女神の子   作:アキ1113

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 今回は、前回の続きになります。

 今ガチメンバーでの打ち上げの話がメインになると思います。

 それでは、どうぞご覧ください。


始動ⅩⅣ:友人たち

 side:ハクア

 

 「私もう、今ガチやめたい……!」

 

 「「「えぇ!?」」」

 

 「「「!?」」」

 

 「こんな途中で?」

 

 今ガチの収録がある程度進んだときのこと、ゆきさんが突然そんなことを言い出した。

 

 「何でそんなこと言うんだよ!」

 

 「…最近ね、学校の男子とかがからかってきて……お前こういう男が好きなんだーとか、自分の好きって気持ちをみんなに見せるってこんなに怖いことってないよ……全然分かってなかった。大勢の人に注目されるっていいことばかりじゃない……」

 

 なるほどね……そういうことか……。

 

 「メムも自分のチャンネルでバカやってるから…その気持ち分かる……。皆私のことバカだと思ってる……まぁ、実際バカなんだけどね」

 

 「俺がいつでも話聞くからさ?もう少しやってみないか?ゆきが辞めるなら俺も辞めるから!」

 

 「ノブ君……私は……!」

 

 そして、この日の収録は終了したのだった。この回はSNSなどで盛り上がりを見せ、考察などが広まっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「見て見て!私ちょっとは視聴者獲得に貢献できたんじゃないかな?」

 

 僕たちは収録外でも仲が良く、こうして集まっては雑談をしていた。

 

 「そうだな。今のは良かったんじゃないか?ゆきの語りや演出も雰囲気が出てたしな。本当に上手いよ、お前は」

 

 「えへへ~、それほどでもないよ~」

 

 「満更でもなさそうだけどね」

 

 「コラ、そこ!その口閉じる!」

 

 「あ、聞こえてた?」

 

 「わざとでしょ!絶対!」

 

 「……にしても、最初は仲良くなれるか心配だったけど……」

 

 「うんうん!ハクたん意外に話やすくて良かったよ~!」

 

 僕もこんな感じで、最初の時よりも会話に混ざることが増えた。

 

 「ゆきちゃん、番組辞めちゃうの…?」

 

 「えー、辞められないでしょ?契約残ってるのに」

 

 「じゃあ、演技ってこと?」

 

 「いやいや…黒川さんみたいに女優じゃないし、私に演技なんて出来ないよ。ちょっと自分の気持ちを膨らませて話してるだけ」

 

 ……誇張して話しているのは、分からない人からしたら本当に辞めてしまうように見えるのだろう。僕も一瞬そう思ったが……。

 

 「なるほど……『誇張して話す』っと」

 

 黒川先輩は今の話をメモにとっているようだ。……少し焦っているのが心配だけど。

 

 「あぁ、でも学校でいじられて悲しかったのは本当にだよ、辞めたいって思った事もホント。だって収録朝一でやるんだもん…私、眠くって…」

 

 あぁ……収録早いからね。そんな会話をしていると

 

 「なぁ、アっくん、ハーくん!この後さ、飯行かね?」

 

 「「え?」」

 

 ノブユキ君からご飯の誘いが来たのだ。

 

 「いや、俺たち家に飯あるし……」

 

 「そう言わずにさぁ、メっさんが焼肉奢ってくれるってよ!」

 

 「えぇ!?私!?」

 

 なんかメムさんが、奢る前提で話が進んでいるのだが……。

 

 「だって、事務所との取り分5:5なんでしょ?再生回数もウハウハらしいじゃん?」

 

 「うっ…」

 

 「いいなぁ……私のところ8:2なのに……」

 

 でも、本人が嫌がっているのに奢ってもらうのも申し訳ない……そう思い断ろうとしていると

 

 「……母さんが『行ってきなさい』だってよ」

 

 「え!?」

 

 兄さんが突然、そんなことを言い出した。

 

 「いつの間に連絡を……?」

 

 「んなことより、お前の事だから嫌がっているのに奢ってもらうのは、申し訳ないとでも思ってるんだろ」

 

 「……」

 

 僕は思わず黙り込むが

 

