すばらしきこのせかい Shibuya Survival   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

ネクとシキは、ミッションでA-EASTに到着するが、目的地が真っ暗で主を見つけられなかった。
そこで、ライブの準備で困っている777に出会い、行方不明のスタッフを探す事になる。
スタッフが見つかれば電気がつき、主を倒す事ができる。
一方で、ネクは羽狛という男から特殊なバッジを受け取り、使い方を学ぶのだった。


11 シンクロ

「ネク! バッジを使ってみようよ」

「……」

「どうしたの?」

 ハネコマがくれたバッジを使うためには、シキとシンクロする必要があるが、

 ネクはシンクロしたくなかった。

 そんなネクに、シキが優しく声をかける。

「あっ……もしかして、バッジの使い方を忘れちゃったんでしょ?

 もう……しょうがないな~」

「……」

「えっと……たしか……まず、私がネクに合わせるんだよね。

 で、イイ感じになったら……そのバッジが使えるようになってるから、

 ネクがバッジを使えばいいんだよね!

 よ~し! 私、がんばっちゃうね」

「……いくぞ……」

 バッジを使うためには、シキとシンクロする必要がある。

 ネクは渋々ながらも、シキと共にノイズを倒す事にした。

 

 二体の熊のノイズが襲ってくる。

 ネクは渋々シキと力を合わせ、熊のノイズをサイキックで攻撃した。

 練習戦なので何度も戦えるが、もちろん、ここで倒されてはならないので、

 ネクとシキは気を抜かずに戦った。

 ネクがサイキックを操り、シキが黒猫のぬいぐるみをけしかける。

 ある程度ノイズを攻撃していくと、白いノイズが徐々に光を帯びてきて、

 やがて重なった青と橙の星が描かれたバッジになった。

 ネクとシキはバッジに触れ「必殺技」を発動する。

 この必殺技は、見本と同じカードを選ぶ事により、どんどん攻撃力が上がっていくものだ。

 ネクは次々と正解のカードを選び、攻撃力を上げていく。

 ちなみにカードのマークは、超能力でよく使われるものばかりだった。

 そして必殺技の入力時間は終了し、ネクがノイズにサイキックで突っ込んで連続攻撃し、

 巨大化した黒猫のぬいぐるみがノイズを引き裂く。

 その凄まじい威力によって、熊のノイズは消えた。

 

「……条件達成を確認した。この壁を開放する」

 男は淡々とそう言って、見えない壁を消した。

 道を通ると、テナント募集と書かれたポスターが張られたシャッターがある不動産屋や、

 怪しい岩田コズミック商店がある。

 

「いないね……黒いTシャツにストラップの人」

「もしかしたら、どこかの店にいるかもしれない」

 

 まず、二人は岩田コズミック商店に入った。

「お客さん? あのさ、見るのは勝手だけど売らないからね。

 今、店に並んでるのお気に入りだから、欲しいって言われても売らないから」

 店員は何も売らないようだが、品物を見るのはいいようだ。

 特注品のヒューズ、レアモノの北天のど飴、時代遅れのダンディハット、

 詳細不明の恋はとつぜん。

 どれもこれも、ネク達には合っていなかったため、二人は岩田コズミック商店を後にした。

 ここにはスタッフはいなかったようだ。

 

 次に、らあめんどんというラーメン屋に入る。

 何故かこの店は、昼でありながら客がいなかった。

 そこには、茶色い髪を後ろで縛った、777が教えた通りの特徴の男がいた。

「あーめんどくさ……ライヴなんて中止だ中止! なんで俺がいちスタッフなワケ!?」

 男はスタッフである事に愚痴を吐いていて、ライヴなんてしたくないようだ。

「えっ!? スタッフって……ネク、まさか……」

「多分……この人がそうなんだろうな。こんなところでサボってたのか……」

「どっちかって言ったら俺ってステージ立つ側の人間なワケ!!

 はぁ~あ、裏方なんかやってらんねぇ……」

「まあまあまあ、未来をつくるのはあんた自身なんだ!

