女神の子   作:アキ1113

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 今回は、前回の続きをやっていきたいと思います。

 ハクアがいることで果たしてどうなるのでしょうか……。

 それでは、どうぞご覧ください。


始動ⅩⅤ:善意と悪意

 side:ハクア

 

 「先輩、最近攻めるようになったね」

 

 「あぁ、なんだか吹っ切れたような感じだな」

 

 「そうだねぇ~」

 

 あの打ち上げの日から数日経ち、先輩は何があったのかは分からないが、ノブユキ君をゆきさんから引きはがし、二人きりに持ち込むという行動に出ていた。

 

 その様子を僕と兄さん、そしてメムさんと一緒に遠くから見ていた。これはいい傾向……だと思いたいが、前よりも焦りが増しているように見える。番組もそろそろ終盤……ここで爪痕を残したいのだろう。

 

 そんなことを考えていると

 

 「ねぇ、ハクたんはさ……あかねのことどう思っているの?」

 

 「……どうって言われても、それ聞いても先輩はノブユキ君狙ってるから意味ないと思うよ?」

 

 「「……はぁ」」

 

 「なんでため息……?」

 

 盛大に呆れられた気がしたのだが……。そんな会話をしているうちに

 

 「あ、今度はケンゴ君にもちょっかいをかけ始めたよ」

 

 「マジか……見境なしかよ」

 

 「あれは少し焦り過ぎだよね……ちょっと行ってくる」

 

 「あ、俺も行く」

 

 「私も」

 

 あまりにも焦り過ぎているのが見えたので僕たちは、先輩の近くへと向かう。

 

 様子を見ていると、先輩は上手い具合にケンゴ君と二人きりになれたようだ。だが……

 

 「ケン!」

 

 ゆきさんがケンゴ君のもとに来たのだ。

 

 「ラブラドール好きって言ってたよね!近くに大きいのいたよ!」

 

 「えっマジで!?」

 

 やっぱり、ゆきさんは強い……カメラマンさんも自然にゆきさんの方を追う。そして、そのままケンゴ君をゆきさんが連れて行こうとした……その瞬間……

 

 「!二人共、危な…」

 

 僕は即座に反応したものの……

 

 「やめてよ!!そうやって男に簡単に引っ付いて…やり口に品がな………え?」

 

 先輩がゆきさんを追い払おうとして手を振った。しかし、その手の爪にはネイルがしてあり、その爪の先がゆきさんの頬を掠めてしまったのだ。

 

 そして、ゆきさんの頬には爪による引っ搔き傷がついてしまっていた……。

 

 呆然としてしまう二人。演者もその場にいたスタッフも何が起こったかを理解するのに、時間を要した。そんな中……

 

 「先輩!ゆきさん!」

 

 僕はこのままにしておくのはマズイと考え、すぐに先輩たちのもとに駆け寄った。この状態では、バッシングは回避できない……だから、早く仲直りさせることが最優先だと思い二人に声を掛ける。

 

 「あ……ちが……わ…私…」

 

 「先輩!……一旦、落ち着いてください。ゆきさんケガの方は?」

 

 「うん、大丈夫だよ。こんなのフォトショで消せるし、仕事に影響なんてないよ」

 

 「ほら、先輩…ゆきさんもああ言ってますし、大丈夫ですよ」

 

 「そうそう、焦っちゃたんだよね……結果を残そうとして、慣れないことしようとして……」

 

 「ごめんなさい……私…」

 

 「だから大丈夫だって……私はね?真面目で頑張り屋さんなあかねのこと…好きだよ?」

 

 「!」

 

 「あかねは私のこと……嫌い?」

 

 「……ううん、私も大好きだよ!」

 

 そう言って二人は抱きしめ合ったのだった。

 

 これで収まれば……と思ったのだが、現実はそうもいかなかった……。

 

 

 

 

 

 

 side:アクア

 

 あの回が公開されてから、SNSでは黒川あかねへの誹謗中傷が絶えずに書き込まれていた。

 

 ……が、それ以上に反応されていたのが、ハクアへの誹謗中傷の数々だった。

 

 『こいつ、どういうつもりだよ』

 

 『あそこであかね庇うとか意味不明』

 

 『っていうかこいつマジでいらない』

 

 『最初から傍観してばっかだしね』

 

 『本当に不快、二度と出てくんな』

 

 『消えろよ』

 

 『もう死ねよ』

 

 ……という具合に罵詈雑言が並んでいた。ハクアはあの時、善意で助けようとしたのだろう。でも、この演出ではそう見えることはない……。だが、一方で

 

 『もしかして…あれ、わざとじゃなかったりするんじゃ……』

 

 『ていうか、あかねだけじゃなくてゆきの心配もしてるんだし……別に叩かなくてよくない?』

 

 『普通、こういうのって心配するのは当然じゃね』

 

 というように、主にハクアのファンであろう人たちが擁護していたりと、こっちは混沌としていた。

 

 普通はこういうのは、心にダメージを負うものだ。俺はこうなることも可能性に入れて、一緒に見ようと言ったのだが……

 

 『今回は……一人で見させて』

 

 そう、言ったのだった。

 

 ……ハクアは強い。普段からも、そしてデザイアグランプリでもだ。けど……もし、ハクアでも弱いところがあるなら……俺は、兄として助けてやりたい……!

