すばらしきこのせかい Shibuya Survival   作:アヤ・ノア

57 / 72
~前回までのあらすじ~

ネクとビイトはゲームマスターを探すが見つからなかった。
そこに代行の八代卯月が現れ、ビイトのバッジを奪ってミッションをクリアすれば返すと言う。
ネクとビイトは八代のミッション、『死神あそび』04を解こうとするが、内容を忘れてしまう。
サラリーマンの『死神さん』を参考にするが、結局ミッションの内容は分からなかった。


57 流行

「くっ!」

 先に進もうとするビイトだったが、壁があって先に進めなかった。

「俺じゃぶっ壊せねぇ。他の場所へ行こうぜ!」

 サラリーマンを追いかけるために、ネクとビイトは別の道に行った。

 まずは、忠犬ハチ公像前に行ったが、サラリーマンの姿はなかった。

 

「うふふ☆」

 どこかから、死神の少女の声が聞こえてくる。

「今のは……死神だよな?」

「何やってるんだ?」

「おい! ヘッドフォン、おっさんはここにはいねぇみてぇだ。違うところを捜すぞ!」

 

 サラリーマンを捜して、ネクとビイトは渋谷を歩き回った。

 すると、センター街入口に、サラリーマンの姿を発見する。

「ふぅ……」

「うふふ☆」

 サラリーマンとすれ違いに、ヤシロがやってくる。

「ん? 今、ピンク頭がいなかったか?」

「ああ……笑いながら逃げてったな……何なんだ?」

 ここには既にサラリーマンはいなかった。

 ネクとビイトは次に、渋急本店前に行った。

「見つけたぞ、裏切り者」

「ちっ……またかよ」

 だが、ビイトを狙う死神に襲われてしまう。

「消えてもらうぜ」

 降りかかる火の粉は払うしかないと、ネクとビイトは死神と戦い、退けた。

 

「飽きずに襲ってきやがって。ったく……めんどくせぇな」

「ボヤいてもしょうがない。行くぞ」

 

「はぁ……。俺は……どうすればいいんだ……。

 俺は何をやってもダメなんだ……。もう……どうでもいいや」

 104ビル前には、王子とミッキー(マコト)がいた。

 しかし、何故かマコトはネガティブ思考になっていた。

「あれ? ミッキー?」

「王子……さん」

 そんな彼を励ましているのは、王子だった。

「どうしたんだい、ミッキー。元気ないね」

「……俺……何やってもダメなんですよ。

 何かが掴めた気がして独立したけど、上手くいかないんですよ……。

 思いどおりにならないんです」

「ラーメン屋……あれからどうしたんだい?」

「ああ……今は休業中ですよ」

 以前、マコトは王子とラーメンに関して揉めていた事があったが、ネク達に助けられた。

 しかし、すぐに落ち込むのはどうもあり得ない。

「立ち上げの時はあんなに活き活きしてたのに……」

「売り上げがだんだん落ちてきてね。どうすれば売れるか分からなくなったんですよ」

 マコトは様々なラーメンを作ったのだが、どうも「美味しい」味にはならないようだ。

 そのため、マコトのラーメン屋は現在、絶賛開店休業中である。

 王子はタレントとしてマコトに助言しようとした。

「……ミッキー……知ってるかい? この渋谷はトレンドによって大きく左右される」

「ああ……前に聞きましたよ。だからトレンドに乗ればいいんでしょ?」

「トレンドってね……乗るだけじゃダメなんだよ。

 流行してるから……それだけの理由で服を着たってすぐ飽きがきちゃうんだよ。

 服はね、自己表現をするものなんだ。だから、無理してトレンドに乗る必要はないんだ。

 着たいから着る、これが基本なのさ」

 流行に左右されず、自分のやりたいようにやる。

 それは、ハネコマが言っていた事と似ていた。

「大切なのは、トレンドをどう自分に活かすか……っていうことなんだよ」

 ラーメン屋にとっても、書き手にとっても、自分を表現するのが最も大事である。

 「ブーム」「バズる」が虫を表すように、所詮、流行というのは花に群がる虫に過ぎない。

 何にも左右されずに自分の意見を貫く事こそ、作り手には最も大事だという。

「……自分に……活かす……」

 落ち込んでいたマコトだったが、また王子に励まされたようだ。

「……っと、そろそろ次の仕事の時間だ。じゃあね、ミッキー」

 そう言って、王子は去っていった。

 

