おォ〜…わっしの能力と上下関係にあるねえ   作:スイヨウ

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なぜ3話目を書いているのだろう。


ヤルキマン・マングローブは簡単に折っていいものじゃない

 シャボンティ諸島にて、天竜人傷害の犯人捕縛のために向かった黄猿に連れられてきたヒカリは、砲弾に飛び乗っていくという被害が拡大する行動に頭を抱え、へし折ったヤルキマン・マングローブの様子に泡を吹く勢いだった。

 

「中将、黄猿さんやりすぎじゃないですか……?」

「今すぐ止めてくるわ。お前らは周囲の避難勧告した後追いついてこい」

 

 月歩で慌てて向かう先は、電々虫の報告に失敗している黄猿の近く。

 

「大将、先行きすぎないでください。あとそれ盗聴用です」

「お、ありがとねえ。けど、わっしは大丈夫だよお〜?」

「いやそれは知ってますけど。シャボンティはお偉方いるせいで報告書必要なんですって。さっき破壊した建物とマングローブの分はもう始末書必須ですよ」

「あァ……書いといてねえ」

 

「じゃ」と一言残して光速で消えていく上司を見送る。

 青キジほどではないが、彼もまた執務が好きなわけではない。なのでやはり青キジほどではないが、書類から逃げる機会があれば逃げるのである。クソが。

 でも始末書の話はしたから、少しは被害を抑えてくれるだろうと信じている。

 

「とりあえず被害纏めるために……パシフィスタのとこ行くか。ボルサリーノさんは多分ヒューマンショップの方行くだろうし」

 

 先ほど天竜人を人質にしての立て籠りと報告があったため、ボルサリーノさんはヒューマンショップ付近にいる海賊の炙り出しから入るだろうという見込みを元に、政府貸し出しの兵器“パシフィスタ”のうちの一体を確認しに行くことに決める。あれ修理費エグいし。

 

「にしても、このPX、なんだか様子が……アレ!? これ壊れかけてるかな!」

 

 端末に映るPXの反応が鈍い。PXを破壊できる可能性のある億超え海賊揃いであるため、こんなこともあろうかと向かっていたのだが、予想よりもだいぶ早い。

 多少消耗するが、“剃”の連続使用で慌てて現地へと向かう。

 

「っとォ! 無事か、PX!」

 

 軍艦一隻分の値段を脳裏に浮かべながら着いたそこは、見覚えのある一味とPX……だったもの。

 

「うおぁ……これ完全に壊れてるな。レーダー反応ないし。始末書か……」

 

 ガン萎えしながら俯くヒカリに対し、臨戦態勢を取るパシフィスタを倒した海賊──麦わらの一味。

 その中でも最初に気がついたのは一味で最も事情通の考古学者、ニコ・ロビンだった。

 

「気を付けて! その男、海軍中将よ……!」

「チュウジョー? 大将じゃねえのか?」

「大将の一つ下よ。けれど、彼は大将の直属なの。彼が来たということが、うかうかしていると大将“黄猿”も来るわ」

「あー……俺も黄猿さん来る前に一海賊団くらい捕縛しとかなきゃな」

 

 ぐるぐると腕を回しながら近づこうとするヒカリが、一瞬のうちに見えなくなる。

 ──正確には、目が潰れそうなほどの光で見えなくされた。

 

「クッ……ソ……」

「サンジー!!」

 

 音もない高速移動でその隙を突き、まずは一人。黒足のサンジが沈んだ。

 抜かれていた刀に脇腹を貫かれて崩れ落ちるサンジを目で追うこともなく、続いて動こうとして──。

 

「突然の目眩しに気を付けて! その男はチカチカの実の発光人間……生きたフラッシュバンみたいなものなのよ」

「発光人間? ……弱そうだな」

「黙れ海賊狩りィ!」

 

 コンプレックスの刺激に一瞬で沸騰するヒカリ。

 どうにか戦闘で使えるレベルに能力を昇華させたものの、やはり上司に比べて応用が効かなすぎる能力に不満だらけであった。

 

「確かに黄猿と比べられる能力ではあるけど、“灯台”のヒカリといえば、中将の中でも指折りではあって……」

「灯台ぃ? 変なあだ名だな」

「うるせェ! 俺もガープさんが適当に付けたあだ名が異名になるなんて思ってもねーし変えてーよ!」

「ガープ? じいちゃんが付けたのかそのあだ名。センスないなァ……俺だったら……んー……チカチカの実…………チカリンとか」

「バカにしてんだろ!? ……いや、もういい。一海賊団の戯言にこれ以上付き合ってると気がおかしくなりそうだ」

「いやお前の沸騰が早いだけじゃね?」

「黙れ長鼻。この能力の真の恐ろしさを見せてやるぜ……!」

 

 えい、えい、むんと気合を込めると共に再発光する。

 しかしその光の強さは先ほどよりも更に強く、持続している。実質視界を塞がれているようなもので、一味の誰も目を開けていられなかった。

 

「行くぞ……麦わらの一味」

 

 その言葉と共にヒカリが動き出したことが、身体を走る斬撃でわかった。

 斬られた肩口の痛みへ反射的に手を当てたウソップが思い出したのは、故郷の仇敵、百計のクロが使う“杓死”。見えない理由に違いがあるものの、高速移動の斬撃は彼と相違ない。むしろ、見切ることが不可能なだけこちらの方がタチが悪かった。

 しかし、この状況を打破しうる男が麦わらの一味にはいる。

 

「──ストロング・右!」

 

 フランキー(サングラスを付けている男)である。

 そもそもヒカリ自身が視界を確保するため、いくら光が強いとはいっても、サングラスさえあればどうにか見えるレベルである。故にこの男も動けてしまった。

 

「チッ、重いな……」

「“鉄人”サイボーグ・フランキーか」

 

 動きを止められたとはいえ、その輝きは止まらず。

 鉄塊で難なく攻撃を凌いだ男が標的をフランキーに定め、刀を向ける。

 

「オウ、ここで一味が全滅するわけにはいかねえんでな。ちょいと吹っ飛ばさせて貰うぜ、“灯台”よォ……!」

「その呼び方やめろって。そもそも、お前の拳が効かないことは既に……ッ!?」

 

 両腕を構えたフランキーが選択した攻撃は、風来砲(クード・ヴァン)

 ウォーターセブンではドックを一つ吹き飛ばしたその圧力は伊達ではなく、鉄塊で構えていたヒカリを遥か彼方のヤルキマン・マングローブまで吹き飛ばした。

 

「よし……ルフィ、逃げていいな!?」

「おう! 急いで退避を……!」

「逃がさないよお……麦わらの一味」

 

 安心も束の間。

 現れた黄猿に半壊させられ、後詰のバーソロミューくまに能力を使われ。

 原作通り、麦わらの一味は“壊滅”した。

 

 なお、ヒカリは黄猿がやらかした住宅破壊の始末書だけでなく、麦わらの一味を取り逃がしたことの顛末書を纏める羽目になり、麦わらの一味──特にフランキーへの復讐を誓う。

 

 ここから“灯台”のヒカリと、“ニップルライト”のフランキーとの因縁が──始まらなかった。

 




もしかしたら頂上戦争だけ書きます。
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