今回は、ハクアとあかねの話を書いていきたいと思います。本編の話とは違い、ハクアたちの日常に焦点を当てた話で、時系列的には神罰編の後の話となります。
それでは、どうぞご覧ください。
追憶Ⅰ:女神(?)とのデート
side:あかね
私の名前は黒川あかね……私は今………
「うん!これなら安心だね!」
「か……可愛すぎる……!」
「えっと……理由は分かるよ?でも、これは流石に……」
普段とは違って髪を下ろし……ロングスカートの服の上に上着を羽織った格好をして、少し顔を赤くしたハクア君と、その姿を見て目を輝かせているルビーちゃんやアイさんの様子を見ていたのだ……まぁ、私も例外なくそうなんだけど……。
「大丈夫大丈夫!なんて言ったって私の子だもん!」
「いや、そう言う問題じゃなくってね……?」
「うんうん!ハクアは何でも似合うね?」
「……その褒め言葉は素直に受け取るけどさ、今はそうじゃなくてね……?」
二人はハクア君を勢いよく褒めているが、褒められている本人はその勢いに困惑していた………こうなったのには、ちゃんとした(?)わけがあって………
『『うーん……』』
『?二人共どうしたの?何か悩み事?』
ある日、私とハクア君がサロンで考え事をしていると、そこに仕事を終えたルビーちゃんがやってきた。
『あ、姉さん……』
『ルビーちゃん……実は―――』
私とハクア君は、ルビーちゃんに悩みを話した。ハクア君がまだ創世の神になる前………私たちの交際は世間に認知されていたため、デートも堂々と出来た……けど、
『僕が存在したという事実は、スエルとの決戦の後にこの世界を創り変えた時になくなっているから……』
『世間的に今の私には『彼氏はいない』っていう認識なの』
『それに加えて、今のあかねの人気は凄まじい………
今は事情が変わり、あまり堂々とデートすることができていないということなのだ……デートする時には、気を付けてはいるけれど……。
『あー……そういうことね………でも、ハクアなら大抵――』
『姉さん?』
『あ、はい、ごめんなさい』
『……』
ルビーちゃんが何かを言おうとしたが、ハクア君の圧がかかった声を聞いて、反射的に謝っていた………すると……
『!じゃあさ………
ハクアが女装しちゃうっていうのはどうかな?』
『『えっ?』』
『同性同士に見られれば、問題はないでしょ?』
ルビーちゃんはそう提案してきたのだ。それに対し……
『理屈は分かるけど………姉さん、何か企んでない?』
『!?そ、そんなことないよ?(まぁ、ハクアは役を演じる時には女装とかしてたけど……普段の時は絶対にしないから、一度間近で見てみたいだけなんだけどね!)』
『ふーん……』
『……』
ハクア君はルビーちゃんにジト目を向けた………その視線に耐えられなくなったのか、ルビーちゃんは……
『あっ!お義姉ちゃんもさ……見たいと思わない?』
『えっ?』
『……ハクアの可愛い姿』
『!』
『ちょ、姉さん!?』
私にもそう言ってくる……ハクア君の可愛い格好……………うん、よし。
『……ハクア君』
『あ、あかね……?』
『……お願い?』
『……はい?』
「想像の何倍も可愛いすぎる……!」
「あ、そう……」
結局は私も買収(?)されて、ハクア君のコーデ選びやその他諸々に協力することになった。そして……
「よし!できたよ!」
「こ、ここまでやらなくても……」
アイさんが軽くメイクをして、完成したのが……
「「「………女神だ」」」
「何言ってるの三人とも?」
何処からどう見ても、可憐で少しクールさのある超美少女だったのだ………いや、元から容姿はアイさん寄りだったけれど、さらに可愛さや綺麗さに磨きがかかっている感じがする……。
「二人とも気を付けてね!」
「う、うん……」
「いってらっしゃい!」
「はい、いってきます」
そうして私は、変装………というよりも女装をしたハクア君と一緒に、街へとデートに繰り出すのだった……。
side:ハクア
僕とあかねは、街へとデートをしに来ていた……ただし、僕は女装をしてなんだけど………まぁ、あかねのお願いを断れなかった結果なんだけど……そうしてあかねに連れて来られたのが……
「ここって……」
とあるショッピングモールの中にあるアクセサリーショップだった。
「それでさ……何でここに?」
「えっとね……前にさ、このネックレスくれたでしょ?」
「うん、今日も似合ってるよ」
「!あ、ありがとう……って、今はそうじゃなくてね?」
そう言って、あかねは話を続ける。
「私もね、何か贈り物をしたいの……」
「あかね……」
「だから……ここで好きなのを選んで欲しいって思って……」
