前回の前日譚の最後では、白い髪のハクア(?)が出てきており、四次元ゲートをくぐって何処かの時代に向かったようですが……?
この章の話には『仮面ライダーギーツ ジャマトアウェイキング』のネタバレが含まれています。それでもいい方は、どうぞご覧ください。
side:透
ある日、俺は同僚たちと団地へと来ていた。というのも、この団地は老朽化が激しくなって来ているため、修繕工事が必要なのだ。俺は早速、工事の準備をしていると……
「なぁ、透」
同僚の一人が話し掛けてきた。
「どうした?」
「ここ、出るらしいぞ?」
「何が?」
「幽霊だってよ……それも、10歳くらいの男の子の」
「いやいや……まさか……」
その話を冗談だと思って聞き流し、ふと近くの広場の方に目をやると……
「……」
「ん……?」
そこには、10歳くらいの男の子がこちらを見つめていたのだ。そして……
「お兄さん、ここ壊しちゃうの?」
俺に向かって、そう訊いてきたのだ。
「いや、古くなったから直すんだ。倒れでもしたら大変だからな?」
俺は男の子にそう返した。すると……
「どうした?」
さっきの同僚が話し掛けてきて……
「いや……そこに男の子が―――」
俺は男の子がいることを、その子の方を向いて話そうとしたが……
「男の子……?何処に?」
「っ……!?」
そこには、誰もいなかったのだ………さっきまでいたはずだが……?
「お前、疲れてるんじゃないか?」
「……あぁ、そうかもな………」
「まぁ、しっかり休むことだな?」
同僚は俺の肩に手を置いた後、作業に戻っていく。
「……」
それに続いて、俺も作業に集中するのだった……。
side:ルビー
「みんなー!星野ルビーだよ!そして……」
「こんにちは、星野アクアです」
とある日、私はカメラを片手に、お兄ちゃんと一緒にある場所の取材へと来ていた。その場所というのが……
「今日はお兄ちゃんと一緒に、この団地で開かれているという、今話題のパン屋に来ています!」
SNSなどで話題となっている夫婦で営んでいるパン屋だったのだ。
「こんにちは!」
「「いらっしゃいませ!」」
私たちは早速、二人に話を訊いた。
「このお店は二人で?」
「はい!」
「私たちはお互いにパンが好きで、それがきっかけで結婚したんです!」
「!」
「へぇ~!」
どうやらこの二人は、パンがきっかけで出会い、結婚したというのだ………素敵な話だなぁ……。
「お待たせいたしました」
「「ありがとうございます」」
そして、奥さんからこの店で一番人気のメロンパンを受け取り……
「じゃあ……」
「いただきます!」
二人で食べる様子をカメラで撮るのだった……。
side:アクア
無事に取材を終わらせた俺たちは、追加でもう何個かメロンパンを買い、この場にいるもう一人の下へと向かった。そのもう一人というのが……
「うんうん!やっぱりうちの子たちは可愛いね~!」
スマホのカメラで俺たちを撮っている、変装した母さんがいたのだ。
「……また撮ってるのか?」
「そうだよ、思い出はちゃんと撮っておかないとね?」
そう口にする母さんに、ルビーは……
「もしかして……ハクアのために……?」
「もちろん、ルビーとアクアのためでもあるけど……うん、そうだよ」
前からもそうだったが、母さんはハクアが創世の神になってから、こうやってよく写真を撮るようになった………この先、永遠の時を生きるハクアに思い出してもらえるように、何かを形にして残そうとしている……と思う……。
「はい、どうぞ!」
「ありがとね!」
母さんはルビーからメロンパンを一つ受け取り、それを一口食べた。すると……
「う~ん!美味しい~!」
幸せそうな表情で、母さんはそのメロンパンを味わっていた。そうして、みんなで団地の一角にある滑り台の近くで、話をしながらメロンパンを食べていると……
「すみません、少しよろしいでしょうか?」
「?はい……」
「どうかしましたか?」
「はい、少しお聞きしたいことが」
「「「……?」」」
突然、一人の警官に声を掛けられる。そして……
「この辺りで、10歳くらいの男の子を見ませんでしたか?」
そう訊かれたのだ。
「いや……?」
「見てませんけど……」
俺たちは顔を見合わせて、警官にそう答える………にしてもこの警官、なんだか……。
「そうですか……」
「あの……何でその男の子を探して?」
母さんが、その男の子を探している理由を訊くと……
「えぇ……何でもこの辺りで、探している特徴の男の子が目撃されていまして……ですか、突然消えたようにいなくなった、と」
そう答えたのだ。
「ま、まさかそれって……」
「ゆ、幽霊……?」
それを聞いたルビーと母さんは、幽霊かもしれないと思い、そんなことを口に出した。
「もし何かを見つけましたら、私の方までお願いいたします」
警官は俺たちにそう言った後、自転車を押して何処かへ行ってしまった。
「……」
「お兄ちゃん?」
「どうしたの?そんな顔して」
俺は、去っていく警官の後ろ姿を見ていた………さっきの男の子を探しているって話……どこか引っかかるような……。
「……先に帰っていてくれ」
「「えっ?」」
そう言う俺に対し、ルビーと母さんはそんな反応をする。すると……
「もしかして、気になるの?」
「……まぁな」
俺の考えていることを理解しているように、ルビーがそう言ってきて……
