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キヴォトスの何処か、人知れぬオフィス。
「クックック。とてもいいものが見れましたね、まさか"暁のホルス"すら凌ぐ力を持つ者が二人も観測できるとは思いもよりませんでした」
そこに佇み卓上のパソコンの画面を興味深そうに眺めるのは、上下漆黒のスーツを着こなす"人外"とでも言うべき人型の存在だった。
靄のかかる頭。そこから覗くプラズマのような光───おそらく目───は引き結ばれてディスプレイに釘付けにされている。
「我々の打倒すべき存在、色彩。恐怖を扱い生徒の神秘を反転させ、この箱庭を破壊する存在。
あろうことかその"反転"した力である"恐怖"を扱う者がいるとは...........これにはヘイローの加護がない、さらには男子生徒であることも大きく関係しているのでしょうか。
ああ、分かりません。我々がこれまで観測してきた何よりも理解しがたい。」
「だからこそ、『探求者』たる我々『ゲマトリア』は、その謎を探求するのですよ。
.............クックック。これは実に興味深い研究であり、同時に過去最高に有意義な研究となるでしょう。
何せ彼らは、我々の目標である『崇高に至ること』と『色彩を打倒すること』、その両方をいとも容易く成し遂げ得る存在なのですから。」
異形の表情は伺い知れない。ただ、喜色を帯びた声色で誰にでもなく独りごつ。
「五条悟、夏油傑。名実・自他ともに認める『最強』、その力の根源を、見せて頂くこととしましょう」
*****
D.U.郊外・五条と夏油の自宅。
ゲヘナ(中等部)に通う二人であるが、住んでいるのはゲヘナではなくD.U.である。その理由は単純で、ゲヘナ自治区はどこへ行こうとも治安が最悪であるからだ。辺境に住んだとしても不良が現れるだろう。面倒なので比較的安全で買い物含む生活のしやすいD.U.に居を構えているわけだ。
ちなみに通学は五条の蒼で一瞬である。
そんな二人の元に、差出人不明の手紙が一通届く。アナログな手紙とはなんと古風なことか。
「どう思う?傑」
「..........爆弾とかの危険物が入ってる訳じゃないんだろう?じゃあ開けてみてもいんじゃないかな」
謎の封筒を前に、二人はしばしの間思案したあと、五条が上側を思い切り破り捨てた。
中から三つ折りの紙が出てくる。
夏油も手紙を五条の肩越しに覗き込む。
【五条悟さん・夏油傑さんへ
初めまして。
私共は『ゲマトリア』という集団、神秘の探求などを行う研究者の集いです。
差出人の私のことは『黒服』とでもお呼びください。
先日のアビドス砂漠での一件を拝見させて頂きました。
あなたがたの扱うエネルギー、それはこの世界に満ちる神秘とは全く反するエネルギー。
そして、それらを元にしているであろう圧倒的なその力。
探求者であり、研究者でもある我々ゲマトリアとしましても、過去に類を見ないほど興味深い存在です。
ぜひ、我々の研究に協力して頂きたいのです。
応答の意思がございましたら、〇月△日に下記座標の場所までお越しください。
応答なさらなかった場合でも何かしらの形で接触させて頂きますのでご周知を。
それでは、今度は実際にお会いしましょう。
ゲマトリア 黒服】
「............んだこいつ、新手の出会い厨か?」
「だとしたら是非とも遠慮したいところだが............どうやら彼らは呪力と術式に興味があるようだね」
ゲマトリア...........正確には『黒服』を名乗る者の要求は、これまで見たことの無い不可解な現象である呪力と術式について解明すること。
拒否は自由だが、これを蹴ると今後鬱陶しいことに巻き込まれる可能性が高まるだろう。
「どうやら行くしかないようだね」
意を決する夏油と迷いのある五条。
「おい傑........どう説明すんの?バカ正直に?」
「そうだね.......術式については大まかに言っても良いだろう。術式反転について触れられたとしたら言うしかないだろうけど、領域展開や極ノ番などについては言う必要性が無いね。
それに.......彼らが興味があるのは"私たちの能力"ではなく、"呪力というエネルギー"とか"それを扱う私たち自身"だろうからね、術式についてはオマケ程度の認識で良いんじゃないか?」
夏油は文面から『黒服』の興味の対象が五条の《茈》や自身の《七虹龍》、ひいては呪霊操術では無いことを見抜いた。よって、破壊行為が目的という訳では無いだろうと考えた訳だが、五条は違うようだ。
「ソイツらが俺たちの力を研究して何をしたいのかイマイチ要領を得ねぇのが気がかりだがな。キヴォトス滅亡とか企んでたら最悪じゃねーか。まっ、その気になればこいつらが呪力使えるようになっても俺達二人でボコせば終わる話だがな」
五条は『術式ではなく、呪力そのものを研究して何をするつもりなのかが不明瞭である』点を懸念した。五条も夏油も反転術式を他者に使用できないため、他者の神秘を反転させることも同じように不可能である。
だが、『ゲマトリア』がそれを可能にしたら──────?
