特級術師 伏黒恵 〜困ったら即マコラ〜   作:第9の式神 立ち絵無し

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訓練でラスボスと戦える人達

 

「行け、マコラ。いつも通りぶっ飛ばせ」

 

 永遠に思える30秒は、魔虚羅の加速で火蓋を切った。

 

 宿儺は素早く上に飛び距離を取ろうとする、が

 

「ほう、陰か」

 

 跳ぼうと力を入れた足がマコラの陰に沈む。

 

 マコラと伏黒にとって"間に合う"とは、陰だけで良いのだ。

 

「畳みかけろ、『鵺』『蝦蟇』、拡張術式『不知井底(せいていしらず)』」

 

 羽根の生えたカエルが周囲の陰やマコラの陰から湧き出して一斉に舌を伸ばした。

 

「『捌』、おしいな。あと少しだ」

 

 不知井底は全て切り刻まれマコラも一定のダメージを負う。

 

 ───宿儺の術式の格を考慮するとあと20秒弱では適応は無理か、ならば

 

「『円鹿』、突っ込め!」

 

 伏黒は鹿の式神を顕現させて騎乗し、急速に宿儺に接近する。

 

 ───先程の加速する牛では無いな?連続では使えない?それか巻き添えになる魔虚羅の追加ダメージを恐れたのか?……いや違うな。

 

 円鹿がマコラにぶつかった瞬間、マコラが急速に回復し始める。

 

 同時に、伏黒が円鹿から降りてその陰に沈んだ。本来の世界と違い、陰への理解は既にかなり進んでいるのだ。

 

「───特級呪具、『游雲』」

 

 一年前、自身の元に転がり込んできた亡き父の得物と共に影から歩み出る。

 

 使い慣らされた紅色の三節棍は、しかして宿儺には届かなかった。

 

「ほう、式神使い本人が突っ込んでくるとは。面白い……!」

 

 そう、伏黒は繋がった円鹿とマコラの陰を移動し、陰から取り出した呪具を用いて宿儺に接近戦を挑んだのだ。マコラ&伏黒対宿儺の2対1の構図である。

 

「『解』」

 

「ぐっ、『脱兎』!マコラ、止めを!」

 

 瞬く間に白兎の群れが双方の視界を覆い斬撃の盾になるが、止める事までは叶わず伏黒の右肩に傷が入る。

 

 しかし、伏黒もただやられるばかりでは無い。脱兎により死角になった部分からマコラを接近させて───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いてて。あれ?伏黒じゃん。どうしてここにいんの?」

 

「時間切れ、か」

 

 マコラの刃が寸前で止まる。目測あと20センチ、あと0.1秒。しかし伏黒にはその刹那の差が途方も無く遠いものに感じられた。

 

『いや、良い。及第点だ。少しとは言え、陰に沈んだのは攻撃を食らったと言えなくもないからな。『御厨子』くらいは小僧に使わせてやろう』

 

 虎杖の頬からそんな声が聞こえた。

 

「そう……か」

 

 沖縄からの高速移動、人の生死を左右する決断、多種混合の式神の連続使用、縛りの条件の契約内容の忘却。

 

「……伏黒?伏黒!」

 

 これらの事を鑑みると、今まで意識が持っていたのが不思議なレベルの疲労が蓄積していた伏黒は、帰ってきた虎杖を見ると安堵したように意識を手放した。

 

 

 

 ▲

 

 

 

 諸々の事情を考慮した結果、結局元の時間軸同様虎杖の生存は秘匿される事になった。

 

 決定打となったのは、両面宿儺の術式。

 

 呪力の使い方もおぼつかない彼がそんなものを持っていると判れば上層部は何が何でも消しにかかるだろうとの事である。

 

 その因となった、伏黒は縛りにより宿儺と何かしらの取引をしたという記憶以外は取引の内容に関する記憶を全て失っていた。

 

「つまり!!俺は伏黒のお陰でチョベリグな術式を身につけられたと」

 

「そゆこと!恵に感謝しなよ〜悠仁。元は使えなかったんだから」

 

「マジで!?寮のベッドの向き変えないと……!足向けて寝れないじゃん、俺!それでさ、先生。結局俺の術式ってどんなんなの?」

 

 呪術に関する解説の途中、術式に関する話で五条と虎杖はハイテンションになっていた。

 

 彼らの認識としては、伏黒がバトってなんか良い感じに条件満たして宿儺から譲歩を引き出した、と言った具合である。この勘違いは虎杖が宿儺の最後のセリフだけを聞いた為に起こったものである。呪いとは、狡猾なのだ。

 

「じゃあ発表しまーす!悠仁くんの術式の正体はなんと……「斬撃」!Aランク術式でーす(五条悟調べ)」

 