 「図星だな」

 

 「……なんで?」

 

 「お前は優しいからな。こういう時、何考えてるかは予想つくよ」

 

 「そう……なんだ」

 

 ……流石だなぁ…兄さんは。

 

 「というか、まずお前は友達付き合いを大事にしろ。今までがあれだったから、慣れないのは分かるが」

 

 「あぁ、忙しかったから……」

 

 「なるほどね……」

 

 兄さんのいう通り、昔から忙しかったからか僕には友達と言える人はほとんどいない。……それ以外にも、僕がそういう人を積極的に作りたがらないのも原因としてあるが。

 

 「……あのさ!」

 

 「先輩?」

 

 「私たちと一緒は……嫌?」

 

 突然、先輩がそう言ってきたのだ。それに……これは、泣き落としというやつでは……?

 

 「いや、そうじゃなくって……付き合い方が分からないというか……」

 

 僕はそう答える。今までの人生でも、デザグラを優先して来たからか僕はその手のことの経験が少ないのだ。すると、 

 

 「そうらしいぜ…メっさん?」

 

 「え?」

 

 「ふむふむ…なるほどなるほど……」

 

 ?なんか、メムさんを含めたみんなの空気が……?

 

 「それじゃあ……」

 

 「……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おらぁ!特上盛り合わせ追加じゃあ!!思う存分食えやガキども!!」

 

 「「ウェーイ!!」」

 

 「……???」

 

 ……え?

 

 

 

 side:アクア

 

 ハクアが収録現場へとくる少し前……俺たちは作戦会議(?)をしていた。

 

 「というわけで、ハクたんをどうにかして食事とかに誘いたいわけだけど……どうする?」

 

 「うーん……ストレートにお願いしてみるってのは?」

 

 「でも、今までそれで誘えた試しないじゃん……」

 

 「アクアのお願いなら――」

 

 ああでもない、こうでもないとハクアを誘う方法を考えている。事の発端は、メムの何気ない一言だった。

 

 『ねぇ、みんな……今ガチ始まってまぁまぁ経つけどさ……ハクたんのこと、全然知らなくない?』

 

 『『『……あっ』』』

 

 俺と前からハクアと共演したことのある黒川さん以外の四人が、はっとしたようにそう言う。ハクアは初回であんなことを言ったため、女性陣はおろか男性陣に対しても一線を引いた振る舞いをしている。

 

 理由は……正直、予想はついているが他の面々はハクアがあまり現場に馴染めていないのではないかと心配しているらしい。本当に、いいやつらだな……。

 

 というわけで、何かしらの方法でハクアと一緒にいる時間を増やしたいらしい。ついでに、メムの最近の事情を聞いて、みんなで焼肉を奢ってもらう魂胆らしいが……。

 

 そんなこんなで、作戦を立てた。

 

 「まずは、焼肉でハーくんを釣る!」

 

 「さらに、MEMちょの奢りで畳みかける!」

 

 「え!?私、奢るの確定!?」

 

 「そもそも、言い出しっぺはメムだろ」

 

 「うっ…」

 

 「ここは、ハーくんのためにどうか!」

 

 「どうか!」

 

 ノブユキとゆきがメムを説得していく。そして……

 

 「……ええい!ハクたんのためじゃあ!楽しみにしてろよ、ガキども!」

 

 「「よっしゃあ!」」

 

 今思ったが、息ピッタリだな…この二人。ただ……

 

 「それでもダメな場合は?」

 

 「「それがあったか……!」」

 

 そう、ハクアはああ見えて頑固なところがあるので、それで釣られない可能性もある。さて…どうしたものか……。すると

 

 「あの!」

 

 「「「「「?」」」」」

 

 「そうなったら、私が何とかします!」

 

 「「「「「!?」」」」」

 

 なんと、黒川さんが何とかすると言ってきたのだ。……だが、適任かもしれない。ハクアとの共演回数も多い彼女の方が、確率としては高いだろう。

 

 そのことを聞いたみんなは……

 

 「オッケー!じゃあ…任せた!」

 

 「うん!」

 

 こうして、『ハクア君と仲良くなろう作戦(ゆき命名)』を実行することになったのだ。ちなみに、母さんとルビーにはあらかじめ連絡しておいてあるので心配はいらない。

 

 そうして、収録終わりに実行することになったのだが…まさか黒川さんの策が泣き落としだとは思わなかった。何とかするとは言われてはいたが……それにあの表情……もしかして……ハクアのこと……?

