果たして、どんなやり取りをするのか……そして、何故インベスが現れたのか……。
それでは、どうぞご覧ください。
side:ハクア
「まずは……インベスについてだったな」
「はい」
僕が紘汰さんに、そう返事をすると……
『それについては、私から説明しよう』
「えっ?」
テーブルの上に置かれたスマホの画面に、一人の男の人が映し出されていた。
「あら?メロンの君じゃな~い!」
鳳蓮さんはそう言って、画面の中の人に向かって投げキッスをした。
『……さて、私は呉島貴虎……光実の兄だ』
「!……初めまして、星野珀亜です」
鳳蓮さんに『メロンの君』と呼ばれている画面の中の人が、光実さんの兄の貴虎さんのようだ………先ほどの投げキッスは、当然の如く払われていた。
『よろしく頼む』
「こちらこそよろしくお願いします、貴虎さん」
そう言って、貴虎さんはインベスやそれに関係することについて話し始めた。
『インベスというのは、ヘルヘイムの森………こことは別世界だと思ってくれてもいいが、その異世界に棲んでいる生命体のことだ………君も見たと思うが、クラックという裂け目から、こちらの世界へと出現する』
「ヘルヘイムの森……それにクラック……」
そんなものが、この世界にあったなんて……
『ヘルヘイムの森には、この世界とは明らかに異なる植物が生えている………中には人間が食べた場合、インベスへと変貌させてしまうものもある』
「!?」
人間が……インベスに……?
『付け加えて言うと、ヘルヘイムの森には元々、文明が栄え多くの人々が暮らしていた………が』
そう言って貴虎さんは、画面に植物に包まれている遺跡のようなものの写真を映した。
『この様に、植物に侵食されたことで、文明ごと人々も滅びてしまった』
「……」
植物に侵食されて滅ぶ………それって、まるで未来の―――
「ハクア……?」
「!……いえ、何でもないです」
そんなことを考えているうちに、紘汰さんに名前を呼ばれる………今は、話に集中しておこう……。
「この世界も、11年前までは10年以内にヘルヘイムに侵食され、滅びるところだったんだ」
「けど、その時にインベスたちと戦って、この沢芽市に平和が戻ったんだ」
光実さんと城乃内さんが、当時のことを思い出しているのだろうか………そう言ってきたのだ。
「その後、俺たちはそれぞれの道へと進んでいった………まぁ、その後も色々あったがな……」
「なるほど………あ、そう言えば……」
「どうした?」
僕は紘汰さんたちに……
「紘汰さんが使っている錠前って……」
初めて会った時に使っていた錠前について訊いた。
「あぁ……ロックシードのことか?」
「ロックシード……?」
ロックシードって言うんだ……。
「これは元々、ヘルヘイムの森に生っていた実なんだ……で、それをドライバーが付けた人間が取ると……」
「!ロックシードに変化する……」
「そう言うこと、理解が早くて助かるよ。因みに、俺以外も皆、アーマードライダーなんだぜ」
それから、大体のことを訊き終わった後……
「それで……今回のインベスが出現したのって、一体誰の仕業なんですか?」
僕がそう訊くと……
『数年前……ヘルヘイムの実の変種が発見された』
「変種……?」
「俺も初耳だな……」
『変種の特徴としては、戦極ドライバーを装着してヘルヘイムの実を獲っても、ロックシードに変化することはない点だ』
「「……!?」」
そんなものが……この世界に……。
「それが見つかってからというもの、その実やロックシード、量産型のドライバーを悪用する連中が増えてね………アタシはそれを潰すために最近まで世界各地を飛び回ってたのよ」
「?潰すって……?」
「あぁ……アタシは昔、フランス国籍を得るために、その国の軍にいた経験があってね……まぁ、元々はパティシエの修行のために行ったのだけれど。その時の経験や腕を買われて、メロンの君に協力しているのよ?」
「な、なるほど……」
とんでもない経歴の持ち主だな……鳳蓮さんは……。
『話を戻そう………その変種をばらまこうとしている黒幕を追っているうちに、一人のライダーの存在が明らかになった』
「一人のライダー……?」
『これだ』
そう言って、貴虎さんは画面に一人のライダーの姿を映した。そのライダーは、切り分けた林檎を模したような紫と赤の鎧を着ており、仮面の口元を黒いベールで覆った姿をしていたのだ。
「っ!こいつって……!」
「えぇ……こいつは……」
「知っているんですか?」
城乃内さんと鳳蓮さんは、そのライダーの姿を見ながらそう言った。
「あぁ……前に師匠を洗脳したライダーだ」
「それに……この子を利用して、変種をばらまこうとしていた」
「「……!」」
どうやらこのライダーとは、何かあったみたいだ……。
「でもそのライダーって、メロンの君が倒したはずじゃ……」
鳳蓮さんがそう言うと、
『あぁ、あの時は確かに私が倒した……だが、私はこのライダーがまた動き出したと見ている』
「つまり……完全に倒せていなかったと?」
『……そう言うことになる。今回のインベスたちの侵略も、奴によるものだろう』
インベスたちの侵略が、また……。
『奴がいつ仕掛けてくるかは不明だが、余裕はないと見た方がいい……その時には是非、君も協力してほしいのだが……』
貴虎さんのその言葉に対して、僕は……
「最初からそのつもりです………僕にも、守らなきゃいけないものがありますから」
ハッキリと、そう言ったのだ………必ず、この世界を……!
