ある夏の日。と言うか思いっきり夏に途中した8月。俺はいつも通り図書館に向かおうとしていた時、ある人から電話がかかってくる。無視してもいいのだが、画面に表示された名前を見て無視は出来なかった
「もしもし?」
電話に出ると、電話の向こう側で何やら騒がしい音が聞こえる。そして、その音が止んだと同時に話し声が聞こえる
『雄磨?今、大丈夫?』
「あぁ。そっちこそ大丈夫か?なんか騒がしい音が」
『あ、なんか少し先の方で交通事故が起きて。周りの人がうるさかったから場所移動を』
「おい、看護師」
『今日は非番だから』
「いや、目の前の命を救えよ」
『……』
電話の向こうで舌打ちが聞こえ、通話が切れる。おかしいな。俺は何一つ間違った事を言ってないと思うのだが。それからしばらくしてもう一度電話がかかってくるので電話に出る
「助かったか?」
『私が行った時にはもう救急隊員さん達が居たから大丈夫。それに、見た感じ大した事故じゃないから大丈夫だと思う。悪くても打撲か骨折かも』
「悪くてもの2択が天国と地獄になってるけど」
『大丈夫』
「ちなみに何の事故?」
『自転車と歩行者の事故みたい。でも、怪我をしたのは自転車の方。多分、歩行者を避けようとして転んだんだと思う』
凄く冷静に話してくる相手は朝比奈である。さすがに朝比奈からの電話は無視をした場合が怖いので出るしか無かったのだ。しかし、出てみたらまさかの事故が起きていたとは
「見てたのか?」
『見てた事をなかった事にして見ないようにしてたけど見てしまったって感じ』
「……つまりは見てたんだな」
一瞬、頭の思考回路がショートしかけたが何とか理解出来た。わざわざ紛らわしい言い方をしないでもらいたい
「今はどこに?」
『事故現場から離れてる途中』
「おい、看護師」
『大丈夫。救急隊員さんが居たし、それに見てる限りでは両方立ち上がってて歩けてたし。喧嘩してたから大丈夫』
「それは大丈夫なのか?」
『うん。救急隊員さんが治療じゃなくて喧嘩を収めてる』
「……ご苦労さまです」
『ご苦労さまです』
救急隊員が居ると聞いたからてっきり治療していると思っていたが、まさかの喧嘩を収めていたとは。ご苦労さまです
とりあえず、話が脱線してしまったので改めて電話をかけた理由を聞く事に
「で?電話してきて何かあったのか?」
『あ、何かあった訳じゃないんだけど。今から会える?』
「お前がどこにいるかによるな」
『えっと、雄磨がよく行く行きつけの図書館の近くかな』
「別に行きつけではないんだけどな」
『絵名から聞いた。夏はよく図書館に行ってるって』
「へぇ」
まさかの身内から身内にリークされていたとは思わなかった。東雲が何故夏によく行ってる事がバレているのかが分からないが、それは今は置いておこう
「じゃ、図書館で合流するか?」
『うん。分かった』
「とりあえず、俺は中に」
まだ途中だと言うのに電話を切られてしまう。なんか前にもこんな事があったような無かったような気がするが、怒るのは後でも出来るので今は図書館へと向かう事に
その途中で朝比奈と合流して、俺達は近くのカフェの中へと移動する。席に座り、お互いに飲み物を注文して話をする
「打ち上げ以来?」
「だな」
「2週間経ったんだ」
「そうなるな」
暁山が来れなかった打ち上げなのか食事会なのか、集まりなのか分からないが。それから2週間が経って今に至る。朝比奈も俺も忙しくてなかなか会う機会が無かったのだ
「雄磨がナイトコード入れてくれたら話出来る」
「パソコン無いんだよ」
「そう」
ナイトコードとは、宵崎達が使っているボイスチャットツールで。このナイトコードを使って作業しながら会話をしたり雑談をしたりしているらしい。残念ながらスマホには対応してないみたいでパソコン限定のツールらしい
