2/3前回で終わってたので今回はかなり素早く仕上がりました。毎回これくらいの速さであげれたらどんなに楽か......。
評価バーに黄色が着きました。嬉しいね!
もっとくださると喜びますので是非どうぞ。
ビナーをボコボコに虐めた五条と夏油。
そして今しがた自らのビームと七虹龍のアイアンテールで戦う最後の気力を失い倒れ伏す。
そんなビナーに近寄るのは、呪霊操術使い、夏油傑。
「私の思っていることは正しいのかどうか、試させてもらうよ」
そして、ビナーの目の前で手を翳す。
前に突き出した右手を左手で押さえつつ、意識を集中させる。
「神秘とはこの世界に満ちるエネルギーだ。そして、私達の扱う呪力はその真逆に近い性質を持つ。
即ち、膨大な神秘を宿すお前を
術式────この世界的に言うなれば『能力』────や識別子は反転の必要がない。神秘はそのまま取り込んでも夏油にとって価値がないので、反転させなければならないのだ。
反転術式とは、負のエネルギーである呪力どうしを掛け合わせて正のエネルギーを作り出す技能だ。マイナス掛けるマイナスがプラスになるのと同じことである。説明するのはのは単純だが、実際に行うのは非常に難易度が高い。これを他人に向けて使用し生命を活性化させるなど尚更である。
だが、今必要なのは『負を正にする』のではなく『正を負にする』こと。つまり、ビナーの神秘と同量の呪力を込めれば、ビナーの神秘を反転させて呪力化できる。
自身の呪力消費は倍にはならないが、そもそもビナーの神秘量を反転させるのに使う呪力量がとんでもなく多いので対して変わらない。
とにかく、手筈は整ったので、夏油は調伏を開始する。
まずはビナーの神秘を自身の呪力で覆う。そして、飲み込めるサイズにまで一気に圧縮する。
「ぐっ....................流石の量だね」
反転させたあとの正の呪力を扱う感覚で、ビナーの神秘を無理やり一口(特大)サイズにまで押し込めることに成功した。
「さて、ここからだね」
取り込むのに必要な莫大な量の呪力を呪霊達から《喚》を用いて抽出し、少しずつ神秘と掛け合わせていく。
大量の呪力を消費する故に、等級の高い、もしくは保有量が多い呪霊の呪力を優先して使って神秘を塗り替えていく。
そして───────────
──────────反転が完了した。
「第二段階はクリアだね。さて、どうなるか................」
そして夏油は口を開け、黒い球体を丸呑みする。
ごくり、と飲み込むその瞬間───────夏油は驚愕に目を見開く。
飲み込んだあと、なんの反応もせずに立ち尽くしていた親友を見かねた五条が声をかける。
「おい傑ー?どったの?」
「いや..........
だが、それよりも驚いたのが......................このビナーから『トマトの味がした』ことだ」
酷く驚き、重大そうに語る夏油に対して、はぁ?と首を傾げる五条。
「悟には言ってなかったか。呪霊を取り込む時の球というのはね、吐瀉物を処理した雑巾のような味がするんだよ。私はそれをもう幾度となく味わってきた。気が狂いそうだったが、あの時は大義のために我慢できたんだ。最近はあまり積極的に取り込みをしていなかったのもあるね。だけど、こんなにスッキリした味は初めてだ。これも神秘の力なのかもしれないね.............」
吐瀉物を処理した雑巾の味を想像出来ない五条だが、よくわかんねーけどオ゛ッエ゛ー!!と言っていた。
こいつ、人の苦労も知らないで.....................と若干キレた夏油であった。
「.................そういえばこのガキンチョどうすんの?」
「学生証があるね..................アビドス高校二年?随分と先輩じゃないか」
超重要議論(仮)が終わった二人は、先程助けた少女に向き直る。
ガキンチョ等と抜かす五条は自分より2つも歳上であることを知っても態度を改めない。いつも庵歌姫を煽っていたのと同じ調子である。
「せっかくだし送ってってやろうぜ。アビドスってどこ?」
「探そうか?」
そう言うと夏油は飛行可能な小型呪霊を取り出し乗る。そして空高くから広大な砂漠を見渡し、校舎をいくつか発見する。
だがひとつを除いて砂に埋もれているのが見えるため、比較的綺麗な残りの方に向かうのが良いだろうと結論づけた。
「悟、あっちだ」
「はいよ」
・・・・・
先輩が来ない。
いつものんびりとしていてマイペースだし少し抜けてる自由な人だったけど、毎日学校に来て生徒会長として頑張っていた先輩が。
昨日叱って喧嘩別れになってしまったことを引きずっているのだろうか。
だが、連絡のひとつもなく、メッセージアプリにも返信はおろか既読すらつかない。
嫌な予感と冷や汗が背筋を伝う。
時刻は昼をとうに過ぎている。