『ありがとう……感謝する』
僕の言葉を聞いた貴虎さんから礼を言われた後……
「俺からも……」
「?」
「ありがとうハクア……頼りにしてるぞ?」
紘汰さんにもそう言われ、その言葉に僕は頷いた………その時、
「俺も混ぜてくれよ?」
「「「「「『!?』」」」」」
そんな声が聞こえ、全員でその方向を見ると、そこには何処かの民族衣装のような格好をした男が、突然僕たちの前に現れたのだ。
「お前は……!」
「サガラ……」
「お前ら、久しいな?」
「何で、お前がここに……?」
サガラと呼ばれた男は、紘汰さんたちにそう声を掛けた………この人、一体何者なんだ……?
そんなことを思っていると……
「そして……」
「……?」
僕の方を見て……
「初めましてだな?創世の神よ」
「……」
「会えて嬉しいぜ?」
はっきりとそう言ってきたのだ。
「創世の神って……」
「一体、何を言って……?」
サガラが言った『創世の神』という言葉に、僕以外の人は何かしらの反応を示した………紘汰さんの反応は、他とは少し違ったように見えたけど……。
「それで、お前が何の用だ?」
紘汰さんが、突然現れたサガラにそう訊く。
「こいつに会っておきたい……ってのが一つだ」
「っ!」
「ハクア君に……?」
「葛葉紘汰……お前という始まりの男がいたとしても、新たに生まれた星野珀亜という創世の神は、無視できない存在なんだよ」
「……」
始まりの男……薄々感じてはいたけど………後で訊いてみよう。
「さて、もう一つの用だが……お前たち……
この騒動の黒幕について、もっと知りたくはないか?」
『……あいつについて、何か知っているのか?』
「あぁ、あれは簡単に言えば……
新たなオーバーロードと言ってもいい存在だ」
サガラは、そう口にするのだった……。
side:紘汰
「オーバーロードだと……?」
「なんで新しい奴が……」
オーバーロードの存在を知っている紘汰たちは、口々にそう言うが……
「あの……そのオーバーロードって、何なんですか?」
その言葉を始めて聞いたハクアは、紘汰たちにそう質問する。
「オーバーロード……かつてヘルヘイムによる侵食を克服し、進化を遂げた種族だ」
「進化……」
サガラがそう言うと、ハクアは何かを考える素振りを見せる。
「そいつの名はシルフィー………世界中に変種をばら撒き、この世界の新たな支配者になろうとしている」
新たなオーバーロード……シルフィーは、変種をばら撒くことにより、今の世界を滅ぼそうとしているようだ。
「奴は既に多くのインベスを従え、準備を進めている………今日お前たちが戦ったインベスも、ほんの一部だろうな」
「「……」」
サガラは、紘汰とハクアに目を向けながらそう言った。
「まぁ、やるべきことは………お前たちなら、もう分かっているだろう?」
「「「「「『……』」」」」」
その言葉に、全員が黙り込んでいると……
「それで……この人は味方だと思ってもいいんですか?」
ハクアは紘汰たちに、サガラが味方なのかどうかを訊いた。
「おっと……俺はあくまで観客だ。そういうことは、期待しない方がいいぜ」
だが、そう返されてしまう。そして……
「二人の神が出会うことになったこの戦いの結末………しかと見届けさせてもらうぜ?」
そう言い残し、サガラは姿を消してしまうのだった……。
side:ハクア
「フッ!ハァ!」
サガラが去った後、あの場は一旦解散ということになった。その夜に僕は、ガレージの前で人間だった時にやっていた日課の格闘術の練習をしていた。今日は朝からあんなことがあったから、日課が出来ていなかったのだ。これは、創世の神になった後もずっと続けている………すると……
「何してるんだ?」
「!紘汰さん?」
後ろから紘汰さんが話し掛けてきたのだ。
「もう夜も遅いだろ……休んだ方がいいんじゃないか?」
「大丈夫ですよ……この体になってからは、あまり疲れませんし」
「……」
僕がそう言うと、紘汰さんは何故か黙り込んでしまう……。
「紘汰さん……?」
