すばらしきこのせかい Shibuya Survival 作:アヤ・ノア
戦闘シーンを書くのが難しかったです。
死神のミッションを達成できなければ、消滅する。
それを阻止するために、ネクとシキは急いで104に向かった。
スクランブル交差点で、人々の声が聞こえてくる。
ネクはうんざりしていた。
誰の話も聞きたくなかった。
シキを無視し、人々を無視し、ネクは北に走る。
だが、104に行こうとした途端、ネクは見えない壁に弾かれた。
「っつぅ!! 進めない……本当に閉じ込められてるのか」
続けて、シキも合流したが、ネク同様に見えない壁に弾かれた。
「うそっ!! 進めないの? どうしよう……マルシーはこの先なのに」
マルシーに行ける道は、ここしかないはずだ。
それを見えない壁で塞ぐのは、理不尽だ。
(ん……? 視線? 誰か見てる? なんだアイツ……俺達を見てるのか?)
ふと、ネクは誰かの視線を感じる。
視線の先にいたのは、赤いフード付きのパーカーを着た男だった。
男は「パートナー契約……確認」と呟くと、どこかに去っていった。
「どうしよう……この壁どうやって……」
壁を破らなければ、104には進めない。
シキが考えている間にも、時間は刻一刻と迫る。
だが、シキが歩き出すと、何故かシキは道を進む事ができた。
先程までは存在した見えない壁が消えていた。
「あれ? ネク君……進めるみたいだよ?」
「どうなってるんだ?」
「なんかよく分からないけど……ラッキー!」
訳が分からず困惑するネクと、正反対に104に行けそうと喜ぶシキ。
「とにかく、マルシーに急ごう!」
シキが104に向かう中、ネクは腕を組んで何かを考えていた。
(そういえば……あの赤いヤツ……)
ネクは後ろを向き、視線の主を確認しようとする。
しかし、そこにはもう誰もいなかった。
(ん? あれ? いない……なんだったんだ?)
いつの間にか、人の姿は消えていた。
疑問に思いながらもネクはミッション達成のため、シキに続いて104に向かった。
「到着!!」
104、通称マルシー。
看板は花で彩られており、花に囲まれたアーティストが描かれたポスターがある。
二人がそんな104に到着した時、手からタイマーが消えていた。
ミッションを達成した証だ。
「タイマーが消えた……」
「よかった……クリアできたんだ……」
「なあに安心してんのよ」
「何!?」
二人が一安心したその時、どこからか女の声が聞こえてきた。
驚いた二人が振り向いても、そこには誰もいない。
「こんなのクリアできて当たり前だし~」
「誰だ!! どこにいる!」
「まさか……死神!?」
「死神!?」
女の声だけが、104に聞こえる。
姿が見えない女の事を、シキは「死神」と言った。
「どうせアンタ達は遅かれ早かれ消えるんだから。
消えるんだったらあたしのポイントになって消えてね☆」
声と同時に現れたのは、ノイズがとりついた蛙。
最初にネクが見たノイズと全く同じものだった。
「くっ……また、あのバケモノ!」
「ネク君! そろそろバトルに慣れてきたよね? 今度は私の方を意識して戦ってみて」
「はぁ!? おまえはおまえで戦えよ!」
パートナーなんて必要ない、共に戦う仲間なんて必要ない。
そう思っているネクがそんな事を言われたら、そう言わざるを得なかった。
「ノイズを倒すために……お願いっ!!」
しかし、シキは切羽詰まった声でネクに頼み込む。
このまま断れば、またあの蛙に攻撃されて、今度こそ消滅してしまうかもしれない。
「……分かったよ」
ネクは渋々ながら、シキと協力をするのだった。
「いっくよー!」
シキは黒猫のぬいぐるみに自我を与え、蛙のノイズに体当たりさせる。
ネクはヘッドフォンに手を当て、精神を集中させ炎を発生させる。
蛙のノイズがネクに飛びかかってくるが、シキの黒猫のぬいぐるみが蛙のノイズに飛びかかる。
その隙にネクは精神を集中、炎で蛙のノイズを消し去った。
「ネク君! 今度は二人一緒に戦おう! 二人で協力すれば、ノイズを早く倒せるはずだよ!」
今度は二体の蛙のノイズが襲ってくる。
ネクが前衛、シキが後衛に立ち、サイキックで蛙のノイズを攻撃する。
黒猫のぬいぐるみがアッパー攻撃をして、ネクが炎を発生させて焼き払う。
二人の連携は、なかなかのものだった。
「協力とか、鬱陶しいんだよな……」
「そんな事、言わないでよネク君。
そもそも、パートナーがいないと死神のゲームは生き残れないんだよ」
「はいはい……」
こんな時でもネクは他人との協力を嫌がっていた。
だが、共に戦わなければ、死神のゲームで生き残る事はできないのだ。
数分後、ネク達は蛙のノイズを全て消し去った。
「終わったか!?」
「まだだよ、ネク君! あれ見て!」
シキが差した先にあったのは、大きな紋章が取り付いた熊のノイズ。
今までのノイズとは比べ物にならない強さだ。
気を引き締めなければ、倒す事はできない。
「おい! おまえ!」
「何? ネク君!」
「ネクでいい。それと……。足……引っ張るなよ!」
「う、うん!」
ようやくネクは、シキと共闘する事を選んだ。
まだ彼女を完全に信頼しているわけではないが、こんなノイズを一人で相手にするのは、
はっきり言って自殺行為だからだ。
ネクは炎を操り、熊のノイズを燃やす。
その隙にシキが黒猫のぬいぐるみを熊のノイズにしがみつかせ、攻撃させる。
だが、その巨体通りに熊のノイズは怯まない。
「ここは距離を取って戦おう」
ネクとシキは熊のノイズの攻撃が届かない位置に移動する。
幸い、熊のノイズの足は遅いため、追いつかれる事はなさそうだ。
ネクは精神を集中し、炎を発生させ、シキが黒猫のぬいぐるみで熊のノイズを攻撃。
熊のノイズはゆっくり歩いて異形の爪を振りかざすが、
ネクとシキは上手く飛び退いて攻撃をかわす。
その後も、動きが遅い熊のノイズから距離を取り、安全な場所からサイキックで攻撃する。
「力が強くて大きくても、足が遅ければサイキックの敵ではないな」
ネクはそう言って、熊のノイズを炎で燃やす。
危なげなく、熊のノイズとの戦いは終わった。
「ふぅ……何とか勝てたね。クリアできて当たり前……か……」
シキは、女の言葉を思い出す。
足が遅かったとはいえ、ネクとシキが相手したのは強力なノイズだった。
「やっぱり、これからどんどん難しくなっていくのかな……。あと六日間……大丈夫かな……」
本当に生き残れるのか、不安になるシキ。
「私達……生き残れるよね……? 私……消えたくないよ……」
これからも、強力なノイズはネク達に襲ってくるだろう。
死神のゲームに負ければ消滅する。
シキは携帯電話を取り出して、少しだけ不安を和らげる。
一方、ネクは何故自分が死神のゲームに参加させられたのか分からず、頭を抱えていた。
(なんだよ……なんなんだよ……コレ……。どうして俺はこんな目に……。
俺が……消される!? 俺は本当に死神のゲームに巻き込まれたのか!?
もう、ここから……渋谷からは出られないのか!?)
こうして、死神のゲームの一日目は終わった。
ネクとシキはやっとパートナー同士となった。
襲ってくる強力な敵に、ネクとシキは立ち向かえるのだろうか。
次回は2つ目のミッションを攻略します。