度、相手プレイヤーに300ポイントのダメージを与える。
-------
魔法少女・アクア 星3 水
魔法使い族/効果 1200/1100
このカードの召喚・特殊召喚は1ターンに1度しかできない。このカードは手札から罠カードを捨てる事で手札・墓地から特殊召喚する事ができる。
①このカードの召喚・特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキからテキストに「魔法少女」の名が記された魔法/罠カードを1枚手札に加える。この効果の発動後、「魔法少女」モンスターが相手モンスターを戦闘破壊する度、そのモンスターのコントローラーはライフを500回復する。