「あ、いや………ところで、それは誰から教わったんだ?」
「あぁ……これは全部独学ですよ」
「!?」
僕がそう言うと、紘汰さんは驚いた様子でいて……
「ん?どうかしました?」
「いや……シャルモンのおっさんといい勝負しそうだなって」
「シャルモンの………あぁ、鳳蓮さんの……」
僕に向けてそう言うのだった。そんな会話を続けていると……
「なぁ……サガラがお前のこと『創世の神』とか言ってたけど、あれって――」
「本当ですよ」
「!やっぱり……」
「それを言うなら、紘汰さんのことを『始まりの男』とも言ってましたけど」
「!そういえば……そうだったな……」
紘汰さんが、僕が創世の神であることを訊いてきたので、僕も紘汰さんが始まりの男という神様であることを聞き返した。すると……
「ハクアは何で……創世の神に?」
「それは……」
紘汰さんは唐突に、そう訊いてきたのだ。僕は答えようとするが………母さんと最後に話したことを思い出し、思わず言葉を止めてしまう。
「……話したくないなら、それでもいいんだぞ」
「!いえ……大丈夫です」
そう言いながら、僕は紘汰さんの隣に座り込み、話し始めた。
「僕が仮面ライダーとして戦い始めたのは、デザイアグランプリというゲームに参加して、2000年前に離れ離れになった母さん……最初の母親を探すためでした」
「デザイアグランプリ……それに最初の母親って……?」
「デザイアグランプリというのは、仮面ライダーたちが敵であるジャマトというものから世界を守り、最後に勝ち残ったライダーには、理想の世界を叶える権利が与えられるというゲームのことなんです……但し」
「?」
「ジャマトにやられてしまったライダーは……消滅してしまう。まさに、命懸けのゲームだったんです」
「そんなゲームが、この世界で……」
僕の話を、紘汰さんは真剣に聞いてくれていた……紘汰さんになら、話してもいいかな……。
「……実を言うと、僕は2000年間、何度も転生を繰り返していて……その中で、ある時にはデザイアグランプリに参加して連勝を続け、またある時にはそれとは全く関係のない人生を送ってきました」
「その間、ずっと母親を……」
「はい……そして、今世で参加したデザイアグランプリ………そこで、世界を勝者の理想の世界へと創り変えていた創世の女神が、僕の最初の母親……ミツメであることを知ったんです。けど、デザイアグランプリの運営は、母さんを無理やり利用して、犠牲になった人々の幸せを世界を創り変えるための力にしていた……そして、僕はそんな運営と戦い………母さんに会うことができた」
「……!」
「でも、限界が来ていたのか……その後に、母さんは……」
「……」
「けど、大丈夫です……伝えたいことは、最後に伝えることが出来ましたから」
「!……そうか」
「その時にこう約束したんです………誰もが幸せなれる世界を創る」
「じゃあ、その為にハクアは……?」
「はい……人々の幸せの総量に限界があって、この世界を創り変えるために、創世の神になるって決意したんです。その後は、皆……僕の家族や仲間と一緒に、デザイアグランプリの創始者を倒し、この世界を誰もが幸せになれる世界へと創り変え、僕自身は本当の意味での創世の神になりました」
「……」
「あと、今のデザイアグランプリは僕や仲間たちで運営しています。幸せになりたい人たちを少しでも応援するために……勿論、代償はなしで」
そして、僕が話し終えると……
「……ありがとな」
「えっ?」
「俺を育ててくれた、この星を守ってくれて。それに、誰もが幸せになれる世界にしてくれて」
「……まだまだこれからですけどね」
そうお礼を言ってきたのだ……が、
「けど……」
「?」
「後悔は……してないのか?」
続けて、そう訊いてきたのだ。後悔……か……。
「後悔はしてません……まぁ、創世の神になった時、僕という人間が存在した事実が忘れ去られた世界にしましたけど」
「!忘れ去られるって……」
