さらば、掲げろ。平和の象徴。 作:チョキ
トシに思わせぶりなこと言われてしばらく。
私とトシは無事に雄英高校に入学することができた。
特に感動はない。だって、どこのヒーロー科も定員割れを起こしている。
この御時世、ヒーローにわざわざなりたがるやつはいない。僕は人のために死にたいんです、っているようなものだから。まぁ、トシにはピッタリかな。
地元の世紀末タウンから抜け出て割と都会の方に出てきたが、結構いいところだ。荒れ果て具合はマシになったかなってぐらいだけども。
それに、友達だってできた。
将来は俺たち犯罪者確定だぜみたいな同級生はもういない。
今や私の同級生はみんなトシみたいなイカレ野郎のいい人ばかりだ。たった数日でそれがわかるほどのいいやつら。
ヒーロー科って進学したいとは思ってるけどバカ過ぎて進学できない奴らの受け皿だと思ってたんだけど、違ったみたいだ。
少なくともここは素敵な場所である。
今日は同じクラスのあやちゃんとさやちゃんと私で街までショッピングに出かけた。
辺りでは数少ない、まだ営業を続けてくれるレストランでパフェなんかを楽しんだ。
パフェ自体は食べたことはあったけど、どうにも違う味なような気がする。甘いのって、こんなに美味しかっただろうか。
私がスイーツに舌鼓を打っていると、二人がニヤニヤとした笑みを浮かべる。どうしたのだろうと思っていると、なにやら包装された箱を取り出してくる。
どうやら私も忘れてた誕生日を祝うために今日は街に誘い出してくれたらしい。
余りに嬉しすぎて、泣いてしまった。
こんなことは始めてだったから。
箱を開くと、そこには が入っていた。
私は を手に取り、髪を後ろでまとめる。
この日は、私の青春を彩る忘れることのできない1ページとなった。
体育祭が始まる。
雄英高校はこの世紀末な世の中でもそこそこ有名らしく、体育祭とは名ばかりのコロシアムでの決闘を開いていたようだ。そこにはかなりの量の観客も入るらしい。
そしてそれはもちろん今年も例外ではなく。
私のクラスはあやちゃん、さやちゃんと私しか女子がいないため、3人でひっそりと女子で勝ち抜く同盟を結んだ。頑張るぞ。
もちろん、気合を入れているのは私達だけでなく、トシも頑張っている。
相変わらず志村さんとの修行は続けていて、グラントリノとかいうイケメンにもしごかれているようだ。今学年堂々の優勝候補らしい、生意気な。
他の人から話を聞くに、決闘まがいのことしかしなくなったのは最近らしい。
今まではかろうじて普通の高校のような体育祭もできていたらしいのだが……残念ながら近年の不況でそれも難しくなったらしく、会場さえあれば元手ゼロ円の決闘が種目として選ばれたらしい。
最近は結構学生らしい楽しみを享受していた私としては、嘆かわしいことだと声を大にして言いたい。
出番が来た。
初戦はなんか燃えてる感じの人。ボコボコにしてやらあ。
「よろしくね。女だけど、別に手加減はいらないよ」
「元よりそのつもりだ」
なんだか武人みたいな人である。
とりあえず私は履いてたお気に入りの靴を片方脱いで個性を使う。
相手を場外に出せば勝ちらしいし、はい、突風。
燃えてる人は吹き飛ばされて終わった……と思いきや炎を用いた飛行を開始して場外を回避した。
えー、ダウン勝ちしかないのかよ。めんど、と思いつつも靴のもう片方に個性を使い、全身に行き渡らせる。
個性のその作業が完了したことを理解すると同時程度に、轟くんから炎がとんでくる。
強化された身体の横っ飛びで回避するが、すぐに次が飛んでくる。
しばらく回避を続けていると、火力が落ちて来ているのに気づく。
ははーん、さては限界があるな? と思った私は炎に対して跳び込む。火傷を免れるために着ていたジャージに個性を使う。
炎専用バリアを張って炎の海を乗り切った私の目の前には飛行を続けている燃えてる人。
パンチでも食らわせようとしたが、思ったより跳びすぎて燃えてる人の頭上まで行ってしまう。
そうなってしまえばもうやるしかない。
私の必殺、カカトオトシ。
体育祭が終わってしばらく。
え? 体育祭の結果?
私が決勝まで行ったけどトシにボコボコにされて終わったよ。あいつ、並の物じゃ太刀打ちもできん。
話を戻して、体育祭が終わってしばらく経ったのだが、職業体験兼インターンをするらしい。
人手不足の昨今、仮免許はこの段階で自動付与される。なかなか甘い制度だ。
私は適当なところに行こうとしたのだが、トシと燃えてる人こと轟くんの猛アピールに苦しんでいる。
轟くんは体育祭でボコボコにしてから私に執着しているご様子。ついでに、その私をボコボコにしたトシにも。
そんなこんなで、私は結局どちらのアピールにもなびかずに安定のあやちゃんアンドさやちゃんコンビのもとへと向かいトリオを結成したのであった。
剣崎綾、武道沙也の2名はインターン中、ヴィランの個性犯罪の対処中に死亡した。