だんだん焦り始めてきたその時だった。
「................は?」
見たこともない巨大なサイズの機械の大蛇が腹をうねらせながらこちらに突っ込んできているのを見たのは。
・・・・・
「なんかスゲーよな、こういうの。試運転どうだった?」
「巨躯の割には砂上でもなかなかのスピードだね。術式はまだ使ってないけど、それにしても普段使いするには大きすぎるかな」
アビドス高校・校門前。
バカ二人は何を考えたのか、調伏したばかりのビナーにまたがってよその学校へと訪れたのだ。
ビナーから夏油と少女を抱えた五条が降りると、夏油の手の中に消えた。
「もしもーし。人いるー?」
呑気に大声で人を呼ぶ五条。
その声に応えたのかそうでないのか───十中八九そうでない────、一人の生徒が銃と盾をを構えて現れる。
「何者だ、お前ら!!」
こちらを強い眼光で射貫くオッドアイの小柄な少女は、夏油の眉間に照準を合わせた。
「うわ、傑めっちゃ警戒されてんじゃん、ウケんねー」
「君も同じだろう悟。それにアレで行こうなんて言い出したのは君なんだから責任くらい取ってくれよ」
どう考えても場違いな余裕な会話をする二人に拍子抜けしたが、少女を抱える五条を見た瞬間に再び目の色が変わる。
「お前ら、ユメ先輩に何をした!!」
「何って................あぁ、そういうことね」
ニヤニヤと悪い笑みを浮かべる五条、あこれ絶対やらかすなと思った夏油は後始末の準備をする。
「こいつは俺らが助けた」
「...............とりあえず中に入れて貰えないかな?彼女もこのままの体勢では辛いだろうからね」
火に油を注ぐことを言わなかったことには安心したが、未だ状況は悪く、相手には話を聞いて貰えそうにない状況。
そこで、夏油は案内を求めた。両腕を軽く上にあげて『降参』のポーズをしながら。
「............着いてきてください。怪しい動きをしたらすぐに撃ちます」
*****
アビドス高校・応接室。
オッドアイの少女と対面するように五条と夏油は腰掛ける。五条は左脚を右膝に乗っけていて客人とは思えぬ尊大さである。
ちなみに保護した少女──ユメ、と言うらしい──は目の前の少女がどこかへ運んでしまったので今はいない。
「.......で、ユメ先輩について説明して貰えますか」
「まぁとりあえず自己紹介から。私は夏油傑、隣のこっちは五条悟だ。2人ともゲヘナの中等部三年だよ。..................こら悟、脚」
ニュートラルに展開された無下限のせいで触れないと知りつつもぺし、と叩こうとする夏油。
「ん゛あ゛ー、ダル」
当の五条はそう言い軽く欠伸をしてから足を戻した。
ちなみに目の前の少女は五条を本気で訝しむ目で見ている。
「ま、説明はしてやるよ。
都市伝説的なやつを追っかけてこの砂漠に来たら、アイツが変なのに絡まれて死にそうになってたから保護ったっつうワケ。OK?」
「色々と言いたいことはあるけど概ねはこの通りだね。
『砂漠の大蛇』を追ってここに来たんだけど、それを見つけた頃には当の大蛇に彼女が襲われていてね。軽く助け出して倒してきたというわけさ」
「『........砂漠の大蛇』?なんですか、それ..........って、もしかしてさっきの.........」
言いかけて言葉に詰まる。
そもそも彼女が外に出てきたのは『窓の外に見えた機械の大蛇』が理由だ。それと繋がりがあるかもしれない。
「.........倒してきた、って言ってますけどさっきここにいましたよね?今はいないですけど」
五条と夏油はその言葉を聞き顔を見合わせる。
五条の透き通る蒼い六眼は「まぁいいんじゃね」と言っている........ように見える。夏油も顎に手をやり少し考えてから話す。
「あぁ、それね。私が調伏したからもう大丈夫さ。ほら」
理解が追いついていない少女に外を見るよう誘導し、校門の外にビナーを喚び出す。
夏油が手を翳した瞬間外に現れた機械蛇に少女は呆然とする。
「私にはそういう能力があってね。こういう化け物を大人しくさせて仲間にするというものさ」
夏油が指をクルクルと回すと、ビナーは突如スピンを始める。その風に砂が巻き込まれて軽い砂嵐が起こりかけて、慌てて止める。
「............理解はしてないですけどとりあえず納得しておきます。それで、あの蛇を倒して仲間にしたからもう無害だと?あなたがそれだけの力を持つ化け物を仲間にしているなら、キヴォトスを滅ぼしたりできるんじゃないですか?」
変わらず危険視するような目でこちらを見る少女。
答えたのは夏油ではなく五条だった。
「んなことしねーよ。俺たちは学園生活ってのを結構楽しみにしてんだ、それを全部潰して何になる」
夏油はそれに続く。
「悟の言う通りだ。私はキヴォトス滅亡を企むとか、そんな間抜けな