「あぁ、デザイアグランプリに参加している人や関係者は、僕のことを覚えていますよ……それ以外の人たちは、言うまでもありませんけど」
「……寂しくは、ないのか?」
「そもそも僕が望んだことですし、覚えてくれている皆がいますから………寂しくなるとしたら、そんな皆が死んじゃった後……ですかね」
「……」
「別に後悔ってわけじゃないです。けど……
そうなるのは、少し嫌だ………って、これじゃ弱音ですね。こうなることを望んだのは、僕自身なのに……」
僕は思わず、そう口にしてしまう……すると……
「ハクア……お前は強いよ」
「え?」
「力だけじゃない、本当の強さを持っている」
「本当の……」
「あぁ、さっきみたいに思ってしまうのは、ハクアの弱さなのかもしれない。けど、それを受け入れることが本当の強さだと、俺は思う」
自分の弱さを、受け入れる……
「ハクアは、それを受け入れてると思うぜ」
「!……ありがとうございます」
紘汰さんの言葉に、僕はそう返事をする。
「あ、逆に訊きますけど……紘汰さんは、後悔とかはないんですか?」
僕も紘汰さんに、さっきされた質問をした。
「そうだな………俺も後悔はない。これは自分で決めた道だからな」
「……」
「でも、神様になるまでに自分の身体がどんどん人間じゃなくなって、ヘルヘイムの実が美味しいと感じるようになるまで味覚も変わって………俺には姉ちゃんがいるんだけどさ……姉ちゃんの手料理が食べられなくなったのと、一人にしちゃったのは……申し訳ないかな」
「っ……」
そんなことが………紘汰さんも、紘汰さんのお姉さんも……
「!……ハクアがそんな顔する必要はないんだぞ?」
「いや、でも……」
「ハハハ!優しいんだな……本当に」
「え、ちょ、紘汰さん頭……」
紘汰さんはそう言って、僕の頭を少し荒く撫でてきたのだ。
「あぁ、悪い悪い……思わず……」
「思わずって……」
そうして、紘汰さんは僕の頭から手を離す。
「俺は始まりの男になった後、舞……女神様だと思ってくれてもいいんだけど、舞と一緒にインベスたちとヘルヘイムの植物を別の惑星に送って、その場所で一から新しい世界を創り上げたんだ」
「別の惑星に、二人で……」
「今はそこで暮らしていて、こっちで何かあった時はこうして戻ってきているんだ」
「なるほど……今回もそれで……」
紘汰さんと同じような人が、もう一人……
「さて……結構話し込んじゃったみたいだな」
「そう言えば……もうこんな時間……」
自分のスマホの画面を見てみると、結構な時間が経っていたのだ。
「……いい加減に休むか?」
「はい、そうしましょう」
そうして僕たちは話を終え、明日に備えるのだった……。
翌朝……
「さて……シルフィーが動き出すまでには、そう時間は掛からないって話だけど……」
「そうですね……」
そんなことを話していると……
『♪~』
「ん?」
「ハクアの携帯……誰からだ?」
「あっ、貴虎さんから……」
僕の携帯が鳴った。相手は昨日、連絡先を聞いた貴虎さんのようだが……
『私だ』
「どうしました?」
『そこに葛葉もいるか?』
「あぁ、いるけど……?」
貴虎さんは、近くに紘汰さんがいるかどうかも訊いてきたのだ。そして……
『……インベスたちの侵攻が始まった。シルフィーが動き出した』
「「!?」」
『光実たちも向かっている。現地で合流してくれ』
「分かった」
「分かりました」
『私も直ぐに向かう』
そして、通話が切れた後……
「よし、掴まれ!」
僕は紘汰さんの肩を掴み、そのまま黄金の林檎のようなものに包まれ、二人でインベスたちが現れた場所へと向かうのだった……。
読んでくださりありがとうございます。
仮面ライダーシルフィー自体が何者なのかは、公式でも明かされていないので、このような設定にしました。そして始まった侵攻……ハクアと紘汰たちは、止めることができるのか……?
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それでは、次回もよろしくお願いします。