 

 まぁ……成功したのでよしとしよう。

 

 

 

 

 

 side:ハクア

 

 「え!?じゃあ、みんなグルってこと!?」

 

 「いや~成功して何よりだよ~」

 

 「さぁ!食べよ食べよ!」

 

 「……ま、負けた」

 

 「何にだよ……?」

 

 「あはは……」

 

 みんなの空気が変わってからの流れがやけにスムーズだと思っていたら、みんな僕を誘うために作戦を立てていたらしい。……一線を引いて接しているのは僕の方だけど、まさかここまでするとは思わなかった……。

 

 そんなことを思っていると

 

 「ハクア君、お肉焼けましたよ」

 

 「あぁ、ありがとうございます」

 

 先輩から声を掛けられ、肉を受け取る。

 

 「……うん、美味しいです」

 

 「良かったぁ…」

 

 「でも、そんなに気を使わなくても……先輩、さっきから全然食べてないでしょう?」

 

 「いえ、自分精進の身なので、こういう場では絶対にトングを手放さないって決めてるんです」

 

 真面目だなぁ……この人は。

 

 「最初は良く焦がして怒られましたが、今では上手に焼けるようになったんですよ」

 

 「……最近なんか元気なさそうですけど、大丈夫ですか?」

 

 「大丈夫だよ。心配しなくてもいいよ。あ、この子いい感じに「ストップ」?……あれ!?」

 

 僕は先輩の手を掴み、気づかれないようにトングを取り上げる。ちなみに、武術の技を利用して取ったのだ。

 

 「さっき、精進の身って言いましたよね?」

 

 「う、うん…」

 

 「だったら僕も同じですよ。そもそも先輩の方が年上なんですから、ちゃんとこういう場では食べて、元気を出してください」

 

 「で、でも…「それに」…?」

 

 「僕はこういうとき、いつも家族に焼いて貰っているから……たまには焼いてあげたいんですよ。小さな親孝行…みたいなものです」

 

 「そういうことなら……お願いしようかな」

 

 そうして、僕もお返しに先輩に焼いてあげることにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ま、満足したか…ガキども……」

 

 そして、メムさんの財布のHPはまぁまぁ削れたのであった……。

 

 

 

 side:アクア

 

 「「ただいま」」

 

 「「おかえりなさい!」」

 

 打ち上げから帰宅して……俺たちは母さんとルビーに出迎えられた。

 

 「にしても…焼肉とは豪勢ですね~。可愛い子たちを眺めながら食う肉はさぞ美味しかったんでしょうねぇ~」

 

 「え?……え?」

 

 ハクアが思いっ切り困惑している。まぁ、俺から二人には言ってあると聞いているのに、ルビーのこの反応だ。無理もない。

 

 「こらこらルビー、あんまりハクアをいじめないの」

 

 「え?……あ、ごめんごめん!冗談だからね!」

 

 「あ、うん…」

 

 困惑しているハクアを見てか、母さんが止めに入ってくれた。

 

 「で、どうだった?」

 

 「どうって?」

 

 「打ち上げ」

 

 「……思ったより、楽しかったよ」

 

 「「そっかぁ~良かった良かった!」」

 

 やっぱり親子だな……息ピッタリだ。

 

 これをきっかけに、ハクアが友人を増やしてといいと密かに思う俺なのであった。出来ればこのまま順調に終わってほしい……そう、思っていたのだが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、それは簡単に崩れるのであった……

 

 

 




 読んで下さりありがとうございました。

 そして、次回は例のあれが起こります。果たしてどんな展開を迎えるのでしょうか……。

 中々、デザグラの話を進められていませんが、リアリティーショー編の間で一旦挟む予定でいます。

 良ければ、感想や評価の方をよろしくお願いします。

 それでは、次回もよろしくお願いします。
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