それでは、どうぞご覧ください。
side:アクア
俺たちが映画に出演してから2年が経った。
あの映画は、結局全部アイが持っていった。俺も少しは、話題にはなったがそれ以上だったのがハクアだ。
あの演技と声で話題になったハクアは少しずつではあるものの、子役と声優の仕事をしている。本人も夢中になれいるので合っていたのだろう。
あの時言ったことが本当になるとは、何があるか分からないものだ。
そして俺たちは……
「うんうん、三人とも可愛い!」
「まあ、私よりもママの方が可愛いけどね!」
「何の対抗意識だよ、それ」
幼稚園に入園する年になったのだった。そして、しばらく経ったころ……
「そういえばさ、お前らって生まれ変わる前って何してたんだ?というか何歳?」
「えっと……はっ!」
今まで詳しく聞いたことなかったと思い、ふと訊いてみたくなったのだった。ルビーは何か考えているようで…。そして、すぐに
「わ……私、大人の女性なんですけど!?女性の年齢尋ねるとかデリカシーのないガキね!」
「ていうか前世とかどうでもいいし!余計な詮索しないで!」
「ま、それもそうか…」
そんな会話をしていると
「二人して何話してるの?」
「あぁ、今ルビーに生まれ変わる前どんな人だったのかを聞いていたんだが、余計な詮索するなと言われてな」
「そりゃあ女性だしね。無理に聞くのは良くないよ」
「そうそう!流石ハクア!分かってるわね~」
さっきまで向こうにいたハクアも俺たちの会話を聞いて、こっちに来たのだった。
そして、ルビーがこんなことを聞いた。
「そういえば、ハクアは前世どんな感じだったの?」
……さっき俺に「デリカシーのない」だの「余計な詮索をするな」などと言っていたやつのセリフではない。完全にブーメランじゃないか。
少し驚いていたハクアだったが、すぐに自分の前世について話してくれた。だが……
「僕は、前世11年しか生きてなくてさ、ほとんど病院にいたんだ」
「「!?」」
…これはマズイことを訊いたか…。ルビーもそう思っているのか申し訳なさそうな表情をしていた。
「……そんな顔しなくてもいいよ」
「いや、でも……」
「前世は家族が少し特殊でね…ほとんど記憶にないんだ。でも、今世でお母さんのところに生まれて…そして、二人に出会えた…」
「だからさ…嬉しいんだ僕は」
「「……!」」
「今のことで二人が気に病むことは何もない」
「「……」」
「……そこまで気にするならさ…これからも仲良くしてよ。それでチャラ、いい?」
「……!あぁ!」 「……うん」
「あと、二人の前世は何も訊かないでおくから、僕が話したからといってそっちも言う必要はないからね」
……弟が優しすぎるのだが。こんなに優しいのに、今の話を聞く限りでは前世でのハクアの親は、見舞いにも来ずに放置していたように思える。
……記憶の中で
……いや、それはあり得ないだろう。ただでさえ転生というものは奇跡なのにな。
その答えが出る時が意外にも近くまで来ていることを、俺は知る由もないのだった。それと同時にある事実を知ることになることも……。
side:ルビー
「僕は、前世11年しか生きてなくてさ、ほとんど病院にいたんだ」
「前世は家族が少し特殊でね…ほとんど記憶にないんだ」
……とんでもないことを訊いてしまった気がする。
ハクアがそんな過去を持っていたとは思わなかった。私と同じ過去を…。
そんな中…
「今日は、来月にあるお遊戯会の練習をしますよ」
それを聞いてしまい私は、反射的にそこから逃げてしまった。私は前世で踊ったことはもちろんない……。
できるわけがない……。
そんなことを考えていると、
「……!こんなところにいたの姉さん」
「?あっ……」
「どうしたの?急に走って行くから心配したよ?」
「ご、ごめんね……」
私を探しに来てくれたであろうハクアは、とても心配そうな表情をしていた。
「……」
「……」
「ねぇ」
「…何?」
「なんで逃げたかは訊かないでおく、でも…」
「…でも?」
「前世は前世、今は今だよ」
「!」
……強いなぁ…ハクアは。家族から見放されるのはつらいことなのに…。
「それに、姉さんは将来お母さんみたいなアイドルになりたいんでしょ?それに、姉さんはアイドル星野アイの娘だよ?僕も手伝うから、頑張ってみない?」
……そうだ、それは私の生まれ変わってからできた夢。前世では到底叶わなかった夢。
「……うん!今なら私、踊れそうな気がする!ありがとねハクア!」
……前世がどうとか関係ないよね!私は星野ルビー、アイドル星野アイの娘でハクアのお姉ちゃんなんだから!