明らかにキヴォトスにとっての脅威となる。
.................ただし彼らにとっては脅威にはならないが。
でも彼ら二人だけ生き残ってもこの世界には何も残らない。それは避けたいので、破滅へ導くことには加担できない。
「........それもそうだ。まずは相手が『呪力を用いて何がしたいのか』を聞き出し、無害そうなら話をする、という方向でいいかい?」
「異論なし」
こうして、探求者と未知に包まれた最強達は出会う。
*****
「クックック......。ようこそおいで下さいました、五条悟さん、夏油傑さん。
私が『黒服』と、そう呼ばれる者です。以後お見知り置きを。」
D.U.某所。
二人が『黒服』に指定された場所に訪れると、そこには人型の異形、とも言うべき正しく『黒』の人物がいた。
彼が『黒服』であるらしい。確かに、真黒のスーツを卒なく着こなしている。
二人は黒服の、机を挟んで対面にある二人がけソファに座る。
「知ってんなら紹介はいらねーか?ま、一応言っとくと、俺が五条悟でこっちが夏油傑」
親指で自分を指したあと、隣に座る夏油に指を向ける。
「御丁寧にありがとうございます。要件はお送りしたとおり、あなた方の扱う『未知のエネルギー』が何たるか、ということです」
説明を続けようとする黒服を、五条が手で制して止める。
「ちょーーっとタンマ。話す前にまず聞きたいことがある。
お前らの目的は何だ? 」
五条はサングラスの隙間から黒服を覗き込むように睨む。
圧倒的威圧感を持つ絶対強者の、蒼穹の瞳が黒服を貫く。
黒服は冷や汗のような感覚を覚える。正しく蛇に睨まれた蛙とはこのようなことを言うのだろう、と。
そんな黒服の返答を待たずして夏油が補足するように説明する。
「私たちが力について語るのは構わない。だが、それを扱えるようになり、それで何を成そうと言うのか気になって仕方がなくてね。キヴォトス.........ひいては私たちを敵に回そうと言うのならば、その瞬間に三途の川を泳がせてあげようじゃないか」
黒服は、そんな夏油の威圧に震えつつも動じず言葉を紡ぐ。
「クックック.........。全くもって末恐ろしい方々だ。
ご心配には及びませんよ。我々ゲマトリアが望むのは寧ろその逆で、『キヴォトスの存続』は重視しているのです。
改めて説明致しますと、我々の主目的は『崇高に至ること』と『"色彩"を打倒すること』」のふたつです。
まず一つ目ですが、『崇高』とは『神秘』と『恐怖』の相反する両側面を持ち合わせる存在のことです。
全ての生徒が神秘を宿すこの世界、相反する力すらも手に入れることは非常に大きな意味を持ちます。
次に二つ目です。『色彩』と言いますのは、このキヴォトスの外側、さらに外側の存在です。我々ゲマトリアは『キヴォトスの外側』の存在ですが、『色彩』はさらに外側です。これがキヴォトスに触れた場合に訪れるのは、キヴォトスの破滅。生徒たちの神秘は反転し、空間に満ちたその力も全て負へと逆転する。紅き恐慌の世界へと変わるでしょう。
それを防ぐ手立ての用意・研究も我々の活動です。この研究は寧ろキヴォトスを守るためにあると言っても差し支えありません」
「あなた方は『恐怖』に極めて似た性質の力を扱う。さらに言えば夏油さん、あなたはあの
あなた方の扱う力の正体がわかれば、我々も崇高へと近づける、と考えたわけです。
そして、あなた方の扱う能力。これについては詳しくは分かりませんでしたが、あのビナーを相手にしてさえ余力をあり余らせたご様子。であれば、いずれ攻め来るであろう『色彩』にも対抗可能,,,,,,いや、場合によっては凌駕可能であると踏んでいます。
.........私からの説明はこの程度となりますが、おわかりいただけましたか?」
「...........あぁ、十分だ。まだ多少胡散臭ぇところはあるが、キヴォトスへの害意がないならとりあえずはいいぜ。ちょっとくらい付き合ってやるよ」
黒服の小難しい話にはあまり耳を傾けていないような態度に見えてその内容をしっかり噛み砕いて理解した五条は品定めを終了する。
