この小説での時系列としては、タイクーンのものとは違って、侵略編とガッチャードとの冬映画との間の話となります。
それでは、どうぞご覧ください。
異界Ⅰ:シノビとの邂逅
side:???
ハクアが創世の神として見守っている世界とは、また別の世界……
「これで……この世界の忍者ライダーの力は全て揃った」
とある人物が、目の前にあるいくつもの瓢箪のようなものを見ながらそう呟いた。その人物の名は、天草四郎時貞。この世界の征服を目論んでいる闇の忍者衆、『虹蛇』の総帥であり、この世界の忍者ライダーたちの持つとあるもの……手裏剣のついた瓢箪を狙って集めていたのだ。
「しかし……世界を掌握するにはもっと力が必要……」
だが、四郎の目的である世界征服のためには、まだ力が足りないようで……
「異世界の忍者ライダーたちを……
我が手中に……!」
四郎はそう言いながら、花の形をした水晶に手を翳すのだった……。
side:アクア
「♪~♪~♪~」
「随分とご機嫌だな?」
「もっちろん!」
撮影も収録の予定もないオフの日、俺はルビーと一緒に街まで出かけに来ていた。ルビー曰く、これはデートらしいが………まぁ、本人の好きにさせておこう……。
「そう言えば……ハクアが仮面ライダーだったことを知ったのも、二人でこうして出掛けた時だったな」
「そうだったね~……そして、私たちも仮面ライダーになった」
「何だか、懐かしいな……」
「うん……」
俺たちは、あの時の光景を思い出しながらそんなやり取りをした。
あの時は、急にジャマトたちが現れたかと思えば、それを仮面ライダーに変身した透さんたちが倒していて、俺たちが襲われそうになったところを間一髪のところで、ハクアが助けてくれたのだ。
「あれから、もう一年半くらい経つんだな」
「ホントだね~……あっ!」
「どうした?」
ルビーが何やら思い出したように声を上げると、急に俺の方を向いて……
「色々あって聞けなかったけど………私、もう17歳なんだけど?」
「!?それは……」
そう言ってきたのだ。
「忘れたとは言わせないよ?」
「っ……忘れてはいないけど……」
ハクアがアイのストーカーに刺された後に、ハクアのお見舞いに行った時に言われたことは覚えている………だが……
「私の気持ち……ずっと変わっていないよ?」
「……!」
そうか……俺のことを、ずっと……。
「で、どうなの?」
そして、俺は……
「社会的に死ぬ」
「即答!?」
ルビーに向かってそう答えたのだ。前世でもそうだったが、今世は兄と妹………こっちの方がまずい……。
「むぅ……」
「そんな顔されてもな……」
ルビーが頬を膨らませている顔は、相変わらず可愛いが……。
「……じゃあ、せめて今日くらいは………『せんせ』って呼んでもいい?それで、私のことも『さりな』って呼ぶこと……いい?」
ルビーは上目遣いで俺を見ながらそう言ってきた………俺はハクアみたいに願いを叶えてあげられるわけではない………が、このくらいは叶えてやらないとな……。
「……分かった。そうするよ………さりなちゃん」
「やったぁ!ありがとう!せんせ!!」
「……!」
ルビーは嬉しそうにそう言って、俺の腕に抱きついてきた……その時、
「ん……?」
「何……あれ……?」
俺たちの目の前に、紫色の渦のようなものが出現したのだ。そして……
「っ!?」
「お兄ちゃん!?」
俺はそれに吸い込まれそうになってしまい、ルビーが俺の腕を掴んで引っ張った。
「ぐぅ……!」
「ぐっ……!」
だが……
「「うわっ!?」」
そのまま、その渦の中に吸い込まれてしまうのだった……。
side:ルビー
「うぅ……ここは……?」
紫の渦に吸い込まれ、私たちは何処かへと飛ばされてしまった。そして、その場で立ち上がると……
