ゲヘナ某所
~先生視点~
モモトークに記された座標の近くまでたどり着いた。
「ふぅ。送られてきた座標はこのあたりのはずなんだけど...」
そう独り言を呟く。辺りは校舎が複数建てられており、座標はそのうちの一つを示している。
こんな深夜の学校でなんの用なんだろう。そう思いながら校舎へと歩を進める。
なぜこんな深夜にゲヘナの校舎まで来たかというと、昨夜、突然ハルカからモモトークでここに来るようにメッセージが送られてきたのだ。要件が送られなかったので気になってモモトークで尋ねてみたが未だに未読のままだ。仕方がないので直接会って聞いてみることにする。
校舎の外にはぱっと見いないようなのでハルカは中にいるのだろうかと思い玄関に向かう。
玄関は深夜にもかかわらず開かれていた。いや、開かれているという表現は間違ってはいないが適切ではない。玄関は中央の鍵穴がある辺りが銃で吹き飛ばされており、何者かが無理やり校舎内に侵入したであろうことが予想できる。
その様子を見て、これは朝になったら風紀委員の子たちが大慌てだな、せっかくここまで来たんだしハルカの用事が済んだ後は片付けを手伝ってあげようとぼんやりと考えていたが、ふと我に返る。今この校舎にはハルカがいるはずだ。もしかしたらこの玄関を破壊した犯人と出くわしているかもしれない。ハルカの身に危険が!そこまで考えついた瞬間には体が勝手に走り出していた。
「おーい!どこにいるんだ!!」
廊下を走りながら叫び続ける。今のところ自分の声だけが校舎内に響いていて銃声は聞こえない。ハルカは今うまく隠れているのだろうか。もしそうであるならば今自分が犯人の注意を引き付けている間に安全なところまで逃げてほしい。しかし、もうすでにハルカと犯人が会っていたとしたら...
そうして廊下を走り階段にたどり着くと、ハルカがおどおどした様子で階段の上から姿を現した。
「せ、せせせせ、先生!?どうして先生がここに...!?」
ハルカが酷く驚いた様子で声をかけてきた。
「...?待って、説明は後。今玄関を壊して学校に侵入した人がいるみたい。危ないからすぐにここを離れるよ」
ハルカにそう伝え、窓から飛び出して逃げようかなどと考えている間、ハルカは全く動こうとしなかった。今は詳しく説明する時間が惜しい。そう思いハルカの手を引こうとした時、ハルカが口を開いた。
「あ、ああ...すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみません...げ、玄関を破壊したのは、わ、私です...」
...えっ?あれハルカがやったの!?
「そ、それはつまりハルカが玄関を壊したってこと?」
慌てて同じことを聞き返してしまった。
「は、はい」
ああ。ハルカが壊したのかぁ。そっかぁ...あっ
「じゃあここにはハルカと私以外には誰もいないってこと?」
「?え、ええ。こ、こんな深夜ですし...少なくとも私が入ってから先生以外に誰かが入ってきた気配はないので...」
よかったぁ。学校に侵入した不審者はいなかったってことか。もしカイザーの奴らだったらどうしようかと思ったよ。ハルカが無事でよかった。
...いやよくないよ!玄関を壊してこんな深夜に何やってるんだよ、ハルカ...
「と、ところで先生。先生はこんな所で何を?」
「それはこっちのセリフなんだけど...ハルカ、メッセージ送ってくれたでしょ?それにここの座標があったから来たんだよ」
「...!!!す、すすすすすみません!た、たた、大変失礼なことを...!わ、私、先生に送ろうとしたわけではなく...間違えて...!間違えて先生に送ってしまっていました...!すみませんすみませんすみませんすみません...」
「大丈夫だよ、ハルカ。私だってメッセージの送り間違いはしょっちゅうするし。間違いは誰にでもあるよ。ところでハルカはここで何をしていたの?」
「ば、爆弾を...爆弾を設置していました。えっと...便利屋への依頼で...明日、どうしても遅刻させなきゃいけない人がいるみたいでして...その人がここを通るときに爆破させれば...遅刻させられますから...永遠に...」
それは遅刻させるどころか病院送りになっちゃうよ...