 これでも食って元気出しな……って……あれ? いない?」

 ライヴには裏方も必要だが、男はそれを理解していなかった。

 らあめんどんの店主、土井ケンは男を励ましてラーメンを一杯出したが、

 男は嫌になって去っていった。

「やっぱり……イマドキのラーメンじゃなきゃ若い人は食べないのか……」

 

 何が何でも、スタッフの男をA-EASTに連れ戻さなければならない。

 ネクとシキは急いでスタッフの男を追った。

 

「はぁ……なんかもう、何もしたくない……。もう、どうでもいいや」

 男はやる気を失っていて、負のオーラが出ているようだった。

 普段ならば、しっかりと仕事をするような人物だと思われるが、

 このままではA-EASTに戻ってくれそうにない。

「あの人、あんなに落ちこんで……何か悩んでるのかな?」

 男には何か不思議な事が起きているかもしれない。

 ネクがスキャンしてみると、男の背後に奇妙な模様が浮かんでいた。

 ノイズにとりつかれて、気力を失っていたのだ。

「おい! あの人の周りにノイズが見えるぞ」

「本当だ!! あの人……まるでノイズにとりつかれてるみたい」

「はぁ……ダルいな……。なんだか具合も悪くなってきたみたいだ……」

 ノイズにとりつかれると性格が変わり、やがては消えてしまう。

 このまま見過ごすわけにはいかなかった。

「あの人にとりついたノイズを倒しましょう」

 

 ネクとシキは、男にとりついた三体のノイズを払うために戦う。

 内訳は狼のノイズ二体と、熊のノイズ一体だ。

「いっくよ~!」

 シキは黒猫のぬいぐるみを熊のノイズにぶつける。

 黒猫のぬいぐるみは回転しながらパンチを放ち、狼のノイズも巻き込んでいく。

「ネクも攻撃に参加してよね」

「分かってる」

 ネクは雷を落とすサイキックで、シキが攻撃したノイズに追撃した。

 近くの敵はシキが何とかしてくれるため、ネクが遠くの敵を担当している。

(シキの奴、この時になるとやる気になるんだな。

 付き合わされてる俺の身にもなってくれ……)

 ノイズと戦っている時、心の中で愚痴を吐くネク。

 やはり、渋々協力しているという気持ちは、まだ変わっていないらしい。

 

 そうこうしているうちに全てのノイズが消滅した。

 すると、男の顔に見る見るうちに生気が戻った。

「あれ? 俺、ここで何してたんだっけ?」

 男にノイズにとりつかれていた記憶は、なかった。

「……ってもうこんな時間!? マズイ! 早くA-EASTに戻らないと!」

 男は大急ぎでA-EASTに戻った。

 どうやら、無事にA-EASTに行ってくれるようだ。

 

「それにしても、急に元気になっちゃったよね……」

「やっぱりノイズを……倒したからか?」

 1日目はノイズがとりついた人が次々に消え、

 3日目はノイズがとりついた人がやる気を失った。

 死神と同じように、ノイズにも種類があるのだろうか。

「よく分かんないけど、きっと体にはよくないよ。

 もしノイズがついている人を見かけたら、今みたいにはらってあげましょう」

(ったく……このお人よし……ほんとに天然だな)

 ネクは再び心の中で毒づいた。

 とはいっても、シキがいなければ男を元に戻せなかったため、感謝は一応する事にした。

「さっ! 早くA-EASTに行こう! きっとスタッフの人も帰ってるころよ」

 

 そして、スタッフを連れ戻したネクとシキは、目的地のA-EASTに行った。

 

「ったく、おせよー! さっさとリハ始めるぞ!」

「あの……すみません……。じつはステージの照明が壊れたみたいで……」

 スタッフが戻ってきたため、777はリハーサルを始めようとしていた。

 帰りが遅くなったスタッフを罵倒しているが、スタッフは電気が消えた事情を話していた。

 電気が消えていたのは、照明の故障が原因だったのだ。

「おいおい、それじゃリハどころか本番もできねーじゃねーか!!」

「今、業者さんが修理してるところです。俺は必要部品の買い出しに行ってて」

「そうか、じゃあもうすぐ修理は終わるんだな」

「えっ?」

「部品の買い出しはもう済んだんだろ?」

「あっ! ……えっと……その……」

「バカヤロウ! さっさと買ってこい!」

「はい! すみません!!」

 これは当分、照明の復旧はできなさそうだ。

 制限時間が長いのは、これも関係していたからだろう。

 

「あれ? また、なにかトラブルがあったのかな?」

「おう! おまえ達……! アイツを呼びに行ってくれてサンキューな!」

 777は、スタッフを呼び戻してくれたネクとシキに感謝する。

 といっても、ネクはスタッフに関わっておらず、シキがスタッフを呼び戻したのだが。

「あの……もしかしてまた……トラブルですか?」

「どうやらステージの照明がイカれてるらしい……。

 アイツは修理部品の買い出しに行ったよ……。

 ったく……参るぜ……今日はどなってばっかだ……あ~、のどいてぇ……」

 喉を使いすぎた777が喉をさする。

 バンドのボーカルとして、喉が痛いのは致命的だ。

「電気がつくまでまだ時間がかかりそうだね」

「……あのスタッフ、大丈夫か?」

「様子……見に行った方がいいかもね」

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