恋愛? 仕事以外興味ないんで ←「「は?」」 周りの美女美少女美幼女達   作:鉄の掟

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褐色ツンデレロリに迫られましたが、仕事以外興味無いです。

 

 

 

 

「俺を、雇いませんか?」

「……ぅえ?」

 

 ネロさんの目が大きく開き、口から変な声が漏れた。

 

 無理もない、自分より小さい男に雇ってくれと言われたんだ。

 

 これで驚かなかったら、さっきのグレタさんがおかしいと言う事になってしまう……まぁ多分グレタさんは驚きというより、困惑に近かったと思うけど。

 

 さて、考え事はこの位にして……面接の第二回戦と洒落込もうじゃないかぁ。

 

「どういうこと?」

「はい、話を聞いた所ネロさんは今お一人で家に住まわれていらっしゃるとの事でしたが、矢張りネロさんの様に小さい女の子が一人暮らしというのは少し不便だと思います」

「う、うん……そうだ、ね」

「そこで! 家事掃除洗濯から害虫駆除や水道工事まで何でも出来る、私サイトー・テルキが! ネロさんの家政婦としてお仕事をさせて貰いたいと思っている次第です!」

 

 ……ふっ、決まった。

 

 ネロさんに日頃の面倒臭くなる部分を意識させてからの、俺の有能っぷりをアピールしたこの面接。

 

 勝ちは貰ったも同然だぜ、うへへ。

 

「……いらない」

「そうですか! では明日からよろしくおねが……え? 今何て?」

「いらないって言った」

 

 うん、うんうん、うんうんうん、一旦休憩。

 

 深呼吸して? すーはー……えっと何で断られたんだ? おれ。

 

「な、何故でしょうか?」

「……サイトーにお世話されるなんて嫌、ネロより小さい癖に」

「あー……そうですか」

 

 成程、考えてみたら確かに納得だ。

 

 そりゃあ5歳児に世話されるなんて普通に考えておかしいし、一人で暮らしているネロさんにとっては、もしかしたら邪魔と思われるかも知れない。

 

 しかし、ここで諦めるわけには行かない。

 農業というのはいつかやる事が無くなってしまう、勿論農業に携わる人達は一年中忙しく働いてはいるが、俺にはとてもじゃないが物足りない。

 

 なのでここでどうしても、ネロさんの家政婦という仕事をゲットしなければ、俺は恐らく仕事が無くなった禁断症状で死んでしまうだろう。

 その場合、またあの神に会うかもしれないと考えると虫唾が走る。

 

「でも……そこを何とかっ!! お願いします、馬車馬の様に働きます、寧ろ働かせて下さい!」

「……そもそもサイトーを雇えるお金なんて無い」

「ご心配無く! 給料に関しましては、ネロさんの問題なく払える量で結構です!」

 

 はぁ、とネロさんは溜息を吐く。

 

 流石に今日会ったばかりの俺を雇うというのは無理か……? いやでもグレタさんは普通にオーケーしてくれたしな……。

 

「サイトー」

「はい!」

 

 俺の方を向かずにそっぽを向いたまま、ネロさんは俺の名前を呼んだ。

 

 やはり……ダメなのか……? 

 

 いや、まぁダメならダメで明日も頼みに来るだけなんだけど。

 

「……1週間」

「……?」

「……1週間だけ雇ってあげる、サイトーが使えなかったらそこで終わり」

「……という事は?」

 

 ネロさんは勢いよく椅子を引いて立ち上がる。

 

 慌てて俺も同じ様に立ち上がると、さっきまで俯いたりそっぽを向いたりして、見えなかったネロさんの顔が見えた。

 水色のショートカットの髪の間から見えた顔は、透き通る様な肌の頬がほんのり赤く染まっていた。

 

「その……これからよろしく//」

 

 そうして差し出された手を俺は握り返す。

 

 少しばかり俺よりも冷たいネロさんの手は、小さくて柔らかい女の子らしい可愛い手だった。

 

 前世でも殆ど触る事の無かった女の子の手の感触に、つい面白くなりにぎにぎと触っていると、ネロさんは顔をまるで林檎の様に真っ赤にさせ、すかさず手を俺の手から引き抜いた。

 

 ……もう少し触っていたかった。

 

「サ、サイトーはえっち! えっちなサイトーは嫌いっ!!」

「ご、誤解です! 決してそういうんじゃなくて……」

「もういい、私部屋に戻るから!」

「あっ! ちょっとネロさんんん!?」

 

 どたどた、と大きな音を立ててネロさんは2階に繋がる階段を小走りで上って行ってしまった。

 

 うーん……何か誤解されたままな気がするが、まぁいいや。

 1週間もあれば俺の有能さを身に沁みて感じるだろう、これでグレタさんの農業とネロさんの家政婦の仕事をゲットした。

 

 どうだ!? 神様っ! 