前のプレゼントのお返しを選んで欲しいらしく、今日はここに僕を連れてきたくれたみたいだ。そんなあかねに向かって、僕は……
「うん……せっかくだし、お言葉に甘えてもいい?」
「!もちろんだよ!」
そうして、僕はアクセサリーを選ぶことにしたのだが……
「うーん……」
「……だいぶ迷ってるね?」
中々決め切れずにいた……。
「人に贈るものとかだったら選べるんだけど、自分のとなると……」
「あー……ちょっと分かるかも」
そんな話をしながらも見ていると……
「あっ」
「!何かいいのあった?」
一つのネックレスに目が留まった。
「うん……これにしようかな?」
そのネックレスというのが、あかねの髪の色や瞳の色に似た宝石のついたものだったのだ。
「!これって……!」
あかねは、少しだけ驚いたような表情を浮かべ……
「これがいいの?」
そう訊いてくる。
「うん、これでお揃いだしね?」
「!……そういうことは、私以外には言わないでね?」
「?分かった」
あかねはそう言いながらも、僕からネックレスを受け取り……
「はい、じっとしててね?」
会計を済ませてから、僕の後ろへと回る。そして……
「……よし!できたよ」
この場でネックレスをつけて貰ったのだ。
「どうかな?」
「!凄く似合ってるよ!」
そんな僕の姿を見て、あかねは笑顔でそう言ってくる。
「あ、もちろん普段の格好に合わせても大丈夫だからね?」
「寧ろこの格好する機会の方が少ないと思うけどね?」
その後、そのまま店を後にしてから……
「私、ちょっとお手洗い行ってくるね?」
「分かった。じゃあ僕はその辺で待ってるよ」
少し歩いたところで、あかねはお手洗いへと向かい、僕は近くで待つことになる。すると……
「すみません」
「?どうかしましたか?」
突然、一人の男性が僕に声を掛けてきた。
「えぇ、あなたに少し用がありまして……」
「え?僕に……?そもそも貴方は?」
「!これは失礼。僕はこういう者でして……」
そう言って差し出されたのは………何処かの芸能事務所の名刺だったのだ。
「単刀直入に訊くけど……君、モデルとかに興味はない?」
なるほどね……僕をモデルとしてスカウトしようとしているわけか………その言葉に対し……
「ごめんなさい。僕はそういうのに興味はなくて……」
はっきりとそう返した。まぁ、僕はこの世界にもう存在してない……人間としての生はもう終えている。それに………もし、また芸能活動が出来るとしたら、僕はもう一度、苺プロでやるって決めるしね……。
「そう言わずに、一度見学だけでも―――」
「だから、僕はそういうのに興味は―――」
だが、スカウトしようとしている人は、僕が断ってもしつこく話をしてきたのだ。そうして、何分か経った後……
「ごめんねお待たせー………え?」
お手洗いから戻ってきたあかねが、僕に声を掛けてきたのだが……
「ハクちゃん、この人は?」
僕の前にいる人を見ると、笑顔でそう訊いてきたのだ………取り敢えずはあかねに合わせるけど、『ハクちゃん』って何なのかは後で訊いておこう……。
「うん、さっき声をかけられて……」
「へぇ……」
……何だか周りの温度が下がっているような……?
「すみません……彼女に何か?」
そして、スカウトをしてきた人に対して物凄く圧を感じる笑顔でそう言い……
「い、いえ………って、あなたは!?」
「ほら、行こ?」
「う、うん……」
僕の手を引いてこの場を離れていく……。
「……あかね」
「ん?」
「ありがとう、助かったよ」
「ううん、彼女として当然のことをしたまでだよ?」
僕たちはそんな話をしながら歩き、次の場所に向かうのだった……。
「そう言えばさ、さっきの『ハクちゃん』って……何?」
「え?私の彼女の『星野ハク』のことだよ?」
「あ、そういう……」
次に連れて来られたのは、僕は初めて来る場所にあるカフェだったのだ。
「ここね、前にユキやMEMちょと一緒に来たの」
「へぇ~二人と一緒に……」
そういうことなら、僕が知らないのも無理はないな。
「あ、二人は元気そうだった?」
「うん、ユキの方は仕事も恋愛も順調だって……MEMちょの方は……って、ハクア君も知ってるか」
「そうだね……姉さんから聞いてるけど、個人のチャンネルも、B小町のチャンネルも登録者数は伸び続けてるみたいだしね」
そんな会話をしていると……
「!ねぇねぇ?あれ見てよ」
「え?……あっ!」
「あれって……黒川あかね!?」
「生で初めて見たかも……!」
「綺麗……」
周りの人たちがあかねに気が付いたのか、そんな会話が僕たちの耳に入ってきたのだ。さらに……
「それにさ、あかねちゃんと一緒にいる娘……」
