すばらしきこのせかい Shibuya Survival 作:アヤ・ノア
ネクとヨシュアは特殊な結界が施されたポークシティ2階に到着する。
彼らは死神と対峙し、この階のノイズを全て撃破するという条件を達成し、
最上階で待ち構えていたゲームマスター、南師猩との戦いが始まる。
激闘の末に南師を倒したネクとヨシュアだったが、
南師は自らが消える直前、ネクとヨシュアを道連れにするため巨大な爆発を起こす。
その時、ヨシュアはネクを突き飛ばし、大爆発から彼を守るのだった。
49 最後の死神のゲーム
104と書かれた建物に、たくさんの人だかりがいるスクランブル交差点。
信号機のランプが赤から青になると共に、人々がスクランブル交差点を歩き出す。
それは、ありふれた渋谷の光景。
三度目の目覚め。
ネクはまだ、UGに残ったままだった。
すなわち、彼はまた、死神のゲームに参加した事になる。
「くそっ……なんで……なんでだよぉ!!」
シキは取り戻せず、ヨシュアは犠牲になり、いよいよ残ったのはネク一人。
望まぬ結果に、ネクは絶望するしかなかった。
「また……ここから……」
三回も死神のゲームに参加した事で、ネクの精神は深く抉れていた。
「これが俺の……最後のゲーム」
ネクはこのゲームで死神のゲームを終わらせるつもりだった。
彼は目を閉じ、今までのゲームで犠牲になった人達を思い出す。
(俺のせいでエントリー料になったシキ……。俺をかばって消滅したヨシュア……。
ノイズに消されたライム……。死神になったビイト……。消えていった参加者達……)
皆、ネクにとって大切な人だった。
人との関わりを拒んでいたネクだったが、
死神のゲームを体験するにつれて、多くの人々を大切に思うようになった。
世界を広げるには、他人もよく見る事だとハネコマが言っていた。
ネクは彼の言葉を痛いほど思い知る。
失ったからこそ、より一層大切に思うように、と、死神が出したものなのかもしれない。
(俺は負けられない……なんとしても生き残る!!)
ネクは自身の中で決意を固める。
消えていった彼らのためにも、絶対に死神のゲームで生き残る、と。
しばらくして、携帯電話にメールが届く。
メールの内容は、このようなものだった。
ゲーム①
104に到達しなさい
制限時間は60分 未達成なら抹消です
メールの内容は丁寧な口調だった。
男性か女性か、送ったのはまだネクには分からなかったが、
ミッション内容を見ると同時に、ネクの手にタイマーが現れる。
どうやら、また104に行く単純な内容のようだ。
まずはパートナーを探そう、とネクは意気込む。
勝利のカギは、パートナーにあるからだ。
(またハチ公前に行ってみよう。使えるヤツがきっといる……)
その頃、下っ端死神は……。
「あ~あ……」
「どした~? 腹でもへったカ?」
結局、ほとんど仕事ができなかったヤシロはかなりモチベーションが下がっていた。
「仕事……ヤル気が起きないのよ……」
「ヤル気ねえ……んじゃ、ゲームしようゼ。仕事もゲームにしちまえば楽しくなんダロ?
はい、コレ……」
「名案ねぇ……って、それよりなんなの、今回のゲームは!?
さすがにルール違反じゃないの!?」
そんな腑抜けた彼女に火をつけようと、カリヤは彼女にゲームを申し込む。
しかし、ヤシロは彼が渡した紙を見て仰天する。
いくらやる気を起こすためとはいえ、こんな事をするのはルール違反だと。
「今までだってこんなことなかったじゃない」
「まぁ……ギリギリセーフダネ。ルールの網の目を絶妙にすり抜けテル。
限りなく黒に近い白……ダークグレーってコトデ」
「こんなんじゃ仕事にもならないわ。
今回のゲームマスターは虚西さんなのに……全然イイトコ見せられないじゃない!!」
「あの鉄仮面ネェ~」
このメールを送ったのは虚西充妃という女性だ。
彼女は死神の中では非常に厳しい事で有名らしい。
ふと、カリヤはこれまでの死神のゲームで起こった事を思い出す。
「まぁ確かにここ最近の死神のゲームはおかしいネ。3週連続で開催なんて俺も初めてダヨ。
コンポーザーはどういうつもりなのカネ~」
二回以上死神のゲームが起こる事は珍しいらしい。
コンポーザーが誰なのかは、死神にも知らされていないらしいが、
どう考えてもこれは異常事態だった。
「あたしはもっとこう……なんていうの? そう! やりがい!!
やりがいのある仕事がしたいの!」
「どんな仕事でも心をこめてやればやりがい出るってもんダヨ?」
ヤシロはごまかすような口振りで言うが、カリヤは先輩としてあっさりと返す。
「なんか、狩谷が言ってもぜんっぜん説得力ないんだけど……。フン、まぁいいわ。
こうなったら最高の仕事してやろうじゃないの」
「イイネ~、その調子で行ってミヨ~」
やっとやる気になったヤシロを、カリヤはさらに鼓舞していく。
「ま……俺らが現場に着くまで、参加者が生きのこってればの話だけどネ」
カリヤのこの言葉は、現在の状況を表しているかのようだった。