すばらしきこのせかい Shibuya Survival 作:アヤ・ノア
ネクとシキはレッドスカルバッジを広めるミッションに取り組み、
シキは自分が足手まといになったと感じて謝罪する。
シキはエリが服のデザインをやめようとしている事を知り、
その理由を探るためにスキャンすると、
シキはエリが自分を必要としていた事を知り、自分自身の大切さを理解する。
そしてネクとシキは最後のミッションに臨み、蘇生を目指すのだった。
死神のゲーム、7日目。
このミッションをクリアすれば、晴れてネクとシキは蘇生し、現世に戻ってくる事ができる。
「今日で最後だね……」
「ああ……ぜったい勝ちのこるぞ」
ネクとシキは蘇生をかけて、身構える。
携帯電話が鳴ると、画面にミッションを通達するメールが現れる。
「来た、ミッションだ」
「これが最後のミッション……」
ミッションの内容は、いたって単純だった。
首都高にいるゲームマスターを倒せ
制限時間は600分 失敗したら消滅 死神より
制限時間は今までの中で最も長い、10時間。
このゲームのゲームマスターは、彼である。
時間が長いのだから、ゲームマスターはこのゲームで一番強いのだろう。
ミッション通達と同時に、ネクとシキの手にタイマーが浮かび上がる。
「ゲームマスターってあの大きい死神ね」
「ライムを……消したヤツだ」
「うん……。がんばろう! ビイトのために。
それから……自分のために、ぜったい勝たなきゃ」
ビイトはライムを失って意気消沈していた。
シキは昨日、ネクに励まされ、失いかけていた自信を取り戻した。
この二人のためにも、ネクとシキは共に必ず生き残ろうと決意した。
「!?」
突然、ネクの携帯電話に、ミッション通達ではない電話が鳴った。
「電話? ……誰からだ?」
「もしかして……死神?」
「……もしもし……」
『もしもし……ヘッドフォンか!』
ネクが携帯電話を取るとその主はハネコマだった。
彼の声は、切羽詰まっているようだ。
それだけで、危機的状況である事が、ネクにも理解できた。
「羽狛さん!?」
『聞け! ビイトが……消えた……』
「アイツが……消えた!? まさか……」
『いや……消滅はしていない……多分な……』
「多分って……?」
『店から出ていったみたいなんだ……』
「店から出ていった? どうして!?」
どうやらビイトは、バッジの秘密を知るために店を出て行ったらしい。
だがネクもハネコマも、ビイトの事情は知らなかった。
『理由は分からん……でも、急げ! 今のアイツはキケンだ!
アイツには一緒に戦うパートナーがいない。死神に見つかった瞬間、アウトだ。
それに今日は7日目だ。ゲームマスターが参加者に直接手をだせる!
ヤツら……本気で消しにかかってくるぞ』
パートナーがいないビイトは、死神勢力に挑めば間違いなく消える。
しかも、最終日は死神が直接参加者に手を出す事ができる。
敗北すれば、待っているのは……本当の死、すなわち、消滅。
「くそっ!」
『運に賭けるしかないが……とにかく、ゲームを早く終わらせろ!
