女神の子   作:アキ1113

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 今回は、前回の続きからです。

 ハクア視点からいきたいと思います。今回は、所々原作のシーンを省略するかもしれません。

 それではどうぞご覧ください。


再誕Ⅵ:早熟と天才

 side:ハクア

 

 兄さんと姉さんがやらかしてから1年が経った。

 僕たちは立ったり、喋ったりしても問題ないくらいには成長した。

 

 「ママ!ママ!抱っこして!ほら、ハクアも!」

 

 「…!えっと……」

 

 「おいで、ハクア」

 

 「……!うん」

 

 そして、僕は最初の頃よりも少しずつではあるが、甘えることへの抵抗がなくなってきていた。

 

 「はぁ~極楽浄土~」

 

 「?ルビー、良くそんな難しい言葉知ってるね」

 

 「あ、えっと……そのぉ……」

 

 「もしかして……?」

 

 「「「……!」」」

 

 マズイ、流石に疑うか……と思ったが

 

 「ウチの子超天才じゃん!」

 

 「「「ほっ……」」」

 

 ……何とかなったみたいだ。

 

 

 お母さんはモデルやラジオアシスタントなど、着実に仕事を増やしていった。今日はその集大成となる仕事らしい。

 普段は留守番になる僕らだが、いつもの如くミヤコさんにお願いして連れていってもらうことになった。

 

 「いいですか、三人とも。現場では私のことをママと呼ぶこと。アイさんのことを間違ってもママと呼んだらダメですからね」

 

 「はーい、ママ~」

 

 「抱っこして、ママ~」

 

 「お小遣いちょうだいママ~」

 

 揃いも揃ろって何してんの……?それにちゃっかりお母さんまでのっかってるし。

 

 「……あなたたちねぇ」

 

 「ハハハ……」

 

 そりゃあそういう反応になるのも分かる。

 

 「……ハクアはもう少しわがまま言ってもいいと思いますよ」

 

 「えぇ!?」

 

 「「「うんうん」」」

 

 「えぇ……」

 

 ……まさか、みんなとは逆のことを言われるとは思わなかった。

 

 

 

 

 

 仕事の内容は、ドラマの撮影だった。

 

 お母さんが監督さんに挨拶を終えて、撮影が始まるまでの間、二人は出演者やスタッフたちにちやほやされていた。

 

 ちなみに僕は途中まで一緒にちやほやされていたが、兄さんを身代わりにして早々に離脱していた。しばらく、現場を歩き回ってもとの場所に戻ろうとしていると、

 

 「早熟な子役は結構見るがここまでのは初めて見た。お前は演技とかするのか?」

 

 「いや……演技とかそういうのはちょっと……」

 

 兄さんとさっきの監督さんが何かを話してのを見つけた。しばらく黙って話を聞いていたが、

 

 「MV感覚かよ。時代だなぁ……」

 

 ……そろそろいいかな。

 

 「何話してるの兄さん?」

 

 

 side:アクア

 

 「……演技は並だが、いやに目を引く」

 

 「さっき言ってたんだ」

 

 「?」

 

 「ステージの上だとどの角度からもみんなに可愛くしなきゃいけないけれど、ここじゃあカメラだけに可愛く思ってもらえばいい。MVと同じ要領ならむしろ得意分野だってさ」

 

 「MV感覚かよ。時代だなぁ……」

 

 そんな話をしていると、

 

 「何話してるの兄さん?」

 

 「……うわっ、びっくりした!?」

 

 「……!」

 

 「あぁ、ごめんごめん。随分話し込んでいたから邪魔しない方がいいかと思って」

 

 「普通に声掛けてくれても良かったのに……」

 

 「次から気を付けるよ」

 

 ……マジでびっくりした。話し掛けられるまで気が付かなかった。

 

 「……おい、そいつも早熟か?それにすごい落ち着いてるし……っていうか、兄さん?」

 

 ……そんなに警戒しなくてもいいと思うぞ監督。気持ちは分かるが。

 

 「初めまして監督さん。一番下の弟のハクアといいます。以後、お見知りおきを」

 

 「お、おう……」

 

 「この子は三つ子の一番下のハクア。大人しいですが落ち着いていて、ご覧の通り礼儀正しい子ですよ」

 

 「……なるほどなぁ…よし、ハクアと言ったか」

 

 「…?はい」

 

 「お前にも名刺渡しとくから、事務所入ったら連絡寄越せよ」

 

 「…分かり、ました」

 

 戸惑いながらも名刺を受け取ったハクアを見ながら、俺は苦笑いするのだった。

 

 

 

 ……にしても、さっきのあれは何だ?子供の体ということもあるかもしれないが、あそこまで近づかれて気が付かないのは普通ならあり得ないことだ。

 

 以前、ルビーと同じく特殊な環境で育ったとは言っていたが、ルビーとは明らかに違う意味合いだろう……。

 一体、ハクアの前世に何が……。

 

 

 

 

 side:ハクア

 

 撮影からしばらくして、お母さんが出演するドラマの放送日となった。みんなで視聴するも撮影量に比べて少なかったことにみんながっかりしていた。

 姉さんがお母さんを慰めている間、兄さんが携帯をもってどこかにいってしまった。

 

 ……もしかして、監督さんに連絡を取ってる?

