ハクアがいることで果たしてどうなるのでしょうか……。
それでは、どうぞご覧ください。
side:ハクア
「先輩、最近攻めるようになったね」
「あぁ、なんだか吹っ切れたような感じだな」
「そうだねぇ~」
あの打ち上げの日から数日経ち、先輩は何があったのかは分からないが、ノブユキ君をゆきさんから引きはがし、二人きりに持ち込むという行動に出ていた。
その様子を僕と兄さん、そしてメムさんと一緒に遠くから見ていた。これはいい傾向……だと思いたいが、前よりも焦りが増しているように見える。番組もそろそろ終盤……ここで爪痕を残したいのだろう。
そんなことを考えていると
「ねぇ、ハクたんはさ……あかねのことどう思っているの?」
「……どうって言われても、それ聞いても先輩はノブユキ君狙ってるから意味ないと思うよ?」
「「……はぁ」」
「なんでため息……?」
盛大に呆れられた気がしたのだが……。そんな会話をしているうちに
「あ、今度はケンゴ君にもちょっかいをかけ始めたよ」
「マジか……見境なしかよ」
「あれは少し焦り過ぎだよね……ちょっと行ってくる」
「あ、俺も行く」
「私も」
あまりにも焦り過ぎているのが見えたので僕たちは、先輩の近くへと向かう。
様子を見ていると、先輩は上手い具合にケンゴ君と二人きりになれたようだ。だが……
「ケン!」
ゆきさんがケンゴ君のもとに来たのだ。
「ラブラドール好きって言ってたよね!近くに大きいのいたよ!」
「えっマジで!?」
やっぱり、ゆきさんは強い……カメラマンさんも自然にゆきさんの方を追う。そして、そのままケンゴ君をゆきさんが連れて行こうとした……その瞬間……
「!二人共、危な…」
僕は即座に反応したものの……
「やめてよ!!そうやって男に簡単に引っ付いて…やり口に品がな………え?」
先輩がゆきさんを追い払おうとして手を振った。しかし、その手の爪にはネイルがしてあり、その爪の先がゆきさんの頬を掠めてしまったのだ。
そして、ゆきさんの頬には爪による引っ搔き傷がついてしまっていた……。
呆然としてしまう二人。演者もその場にいたスタッフも何が起こったかを理解するのに、時間を要した。そんな中……
「先輩!ゆきさん!」
僕はこのままにしておくのはマズイと考え、すぐに先輩たちのもとに駆け寄った。この状態では、バッシングは回避できない……だから、早く仲直りさせることが最優先だと思い二人に声を掛ける。
「あ……ちが……わ…私…」
「先輩!……一旦、落ち着いてください。ゆきさんケガの方は?」
「うん、大丈夫だよ。こんなのフォトショで消せるし、仕事に影響なんてないよ」
「ほら、先輩…ゆきさんもああ言ってますし、大丈夫ですよ」
「そうそう、焦っちゃたんだよね……結果を残そうとして、慣れないことしようとして……」
「ごめんなさい……私…」
「だから大丈夫だって……私はね?真面目で頑張り屋さんなあかねのこと…好きだよ?」
「!」
「あかねは私のこと……嫌い?」
「……ううん、私も大好きだよ!」
そう言って二人は抱きしめ合ったのだった。
これで収まれば……と思ったのだが、現実はそうもいかなかった……。
side:アクア
あの回が公開されてから、SNSでは黒川あかねへの誹謗中傷が絶えずに書き込まれていた。
……が、それ以上に反応されていたのが、ハクアへの誹謗中傷の数々だった。
『こいつ、どういうつもりだよ』
『あそこであかね庇うとか意味不明』
『っていうかこいつマジでいらない』
『最初から傍観してばっかだしね』
『本当に不快、二度と出てくんな』
『消えろよ』
『もう死ねよ』
……という具合に罵詈雑言が並んでいた。ハクアはあの時、善意で助けようとしたのだろう。でも、この演出ではそう見えることはない……。だが、一方で
『もしかして…あれ、わざとじゃなかったりするんじゃ……』
『ていうか、あかねだけじゃなくてゆきの心配もしてるんだし……別に叩かなくてよくない?』
『普通、こういうのって心配するのは当然じゃね』
というように、主にハクアのファンであろう人たちが擁護していたりと、こっちは混沌としていた。
普通はこういうのは、心にダメージを負うものだ。俺はこうなることも可能性に入れて、一緒に見ようと言ったのだが……
『今回は……一人で見させて』
そう、言ったのだった。
……ハクアは強い。普段からも、そしてデザイアグランプリでもだ。けど……もし、ハクアでも弱いところがあるなら……俺は、兄として助けてやりたい……!