 因みにSランクは呪霊操術、十種影法術、乙骨の『模倣』

 

 SSSランク(頭悪すぎ表現)は、自身の無下限呪術と言った具合に判定しているらしい。

 

 御厨子はあくまで宿儺の技量と呪力出力で使えば強いだけなので、ど素人が持っていてもクソ雑魚である。無論、それは六眼ありきの無下限呪術にも言える話だが。

 

「イェーイ!斬撃!……斬撃?」

 

「そう、不可視の斬撃。それもデフォで出が早いからまぁ、大体の相手は何をされたかも分からず三枚下ろしだね。僕には効かないけど」

 

「イェーイ!先生最強!」

 

 そんな調子で、虎杖は交流戦に向けて修行に入ったのだ。

 

 

 ▲

 

 

 

「恵、少し付き合え。近接鍛えてやるから、代わりにマコラと戦らせろ」

 

「真希先輩、ありがとうございます。……布瑠部由良由良」

 

「相変わらず、ポンポン最終兵器出すよな、恵は」

 

「ツナマヨ」

 

 宿儺とのかなり有利な条件の近接戦闘に押し負けた伏黒は、割と甚く反省していた。2対1で、自身の得物は特級呪具、この条件で敗北するのは単に自身の技量不足だろうと考えたのだ。

 

 それと単純に、近接が神がかって強かった父への憧れもある。

 

 游雲を掴む手に少し力が入った。

 

「おい、パンダ!棘!折角だしお前らも手伝え!コイツ相手に善戦出来たら憂太がいないからって油断している京都校の連中に目に物を見せられるからな。もう一人の一年も折角だから呪術の頂点、その一角に触れとけ」

 

「えっ、私、今からいかにもラスボスって感じのヤバそうなこれと戦うの?」

 

 そして、虎杖が交流戦に向けて(五条の伝え忘れにより本人は知らない)修行を開始したのと同様、東京校の生徒達も交流戦に向けてそれぞれの課題に対して修行を開始した。

 

 初手は手加減マコラVS東京校全員(伏黒、乙骨、三年生を除く)の組み手である。因みに釘崎以外の技は全て適応済みなので、基本的に皆、手も足も出ない。

 

 尤も釘崎の術式も1ガコンで完全に適応されたので、すぐ条件はイーブンになってしまったが。

 

「体術にまで適応するとかどうなってんだよ。私達が強くなったり新技編み出してもすぐ適応されるからマジでトラブルシューターとしては最適なんだよな」

 

「しゃけ」

 

「釘が……全く効かない」

 

「安心しろ、俺の技も棘の呪言も全く効かないからな。……京都校の連中もちょっと哀れだよな。去年は憂太の里香ちゃんビームで灰になりかけたと思ったら今年はラスボスが出てくるんだから」

 

 パンダはそう少し申し訳なさそうな顔をしたが、虎杖が復帰したら天秤が更に壊れる事になるので知らぬが仏である。

 

「じゃあ約束通り真希先輩、稽古お願いします」

 

「いいぜ、じゃあお前はまず術式無し、得物はこの普通の三節棍で私から一本とってみろ。勿論、いつも近接の時に使ってる陰を使った搦手も無しだ。お前は術式的に戦ってる時の考え事が多すぎるんだよ。だから本能や直感の側面が強く出る近接がおざなりになるんだ」

 

 十種影法術は基本、高度なマルチタスクを要求される術式故に術者は度々静止して思考しがちになってしまうのだ。

 

「分かりました、出来る限り思考のスパンを短くしてみます」

 

「おう、じゃあ行くぞ!」

 

 かくして、交流戦までのそれぞれの一月半が始まったのだ。

 

 

 

 ───────────

 

 ──────

 

 ───

 

 

 

 

「───我々の勝利条件は二つ。五条悟の封印、両面宿儺の復活と引き入れ。でも、交流戦を襲撃するのは退魔の剣を持つマコラがいる以上君ら呪霊では少し厳しいだろうね。だから、一応人間の君にも面立って協力してもらうよ。二つ目の条件は君も望む所だろう」

 

 

 無論、呪い達も元の時間軸より増加した戦力に対して無防備で挑むなどあり得ない話だが。

 

 結果として交流戦は、より危険な死地へと変貌していく。

 

 

 





 一応今のところ、オリキャラを出す予定はありません。

 追記・アンケートに関して

 虎葬は原作最新話にて能力不明のままナレ死したので割と扱いに困っているのです。一応、「十種」影法術ですので十種使わせたい気持ちもありますし、設定資料集やファンブックで明かされたらオリ設定がなんかちょっと恥ずかしくなりそうな気もするので勝手ながら読者の皆様に委ねようと思います。

原作に出てない式神・虎葬をオリ設定で出して良いでしょうか?

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