「それじゃあ設置した爆弾は危ないから全部回収しようか」
「えっ、回収ですか...い、いえ、先生の言葉を否定しているわけではなく...はい、先生がそうおっしゃるなら...」
学校のあちこちに設置された爆弾の回収には骨が折れた。全ての爆弾を回収しきる頃にはちょうど朝日が差し込みかけていた。
「せ、先生、今日は本当に...すみませんでした...こ、こんな時間から先生にご迷惑をおかけして...」
「構わないよ。それに夜の学校をお散歩するっていうは楽しかったしね」
「で、でも...あっ、では、お詫びとして上納品を...お、お渡しします...受け取ってください...」
ハルカはそう言って私についてくるように促す。
その様子をカタカタヘルメット団の一人が見ていた。彼女はハルカの姿を確認するとすぐさま携帯を取り出し仲間へ連絡した。
「おい、便利屋の一人を見つけた。第8校舎の近く、今、後をつけてる」
―――――――
ハルカが案内してくれたのはゲヘナ辺境の廃墟だった。
「せ、先生、こちらです...」
ハルカが廃墟に入っていくので後を追う。しばらく廊下を歩き続けるとハルカはとある部屋の前で足を止めた。
「こちらです」
ハルカが扉を開けるとそこには荒れ果てた部屋が広がっていた。廃墟なのだから廃れているのは当然なのだがこんな所に“上納品”があるのだろうか?
ハルカは部屋に入ると真っすぐに壁際の戸棚に向かっていく。一番上の段に飾ってある鉢植えを一つ手に取ると、落とさないように注意しながら私に差し出した。鉢植えからは何かの葉だけか出ていて、茎や花といったものが見当たらない。
「こ、これが...上納品です...」
「ありがとう。これって葉っぱしかないけどどういう品種なの?」
「こ、これは歩道の端っこに生えていた...ざ、雑草です...」
「すごく綺麗に育ってる。ハルカは凄いね」
「わ、私には勿体ないお言葉です...あっ、そういえば...そろそろ水やりを、しなくては...すみません先生...少し、水を汲んできます...」
ハルカは部屋を出てほんの数分で、じょうろに水を汲んで部屋に戻ってきた。私を待たせないためなのか小走りで駆け込んできた。急いでいたハルカは明るくなってきたとはいえまだ薄暗いせいで、足元の瓦礫に気付かず躓いて転んでしまった。
「怪我はない!?ハルカ、痛くない?」
「は、はい。大丈夫...です。そ、それに私のことなんかよりも...せ、先生に、水がかかってしまいました...は、早く拭かないと...」
「このくらいすぐに乾くから大丈夫だよ。それに怪我がないようでなにより...」
私がそう言い終ろうとした瞬間だった。
3人組のスケバンが扉を蹴破り部屋になだれ込んできた。必死に抵抗を試みたが、あまりにあっさりと私は捕まってしまった。スケバンは私の首に腕を回して絞め、空いた右手で銃を私の頭に突き付けている。
「先生を助けたければ銃を捨てて大人しく投降しろ!」
「死んでください死んでください死んでください死んでください!」
ハルカが私を人質にしているスケバンに向かって突撃する。スケバンたちはハルカの行動の早さに驚き、一瞬動きを止めた。その隙にハルカは銃弾を撃ち込もうと引き金を引くのだが
「あっ」
ハルカは先ほど溢してしまった水で足を滑らせて体勢を崩してしまった。そして運の悪いことに、スケバンの顔面を狙っていたはずの銃口は私の方を向いていた。
一発の銃声が響いた後、私は意識を失った。
ところで先生は〈玄関の破壊と爆弾設置〉についてハルカを叱らなきゃいけないのでは?叱る前にお寝んね(物理)しちゃうのは教育者としてあるまじき姿。ちょっと夜更かししただけで情けないね。あとキヴォトスでは銃撃戦は日常なんだからしっかり体を鍛えて一発くらいは耐えられるようにしなきゃね。一発で倒れられると撃った生徒が罪悪感を感じちゃうしね
ちなみにアロナちゃんは夜なのでぐっすり寝ていると思います。アロナバリアは昼限定。子どもだから仕方ないね。
初めて小説を書いてみましたが結構大変ですね。ところで見切り発車でここまで仕上げましたが、この後どうしよう...ハルカが先生を撃ったってアルちゃんが聞いて、「な、なんですって~!」って白目むくのしか考えてない。
この作品を作るのにモモトーク等は何回か見直しましたが、性格やらなんやらなどで矛盾していないか不安です