今回は、炎上後の星野家の話が中心です。デザグラの話はもう少ししたら、進めることができると思います。
それでは、どうぞご覧ください。
side:アクア
今ガチの最新話を見て、SNSの反応を確認してから少し経って俺はハクアの部屋の前にいた。
あんな回だったのだから、心配にもなる。すると
「お兄ちゃん……ハクアは?」
「あぁ、まだ部屋にいるけど……」
ルビーもあの回を見たのだろう。ここに来たということは……どうやら俺と同じ考えのようだ。
「「……」」
二人で顔を見合わせて、静かに頷く。そして、ハクアの部屋のドアをノックしようとした瞬間……
「アクア!ルビー!ハクアは!?」
「「!?」」
玄関のドアが思いっ切り開く音がしたかと思えば、俺たちのもとに母さんが来て、ハクアのことを聞いてきたのだ。……母さんは今日は事務所で打ち合わせがあったのでは……?
「う、うん。ハクアなら部屋に…」
「ハクア!!」
「「!?」」
ルビーの返答を聞く前に、母さんはハクアの部屋に入って行ってしまったのだ。
「ちょ、ママ!?」
「母さん!?」
そんな行動に驚く俺たちだが、すぐに部屋の中を見てみると
「ど、どうしたの……お母さん?」
「あぁ……良かったぁ……本当に…良かったよぉ……」
そこには、ハクアを抱きしめながら大泣きしている母さんと、突然自分の母親が泣きながら入ってきたのに驚いたのか、抱きしめられながら固まってしまっているハクアの姿があった。
「あー……やっぱり…見たんだね……あれ」
「……」
ハクアの言葉に黙って頷く母さん……
「……僕は大丈夫だから…心配しなくても「うそ…」…え?」
母さんはハクアの言葉を遮ってそういう……俺たちも同じ気持ちだ。
「いや、本当に大丈夫「噓だな」……兄さんまで「私も同じ」……姉さんまで……」
俺たちはハクアの言葉を遮りながらそう言う。
「……僕は本当に大丈夫だから」
「「「……」」」
まったく……こいつは……
「そんなに心配しなくても…僕は大丈夫だから」
「ハクア……お前は」
「僕は辛くなんかないよ。今一番つらいのは黒川先輩の方なんだから…僕は完全に自分のせいなんだからさ…」
……ハクアはいつもそうだ…デザイアグランプリでは自分のためだと言うが、基本的には分け隔てなく人に優しくするやつだ。
だか、それと同時に……自分に厳しいやつだ。自分の出演した作品で演技が高い評価を受けても、喜ぶところを見たことがなく、いつも謙遜をしている……。人に優しく、自分に厳しい……厳しすぎるやつなのだ。
だから、今回のことも自分のは自業自得で黒川あかねの方が心配だとでも考えているのだろう。
「でも……」
「「「?」」」
「ありがとう。心配してくれて」
そういうハクアの顔は、どこか安心したような表情をしていた……。
……とりあえず、俺たちはそれで納得することにしたのだが
「……本当に大丈夫?」
母さんだけが、未だに納得せずに心配していたが
「大丈夫だよ。それとも……自分の子供のこと信じられない?」
「……ずるいなぁ、それは……うん、分かった」
そんな言葉に母さんは、一先ずハクアの大丈夫という言葉を信じることにしたのだった。
「でも!本当につらくなったら遠慮しないで言うこと!」
「……分かったよ」
「よし!」
というように、丸く収まったように見えたが……ウチの母はこれで終わるはずがなかった……。
「じゃあ、今日は私と一緒に寝よっか」
「!?」
ハクアと一緒に寝るという爆弾を落としたのだ。
「な、なんで……?」
というハクアに対し
「え?まだ心配だから寝ている間は私から離れないでほしいんだけど?」
「えぇ……」
母さんはそう言うがハクアは何とも言えない表情になる。……心配なのは分かるが、こればかりはハクアに同情してしまう。すると
「えぇ!?ママずるい!私も一緒に寝る!」
いや、お前もかよ。ルビーまでもが乗っかり、推しと弟と寝ようとする……。
「に、兄さん……」
そう助けを求めるような目でこちらを見てくるが……
「……今回は心配させたお前が悪いから…まぁ、頑張れ」
「!?」