「ねぇ」
「うん?」
「本当にありがとう!」
「どういたしまして」
さあ、帰ったら早速練習だ!
side:ハクア
姉さんはその後ダンスの練習を始めて、僕やお母さんと一緒に練習した。その甲斐あってかお遊戯会でのダンスは大成功に終わったのであった。
僕の方も子役としての活動を中心に時々声優としての活動もしている。この調子で続けて行けば母さんも僕を見つけてくれる……はずだ。まだ、前立てた仮説が正しいとも限らないしね。
そうしているうちに、いよいよお母さんのドーム公演の日になった。僕たちは、最近引っ越した新居で社長たちが迎えに来てくれるのを待っていた。その時…
『ピンポーン』
とインターホンがなった。お母さんは
「社長たちかな?まだ早いけど……?」
と言って玄関に向かっていった。
……どう見ても怪しすぎる。社長たちならそれでいいが、念のために後ろからこっそりとついて行くことにした。そして、お母さんがドアを開けると黒いフード姿の男…大学生ぐらいだろうか。花束を持ってそこに立っていたのだが……
「!」
花束の中にナイフがあるのを見つけた。そして、僕は……
「アイ、ドーム公演おめでとう。三つ子たちは元気?」
「
side:アクア
「母さん!」
「!」
アイについていったハクアの大声が聞こえたと同時に、何かが倒れる音がした。さすがにおかしいと思い玄関に行くと……
「ハクア!?しっかりしてハクア!!」
そこには、腹から血を流して倒れているハクアと泣きながらハクアを抱えるアイ、そして、ハクアを刺した男そこに立っていた。
「どうしたの?何があった……!」
ルビーも騒ぎに気づいたのかハクアの元に行こうとする。
「痛いかよ、ガキが傷ついて痛いかよ!俺はもっと痛かった!」
ストーカーだろうか、その男は話しつづけていた。
「救急車と警察!早く!じゃないとハクアが!」
その中で俺は救急車を呼ぶために電話を掛ける。
「アイドルのくせに子供なんか作るからだ!お前はファンを裏切った!この噓つき!」
……普通ならそう思うのも無理もないだろう。その言葉を聞いたアイは
「私なんて元々無責任でどうしようもない人間だし、人を愛するってよく分からないから、私はその代わりにみんなが喜んでくれるような綺麗な噓を吐いてきた。いつか、噓が本当になることを願って、頑張って、全力で噓を吐いてきたんだよ」
そうして、男に語りかけていた。
「噓つけ!俺のことなんか覚えていないくせに「リョースケ君だよね」……は?」
「あれ、違った?ごめん…私さ、人の名前覚えるの苦手でね…お土産でくれた星の砂」
「!」
「今もリビングに飾ってあるんだよ?」
「そんな…そんなの…何なんだよ……そんなつもりじゃ……」
そうして、男は叫びながら走り去っていった。すると……
「お母さん……無事……?」
「うん!私は無事だよ!ハクアのおかげで何ともないよ!」
「……そっかぁ…良かったぁ…」
ハクアがそう話しかけてくる。俺はすぐに腹の傷を見た。
「ハクア!……大丈夫、腹部大動脈は…傷ついてはいない!」
最悪の可能性は免れたが、油断はできない。すぐに、応急処置に取り掛かる。
「さっき救急車を呼んだからな!もう少しだ!」
「頑張って…!死なないでハクア!まだ……まだ私は言えてないのに……!」
「死んじゃやだよぉ……」
応急処置をしながらも俺たちは必死に声を掛ける。
「……そんな顔しなくても…まだ…死ぬつもりは…ないよ?」
「まだ……理想の世界を…叶えてすら…いないんだから……」
「生きなきゃ……いけないんだ……」
「「「っ……!」」」
そう言ってなんとか言葉を紡いでいたが……
「……これじゃあ、
お母さん…
「「…………え?」」
……そうして、ハクアは気を失ってしまった。
その言葉を放心している俺と…同じく放心しているルビーだったが、救急車がきたためアイとルビーと共に病院に向かい、手術の後にハクアは生と死の淵から生還したのであった……。
読んで下さりありがとうございました。
なんとか、ここまで書き切ることができました。次回、再誕編の最終回です。お察しの通り、この小説ではここで三つ子たちの前世を明かしてしまいます。再誕編の後は、デザグラとハクアが中心となるようにしたいと考えております。
それでは、次回もよろしくお願いします。