すばらしきこのせかい Shibuya Survival 作:アヤ・ノア
ネクとシキは、ミッションでA-EASTに到着するが、目的地が真っ暗で主を見つけられなかった。
そこで、ライブの準備で困っている777に出会い、行方不明のスタッフを探す事になる。
スタッフが見つかれば電気がつき、主を倒す事ができる。
一方で、ネクは羽狛という男から特殊なバッジを受け取り、使い方を学ぶのだった。
「ネク! バッジを使ってみようよ」
「……」
「どうしたの?」
ハネコマがくれたバッジを使うためには、シキとシンクロする必要があるが、
ネクはシンクロしたくなかった。
そんなネクに、シキが優しく声をかける。
「あっ……もしかして、バッジの使い方を忘れちゃったんでしょ?
もう……しょうがないな~」
「……」
「えっと……たしか……まず、私がネクに合わせるんだよね。
で、イイ感じになったら……そのバッジが使えるようになってるから、
ネクがバッジを使えばいいんだよね!
よ~し! 私、がんばっちゃうね」
「……いくぞ……」
バッジを使うためには、シキとシンクロする必要がある。
ネクは渋々ながらも、シキと共にノイズを倒す事にした。
二体の熊のノイズが襲ってくる。
ネクは渋々シキと力を合わせ、熊のノイズをサイキックで攻撃した。
練習戦なので何度も戦えるが、もちろん、ここで倒されてはならないので、
ネクとシキは気を抜かずに戦った。
ネクがサイキックを操り、シキが黒猫のぬいぐるみをけしかける。
ある程度ノイズを攻撃していくと、白いノイズが徐々に光を帯びてきて、
やがて重なった青と橙の星が描かれたバッジになった。
ネクとシキはバッジに触れ「必殺技」を発動する。
この必殺技は、見本と同じカードを選ぶ事により、どんどん攻撃力が上がっていくものだ。
ネクは次々と正解のカードを選び、攻撃力を上げていく。
ちなみにカードのマークは、超能力でよく使われるものばかりだった。
そして必殺技の入力時間は終了し、ネクがノイズにサイキックで突っ込んで連続攻撃し、
巨大化した黒猫のぬいぐるみがノイズを引き裂く。
その凄まじい威力によって、熊のノイズは消えた。
「……条件達成を確認した。この壁を開放する」
男は淡々とそう言って、見えない壁を消した。
道を通ると、テナント募集と書かれたポスターが張られたシャッターがある不動産屋や、
怪しい岩田コズミック商店がある。
「いないね……黒いTシャツにストラップの人」
「もしかしたら、どこかの店にいるかもしれない」
まず、二人は岩田コズミック商店に入った。
「お客さん? あのさ、見るのは勝手だけど売らないからね。
今、店に並んでるのお気に入りだから、欲しいって言われても売らないから」
店員は何も売らないようだが、品物を見るのはいいようだ。
特注品のヒューズ、レアモノの北天のど飴、時代遅れのダンディハット、
詳細不明の恋はとつぜん。
どれもこれも、ネク達には合っていなかったため、二人は岩田コズミック商店を後にした。
ここにはスタッフはいなかったようだ。
次に、らあめんどんというラーメン屋に入る。
何故かこの店は、昼でありながら客がいなかった。
そこには、茶色い髪を後ろで縛った、777が教えた通りの特徴の男がいた。
「あーめんどくさ……ライヴなんて中止だ中止! なんで俺がいちスタッフなワケ!?」
男はスタッフである事に愚痴を吐いていて、ライヴなんてしたくないようだ。
「えっ!? スタッフって……ネク、まさか……」
「多分……この人がそうなんだろうな。こんなところでサボってたのか……」
「どっちかって言ったら俺ってステージ立つ側の人間なワケ!!
はぁ~あ、裏方なんかやってらんねぇ……」
「まあまあまあ、未来をつくるのはあんた自身なんだ!