そうすれば、アイツがやられる可能性も低くなる』
「分かった」
ネクはハネコマとの通信を切った。
「ネク……聞こえたよ。ビイトが危ないのね……」
「ああ……。でも、ゲームが終わればアイツも助かるらしい」
「じゃあ、急いでゲームを終わらせなきゃ」
ネクとシキは、一刻も早くゲームマスターを倒し、死神のゲームを終わらせる事を決めた。
だが、ネクはビイトが店を出た理由が分からない。
(くそっ……アイツ……どうして羽狛さんの所から出てったんだ。
いったい何を考えてるんだ……)
「ネク! 首都高に急ぎましょう! 首都高は渋谷駅をこえたガード下の方よ」
ネクとシキはゲームマスターを探すべく、首都高に行こうとしたが、
黒いパーカーを身に着けた男が道を塞いでいた。
しかも、あちこちに見えない壁があって進めない。
最終日というだけあって、死神側は総力を出しているようだ。
「燃えろ!」
ネクは狼型ノイズを炎のサイキックで燃やし、素早く距離を詰めて連続で殴る。
「いって、にゃんタン!」
シキはネクの後ろからにゃんタンをけしかけ、にゃんタンは狼型ノイズを連続攻撃する。
青い蛙型ノイズの泡攻撃をネクは的確にかわし、
反撃しようとするが蛙型ノイズが小さいため攻撃が当たらない。
さらにたくさんの狼型ノイズの攻撃を受けたためキュアドリンクで体力を回復し、
氷のサイキックでまとめて倒した。
「はぁ、はぁ……」
ネク達はノイズを撃退しながら壁を解放していく。
全ては生き残るため……生き返るため……。
ネクもシキも、それぞれの思いを抱きながら、死神のゲームに全力で挑んだ。
「よく7日まで生きのこったな」
「くっ! 死神!?」
黒いパーカーを身に着けた男が、ネクとシキを見て言う。
彼は、明らかに死神のようだ。
「急いでるの! そこをどいて!」
ゲームマスターを倒さなければ、ミッションをクリアできない。
ビイトもいずれ本当の死を迎えるかもしれない。
二人は一刻も早く、ゲームマスターの下へ向かわなければならなかった。
「どいてやるよ。けど、おまえ達はここで消えるけどな」
死神はそう言って、ネクとシキにノイズをけしかけた。
どうやら、二人をここで消すつもりのようだ。
「そこかっ!」
巨大な鳥型ノイズが二人に襲い掛かってくる。
ネクは空を飛んでいる鳥型ノイズに雷を落とし、さらに氷のサイキックで上から貫いた。
鳥型ノイズはネクに体当たりをしてくるが、ネクはすぐに体勢を整え直し、
シキと共にまとめてサイキックで攻撃。
今の二人は、ゲームに生き残り、蘇生する事に必死だった。
ノイズの力は強かったが、二人は決して諦める事はしなかった。
「……これでノイズはもういなくなったか」
何とかノイズを撃退したネクとシキだったが、二人の身体には傷が多くついていた。
「くそっ……手間取ったな……」
「ビイト……大丈夫かな……」
「心配してもしょうがない。今、俺達にできることをする」
「うん、そうだね。早くゲームを終わらせましょう」
死神のゲームを終わらせて、蘇生する。
それが、今のネクとシキの目的だった。
その頃、二人の下っ端死神はというと。
「あ~あ……やっぱり7日目はヒマねぇ~。今回は残参加者も少ないし……」
「いいじゃナイノ。今週もよく働いたってコトデ」
ヤシロは、上手く動けない事に不満のようだが、カリヤは彼女と逆の態度を取っている。
彼に宥められたヤシロは、すぐに機嫌を取り戻す。
「まぁ……今回のゲームは結構、稼げたわ」
「明日からは楽しい休暇ダネ。次のお仕事まで英気を養いマショ~」
「おい……」
カリヤがそう言うと、後ろから声が聞こえてきた。
「誰? あ、アンタ……」
ヤシロが身構えると、そこにはビイトがいた。
どうやら、彼は死神に何か用があるみたいだ。
「……」
「パートナー消えてんのに、なんでアンタ消えてないのよ!」
「再契約シタ……カ」
「……」
カリヤは、ビイトが別のパートナーと契約した事を知っているようだ。
「ってことは、何? あたし達の所に仇討ちにきたってこと?」
「違う!!」
「はぁ~? じゃあアンタ、何しに来たの?」
「おめぇらに……おめぇらに聞きてぇ事がある!」
ビイトは、鼠のバッジを死神に突きつける。
しかし、今はパートナーがいないために、彼らと戦う事ができない。
「っていうかアンタね……この状況分かってんの?」
「……」
「その気になれば今すぐアンタを消せるんだけど~」
「……」
ビイトは無言のまま、身構える。
「おい……でっかいドクロ、何が聞きたいンダ?」
「ちょっ……狩谷!?」
カリヤはビイトに何を聞きたいかを問いただす。
どうやら、二人はビイトが聞きたい事を知っているようだが……。
「おめぇらは……おめぇら死神は……」
ビイトが聞きたい事は、一体何なのだろうか。
死神のゲームの時間も、残り僅か。
生き残るのは、ネク達か、死神か。
それは、神のみぞ知る……。