「ふーん……じゃあ、私も行く」
「ルビー……?」
「実を言うと、私も少し気になってたしね?」
俺について来ようとしてきたのだ。それに続いて……
「もちろん、私も行くよ?」
母さんまでもがそう言ってきたので………
「……分かった」
結局、三人で男の子を探しに行くことになるのだった……。
side:ハクア
「ふぅ……今日も平和、かな」
僕が創世の神になってからしばらく経ったある日………僕は姿を現して、定期的にしているパトロールのついでにある場所へと向かって歩いていた。そんな僕の隣には……
「♪~」
どこかご機嫌なあかねが、僕と手を繋いで歩いていたのだ。
「わざわざついてこなくても良かったんだよ?あかねも最近忙しいだろうに……」
あかねは今も多忙であり、休みもそれほど多くはない……僕としては、少しでも休んで欲しいと思っているんだけど……
「心配しなくても大丈夫だよ?それに、最近忙しいせいでハクア君との時間がとれなかったし……こうして一緒にいられるのが、何より嬉しいんだよ?」
笑顔でそう言われてしまう……。
「そっか……なら良かったよ」
そうは思っていても、僕自身もあかねと一緒にいられるのは嬉しいんだけどね……。
「あっ、ところで………どこに向かってるの?」
「あぁ、それは――――」
「さて、着いたよ」
「ここって……」
僕たちは、とある研究施設へと足を踏み入れていく。そして、少し歩いていくと……
「大智さん」
「こんにちは」
そこには、ジャマトたちに授業をしようとしていた大智さんと、大智さんが育てているジャマトたちがいたのだ。
「……!」
僕たちが声を掛けると、ジャマトたちに授業をしようとしていた大智さんは、それに気が付き……
「これはこれは………夫婦で授業参観かい?」
振り返ってお辞儀をしながら、そう言ってきたのだ。
「……!?」
「……パトロールと散歩みたいなものだよ?でも……折角だし、そうさせてもらおうかな?」
「!う、うん……そうだね」
僕の言葉にあかねも頷き、成長途中のジャマトたちを授業参観することになった。
「なら……今日は『愛』について学んでいこうか?」
『『『『ジャー!』』』』
大智さんの言葉に、ジャマトたちは元気よく返事をする。その様子を見ていると……
「いつか……ハクア君との――――」
あかねが何かを呟いていたのだ。
「あかね?」
「!?ううん、何でもないよ?」
「そ、そう……?」
「そうそう!何でも無いからね!」
「……?」
何故だか食い気味にそう言われたのだ………その様子に疑問を覚えながらも、僕は授業をしている大智さんや、それを受けているジャマトたちに目を向けるのだった……。
side:アクア
俺たちは、警官の話にあった男の子を探して団地内を歩いていたのだが……
「な、何だか雰囲気が……」
「大丈夫だよ……何かあったら、私が守ってあげるからね?」
「………何で俺の後ろに……あと普通に歩きにくいんだが……」
ルビーと母さんは何故か俺の後ろに隠れていたのだ………
(というか二人とも………幽霊よりも怖いもの、ここ二年でたくさん見てきただろ……)
そんなことを思いながらも、目の前の曲がり角を曲がろうとした………その時、
「あっ」
「「きゃああああ!?」」
「「っ!?」」
その先から透さんが現れたのだ。透さんを見た、俺の後ろに隠れていた二人は声を出しながら驚き、その声を聞いて俺や透さんは思わず驚いてしまう。
「ってあれ?透さん?」
「というか何でここに?」
「俺は普通に仕事だよ………そっちこそ何で……?」
「それは―――」
俺は透さんに、この団地のパン屋に取材に来たことを伝えた。その後、ルビーが……
「えっとさ……この辺りで、10歳くらいの男の子を見なかった?」
「男の子……?」
そう尋ねたのだ。すると、何かを考える素振りをした後、透さんが……
「一応見たけど……」
「!?」
「見たの!?」
「何処で!?」
ルビーと母さんに、そう言われた透さんは……
「あー……じゃあ案内しようか。こっちだよ」
俺たちに、男の子を見た場所まで付いてくるように言った………その時、
突如として、銃声が響いた。
「な、何……!?」
「この音は……?」
ルビーと母さんは、その音を聞いて驚きを隠せずにいたものの……
「アクア君、これは……」
「あぁ……いやな予感がする」
「急いだ方がよさそうだね……」
「うん……早く行こう!」
俺や透さんと共に、銃声のした方に向かうのだった……。
side:ルビー
突然、銃声のような音を聞いた私は、お兄ちゃんやママ、透さんと一緒にその場所へと向かった………そこで見たのは……
「っ!?これは……」
「……噓でしょ……?」
「っ……」
「そんな……」
胸から血を流して倒れているパン屋さんの旦那さん………そんな旦那さんに駆け寄る奥さんと、その子供……10歳くらいの男の子だったのだ……。
「違う………これは……正当防衛だ……!」
その反対側には、手に拳銃を持ったさっきの警官の人がいたのだ………そんな警官の人を見た奥さんは……
「よくも……」
「……!」
「許さない……!」
立ち上がりながら警官に近づいていき……
「あああああああ!!』
「「「!?」」」
チェスの駒の一つであるクイーンのような形をしたジャマトへと姿を変えたのだ………あの人が、ジャマトに……!?
