宵崎と別れてから俺は暁山に指定された場所に到着する。しかし、暁山の姿が見当たらない。人を呼び出しておいて居ないとは俺を馬鹿にしてるとしか思えないのは俺だけだろうか
そんな事を思っていると暁山が走りながらやってくる。少し申し訳なさそうな顔をして
「ご、ごめん………ち、ちょ……」
「うん」
「さ、さっ………きね」
「とりあえず落ち着け。何言ってるか分からん」
全力で走ってきたのか俺の目の前で凄く息が上がっている暁山。少し落ち着かせてから話を聞く事にしたのだが、なかなか落ち着かない為近くの自動販売機で水を買い暁山に渡す
「あ、あり」
「いいから息を整えろ」
俺の言葉に頷いて暁山は水を飲み始める。水を飲む速さにびっくりしてしまうが無視して暁山が落ち着くのを待つ事に。それなら約数分後
「いやぁ!ありがと雄磨!」
「天と地の差がやばいだろ」
「へ?」
無事にいつもの暁山に戻ったのはいいが、先程の暁山とは違って今度は元気がいい。たかが水ひとつでここまで変わるものか。とりあえず暁山の話を聞く前にこの場所について聞く
「なんでこの場所を選んだ?」
「え?」
「まずここどこ?」
暁山から指定された場所は俺が知らない場所で、周りには自然が沢山あるから多分公園なのだろう。しかし、遊具が無くベンチも無い。ジョギングコースにしては……知らん
「ここね、大自然が味わえるって有名な公園なんだよ。公園って言っても遊具とかベンチとかそう言う邪魔な物は一切無しで、自然だけがあるんだ」
「お陰様で蝉の声もうるさいがな。これだけうるさかったら会話にならないだろ」
「え?なんか言った?」
「早速、会話になってない」
辺りには木しかない場所で、なおかつ夏の時期が被ると何が起こるか。それは蝉の声でうるさくなるという事だ。ただでさえ暑いと言うのに蝉の声で尚更暑く感じる。とりあえず、この場所であれなので場所を移動する事に。移動する際にちょっと不服そうな暁山だったが何とか黙らせて移動する
それから俺達がやってきたのは公園から離れた場所にある噴水広場だった。ここなら蝉の声はそこまでうるさく無いし、噴水のお陰で少しは涼しく感じれるしな。とりあえず、ベンチに俺達は座り話す
「とりあえず相談を聞くわ」
「あ、えっとね。4日後に夏祭りが」
「断る」
「なんか早くない?まだ最後まで言ってないんだけど」
少し嫌な気がした俺は暁山が最後まで言う前に断る。もう夏祭りはいいって。これ以上人が増えたら大変ですって
「話だけは聞くわ。乗るかどうかはその後で」
「うん。お願い。で、さっきの続きだけど夏祭りがあるんだけどね。僕、行く予定だったんだけど仕事が入っちゃってさ」
「そうか」
「でね。そこで雄磨に相談があるんだ」
「断る」
「だから早いよ!まだ最後まで言ってないからね!?」
確実にこれは夏祭りにもう1人追加するパターンなのは決まった。だが、暁山には悪いがさすがに夏祭りにもう1人追加はキツいし、大変だ
さすがに最後まで言ってないのに断られて怒ったのか暁山は次遮ったら店に全店舗の従業員達を連れていくと言われてしまったので、俺は大人しく最後まで聞くことに
「ちょっと夏祭りの後にある花火大会の動画を撮って欲しいって思ってね」
「……」
「動画って言ってもそんな綺麗に撮らなくていいからさ。あ、カメラならちゃんと貸すからそこは安心してね」
「……」
「それに動画を撮ってくれたらちゃんとお礼はするよ?そこも安心してね」
「……」
「頷くだけじゃなくて何か言ってよ!!」
凄い理不尽な言いがかりだ。遮ったらって言ったからあえて何も言わずに頷いてたのにそれすらも怒られるとかもうどうしろと?