「着たいから着る、やりたいからやる。じゃあ俺は……何がしたいんだ?」

 王子から助言されたマコトだったが、今度はまた、別の悩みを抱えてしまった。

 ネクはマコトをスキャンしてみたが、彼の周りにノイズはいなかった。

 つまり、これはノイズのせいではなく、マコトのせいだという事になる。

 

「じゃ、次はこっちだな」

 ネクとビイトが西口バスターミナル前に行くと、

 あのクイズ死神がいたが、どこか様子がおかしい。

「……突然ですが、私、今日を限りに引退します!」

「い、引退!?」

「渋谷の謎をみなさんに振りまく、そんな仕事を生きがいにしてきましたが、

 それも今日で終わりです。訳は聞かないでください。

 サヨナラの代わりと言ってはなんですが……今日の死神クイズは、

 スペシャルバージョンでお送りします!」

 これが最後の死神クイズである。

 ネクは気を引き締めてクイズに挑んだ(ビイトは頭が良くないため不参加)。

 ちなみに、クイズの内容はこんな感じである。

 

 第1問

 ノイズレポートナンバー42のサイケフォックス、

 緑色のキツネ型ノイズであるこのノイズは色々なものに化けて参加者を驚かすのが得意です。

 では、このノイズが実際に化けることがあるのは次のどれ?

 A:きのこ B:たけのこ C:すばらしきこのせかい

 

 第2問

 マブスラ、遊んでますか? マブスラで遊ぶと装備バッジにBPが入るそうです。知ってました?

 さて、ここで問題! マブスラでゲーム終了後に表示される絵は次のうちどれ?

 A:シキ B:シュウト C:にゃんタン D:ライム

 

 第3問

 今、渋谷で大人気のマーブルスラッシュ。このゲームのキャッチフレーズは次のうちどれ?

 A:マブマブスラスラ!! B:爆炎必勝!! C:みんな集まれ!!

 D:健康第一!! E:サイン!コサイン!!

 

「――A、B、Bだ!」

「大正解!! この壁を開放します」

 そう言って、死神は西口バスターミナル前の壁を開放した。

「サヨナラは言いません。またどこかでお会いしましょう。グッドラック!」

 顔はパーカーとマスクで隠れていたが、どこか寂しそうな様子で、死神は去ろうとした。

 その直前で、死神は何かを思い出した。

「あっ、そうそう。食べかけですけど、これを記念に差し上げます」

 そう言って死神は、ネクに食べかけのホットドッグを差し出した。

 シンプルで美味しく、ジューシーなソーセージがパンから飛び出るほどのボリュームだ。

 死神が食べたものを食べていいのだろうか、とネクは首を傾げていたが、

 ビイトは「まあいいだろ」と言った。

 

「とにかく、壁は開放されたんだ。この先に、俺が探すものがある。

 ついでにあのおっさんも捕まえるぜ!」

「……ああ、分かってるさ。『死神あそび』04って一体何を指しているんだろうな」

 

 ネクとビイトは開放された道を通ったが、渋谷駅ガード下には壁があった。

 仕方なく引き返すと死神が襲い掛かりこれを撃退。

 AMX前に辿り着いたネクとビイトだったが、サラリーマンの姿はどこにもなかった。

 

「くっそー、おっさんどこだ……」

「うふふ☆」

 ヤシロがAMX前にいるのも、ビイトは気づいていなかった。

「おい……また死神が……」

「あん? なんだよ」

「死神が笑いながら逃げていったんだ。見なかったのか?」

「今はピンク頭よりおっさん捜しだろ?」

 ネクはビイトの言葉に首を横に振った。

 本当に『死神あそび』04は『死神さん』なのか、ネクには分からないからだ。

「おい……なんだかおかしくないか? あの死神……俺達をつけまわしてるような……」

「あん? そうなのか?」

 ヤシロは去る間際、ミッションをネク達に出した。

 その内容が何なのかは分からなかったが、達成できなければバッジを破壊されてしまう。

 なので、ネクとビイトはミッションを遂行しようとしたが、まだ内容が分からなかった。

「なあ、今日のミッションは……」

「ヘックション! ヘックション!」

 ネクがミッションを聞こうとするが、肝心な部分がくしゃみで隠れてしまった。

 わざとやっているのか、ネクは首を傾げていた。

「あ~、スッキリした。よし! 行くぞ、ヘッドフォン。

 おっさんを見つけねぇとクリアできねぇぞ!」

(だから違うと思う……)

 どう考えても、あのサラリーマンを捕まえるのがヤシロの出すミッションとは思えない。

 だが、それをビイトに伝えても、またはぐらかされるに違いない。

 呆れたネクは、ビイトに渋々ついていくのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。