「ば、化け物だ!」
「逃げろ!」
その光景を見た周りの人たちは、次々と逃げ出そうとするが……
『ああああああ!!』
「うわああああ!?」
「た、助けてくれ!?」
悲しみで暴走して、襲い掛かってくるジャマトから逃げられずに、吹き飛ばされてしまう……。
「何でジャマトが……!?」
ママは目の前の光景を見て、そんな反応をする。
「……ママはみんなを避難させて!」
「!……すぐに私もそっちに行くからね!」
ママはそう言って、周りの人たちを逃がしつつ、安全な場所へと誘導しようとする。そして、私たちはドライバーを腰に付け……
「SET」
「SET」
「SET」
「「「変身!」」」
「NINJYA」
「SET」
「GRAB CRUSH OUT ZOMBIE」
「「「READY FIGHT」」」
「………止めるよ!」
「あぁ……!」
「分かった……!」
変身し、暴れているジャマトを止めるために、駆け出していくのだった……。
side:ハクア
外での授業参観を終えた僕たちは、大智さんに案内されて研究所の中へと来ていた。
「それで、最近はどう?」
「あぁ、君が手伝ってくれたおかげか、研究は順調に進んでいるよ」
「手伝った……?」
隣にいるあかねが、首を傾げながらそう訊いてきたのだ。
「うん、ちょっと色々とね?」
「色々……?」
「この施設の建造や資金面とかで、大いに助かっているよ」
「いつの間に……」
「君には、本当に感謝しているよ」
簡単に言えば、研究所の建物も資金も大智さんの願いを叶えた結果なのだけれど………すると、大智さんは続けて……
「そうだ………見てもらって分かるように、この研究施設ではジャマトたちに『愛』や『慈しみ』などの心を教えながら、育てていた……そんな時、自ら人間に姿を変えることのできるジャマトの突然変異種が現れたんだ」
「!自分の意志で……?」
「あぁ、蒼斗と葉月といってね………それぞれがキングとクイーンとなり、人間と共存していくことを僕は望んだ」
そんなことを話し始めたのだ………まさか、そこまで進んでいるとはね……そう思いつつ、僕は……
「それで、その二人の様子は?」
大智さんに、そう訊いたのだ。
「葉月の方は、人間たちの中で生活していく中で……生涯の伴侶と出会った。それも、彼女の正体を知っても、変わらず愛してくれる相手とだ………君にとっての、黒川あかねと同じように」
「「……!」」
あかねは、僕が転生者と知っても創世の神になった後でも、こうして僕のことを愛してくれている………本当に、感謝しかないよ……。
「僕も彼と直接会って、二人を祝福したよ………言うまでもなく、幸せそうな様子だった」
「そっか……それは良かったよ」
そんな話をしていると……
「それで、蒼斗の方は―――」
『♪~』
「!すまないね、少し……」
「あぁ、全然大丈夫だよ」
電話が掛かってきたので、大智さんは受話器を取って電話に出る。そんな大智さんの様子を僕たちは、見ていたのだが……
「もしもし?はい、そうですが………えっ……?