しかし、俺が予想していたお願いでは無かった為。俺は暁山のお願いを引き受ける事にした。どうせ、鳳と望月と夏祭りに行ったら花火大会に行く事は決まってると思うしな
「ありがとう雄磨」
「あぁ」
「でも、なんでさっき断ってきたの?」
「いや、ちょっと夏祭りに行く人数は足りてるからさ。これ以上増やされると面倒だと思って」
「人数?もしかして誰かと行くの?」
「あぁ。朝比奈のお願いで鳳。宵崎のお願いで望月と行く事になった」
「あーあ。確か、奏とまふゆがそんな事を言ってたような気がする。仕事で行けなくなっちゃったって。まぁ、僕が雄磨に頼んだら?って言ったんだけどね」
笑顔で言ってきた暁山のおでこに向けて本気のデコピンをかます。面倒事に巻き込んでくれたお礼を兼ねて。デコピンされた暁山はその場で悶絶していたが無視して俺は話す
「お前か。面倒事を増やしやがって」
「……い、痛いぃ。ず、頭蓋骨陥没してるぅ」
「そんな程度で陥没する程、人の頭は脆くない」
しかし、花火大会の動画を撮るに関しては1番簡単なお願いなのでこれに関しては深く考えなくていいだろう。問題はやはり鳳だ
「それにしても仕事忙しそうだな」
「う、うん。頭蓋骨を治す手術も入ったから」
「仕事では無いだろそれ」
頭蓋骨を治す手術ってあるのだろうか?あるのなら教えて欲しいところではあるが、今の話には関係ないので話を戻す
「仕事は楽しいか?」
「それはもちろん楽しいよ。経営する時って初めは大変なんだけど、慣れていくと出来るようになるし、それにみんなが成長していく姿を見るのも楽しいし」
「そうか」
「雄磨もなんか楽しい事とか、やりたい事とか無いの?」
「え?何?お前今まで楽しい事、やりたい事とかしてなかったの?馬鹿なの?みたいな言い方」
「凄いボロクソに言ってるけど、僕そこまで言ってないよ。単純に気になっただけ。ほら、雄磨って趣味とかあまりないじゃん?」
暁山の言う通り、俺には趣味というものはあまり無い。あるとしたらのんびりすること?つまり、無いに等しい。というか今更ながら俺は暁山にある事を聞く
「そういえば、なんでお前あんなに息が上がってたんだ?」
「あ、それはね。ここに来る前におばあちゃんが道に迷ってて」
「道案内をしてあげたのか」
「うん。僕も迷っちゃって」
「馬鹿だろ」
「し、仕方ないじゃん!ここの住所に行きたいんだけどって言われても分かるわけが無い!」
何故か逆ギレをしてくる暁山。何故逆ギレをされたのかが分からないが、少なくともここにそのおばあちゃんが居たら泣いてると思う
「僕だって、てっきりそこの家までかなって思ってたら1駅分の距離だったんだ」
「結局はちゃんと送り届けられたのか?」
「うん。ちょっと迷っちゃったけど、無事におばあちゃんを目的地まで送り届けたよ」
「それなら良かった」
「うん」
これで無理でしたなんて言われたらそのおばあちゃんが可哀想になる。まぁ、暁山の事だし分からなかったら交番に行って聞くって事をするとは思うが
「あ、さっきの話に戻るけど」
「残念ながら俺には楽しい事とかやりたい事は無いな。普通に生活出来たらそれでいい」
「えぇ?なんかつまらなくない?やっぱりやりたい事はあった方がいいと思うけど」
「まぁ、それには同感だな」
「じゃ、友達とか?あ、彼女とか!」
「……」
「雄磨?」
暁山の友達と言う言葉を聞いて少し昔を思い出す。思い出したくもない昔の記憶。ふと、前を見ると暁山が俺の顔を覗き込むように見てくるので少し距離を取る。距離を取られた暁山は少し不思議そうな顔をしていた
「なんだ?」
「いや、なんか雄磨の表情が怖くなった気がしたから。もしかして地雷踏んじゃった?」
「仮に踏んだにしろ、踏まなかったにしろ。それは言わない方がいいぞ」
「あ、ごめん」
「まぁ、別に大したことじゃないから」
「うん」
「さっきの返事は、俺には友達も彼女もいない。もちろん親友もな」
「え?」
「何?」
「僕達は?」
「人?」
「いや、そうじゃなくて。僕達は友達じゃないの?」
少し不安そうに聞いてくる暁山。確かに言われてみれば暁山達は友達なのか。それとも親友なのか?あまり意識した事なかったから分からなかった。とりあえず不安を消すために答える
「まぁ、お前らは友達になるのかな」
「だよね!僕達は友達だよね!!」
「……」
俺の言葉を聞いて元気になる暁山。さすがのテンションの上がり下がりに追いつけない
「いやぁ。僕達も結構長い事一緒に居るからね」
「嫌になるくらいにな」
「嫌なの!?」
「嘘だ」
暁山達と一緒に過ごした日々は楽しかったと言うか普通だった。だが、逆に暁山達と出会わなかった世界線があるのならばそれもそれでありなのかもしれない
ふと、暁山の携帯が鳴り始める。暁山は一言俺に言ってから電話に出て、少し話してから電話を着ると。暁山は言った
「ごめん!ちょっとお店でトラブルがあったみたいで今から行きゃなくちゃ行けないんだ。本当にごめん!」
「別にいいよ。とりあえずお前のお願いは聞くわ」
「ありがとう!カメラはまたお店に持っていくから!」
そう言って暁山は走り出して言った。その後ろ姿を見届けた俺は空を見上げる。今日も暑い