 今の俺は5歳にして二つも仕事を持っているぞ? このまま成長すればいずれ街に出て、俺は思う存分仕事をしまくってやる。

 そんな俺の姿を精々上から見てるがいい! あっはっはっはっ!! 

 

「よぅし、そしたらまだ中途半端で止まってる種運びの続きでも……」

「ねぇ、今の話……どういう事?」

 

 肩を回しながら玄関の方に向かう俺の背中から、グレタさんの声が聞こえて来る。

 

 しかし今のグレタさんの声は、さっきまでの声より幾分低い気がする。

 まだ脱水症状で声が出しづらいのか、それとも……

 

「……グレタさん?」

 

 振り向いた俺の前に居たグレタさんは、腕を前に組み仁王立ちの姿勢で俺のことを睨んでいた。

 

 何故、グレタさんは怒っているんだ? というよりもう立っても大丈夫なんだろうか。

 まだ倒れてから時間が経ってないし、寝ていた方が体の為な気がする。

 

「さっきの話って……ネロさんとのですか?」

「そうに決まってるじゃない、あんた私のっ! ……部下なのよねぇ? そうよねぇ!?」

「は、はいそれは勿論!」

 

 怖い、何これ何だこれ、さっきまでのグレタさんと別人過ぎないか? 

 

 そもそも何に対して怒ってるんだろう……そう考えている俺の目の前に一歩近づいたグレタさんに驚き、俺は一歩後ろに下がる。

 

「じゃあ、何であの子の家政婦として働きたい……なんて言ったの……?」

「えっと、それは……」

 

 まるで幼女とは思えない気迫に、俺は言い訳を探す子供の様にえっと……や、その……などの言葉が口から漏れる。

 

 もしかしてグレタさんの畑は副業禁止だったのか? いやでも面接時にはそんなこと言われなかったし……。

 

「サイトー君」

「な、なんでしょうか」

 

 色々と考えていると、とうとう玄関の扉まで下がって来てしまった。

 

 グレタさんがまた一歩近づく。

 

 そして2歩、3歩近づいて来た時点で、俺とグレタさんの距離は殆ど無くなってしまった。

 視界いっぱいに映るグレタさんの顔。

 そして息遣いや微かに香る土の香りまで分かるような距離まで近付かれては、喋ろうにも喋れない。

 

「認めないから」

 

 俺の耳元ぎりぎりで囁く様にグレタさんはそう言った。

 

 その時、後ろの扉からガチャリという音が聞こえた。

 

 何の音かと下の方を見ると、グレタさんが扉の鍵を開けていた。

 

「あ、あの……」

「私まだ仕事が残ってるから、またね? ……サイトー君」

 

 そう言い残したグレタさんは扉が閉まるのと同時に、今までに聞いた事のない程低い声で、俺の名前を読んだ。

 

 ……やべぇ、どうしようなんかめっちゃ怒ってるんだけど。

 

「ふぅ……まぁ取り敢えず、今日はもう帰るか……」

 

 グレタさんと出会い、図らずもネロさんとも出会い、今日は俺の5年しかない短い人生で一番濃い1日だった。

 

 流石の俺でも疲れが溜まらない訳じゃないし、実際前世での死因を過労死だったからな、今日は早いとこ家に帰って本でも読もう。

 

「そういえば今何時だ?」

 

 玄関から出て太陽の方角を確認した俺は……一瞬で血の気が引いていくのを感じた。

 

 何故ならさっきまで燦々と輝いていた太陽は、西の空に傾き始めていて、あの位置にあるという事は今の時刻は少なくとも午後3時から4時の間になる。

 

 そうなるとタイムリミットである姉が帰宅する時間の午後5時までに家に帰るには、うだうだ考えてないで早く足を動かさないと間に合わないという事だ。

 

 

「走れぇぇぇぇえええ!!!」

「…サイトー…?」

 

 

 傾き始めた夕陽に照らされたのは、無我夢中で走る5歳児と、それを2階の窓から見つめる一人の少女だった。

 

 




何とか投稿出来ました…。

さぁ果たしてサイトーは無事にタイムリミットに間に合うんでしょうか?

次回の更新は24日の18時です。
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