相変わらず猜疑的であるが、ひとまず信用して貰えたようだ。
「まぁユメ先輩は現に死なずに帰ってきましたし、とりあえずはあなたたちのことを信じることにします。あと私は小鳥遊ホシノ。」
「ふーん。ホシノ、ねぇ.........................」
五条がサングラスを下にズラす。
そして少女────ホシノの目を、透き通るような空の色を映した双眸が覗き込む。
「................いいね、君。有望だよ」
「は?有望ってなんですか。というかあなた私より年下ですよね?」
「んいや?自分の身に秘めてる力がどれくらい強大か、わかんない?」
それを聞いたホシノは驚く。
自身を強く在らせる力。それはきっと先輩であるユメよりも圧倒的だとホシノは気づいている。
「俺さ、そういうの
「オマエが
小鳥遊ホシノは困惑した。
*****
それからというもの、二人は時々アビドス高校に訪れるようになった。最初はユメの容態確認という名目だったが、彼女が恩人である彼らを前に「いつでも来てね!!歓迎するわ」と言ってしまったせいで、時々彼らが乗り込んでくる羽目になったのだ。ある時は「不良襲われてダルかったから逃げてきたわ」とどこからともなく五条が現れ、またある時は「この辺りは物資を買えるのかい?ちょうど私たちは使わない武器類が手に入ったからお裾分けしようじゃないか」と巨大な麻袋に武器弾薬をこれでもかと詰め込んで空から夏油がやってきた。
アビドスの2人にとって五条と夏油は、前触れもなく現れて突然いなくなる嵐のような存在であるが二人とアビドスの仲はかなり良好と言えるだろう。ホシノは五条をウザがっているが、夏油に対してはまだマシな対応である。これも人徳。
そんなある日。ふたりが揃ってアビドスに遊びに来た時に、ユメが聞いた。
「悟くんと傑くんは、アビドスに入るつもりは無い?」
んー?と振り向く五条と首を回して顔だけユメの方に向き直る夏油。
五条はココアシガレットを咥えながら雑誌を読んでおり、夏油もそれを覗きこんでいた。
「んー。ありっちゃありかもな。砂漠開発!!って感じの。でも俺たち、色んなとこ自由に見て回りたいんだよなー」
ここに進学すれば、色々と複雑な事情が絡み合うために自由に学園生活を謳歌することは叶わないだろうと考え至ったユメは少し残念そうにする。
「まぁ入学しなかったとしても今みたいに遊びに来ますし大丈夫ですよ。」
と夏油がフォローを入れると「それもそうだね」とユメは微笑む。
しばらく談笑した後にまた来るぜー、と言い残して一瞬で去って行った五条と夏油が残していったのは、楽しい会話の余韻と温泉饅頭だった。
夏油傑
どういう訳か、神名十文字たる偉大なビナー様を調伏してしまった。
ビナーは呪霊基準で測るならば当然推定特級。
神秘の反転に調伏済みの呪霊の呪力を超大量に使ったが、呪霊の呪力は術師と同じく時間経過で回復するので大丈夫。
クズではあるがまだまともなのでホシノとの初会話は夏油が主に取り持った。
五条悟
久々の運動がてら親友の実験に付き合った。
デッカいニョロニョロは無事に調伏できたらしくてよかった。
他所様の地であるアビドスでもその傲岸不遜な態度は健在。
圧倒的な神秘を秘めているのが六眼を通してわかったので、ホシノには期待している。
あんな上から目線な感じになったのは教師時代の名残。
基本は夏油といると高専時代のノリになるが、時々教育者としての一面をのぞかせる。
ホシノの身長を煽って二、三度発砲された。
小鳥遊ホシノ
ツンツントゲトゲな過去おじ。
気絶した大切な先輩を見て最強コンビへの警戒MAX。
話を聞くうちに危害を加えるつもりは無いらしいことを知ってひとまず矛を収めた。
ふたりが遊びに来始めた最初はずっと警戒していたが、今では警戒を解いている。
めんどくさい絡み方をする五条をウザったく思っている。
一度教育した方がいいんじゃないかなこのバカ後輩。
ユメ
お馴染み先輩。
死ぬ運命を2人に救われた。
感謝してもしきれない。大きすぎる恩を感じているが本人たちは気にしていない。
ビナー
【悲報】ヒトに造られた神、ヒトに使役される。
神名十文字の名前が泣く。
でも実際ビナーはクソ強い。あの二人が規格外なだけ。
何故か呪霊玉(呪霊じゃないけど)にしたらトマトの味がした。
これも強大すぎる神秘のおかげかぁ。
ビナー、呪霊にされちゃう。
サマーオイルがどんどん強くなっていく........。ヤヴァイね。
手数が増えるのはいいことだ(現実逃避)
神秘を反転させたら恐怖になって、生徒の神秘を反転させたらテラーになるんだっけか、そこよく考えたらこの人達って色彩レベルで危険だよね。まぁどう考えても色彩より上位の存在だし当然か。
神秘の反転は恐怖、とされていますが、では呪力とは一体.........?
というのが次回の話になる.................かも?