 

 「ハクア、少しいいか?」

 

 あ、戻ってきた。

 

 「?何、兄さん」

 

 「あー……」

 

 「……?」

 

 「……俺と一緒に映画に出てくれないか…!」

 

 「…?何でそういう話になったの?」

 

 「あぁ、実は……」

 

 話を整理すると、監督さん曰くあのカットはどうしようもなく上の事情のことらしく、申し訳なく思っているらしい。その代わりにお母さんに仕事を振りたいというのだが……

 

 その条件として、兄さんと僕が映画に出るように言われたらしい。

 

 「なるほどね……」

 

 何度も転生を繰り返してから様々な可能性を考えていた。その中で、母さんが僕の転生した後の姿に気付かずにいるということがふと頭に浮かんだ。

 ここで、映画に出ておけば何かしらの変化が起こるかもしれない。どんな形でもいい、有名にさえなれば見つかるかもしれない……。その点では兄さんの頼みは渡りに船であった。

 

 「そういうことなんだが……嫌なら俺から「いいよ」……え?」

 

 「いいよ。お母さんのため、なんでしょ?」

 

 「あ、ありがとう~…!」

 

 そんなこんなで、お母さんの為、そして僕自身の目的の為に兄さんと映画に出ることが決まったのであった。

 

 

 

 

 

 

 そして、撮影の日、現場では再び監督さん……五反田監督から話をされていた。

 

 「いいか早熟ども。日本の場合キャスティングってのはあらかじめ上の方で決まってるもんなんだ」

 「金がかかっている企画ほど失敗するわけにはいかねぇ。確実に客を呼ぶことのできる役者を押さえるために、上には上の戦いがある。キャスティング権のある監督は極々一部の超大物監督か超低予算でやっている映画の監督のどっちかくらいだ。…さあお前ら、俺はどっちに見える?」

 

 あぁ、これは…

 

 「超低予算」

 

 「いや即答かよ!?……まあ、当たりだが……」

 

 「「……」」

 

 ……なんか兄さんとミヤコさんから視線を感じるが無視しておこう。

 

 

 

 

 その後、少し話した監督はその場を離れ、僕らは控え室に移動した……のだが、

 

 「ママ!ママ!ママのところかえりたい!なんでママがいないの!?」

 

 「「……」」

 

 ……姉さんすごい泣いてるんだけど。めちゃくちゃ泣いてんだけど。

 

 「アイとは撮影日が違うんだよ!」

 

 「そうだよ、だから姉さん一旦落ち着いて……」

 

 「これが落ち着けるわけないでしょ!早く帰ってバブりたい!ママの胸でオギャりたいよぉー!」

 

 あ、これダメやつだ。ほら、兄さんもさすがに引いてるし。

 

 そんなことを考えていると……

 

 バンッ!

 

 「「「……!」」」

 

 「ここはプロの現場よ!遊びに来ているのなら帰りなさい!」

 

 ……?誰だろう、この子は。

 

 「えっと……君は?」

 

 「有馬かな。この映画の女優よ」

 

 へぇ……、この子が。

 

 「あッ、この子あれじゃない?えっとぉ……重曹舐める天才子役?」

 

 「十秒で泣ける天才子役!!」

 

 「私この子あんまり好きじゃないんだよねー…なんか作り物っぽくて生理的に無理」

 

 姉さん、それは言っちゃいけないことなのでは……?

 とりあえず、挨拶だけでもしておこう。

 

 「初めまして、有馬かなさん。苺プロ所属の星野珀亜といいます。本日はよろしくお願いします。」

 

 「……!ふん、挨拶はちゃんとできるみたいね。でも知ってるわよ、あなた達コネの子でしょ!」

 

 ……コネの子?

 

 「本読みの段階じゃあなた達もアイドルの子の出番はなかったのに監督のゴリ押しってママも言ってた……そういうのいけないことなんだから!」

 

 あぁ、そういうことね。

 

 「いやそういう訳じゃ「こないだ監督の撮ったドラマ見たけどあのアイドルの子全然出番なかったじゃん」」

 

 「「は?」」

 

 「あっ」

 

 「どうせカットしなきゃいけないくらいヘッタクソな演技してたんでしょ。媚売るのだけは上手いみたいだけどね」

 

 「「「……」」」

 

 ……すごい言い草だなぁ。あの子はあれが逆の意味でのカットのこととは知らないみたいだ。まだ子供だから仕方ないかもしれないが……。

 

 「ADさん、かばん持って!」

 

 「ええっと、ちょっと待ってね……」

 

 ……あれは将来的に痛い目見そうだなぁ。そんなことを考えつつ、さっきから黙り込んでいる兄さんと姉さんを見ると……

 

