東雲に連れられてやって来たのは展示会場。ここはすごく大きな建物で改めて東雲が凄い人と言う事を再度認識してしまう。なぜ再度かって?それは
「なぁ、そろそろ離してくれない?」
「無理。離したら逃げるでしょ?」
「ここまで来て逃げる奴いるか?」
「まふゆがこの前、映画館の前まで一緒に行ったけど逃げられたって言ってた」
「……」
会場の前に着いたのはいいが、腕を組まれたままなのだ。凄い人がここに来るまでの道のりで羞恥心を捨ててまで腕を組めます?
図書館程では無いが目線が凄く痛い。それはそうだろう。何を言おう、今俺の腕を組んで横に立っている彼女はこの展示会の主役なのだから。そんな彼女が1人の男の腕を組んで立っていたら見られるに決まってる
ちなみに朝比奈まふゆの件に関しては後でめっちゃ怒られた。本人に
「さて、なんか暑くなってきたし早く中に入るわよ。中に入ったら涼しいから」
「この腕組みを離したら少しは涼しくなるんだけどな」
「行くわよ」
「はい」
結局、俺は東雲に腕を組まれたまま中へと入る事に。中に入ると確かに外よりはだいぶ涼しいが
「頼む。離してくれ」
目線が暑さの代わりにとてつもなく痛い。ただでさえ、この展示会の主役が居るという客にとっては驚きの事があるのにそれに合わせて、その主役が知らない男と腕組みをしていたら驚きの事が2つになるわけで
「逃げない?」
「本当に逃げないから離して」
「分かった」
東雲はそう言うと俺の腕を離してくれた。本当にあのままだったらまじで殺気を図書館よりも浴びせられる事になってたかもしれない。俺は開放されたことに喜んでいると、そんな俺を無視して東雲は歩き出す
「私の絵があるのはここの10階だから早く行くわよ」
「はい」
この展示会会場には各階層がある。それぞれ各階に有名な絵師の展示会があるのだ。東雲は10階の階層に展示会を開いている。ちなみに東雲は有名な絵師なので、10階に行くとどうなるか
「帰っ」
「え?なんか言った?………あ、サインですね。いいですよ」
10階に到着してエレベーターから降りた瞬間に東雲の周りにファンの人達が集まる。俺はその人達に押され東雲とは少し距離が空いた。これは帰れるのでは?と思った俺はもう一度エレベーターに乗ろうとした所である事に気づく……………携帯が無い
俺はポケットを確認するが携帯は無かった。むしろ財布まで無くなっていた。まさか図書館に忘れたか?俺は直ぐに図書館へと
「あ、携帯と財布なら私の鞄に入ってるから心配しないでいいわよ」
向かおうとした時、東雲からそう言われた。いや、何勝手に取ってる?私の鞄に入ってるから心配しなくていい?逆に心配だわ。どうやって取ったのか聞きたいし、いつ取ったのかも知りたいが今の東雲に聞くのは無理だと思い、ファンの人達が散らばるのを待つことに。どの道、携帯と財布ないと帰れない
結局、ファンの人達が東雲から離れたのは10階に来てから役30分経った頃だった。なんか、30分の間東雲の事を見ていたがあんなに笑顔な東雲も新鮮だな。それにサインとかしてたし、絵師ってサインとかあるんだ
「ごめん。まさかこうなるとは」
「いや、こうなると予想して携帯と財布を取ってたんだろ」
「……気のせいじゃない?」
「間があったぞ」
東雲の事だ。こうなると予想して先に携帯と財布を取っていたのだろう。しかし、こうなると予想していたのなら予め言って欲しかった気もする
「それじゃ、気を取り直して」
「そう言えば、なんでここに連れてきたんだ?」
「それはもちろん、雄磨に絵を見て欲しかったから。ほら、前に言ったじゃない。絵を見てほしいって」
「そんな事もあったな」
「だから、今日は絵を見てほしいって思って」
「なるほどね」
絵を見てほしい。それくらいなら大丈夫だ。と言いたかったがここはすごく広い会場、全部見て回るのにどれだけかかるんだ?そんな事を思っていると東雲が言ってくる
「それじゃ、ここからは別行動になるわね」
「は?お前と一緒じゃないの?」
「何?もしかして一緒に見た」
「速く去れ。妖怪自撮」
まだ最後まで言っていないのに東雲に腹を殴られる。本当に速すぎて避けれないし、普通に痛い。東雲さん、ここあなたの展示会ですよ。そんな乱暴な事はしたらダメかと
「絵を見たら感想をお願い。雄磨は思った事を素直に言ってくれるから絵の参考にもなるから」
「とりあえず、今は痛いです」
「それは知らないわ。じゃ、私は奏達と合流するから」
「分かった」
「雄磨も後で私達と合流してよね。展示会が終わったらみんなでファミレス行くんだから」
東雲はそう言うと恐らく奏達と合流する場所が決まっている方へと歩き出した。そして、取り残された俺は東雲の絵を見ていく事に。果たしてどれだけ時間がかかるんだろう