これでも食って元気出しな……って……あれ? いない?」
ライヴには裏方も必要だが、男はそれを理解していなかった。
らあめんどんの店主、土井ケンは男を励ましてラーメンを一杯出したが、
男は嫌になって去っていった。
「やっぱり……イマドキのラーメンじゃなきゃ若い人は食べないのか……」
何が何でも、スタッフの男をA-EASTに連れ戻さなければならない。
ネクとシキは急いでスタッフの男を追った。
「はぁ……なんかもう、何もしたくない……。もう、どうでもいいや」
男はやる気を失っていて、負のオーラが出ているようだった。
普段ならば、しっかりと仕事をするような人物だと思われるが、
このままではA-EASTに戻ってくれそうにない。
「あの人、あんなに落ちこんで……何か悩んでるのかな?」
男には何か不思議な事が起きているかもしれない。
ネクがスキャンしてみると、男の背後に奇妙な模様が浮かんでいた。
ノイズにとりつかれて、気力を失っていたのだ。
「おい! あの人の周りにノイズが見えるぞ」
「本当だ!! あの人……まるでノイズにとりつかれてるみたい」
「はぁ……ダルいな……。なんだか具合も悪くなってきたみたいだ……」
ノイズにとりつかれると性格が変わり、やがては消えてしまう。
このまま見過ごすわけにはいかなかった。
「あの人にとりついたノイズを倒しましょう」
ネクとシキは、男にとりついた三体のノイズを払うために戦う。
内訳は狼のノイズ二体と、熊のノイズ一体だ。
「いっくよ~!」
シキは黒猫のぬいぐるみを熊のノイズにぶつける。
黒猫のぬいぐるみは回転しながらパンチを放ち、狼のノイズも巻き込んでいく。
「ネクも攻撃に参加してよね」
「分かってる」
ネクは雷を落とすサイキックで、シキが攻撃したノイズに追撃した。
近くの敵はシキが何とかしてくれるため、ネクが遠くの敵を担当している。
(シキの奴、この時になるとやる気になるんだな。
付き合わされてる俺の身にもなってくれ……)
ノイズと戦っている時、心の中で愚痴を吐くネク。
やはり、渋々協力しているという気持ちは、まだ変わっていないらしい。
そうこうしているうちに全てのノイズが消滅した。
すると、男の顔に見る見るうちに生気が戻った。
「あれ? 俺、ここで何してたんだっけ?」
男にノイズにとりつかれていた記憶は、なかった。
「……ってもうこんな時間!? マズイ! 早くA-EASTに戻らないと!」
男は大急ぎでA-EASTに戻った。
どうやら、無事にA-EASTに行ってくれるようだ。
「それにしても、急に元気になっちゃったよね……」
「やっぱりノイズを……倒したからか?」
1日目はノイズがとりついた人が次々に消え、
3日目はノイズがとりついた人がやる気を失った。
死神と同じように、ノイズにも種類があるのだろうか。
「よく分かんないけど、きっと体にはよくないよ。
もしノイズがついている人を見かけたら、今みたいにはらってあげましょう」
(ったく……このお人よし……ほんとに天然だな)
ネクは再び心の中で毒づいた。
とはいっても、シキがいなければ男を元に戻せなかったため、感謝は一応する事にした。
「さっ! 早くA-EASTに行こう! きっとスタッフの人も帰ってるころよ」
そして、スタッフを連れ戻したネクとシキは、目的地のA-EASTに行った。
「ったく、おせよー! さっさとリハ始めるぞ!」
「あの……すみません……。じつはステージの照明が壊れたみたいで……」
スタッフが戻ってきたため、777はリハーサルを始めようとしていた。
帰りが遅くなったスタッフを罵倒しているが、スタッフは電気が消えた事情を話していた。
電気が消えていたのは、照明の故障が原因だったのだ。
「おいおい、それじゃリハどころか本番もできねーじゃねーか!!」
「今、業者さんが修理してるところです。俺は必要部品の買い出しに行ってて」
「そうか、じゃあもうすぐ修理は終わるんだな」
「えっ?」
「部品の買い出しはもう済んだんだろ?」
「あっ! ……えっと……その……」
「バカヤロウ! さっさと買ってこい!」
「はい! すみません!!」
これは当分、照明の復旧はできなさそうだ。
制限時間が長いのは、これも関係していたからだろう。
「あれ? また、なにかトラブルがあったのかな?」
「おう! おまえ達……! アイツを呼びに行ってくれてサンキューな!」
777は、スタッフを呼び戻してくれたネクとシキに感謝する。
といっても、ネクはスタッフに関わっておらず、シキがスタッフを呼び戻したのだが。
「あの……もしかしてまた……トラブルですか?」
「どうやらステージの照明がイカれてるらしい……。
アイツは修理部品の買い出しに行ったよ……。
ったく……参るぜ……今日はどなってばっかだ……あ~、のどいてぇ……」
喉を使いすぎた777が喉をさする。
バンドのボーカルとして、喉が痛いのは致命的だ。
「電気がつくまでまだ時間がかかりそうだね」
「……あのスタッフ、大丈夫か?」
「様子……見に行った方がいいかもね」