「えっ!?超可愛いんだけど……!」
「友達……なのかな?」
「あんな女神みたいな娘いるんだ~……!」
「あの二人、絵になり過ぎでしょ……!」
「ネックレスも色違いだけどお揃いだしね~!」
一緒にいる僕のことまで話し始めた……。
「上手くいっているみたいだね?」
「……そうだね」
僕のことは完全に女の子としか見られていないみたいだけど……この状況を喜んでいいのか否か………そんなことを思っていると……
「お待たせいたしました」
「!ありがとうございます」
注文していたスイーツが持ってこられたのだ。因みに、僕とあかねはそれぞれ違う種類のものを頼んだ。そして……
「「いただきます!」」
僕たちは早速、目の前のスイーツを食べ始める。
「!これ美味しい……!」
「そう?良かった……連れて来た甲斐があるよ」
創世の神になってから、楽しみの一つとなっているのが料理や食事だ。もちろん一番は、みんなと一緒にいることだけど………本当はこの身体に食事は必要ないのだけれど、こういう楽しみもあっていいとは思っている。すると……
「はい」
「えっ?」
「あ~ん」
そう言って、笑顔で僕にスプーンを差し出してくる。それを見て……
「じゃあ……はい」
僕も同じようにスプーンを差し出す。
「!ハ、ハク……ちゃん?」
あかねは驚いたような表情で、僕の顔を見つめる。
「ほら」
「う、うん……」
そして、僕たちは互いにスイーツを食べさせあう。すると……
「「わぁ……!」」
「「やばい……!」」
「「尊い……!」」
何故か周りから、そんな声がちらほらと聞こえてくる………あかねと付き合い始めた時に行ったカフェでも、こんなことがあったな……。
「ハクちゃんのも美味しい……ね?」
「うん、あかねのも美味しいよ」
僕たちは周りの声が聞こえていたものの、あまり気にしないように会話をしながら食べ進め……
「……行こっか」
「……そうだね」
その場から離れていくのだった……。
「「ただいま」」
「あっ!二人共おかえり!」
僕たちがデートから帰ると、姉さんが出迎えてくれた。
「それで……どうだった?」
「まぁ……」
「完全に女の子に見られてたよね?」
結果的には姉さんの案は効果的だったわけで………デートの時は余り気にしないようにしていたけど、出来ればあの格好は―――
「……ハクア君」
「ん?」
「たまにでいいからさ……その格好をしてくれない?」
………あかねから急に、そんなお願いをされてしまう。
「………えっ?」
「だめ……かな……?」
「っ……!」
驚いている僕に対し、あかねは顔を近づけ、上目遣いをしながらそう言ってくる………あかねのお願いと言えど、これは―――
「…………たまに……だよ?」
「!うん、ありがとう!」
僕は、あかねにそう返事をする………あのあかねの表情を見て、断ることが出来ませんでした……。
「おかえり、二人と………って、ハクア?」
「「「あ」」」
すると、僕たちに気付いた兄さんがこちらにやってくる。そして、女装をしている僕の姿を見て……
「まぁ……うん……流石だな?」
「何が?」
褒めているのかどうなのか分からない反応をしてきたのだ……いや、僕としては褒められてもあれなんだけど……。
「あ、そうだ………二人共、これ」
「「え?」」
兄さんは思い出したようにそう言って、スマホの画面を見せてくる。そこには……
「こ、これって……」
カフェで一緒にいる僕とあかねが写っている写真がSNSに載っており……
「「か、完全にバズってる……」」
その投稿は拡散され、見事なまでにバズっていて、主に僕のことが話題に上がっていたのだった……その投稿のコメントには………
『あかねちゃんと一緒にいる娘誰!?』
『女神過ぎない!?』
『というか二人共尊いんだけど……!』
『やばい……尊死するかも……!』
『私はもうしてるよ~!』
そんなことが書き込まれていた……。
「こりゃ、血眼になって探されるぞ……」
「……」
「ハクア、大丈夫だよ!」
「私たちで守ってあげるからね?」
「あ、うん……ありがとう……?」
その後、僕は割と本気で創世の力を使って『あの写真が撮られていない世界』に創り変えようとしたが………流石にそのために力を使うのもあれなので、落ち着くのを待つことにするだった……。
読んでくださりありがとうございます。
今回は女装したハクア……もといハクちゃんとあかねのデート回をお送りいたしましたが、いかかでしたでしょうか。この章では、こんな感じの話などを書いていく予定です。
良ければ、感想や評価、よければ「ここすき」への投票もよろしくお願いします。
それでは、次回もよろしくお願いします。