すばらしきこのせかい Shibuya Survival 作:アヤ・ノア
二日目の死神のゲームで、ネクとヨシュアはルートが封鎖されている事を知る。
ヨシュアはミッションを無視しようと提案するが、
ネクはエントリー料――最も大切な存在であるシキのためにゲームを勝ち抜く事を決意する。
ミッションは「ルート3」のAuバッジを入手する事。
ヨシュアはカドイからモルコに抜ける通りに向かう事を提案するのだった。
ネクとヨシュアは北東にあるルート3に行こうとした。
途中で見えない壁に阻まれたため、二人はノイズにとりつかれた人を助けた。
「うん……そうだよな。勝負には勝たないと意味がない。
英雄バッジはこの大会でしか手に入らないんだ。
今日こそあのバッジを使うときだ! よしっ! モルコに急ごう!」
マブスラ選手は、大会に出場しようとしていた。
「モルコで『マーブルスラッシュ』大会か……。大会の優勝賞品は『英雄バッジ』……」
「金のバッジだね」
恐らく、ミッションに必要なバッジなのだろう。
「そうか、これか!」
「そのようだね。今回のミッションは英雄バッジ入手の可能性が高いね」
「よし、モルコに行くぞ」
その頃、カリヤとヤシロは……。
「……はぁはぁ」
「お~い、イキテルカ?」
「なんとかね」
下っ端死神もまた、何かに苦戦しており、かなり疲れている様子だった。
「つか、なんなのよアレ……?」
「死神を襲うノイズ……」
「そんなの……ありえない!」
通常、ノイズは死神が生み出し、そのため死神に牙を剥く事はないはずだ。
それなのに、このノイズは死神を襲ってくる。
訳の分からない事実に、下っ端とはいえヤシロは困惑する。
「誰かが作り出したんダロ? 禁断ノイズをサ……」
「禁断ノイズ!?」
通常のノイズより遥かに強力でかつ凶暴なノイズ、それが禁断ノイズである。
無差別に襲いかかるそれは、非常に危険だった。
死神のルールでは、禁断ノイズを作る事はその名の通り、固く禁じられている。
恐らくゲームマスターが作っただろうが……。
「それって重罪よ! 誰の仕業!?」
「どうやらゲームの時間ダナ? 勝負はどちらが早く犯人を見つけだすかってコトデ」
「ふざけてる場合じゃないわ! まず幹部へ報告よ!!」
ヤシロは携帯電話を取り出し、禁断ノイズが作られている事を報告した。
そして、ネクとヨシュアはモルコを目指す。
急いでいるネクとは正反対に、ヨシュアは悠長に歩いていた。
「おい! もっと早く走れよ!」
「ふぅ……僕、疲れるのキライなんだよね」
そう言うヨシュアの背後に、黒いノイズが現れる。
「あっ!? なんだコイツ……ノイズか!?」
「黒い……ノイズ……? いつものとは違うみたいだね」
「どうする?」
撤退しようとするネクとヨシュアだったが、黒いノイズはそれを許さなかった。
じりじりと、黒いノイズが二人に近付く。
「逃げるスキはなさそうだよ」
「くっ、戦うしかない!!」
黒いノイズはカンガルーの姿になり、ネクとヨシュアに飛び掛かってくる。
カンガルーは格闘技を得意とするため、その攻撃力はなかなかのものだ。
ネクは炎を出すサイキックで、攻撃が届かない位置から燃やす。
ヨシュアは携帯電話を使い同じく遠距離攻撃する。
しばらく攻撃すると、カンガルー型ノイズは大きくジャンプする。
「何が起こったんだ?」
「危ない、ネク君!」
「うわっ!?」
ネクの目の前に、いきなりカンガルー型ノイズが急降下してくる。
ギリギリで攻撃はかわせたが、相当な威力だろう。
「急降下してくるって事か!」
「そうだね、影を見た方がいいよ」
ネクはヨシュアの助言を受け、サイキックで攻撃するが、何故かノイズに攻撃が効かない。
「な、なんで効かないんだ!?」
「僕の力が必要みたいだね」
そう言ってヨシュアは携帯電話を使い、物体を落としてノイズを攻撃する。
「……今はこいつに繋ぐしかないか」
ネクはヨシュアと共に、ノイズの攻撃をかわし、サイキックで反撃していく。
パートナーと共に戦わなければ、このノイズと戦う事はできないのだ。
「……おまえは……」
やはりヨシュアはシキと比べて信用ならない。
それでも、生き残るためには、パートナーを信じなければならなかった。
「なんだったんだ……今の黒いヤツ……」
「さぁ……」
時間がかかりながらも、ネクとヨシュアは黒いノイズを撃退した。
なんの予兆もなく襲ってきた黒いノイズに、二人は疑問を抱かざるを得ない。
「ハンパなく強かったな……」
この黒いノイズは今までのノイズより強かった。
その証拠に、ネクの手が少し赤くなっている。
「それだけじゃないよ……。
いっしょに攻撃しないとしっかりダメージを与えられないみたいだったね」
「え……? そうだったのか?」
ネクの攻撃があのノイズに通じなかったのは、ヨシュアが攻撃に参加しなかったからだった。
彼は、戦いの様子をよく見ていた。
怪しさは抜けていないものの、意外と使えるかもしれない。
「あれ? ネク君もしかして……気づかなかったの? 不安だなぁ、パートナーとして。
フフフ……」
ヨシュアはネクをそういう風にしか見ていない。
ますます怪しさが増すヨシュアだが、彼と離れるわけにはいかない。
また黒いノイズが襲ってきたらお陀仏だからだ。
「それにしても……なぜノイズから襲ってきたんだろう?」
「確かに、契約してるのに……」
「……奇妙だね」
ネクとヨシュアは、このノイズの詳細をよく知らなかった。
それでも、このノイズには立ち向かわなければならない。
というより、立ち向かわざるを得なかった。