「スマホでも入れれるよ?」
「そうなのか?」
「うん。まぁ、多分?」
「多分?」
ナイトコードに関して俺は全くの知識を持っていない為、朝比奈がこうふざけられてしまうと本当なのか嘘なのかが分からない。ただでさえ表情があまり変わらないので、表情で嘘かどうかを判断するもの不可能に近いし
「ナイトコードね」
「ナイトコード」
「お前らの音楽活動名だって、ナイトコードが入ってるよな」
「うん」
「誰が考えたんだ?」
「誰がと言うか。なんかそのまんまの名前になった」
「あ、25時にナイトコードで集まって作業をするからって事ね」
「うん。何も捻ってなくてごめんね」
高校時代から活動していたサークルと言うか音楽活動と言うか、その時は25時くらいにしか集まる時間が無かったからその時間。と言うのは分かるが、それが今も同じように出来るなんて凄いと思う。仕事もあるというのに
「最近はどうなの?」
「あと絵名と瑞希の作業が完成したら曲は完成する。完成したらアップロードするだけ」
「そうか。お前らも大変だな。仕事をしながらやってるなんて」
「慣れれば大変じゃないよ。それに毎日集まる訳じゃないから」
「なるほどな」
「それにみんな好きでやってるから」
「なるほどな」
「あ、そう言えば。雄磨に会いに来たのには理由が」
朝比奈が何かを言おうとした時、定員さんが飲み物を持ってきてくれる。俺はアイスコーヒー、朝比奈はホットコーヒーを注文してたので飲むのだが。夏でなぜホットなのか気になったが気にしない事にして、お互いに一口飲んでから話に戻る
「さっきの話なんだけど、もうすぐ夏祭りがあるのは知ってる?」
「あぁ。来週だったよな」
「うん。で、その夏祭りに行く事になってたんだけど行けなくなっちゃって」
「何かあったのか?」
「ちょっと仕事が入っちゃって」
「そうなのか。まぁ、お前の事だからその日予定があるんでって言えなかっただろうしな」
俺の言葉に頷く朝比奈。その様子を見るに夏祭りに一緒に行く人にもまだ言えてないんだろう。だって、1人だったら俺に相談する訳ないし
「誰と行くんだ?」
「鳳さんって知ってる?」
「あーあ。フェニックスワンダーランドの園長か」
「そうそう。鳳さん、その子と一緒に行く事になったんだけどね。ちょっと行けなくなったから雄磨に代わりに行って欲しくて」
「……」
「そんな嫌そうな顔しなくても」
露骨に嫌な顔をしていたら朝比奈に指摘されてしまうが、鳳えむ。彼女と夏祭りを一緒に行った日にはもう最悪の未来しか見えない。何故かって?それは彼女が天真爛漫だからだ
「もしかして鳳さんのこと苦手なの?」
「苦手と言うか嫌いと言うか」
「さらに酷くなった」
鳳には悪いが、ちょっと元気すぎると言うか明るすぎるというか。なんというか言葉では言い難い感じで
その時、朝比奈の携帯が鳴り始める。朝比奈はちょっとごめんと言って店を出ていく。俺はそれを見届けた後会計を先に済ませることに
朝比奈が出ていってから数分後、朝比奈は少し申し訳なさそうな顔をして帰って来る。そして、席に座ること無く鞄を肩にかけて謝ってきた
「雄磨ごめん。ちょっと仕事が入っちゃったから行くね。会計はしておくか………ら?」
「それなら先にしたから大丈夫だ」
「あ、ありがとう。あ、さっきの話だけどやっぱり無理かな?」
「……まぁ、お前の頼みなら受けるよ。借りを作っておけば何かいい事がありそうだしな」
「うん。借りはまた返すから。じゃ、またね」
「あぁ」
朝比奈はそう言うと店から出ていく。1人になった俺は携帯を見て時刻を確認。まだお昼前だったので俺はもう少しだけカフェでゆっくりする事に
文章能力が皆無ですが、暇つぶしで読んでくれたら幸いです