 

 

 

 side:ルビー

 

 「何……これ……」

 

 私は今ガチの最新話……そして、SNSを見てそう呟く。今ガチの方は、あかねちゃんがゆきぽんに手をあげてしまい、その二人を心配するハクアが映っていた。そうして、番組が終わったわけなのだが……SNSではあかねちゃんに対しての誹謗中傷で溢れていた。でも、それ以上に酷かったのが……

 

 『こんなことをする人だとは、思わなかった』

 

 『終わったな、こいつ』

 

 『こいつ映すな』

 

 『見ているだけで吐き気がする』

 

 『もう死ねよ』

 

 などと、ハクアに対する中傷があかねちゃんよりも多くあった。ファンが多かったりすると、その分バッシングの数も多くなるのだろうか。

 

 というか!あれ、ハクアは完全に善意でやったことでしょ!……なんでみんな、それが分からないんだろう……。

 

 ……ハクアは大丈夫だろうか?お兄ちゃんはハクアは一人で部屋にいると言っていたけど……やっぱり心配だ。

 

 ウチのハクアは強い。デザイアグランプリの時なんかがそうだ。あんな戦いを何回も経験しているんだから……でも、こんな時くらいは私も力になってあげたい!

 

 だって……私はハクアのお姉ちゃんなんだから!

 

 

 side:アイ

 

 今ガチの最新話……全部見たわけではないけど、SNSですごい反響を呼んでいた……悪い意味で。

 

 そこでは、黒川あかねちゃん……そして、ウチのハクアがバッシングを受けていた。

 

 内容を少し見たが……目を覆いたくなるような罵詈雑言の数々が、ハクアに向けられていた……あかねちゃんよりも多く……。

 

 前に社長やミヤコさんに教えてもらったことだが、恋愛リアリティーショーは今までに誹謗中傷などが原因で50人以上の死者を出しているらしい。そして、その10倍の人たちが死ぬほどの思いをしているということも……。

 

 ……もし、これでハクアが死んじゃったら……?もう会えなくなったら……?

 

 ……そんなのは嫌だ!もうあんな思いはたくさんだ!

 

 私は、驚く社長やミヤコさんをよそに家に向かって走り出した。

 

 ……どうか、無事でいて……ハクア!

 

 

 

 

 side:ハクア

 

 「『もう死ねよ』……か」

 

 僕は自分の部屋でベッドに寝転がりながら、今ガチの最新話とSNSを確認していた。

 

 あのシーンは、やはり使われていた。使われないならそれで良かったのだが……まぁ、番組作る側からしたらこのシーンは番組を盛り上げる素材だから、使わない手はないのだろう。

 

 そして、SNSを見てみると黒川先輩への誹謗中傷が多く書き込まれていた。だが、それ以上に……

 

 『なんであんな女庇うわけ?』

 

 『最低じゃん』

 

 『何様だよこいつ』

 

 『生きている価値ないわ』

 

 『もう死ねよ』

 

 という具合に、僕に対しての罵詈雑言の数々が並んでいた。あれは、僕があの場でああしていなかったら、もっと悪い方向に転がっていたと思い、起こした行動だから後悔はしていない。

 

 「ただなぁ……」

 

 今までの人生で罵詈雑言を直接(・・)受けることには、もう慣れている。争いの時代なら尚更だ。だが、SNSなどで顔も知らない人の言葉が見えるというのは、少しくるものがある……正直、結構まずいかもしれない……けど……

 

 誰かに心配を掛けるのだけはごめんだ。大丈夫……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 化かしてみせる……だって、僕は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんだから……

 

 

 

 




 読んで下さりありがとうございました。

 ハクア君はこの心の傷を隠し通すことを選びました。

 ちなみに、彼は英寿ほど心が強いというわけではありません。なので、初めてのことにはこのような反応をします。……でも、常人よりもはるかに心は強いです。

 次回も続きから書いていきたいと思います。恋愛リアリティーショー編が長引いている気がしますが、頑張って書いていきたいと思います。

 それでは、次回もよろしくお願いします。
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