「って、何この格好!?」
「どうみても忍者……だよな……?」
私たちの服装が、忍者のような格好に変わっていたのだ。さらに……
「周りもみんな忍者なんだけど……」
「あれは……城か?」
「なんか……和風なところだね?」
周りの歩いている人たちも、みんなが忍者の格好をしていて、建物も城みたいな和風なものが多く建っていたのだ。
「あっ!せんせ、これ」
「ん?あぁ、ドライバー……って、ルビーも「ん?」………さりなちゃんも、これ」
「!あ、ありがとう……」
お互いにこの場所に来た時に、ドライバーを落としてしまったみたいだ。私たちは互いのドライバーを渡そうとした……その時、
『いたぞ!』
『忍者ライダーだ!』
「「!?」」
私たちの目の前に黒い忍者たちが現れ、襲い掛かってきた……けど、
「え?」
「えっ?ちょ、私だけ!?」
その忍者たちは、何故か私の前に立っていたお兄ちゃんをスルーして、私を担ぎ上げたのだ。
「ルビー!?」
「ええええええ!?」
そして、私は黒い忍者たちに連れ去られてしまうのだった……。
side:アクア
「待て!」
俺はルビーたちを連れ去った忍者たちを、すぐさま追いかけようとした……が、
「えっ……」
突然、足元に穴が開き……
「またかよ……!!」
また何処か別の場所に飛ばされてしまった……。
「痛ってぇ………今度は何処に……ん?」
そして、飛ばされた先で周りを見渡してみると……
「フッ!ハァ!」
「ヤァ!」
「本当に、忍者ばかりなんだな……」
戦闘訓練をしているのだろうか………何人もの忍者たちが組み手をしていた。すると……
「はぁ……」
「あれ……あの人……?」
一人地面に座りこんでいる人を見つけたのだ……もの凄く落ち込んでいるように見えるけど………そんなことを考えていると……
「ん?うおっ!?」
「……」
「どうか……しましたか……?」
俺の前に、掛け軸を持った人が現れたのだ。そして、その人は畳んでいた掛け軸を開き……
『お主……異世界の忍者ライダーか?』
掛け軸の中にいる蛙から声がするという光景を見て、俺は一瞬だが思考を停止してしまう。
「……」
『ん?どうした?返事をせんか』
そして……
「ケ……」
「け……?」
「ケケラ!?」
「け、けけら……?」
「お前、何で生きて……というか、何で掛け軸の中に……?」
俺は警戒しながらも、掛け軸の中にいるケケラに向かって話し掛けた……が、
『だ、誰じゃそれは!?』
「え?」
『儂はゲコ忍衆の頭領、ガマノじゃ!』
「はぁ?」
何なんだ、それは……?
『まぁ、それよりも………攫われた妹を救いたければついて来い』
「!……分かった」
俺はその言葉を聞き、ガマノという掛け軸の中にいる蛙の後をついていった。
『お主たちをこの世界へと連れ去ってきたのは闇の忍者衆、虹蛇の総帥……天草四郎時貞』
「天草……四郎」
闇の忍者衆、虹蛇の総帥………そいつが、俺たちを……。
『奴は世界征服のために、あらゆる世界の忍者ライダーの力を狙っている』
「力って………まさか……!」
なるほど………俺のドライバーを持っていたルビーが、忍者ライダーと間違われて連れ去られたってわけか……。
「お主の妹だけではない……儂らの姫君、紅芭も四郎に攫われておる」
「!……そっちも同じ状況ってことか?」
「あぁ……明日までに助け出さないと、大変なことになるのだ」
「……」
その言葉を聞いて、俺は……
「そいつらは何処にいる?」
「!お主……」
ガマノさんにそう訊いた。俺の言葉を聞いて、一瞬驚いた様子でいたガマノさんに対して、俺は……
「家族を助けるのは当たり前だろ?それに……
俺は、仮面ライダーだからな」
ハッキリとそう言うのだった……。
side:???