 「お兄ちゃん……!」

 

 「分かってる、相手はガキだ殺しはしないさ……!」

 

 ……やっぱりこうなったか。二人はお母さんのことになると人が変わったようになるからなぁ……特に今のケースの時は。

 

 「それに、ウチのハクアが挨拶してやっているのに何あの態度は!」

 

 「安心しろルビー、そこも含めてやってやるから……!」

 

 そして、もう一つ。何故か僕のことに関してもウチの兄と姉はこうなってしまうのだ。

 

 「二人とも、気持ちは分かるけどとりあえずステイ」

 

 「「あぁ!?」」

 

 「はぁ……」

 

 

 

 side:アクア

 

 まずは、俺と有馬かなとの撮影だ。

 

 映画のあらすじは、自分の容姿にとことん自信のない主人公の女がなぜか山奥にある怪しい病院で整形を受けるという話。俺らはその村の入口で出会う気味の悪い子供たち。

 

 「ようこそお客さん歓迎します…どうぞゆっくりしていってください…」

 

 ……なるほど、上手い。流石天才子役だ。同じことをしてもダメだ。

 

 そこを考えると監督の欲しい画は……

 

 「この村には宿は一つしかありません…一度チェックインしてから村を散策するといいでしょう…」

 

 普段通りに、演技をしないで言えばいい。このシーンは急遽監督が俺たちのことを知ってから加筆した部分だ。演出の意図に応えるならば、監督が言いたかったのは……

 

 演じなくてもお前は十分気味が悪い……ということだろう。

 

 「よし、OKだ!」

 

 このシーンはこれでいいらしい。すると……

 

 「監督、撮り直して!」

 

 「いや、今のシーンはあれで良かったぞ?問題はな「大アリよ!」」

 

 有馬かなは泣きながらもう一度撮って欲しいと駄々を捏ねたが、撮り直すことはしなかった。

 

 「……とりあえず休憩を挟んで、次のシーンに行くぞ」

 

 そうして、ハクアが出るシーンに移ることとなった。

 

 

 ハクアの役は、俺たちの次のシーンで主人公の女が宿の前で出会う奇妙な子供の役だ。

 本人はアイの為と言って映画の出演を了承してくれたが、基本人からの頼みを断らないから本心では嫌なのかもしれない。無理をさせてないといいんだが……。

 

 そう思っているうちに、撮影が始まった。

 

 「いらっしゃい、お姉さん…一人?」

 

 「……そうだよ」

 

 「へぇ~……ここへは何しに?」

 

 「ちょっと整形に……ね」

 

 ……やっぱり上手い。自分の声と容姿を最大限に活かしている。

 

 「ふーん……でもさ……」

 

 そう言うとハクアの雰囲気が変わった。

 

 「それは本当に君の望むこと?」

 

 「そうして、生まれ変わった君は本当に君なの?」

 

 「本当にそれでいいの?」

 

 主人公の女の周りを歩きながら問い掛ける。

 

 ……あれは本当にハクアなのか……?まるで人が変わったような……それに声も…。

 

 「本当に?」 

 

 「本当に?」

 

 「本当に?」

 

 「「「本当に?」」」

 

 「……っ!それは……」

 

 そうして、ハクア(?)が女の耳元で

 

 「……まあ、好きな方を選びなよ。後悔しないようにね…」

 

 そうして、少しの静寂の後……

 

 「…!カット、OKだ!」

 

 この子、本当に何者なんだ……?

 

 

 

 side:ハクア

 

 このシーンを演じるにあたって考えてみた。僕が求められていることは何だろう。かなさんは不気味さ、兄さんは演技をしないこと。だとしたら僕は……?

  

 そして考えた後に出した結論がさっきの演技……というよりは過去のハクア(・・・・・・)に何回か分戻った(・・・)ことだろう。僕の特徴……もとい武器となるのは中性的な容姿、そして()だ。

 

 実を言うと監督と初めて会った時に兄が僕の声のことについても話しているのも聞いていたのだ。そしてこのシーンや兄さんたちのシーンもそうだが、僕たちを知った後に監督が書き足したものだろう。そして、僕の特徴を監督は知っている。

 

 そして、さっきの兄さんのシーンを見るにその特徴を活かしていたように見えた、だから僕も自分の特徴を最大限活かす演技をしたのだった。普通はこんな多重人格じみた子供はいないし不気味だろう。結果的にそれは功を奏したのだった。

 

 そして、そのシーンは無事OKとなったのだった。

 

 ちなみに、その映画は全部お母さんが持っていったのであった。

 

 

 

 

 

 

 そして2年後…僕は大きな危機に直面することとなるのだが、まだ誰も知る由もないのであった……。

 

 

 




 読んで下さりありがとうございました。

 あと、1~2話で再誕編が終わると思います。頑張って書いていきたいと思いますので宜しくお願い致します。

 次回もよろしくお願いします。
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