ジャマトが現れた……?」
「「!?」」
大智さんが、急にそんなことを言い出すのだった……。
side:あかね
「はい……はい………」
通話が終わり、大智さんが受話器を置いたタイミングで……
「何が……あったんですか?」
恐る恐るといった感じで、私はそう尋ねた。すると……
「さっき話していた葉月が、ジャマトになって暴れているらしい……」
「え……?」
「っ……」
大智さんは、動揺した様子でそう言ったのだ。
「何で急にそんな……?」
「……電話で聞いた話から察するに……
おそらく二人の間には、子供がいる」
「子供……!?」
「つまり………人間とジャマトのハーフってこと?」
「あぁ……そもそも人間とジャマトでは身体の構造が異なる………本来ならあり得ないことだ。これも、二人が願った結果なのだろう……」
「「……」」
異なる種族との間に生まれた子供……まるで………
「人間とジャマトのハーフ………まさに奇跡だ……
古代人と未来人のハーフである、君が生まれた時と同じように」
「「……」」
まさに、大智さんの言う通りだろう……。
「……それで、場所は?」
「場所は……この団地だ」
ハクア君はジャマト………葉月さんを止めに行くため、大智さんにその場所を訊く。そして、パソコンに映し出されている地図を一緒に見たのだが……
「!ここって……!」
そこは、今日アクア君たちが行くと言っていた場所だったのだ。おそらく、みんなはもう戦って……!
「っ!」
「あっ!」
それを見たハクア君はすぐさま研究所を飛び出し、その場所へと向かっていったのだった……。
side:アクア
「「ハァ!」」
「やぁ!」
『っ!何を……!』
俺たちは、なんとかジャマトを止めようとしていたが……
「お願い!止まって!」
「俺たちは敵じゃない!」
『っ!ああああああ!!』
「ぐっ!?」
「うわっ!?」
「くそっ……!」
俺たちの言葉に耳を傾けてくれる様子もなく、触手を振り回して攻撃してきていたのだ。
「頼むから止まってくれ!」
俺たちは触手をかいくぐりながら近づいていき、攻撃を止めようとする………が、
『憎い……!あの人を奪った人間が憎い!!』
「「「っ……」」」
『春樹を……あの子を傷つけさせはしない!!』
そう口にしながら、再び攻撃を仕掛けてくる。
「「ハァ!」」
「はぁ!」
それに対し、俺たちも武器を振るい触手を防いでいく………そんな風に防御に徹しつつ止める機会を伺っていたが……
「このままじゃ、こっちがやられる……」
「確かにね……」
「どうすれば……」
「っ……」
「ROUND1」
「やるしかない……!」
「ROCK FIRE」
「っ……ごめんなさい……!」
「POISON CHARGE」
「悪いな……!」
俺たちはそれぞれの武器を構え、ジャマトに向かって駆け出していき……
『っ!』
「TACTICAL SLASH」
「TACTICAL FIRE」
「TACTICAL BREAK」
「「「ハァ!!」」」
『っ!?』
触手を斬りながら、そのままジャマトに攻撃を放って吹き飛ばしたのだ。
「お母さん!!」
「「「っ!」」」
『春樹!来てはだめ!!』
そして、俺たちとジャマトが無言で互いを見つめ合う中………
「「「『!?』」」」
突然、俺たちの上にゲートのようなものが開き……何かが出てきて、煙を上げながら地面に降り立ったのだ。その後、煙が晴れていくと、そこには………
「何で……」
「えっ……」
「あれは……」
ジャマトの前には……
「……」
白い髪をして、その髪を下した髪型をしたハクアが立っていたのだ……そして、驚く俺たちを余所に……
「世界を滅ぼす元凶は……
僕が倒す」
そう言いながら、銀と黒のバックルを顔の横に構え……
「DOOMS FALSE」
「SET PUNISHMENT」
それを分離させ、ドライバーにセットした。それから、右手を狐の形にして顔の左側に動かし……
「……変身」
「REVOLVE ON」
そう言って指を鳴らし、ドライバーを回転させてからバックルのレバーを倒した。
「PUNISHMENT BOOST」
すると、銀色の狐が白い髪のハクアの周りを走り回り……
「DOOMS FALSE」
アーマーとなって、身体に装着されたのだ。その直後、何処からか飛んできた銃剣一体となった武器を掴み……
「READY FIGHT」
それを、俺たちに向けて構えるのだった……。
読んでくださりありがとうございます。
遂に始まったジャマトの覚醒………そして、ゲートから現れたのは……?
ちなみに、最後に登場したライダーは、アーマーの形と色の配置はドゥームズギーツと同じですが、金色の部分が銀色で身体を走るラインは金色となっています。また、首元にはフォルスXと同じようにマフラーがついていますが、完全な黒色になっています。
良ければ、感想や評価、あれば「ここすき」への投票もよろしくお願いします。
それでは、次回もよろしくお願いします。