おォ〜…わっしの能力と上下関係にあるねえ   作:スイヨウ

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ゲーミング海軍将校

 

 あれから一週間と少し。

 任務を休止し、一人部屋にこもって黙々と能力操作の練習をし続けることで、どうにか制御は安定してきた。

 あのままだとちょっと感情が動くだけで七色にピカピカ光るゲーミング将校とかいう、もはや海軍のブランドイメージすら低下する勢いだったので、任意で発動できるようになってだいぶ良かった。

 

 揶揄ってきそうな同僚を思い浮かべて憂鬱にはなるが、ようやく業務に戻れることにホッとしながら執務室へ帰ってきた俺を出迎えたのは、上位互換の上司だった。

 

「ヒカリ大佐、待ってたよお。能力の操作はどうだい〜?」

「……ボルサリーノさん。まぁ、大雑把に制御はできるようになりましたが……」

 

 いつも通り間延びした口調で聞かれたのは、今一番目を逸らしたかった能力のこと。いやまぁ、戦場に出たら物理的にも精神的にも嫌でも直視しなきゃいけない現実ではあるんだが。

 

「それは重畳……似た系統の能力だから、わっしが操作についてアドバイスできるってクザンに言われてねえ〜……どうだい?」

「ぜひお願いします!!!」

 

 ものすごいありがたい提案だった。

 俺も可能ならピカピカの実みたいに光の剣作ったりレーザー飛ばしたりしたいよ。ただの灯りで終わりたくない。

 

 二つ返事で頷き、その足で本部の訓練場へと向かう。

 若干コンプレックス気味になっていたことを察してくれたのか、今の時間帯はボルサリーノさんが貸し切ってくれているらしい。一生ついていきます。

 

「それじゃあ、できることの確認からだねえ」

「わかりました。まず…………光れます」

「おお〜……」

 

 制御できるようになったとはいえ、能力操作は案外難しい。光らせたい場所を気張るような感じなので、全身光らせようとすると全身気張らないといけない。

 ぺかーっと点灯した俺に対し、ボルサリーノさんは微妙な反応を返す。そりゃそうだ。

 

「あと、色が変えれます」

「おお〜…………」

 

 変える色をイメージして思い浮かべることで、俺から発される色が変わる。赤、オレンジ、黄、緑、青、紫……やはり微妙な反応である。そりゃそうだ。

 

「ええと……もう少し光れます」

「おお〜………………」

 

 ふんっとより気張る感じで、光量を調整する。さっきまで海軍本部の蛍光灯くらいの明るさだったのが、思わず太陽を見上げてしまった時くらいの眩しさになる。ここまでやれば目潰しくらいにはなるだろうか、と思うが、ボルサリーノさんが堪えた様子はない。光系の能力だからか、サングラスを付けているからか。なんにせよ、微妙な反応である。……そりゃ、そうか。

 

「……他にないのかい?」

「ありません………………」

「そうだねえ……わっしのできることを教えるから、再現できるかやってみようかァ」

「はいっ!」

 

 そうして始まった見取り稽古。

 まず、最も憧れの技であった八尺瓊勾玉から。

 

「こう……光を弾幕にするイメージだねえ。手で圧縮して、銃弾のように撃つイメージがやりやすいよお」

「……やってみます」

 

 手で圧縮、手で圧縮…………できた。

 ボルサリーノさんのように片手とはいかず、両手……七武海であるバーソロミューくまのような形にはなってしまったが、確かに手の中の発光量が増した何かができた。

 あとはこれを、銃弾のように放つだけ。

 そうイメージした瞬間、手の隙間から光線が放たれ──ボルサリーノさんを照らした。

 

「光ってるだけだねえ」

「……そうっすね」

 

 クソ能力すぎる。それから何度か物理的破壊力を持たせようと試行錯誤したが、光量が増すだけだった。

 諦めて次、天叢雲剣。

 

「八尺瓊勾玉と同じで、手で圧縮して棒状に整えていくイメージだねえ。ただ、さっきより細くするんだよお」

「……やってみます」

 

 手で圧縮、手で圧縮……やはりこれはできる。

 しかし問題はここから。細くしたこれを、棒状に……できたけどなんか違うな。

 ボルサリーノさんの天叢雲剣がまさに光の剣だとするなら、ペンライトといった感じのができてしまった。具体的には、ボルサリーノさんの光が凝縮されたやつと違って、めちゃくちゃ光ってる。

 確認のためにボルサリーノさんへ翳してみるが、やはり破壊力は0。

 

「光ってるだけだねえ」

「…………そうっすね」

 

 クソ能力すぎる。

 これでボルサリーノさんのメインウェポンである二つは両方ダメだったということになる。ボルサリーノさんも困ったように頭を掻いている。

 

「ううん……八咫鏡は超人系じゃあ難しいだろうしねえ。レーザーができるかやってみようかあ」

「……はい!」

 

 夢にまで見たレーザーの練習が来た。淡い期待だが、これはできてほしい。

 だってレーザーだぜ? あんなカッコいいの男なら誰だって憧れるだろ。

 

「これはそのまんま、指先一点に光を集めるイメージにすればできるよお、わっしは」

「指先一点に……こうですか?」

 

 意識した瞬間、ボルサリーノさんが発射する寸前のようなレーザーが指から発射される。あまりに似ているものだから期待に俺とボルサリーノさんの目が見開いたが、爆発は起きない。代わりに、向けてしまった先の柱にある海軍のポスターから微かに煙が漏れ出て、チリチリと音が鳴っていた。

 

「おお〜…………」

 

 ボルサリーノさんが物凄く微妙な表情になっている。とてもレアだ。こんなところで見たくなかったけど。

 結局、この日に分かったことは光り方をいじれるということだけだった。

 

 あと、ガープ中将が上の窓から見てたらしく、後日廊下で会った際、大爆笑と共に動く灯台という不名誉なあだ名を頂いた。海軍大佐“灯台の”ヒカリってか。泣けるぜ。

 





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