すばらしきこのせかい Shibuya Survival   作:アヤ・ノア

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~前回までのあらすじ~

ネクとヨシュアはマーブルスラッシュという大会で優勝しなければならない。
シュウトという少年からゲームのルールを学び、ネクは初戦で勝つ。
しかし、次の対戦相手はシュウトで、彼は強力なバッジを使ってネクを瞬殺する。
だが、別の参加者、ソウタが優勝し、ミッションを達成する。
ヨシュアはシュウトのバッジを細工し、ネクのバッジをシュウトに渡していたのだった。


30 死神ビイト

「おいおい、俺様を無視かよ、このヘクトパスカルども!」

 スクランブル交差点に戻ろうとしたネクとヨシュアの後ろから、青年が声をかけてくる。

 口調通り、今回のゲームマスターの「彼」だ。

「ヘクトパ……もしかして!? ……うぅ、まただ……痛い……頭が割れそうだ……」

 青年の姿を見た瞬間、ネクは頭痛に襲われる。

「やぁ、はぐれ死神さん。今日はいちだんとご機嫌ナナメのようだね……」

当然だ、ゼタつまんねぇゲームだったぜ!! 俺を退屈死させる気か!!

 もっとエッジきかせろよ!! このヘクトパスカルがぁ!

 ミナミモトは、簡単にゲームを攻略されたせいで全く楽しめなかったらしい。

 その怒りをぶつけるように、ネクとヨシュアを罵倒していた。

「ミッションをずっと見ていてくれたんだね。もしかして、ゲームマスターってヒマなの?」

「なんとでも言え。俺にとっちゃ外野の意見はすべてゴミ。クラッシュ!

 まとめて全部捨ててやる!」

 口ぶりからするに、ヨシュアはゲームマスターについても詳しいらしい。

 読者はますます、彼を怪しむと思うだろう。

「フフフ……やっぱりね。でなきゃ、そんな理解不能なオブジェの量産なんてしないよ」

「ヘッ……この計算しつくしたフォルム、一点のムダもないアウトライン、

 この美しさを理解できないとはな」

 ヨシュアはスクラップの塔をじっと見る。

 全てミナミモトが調達し、作ったものだ。

 彼のハイセンスさが分かる逸品である。

「さぁ、問題の時間だぜ。おまえら参加者が7日目以降、生きのこってる確率は?」

 ミナミモトがネクとヨシュアに出題する。

 ここまで読んできた人なら、この問題の答えはすぐに分かるだろう。

「さぁね」

「おまえらのセンスと同じ、0だ!!」

 当然、ミナミモトは死神のゲームの参加者を残すつもりは微塵もない。

 死神としてのプライドが彼を奮い立たせている。

 そして、ミナミモトはメガホンを持って言った。

「センスすらないあわれなロクデナシどもに告ぐ! ()にたくなけりゃ必死であがけ!!

 ま、あがいたところで未来はないけどな!!」

 死神のゲームで死ぬという事は、本当の死を迎えるという事になる。

 これは、ミナミモトが参加者全てを消し去るという自信から言える事である。

「今日は解散だ!! ノーフューチャー」

 ミナミモトが姿を消すと、ネクの頭痛が治まる。

 相変わらずハイセンスである。

「彼、ネク君のこと、スキなのかな?」

「は!? なんでだよ!?」

 そもそも同性だぞ、と付け足すネク。

「だって、ネク君のこと、追いかけまわしてるよ」

「参加者だからだろ……?」

「参加者全員に同じことしてるとは思えないけどね。それとも、僕のせいかな?」

 ヨシュア曰く、ミナミモトはネクだけを狙っているらしい。

 彼のセンスがどこまで高いかは知らないが、ヨシュアが死神と通じている可能性がある。

 恐らく、それもあって、ネクはミナミモトに狙われているだろうと推測した。

 だが、確実な事と言えば、ヨシュアは信用できるに値しない人物だという事だ。

 

「……」

 その頃、とあるビルの屋上で、背中に黒い翼を生やした少年がバッジを見つめていた。

 死神になる事を選んだ、ビイトである。

 

「かつての仲間を手にかける……それが君の任務だ」

「俺の任務……」

 死神になったビイトは、指揮者のキタニジから任務を言い渡された。

 かつての仲間……それは、ネクの事。

 ネクに本当の死を与えるというのが、死神ビイトの任務だ。

「そう、君の組織への忠誠を証明してもらいたい」

「分かった。俺は死神だ。どんな仕事だってやってみせるぜ」

「期待しているよ」

 

「ライム……俺は……」

 キタニジに見送られたビイトは、独り言を呟きながら、鼠が描かれたバッジを見つめる。

 これがライムだろうと彼は思っており、彼女を復活させるために、ビイトは死神になった。

「やってやる。そのために死神になったんだ」

 バッジになっても、ライムは自分を見守っている……それしか、今のビイトにはなかった。

 今のネクは、そんな彼の思いなど、知る由もない。

 

 死神になったビイトに、ネクは挑めるのだろうか。

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