そしてふぅ、と息をついてからポケットからココアシガレットの箱を取り出し三本まとめて口の中に丸ごと放り込む。
バリバリと音を立てて咀嚼し、ゴクリと飲み込んでから話を始める。
「俺らの扱うのは『呪力』だ。見えるかどうかは知らねぇが、こんなんだな」
五条は拳を突き出し、そこに呪力を纏う。練り上げられた強大で洗練されたな呪力である。
「んで、こいつはおそらく『神秘』と真逆の性質だ。こいつを使って、俺らは術し.......いや、能力を使う。
コイツは元は人間の負の感情だ。だから、外の人間なら俺らみたいに使えるほどなんてことはねぇにしても絞りカスくらいは持ってるはずなんだが.................オマエは違うみてぇだな」
六眼で黒服を見ながら言う五条。
人間なら誰しも持つ『負の感情』の具現化、呪力。それがキヴォトスの住人でもなければ機械でもないのに一切持っていない。非常に疑問である。
だがまさか伏黒甚爾のように天与呪縛のフィジカルギフテッドというわけでもあるまい。人型ではあるが人では無いのだ。
「成程成程.........。恐怖の一部に分類される力、といったところでしょうか。私にそれがないのは恐らく、とある時に私という存在そのものが変異しこのような姿となったためでしょう。その時私はキヴォトスの生徒でも、キヴォトスの住人でも、
ふーん、と反応する五条。ないとは思っていたが伏黒甚爾のような存在だった場合相当厄介だったため僥倖である。
「じゃあ続きは私が話そうじゃないか。
私の能力は人や生徒では無く、呪力やそれと大きく似た性質の恐怖で構成された存在を調伏し使役するというものでね。ビナーは神秘でできているが、私の負の呪力を用いて正の神秘を反転させたのさ。そもそもの話、呪力という負のエネルギー同士を掛け合わせて真逆の正の性質を持つエネルギーを生み出すということ普通ならそのものが超高等技術。だから、それと似たようなことをする神秘の反転はとてつもなく難易度が高い。そうだね..........例えるとすれば、命と引き代えに手に入れるような技術だ」
「なるほど...........『命と引き換え』ですか。ふむ..................。
『呪力』が『恐怖』に含まれる力であるとするならば、その反転の対価として命を要求されかねないのもわかります。『恐怖』はそもそも『理解不能な事象』に対して抱かれます、その最たる物が『死』であり恐怖の象徴でもある。『死』を理解するものはいません。なぜなら死して尚蘇る者はいないからです。だから、誰も『死』の何たるかを理解出来ず、恐れる。」
「ですが、裏を返せばその『死』に近づくことで『恐怖』の真髄に至ることが出来る。人々が恐れ慄く恐怖の象徴に迫り、その核心を掴み『理解』に至ればそれは"理解"された『神秘』と成る。そして『神秘』は『恐怖』と対極を成すもの。だから、『負の力』として運用された『恐怖』は、『正の力』として扱える『神秘』へと変わる───────と。」
クックックックック.........と嗤う黒服。
その声色から察するに喜んでいるのだろう。彼をそうさせるのは探求者としてしての探求心が満たされているからだろうか。
「理解しました。あなた方の扱う『呪力』はこの世界でにおける『恐怖』の力に分類される力。それを反転させた力は『神秘』に含まれる力に変化する。
あなた方が神秘ではなく呪力を扱う存在なのは恐らく、生徒に神秘の加護を授ける『ヘイロー』がないことでしょう。こちらと性別の因果関係は不明ですが............それは調べられるものでも無さそうですね」
「もし仮にそれを調べようと俺たちを解剖したりしたところで、
五条や夏油の体を調べることも視野に入れていた様子の黒服だが、五条がそれを意味が無いとぶった斬る。
術式は略さず言えば『生得術式』。つまり生まれ持って所持するもの。だから、『呪力を持った体に搭載された人工知能に後付けで術式を付与する』ことなどは不可能なのだ。