side:ルビー
「何……これ……」
私は今ガチの最新話……そして、SNSを見てそう呟く。今ガチの方は、あかねちゃんがゆきぽんに手をあげてしまい、その二人を心配するハクアが映っていた。そうして、番組が終わったわけなのだが……SNSではあかねちゃんに対しての誹謗中傷で溢れていた。でも、それ以上に酷かったのが……
『こんなことをする人だとは、思わなかった』
『終わったな、こいつ』
『こいつ映すな』
『見ているだけで吐き気がする』
『もう死ねよ』
などと、ハクアに対する中傷があかねちゃんよりも多くあった。ファンが多かったりすると、その分バッシングの数も多くなるのだろうか。
というか!あれ、ハクアは完全に善意でやったことでしょ!……なんでみんな、それが分からないんだろう……。
……ハクアは大丈夫だろうか?お兄ちゃんはハクアは一人で部屋にいると言っていたけど……やっぱり心配だ。
ウチのハクアは強い。デザイアグランプリの時なんかがそうだ。あんな戦いを何回も経験しているんだから……でも、こんな時くらいは私も力になってあげたい!
だって……私はハクアのお姉ちゃんなんだから!
side:アイ
今ガチの最新話……全部見たわけではないけど、SNSですごい反響を呼んでいた……悪い意味で。
そこでは、黒川あかねちゃん……そして、ウチのハクアがバッシングを受けていた。
内容を少し見たが……目を覆いたくなるような罵詈雑言の数々が、ハクアに向けられていた……あかねちゃんよりも多く……。
前に社長やミヤコさんに教えてもらったことだが、恋愛リアリティーショーは今までに誹謗中傷などが原因で50人以上の死者を出しているらしい。そして、その10倍の人たちが死ぬほどの思いをしているということも……。
……もし、これでハクアが死んじゃったら……?もう会えなくなったら……?
……そんなのは嫌だ!もうあんな思いはたくさんだ!
私は、驚く社長やミヤコさんをよそに家に向かって走り出した。
……どうか、無事でいて……ハクア!
side:ハクア
「『もう死ねよ』……か」
僕は自分の部屋でベッドに寝転がりながら、今ガチの最新話とSNSを確認していた。
あのシーンは、やはり使われていた。使われないならそれで良かったのだが……まぁ、番組作る側からしたらこのシーンは番組を盛り上げる素材だから、使わない手はないのだろう。
そして、SNSを見てみると黒川先輩への誹謗中傷が多く書き込まれていた。だが、それ以上に……
『なんであんな女庇うわけ?』
『最低じゃん』
『何様だよこいつ』
『生きている価値ないわ』
『もう死ねよ』
という具合に、僕に対しての罵詈雑言の数々が並んでいた。あれは、僕があの場でああしていなかったら、もっと悪い方向に転がっていたと思い、起こした行動だから後悔はしていない。
「ただなぁ……」
今までの人生で罵詈雑言を
誰かに心配を掛けるのだけはごめんだ。大丈夫……
化かしてみせる……だって、僕は……
狐なんだから……
読んで下さりありがとうございました。
ハクア君はこの心の傷を隠し通すことを選びました。
ちなみに、彼は英寿ほど心が強いというわけではありません。なので、初めてのことにはこのような反応をします。……でも、常人よりもはるかに心は強いです。
次回も続きから書いていきたいと思います。恋愛リアリティーショー編が長引いている気がしますが、頑張って書いていきたいと思います。
それでは、次回もよろしくお願いします。