「シノビ様はどうしたの!?」
ルビーと同じくらいの年齢の女の子……紅芭が、紫色の手裏剣の意匠が付いた瓢箪を持ちながら、四郎に向かいそう訊いていた。
「奴は所詮、影武者……ゲコ忍の姫君である貴女を心配するに値しない存在」
「っ……」
「それに、貴女は明日の18歳の誕生日をもって……
正式に、仮面ライダーシノビの継承者となる」
「!……それが狙いで、ウチを攫ったんだ!」
四郎の狙いを聞かされ、紅芭はそう声を上げる。
「祝言を上げ、我と結ばれれば……貴女の力は、我のものとなる……」
「っ……」
その言葉に、紅芭が黙り込んでいると……
「ちょっと!ここ何処なの!?」
そこに、攫われて来たルビーが連れて来られたのだ。
「……その娘が?」
「その様です」
そして、ルビーを見つめた四郎は……
「どうやら、人違いのようですね………でも」
「あっ!」
アクアのデザイアドライバーをルビーの手から取り上げる。
「ふむ……紅芭殿の話し相手には丁度いいか……」
「え?うわぁ!?」
四郎がそう言うと、ルビーは黒い忍者に紅芭の方に向かって突き飛ばされてしまう。
「だ、大丈夫?」
「うん!私は大丈夫だよ?ほら?」
「そっか……あ、そうだ!私は神蔵紅芭。あなたは?」
目の前の私と同じ歳くらい女の子は、そう言って私の名前を訊いてきたのだ。それに対して私も……
「私は星野ルビー!よろしくね!」
笑顔でそう言うのだった……。
side:アクア
「それで……他に戦える忍者ライダーっていうのはいないのか?」
「うーむ……」
俺はガマノさんに、他に戦えるライダーがいるのかどうかを訊いたのだが……この反応は、期待出来そうにないか………俺がそんなことを思っていると……
「いるには……いるんだが……」
「!いるのか?」
「お主も見たであろう?」
俺も見た………あっ!
「あの人か……」
俺の頭の中には、広場でため息をつきながら座り込んでいた人のことが思い浮かんでいた。
「そうじゃ……親友のイッチを殺され、今は脱け殻同然……儂もこの通り掛け軸から外に出られぬ」
「っ……親友を……」
そんなことがあったなら、ああなるのも無理はない………俺だって、あの時は……。
「う、うわあああああん!!」
「うおっ!?」
すると、突然ガマノさんが泣き出してしまったのだ………というか、掛け軸の中で泣くとああなるんだ……。
「もし、あやつの力があれば我らの姫君も、お主の妹も容易く助け出せるというのに……!!」
これは……あの人を何とかするしかなさそうだ……。
「……分かった。あの人は俺が何とかする………それに、戦力は多い方がいいしな?」
俺はそう言いながら立ち上がり、あの人のいる場所へと向かうのだった……。
「……ふっ、チョロいやつだな」
「?何か言ったか?」
「!?いや、何でもないぞ?」
side:蓮太郎
「はぁ……」
蓮太郎は、相変わらずため息をつきながら座り込んでしまっていた………すると、そこに……
「……なぁ」
「ん?」
「あんたが、仮面ライダーシノビか?」
ガマノから話しを聞いてきたアクアが、蓮太郎の下にやってきたのだ。
「……君は?」
「俺は星野アクア……あんたに頼みがあって来た」
「頼み……?」
そして、アクアは蓮太郎に向かって……
「あぁ……俺と一緒に、捕まっている俺の妹と紅芭さんを助けに行ってくれないか?」
「……」
一緒に捕らわれている二人を助けに行くように頼んだ。だが……
「誰だか知らないけど、俺のことはほっといてくれよ……」
「あ、ちょっと……」
そう言って、何処かへと歩き出していく。
「俺の妹も捕まっている。助け出すにはあんたの力が必要だ。それに……紅芭さんだって、あんたに助けてもらえるのを待っていると思うぞ?」
「……だが、今の俺は無力だ。変身も出来ない……」
「それは……」
蓮太郎にそう言われてしまい、同じような状況のアクアも黙り込んでしまう………すると、
「ん?」
「あっ……」
蓮太郎のお腹が鳴ってしまう。そう、蓮太郎は親友のイッチ……今生勇道を失って以来、ご飯をあまり食べていなかったのだ。そんな蓮太郎の様子を見たアクアは……
「……まずは腹ごしらえだな?」
「えっ?あ、ちょ……」
そう言って、アクアは何処かに向かって歩き出していき、蓮太郎もそんなアクアに戸惑いながらもついていくのだった……。
読んでくださりありがとうございます。
遂にアクアと蓮太郎、ルビーと紅芭がそれぞれ出会いました……果たして、アクアたちは捕らわれたルビーたちを助け出すことができるのか……?
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それでは、次回もよろしくお願いします。