それが可能な夏油の術式が異常なだけである。ちなみに夏油はそれをやることなど今のところ考えていない。彼らが勝手に膨大な呪力量を持ち意志を持つ呪骸を作れてあとは術式を乗せるだけ、という状態にでもなれば話は別(付与したあと取り込んで術式は帰ってくるので呪力だけ頂くつもりである)だが、呪力の認知すら未だできない彼らにそれを求めるのはやりすぎだろうと諦めている。
「クックック。では、それは無意味である、と。なるほどなるほど......。
本日は非常に有意義な時間でした。ありがとうございます。
また機会があればお会いしましょう」
「生憎、そのような趣味はないのでね。失礼するよ」
ドアを開けて出ていく夏油と、それに追随して二、三度手をヒラヒラと振って出ていく五条。いつの間にかその口には棒付き飴玉が咥えられている。
「嗚呼、やはり素晴らしい。私の『探求者』としての飽くなき探究心をいつまでも刺激してくれる。五条悟と夏油傑というあの未知に満ちた二人をも抱え込むこのキヴォトスという箱庭は、やはり失うにはあまりにも惜しすぎる。彼らから有意義な情報も数多く得られた訳ですし、また別のアプローチでの対抗法でも考えてみましょうか。クックック..............。
........おや?」
黒服は紙片が床に落ちているのを見つけた。
摘み見てみると、そこには
『オマエらが何研究してようと俺らには関係ないしどうでもいい。
だが、学校や生徒に手出すようなら容赦しねぇからな?
何人たりとも若人から青春を取り上げることは許されねぇんだよ
そこだけ肝に銘じとけ』
「クックック...........。これは手厳しい」
五条悟
鋭い。
クソガキだが場面は弁える(ときどき)。
基本は真面目神妙な場面でも軽薄でクソガキだが今回は大人しかった。
でも天上天下唯我独尊なのには変わりないので口調は変わらず。
呪力だけでなく神秘まで見通す便利機能がついた六眼でさえエネルギーを感知できない"透明人間"の黒服を少し警戒した。
若人から青春を取り上げるのは許されない。
特に、自分と夏油の青春を取り上げようとされたら無量空処で廃人にしてから無制限に茈をを周囲にぶっ放しかねないので絶対にやってはいけない。
夏油傑
こういう真面目な場面は夏油の方が向いているが、今回は五条の方が相性が良い相手だったので基本は五条に任せた。アシストはしてる。
ちなみに、黒服には術式はおいては五条よりも興味を持たれている。
だって偽りの神とはいえあのデカグラマトンを調伏できるんだもんね。仕方ないね。
というか黒服、五条の術式よく分かってない。
五条とのアオハルを邪魔してくるやつは神秘反転させたりビナーの最大出力の熱線を零距離で浴びせる可能性がある超危険人物なので間違ってもやってはいけない。
黒服
キヴォトスの『大人』。研究者。探求者。『外の世界』の人間。
未知を解き明かすべく最強コンビに接触。素晴らしい成果が得られて大満足。
でも呪力は扱えないので何かできるようになった訳では無い。でも解釈は大きく広がった。
五条に脅されたので"暁のホルス"の研究を諦めることを視野に入れている。命は惜しい。
キヴォトスの生徒
全員フィジギフ持ってんの?ってレベルの頑丈さ。たぶん真希レベルが標準。
聖園ミカは恐らく五感が極限まで強化されてるし、武器いっぱい持ってるし、酒呑んでも酔わないし、呪霊呑んでも大丈夫レベルで胃が頑丈だし、筋肉ゴリゴリのゴリラ。
黒服、登場!
「悪い大人」ですが、「最強」の前では変な行動できませんよね。というかまず絶対勝てない。無意味。
神秘・恐怖と呪力についての今作中での解釈を説明する回でした。それにうってつけだったのが黒服だったので出てきたわけです。
次回はそろそろ高校生になるかも。
早く本編始めた方がいいですか?
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もう少し原作前が見たい
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早く先生出せ
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なんでもいいから他の生徒と絡め