というように言い、俺は巻き込まれないようにその場を離れようとしたが……
「お兄ちゃん?」
「アクア?」
「え……母さん?ルビー?」
俺の肩をそれぞれ掴みながら、そう言ってきた……
「いや……俺は「ちなみに、拒否権はないよ?」……」
マジかよ……
side:ハクア
………何処かで見た光景だ。兄さんの肩をそれぞれ掴んで、圧をかけるお母さんと姉さんを見てそう思う。
今ガチの最新話でだいぶ心配を掛けてしまった。口では大丈夫と言ったものの、お母さんのハグは実のところ結構安心してしまった。……いつの時代も、人の温かみというものは変わらないな。
あの後、お母さんからもっと友達も頼ることとか言われてしまった。幸い、僕には理解してくれる家族などがいて、僕自身もこのようなことは覚悟していたのでいいのだが……
今、一番心配なのは黒川先輩の方だ。前、本人に聞いた話だが、家族には今ガチを見ないように言っているらしい。さらに、SNSなどにも疎いということも言っていた。
そうなると、先輩は相談できる相手はいないだろう……そう考えると、これは相当まずい状況かもしれない。
そんな不安を考えつつ、僕は目を閉じるのであった……
『この子の名前は……ハクア、っていうのはどう?』
『あぁ、いい名前だ…』
これは……夢……なのか?
『ハクア、これをやろう』
そう言って、長い髪を後ろに結った男の人が、僕に一枚のコインを渡してくる……
『これは、俺が勝ち取った名誉の証……お前にとっての御守りだ』
『いいの?それは…』
『あぁ、寧ろ持っていてほしいんだ』
……あぁ、懐かしいなぁ…この人は、僕の最初の父さんだ。
『そうね……この子はどんな風に育つのかしら?』
『あぁ、今から楽しみだ……でも、一番は』
『えぇ、そうね』
『『どうか元気に育ってください。それが……俺(私)たちの願いだから……』』
……父さん……母さん……ありがとう。
『ハクア…不甲斐ない父親で、すまない……』
ねぇ……どこに行くの?父さん……
『私のことは忘れなさい……その方が、きっと幸せよ』
ねぇ……何でそんなことを言うの?母さん……
なんで、僕を置いていくの?
『■■の■■の正体は……』
……なんだ?何を言って……
『■野■■人間と■て■■てい■ば、幸■だっ■■のを……』
……忘れられるか……忘れてたまるか……!
『■■の■■よ!■ラ■■エ■■を■行せ■!』
やめろ……
『■■の■■……お前の■■は■■した』
……嫌だ……絶対に……嫌だ……!
「嫌だ!!」
「「「!?」」」
「ハァ…ハァ………あれ?」
そして、次に飛び込んできた光景は……心配するお母さんたちだった。
「僕は……何を……?」
さっきまで、懐かしい夢……そして、悪い夢を見ていた気がしたのだが……?
「ハクア!!」
「え……お母さん?」
近くにいたお母さんが抱きついてくる。
「大丈夫?とてもうなされていたけど……」
「あ、うん…ちょっと悪い夢見てただけだよ」
「そう……今日、学校行けそう?」
「あ、うん。それは大丈夫だよ」
「無理してない?」
「無理してないよ」
お母さんの心配は分かるけど……少し心配し過ぎな気がする。すると
「大丈夫だよママ!私たちがいるんだし!」
「何かあったら、俺たちが何とかする」
「アクア…ルビー…」
そう兄さんと姉さんが言ったのだ。その言葉にお母さんは納得したのか
「うん、分かった。ハクアのこと頼んだよ、二人とも」
「あぁ」
「うん!」
……それにしても、懐かしい夢を見たものだ。父さんと母さんの姿を夢だけど見られて、嬉しかったなぁ……。
ただ、一体あれは何だったんだろう……?蝶ネクタイをした衣装の男と、和風のような…洋風のような服装をした仮面の人物がいた。そして……何故、僕は夢であんな気持ちになっていたのだろうか……。
そして、それが現実となることを……この時の僕はまだ知らない……
読んで下さりありがとうございました。
ハクアが見た夢の内容は、覚えておいた方が良いのかもしれません……。次回はあの人の視点を書いていきたいと思います。星野家以外の視点を初めて書いていきます。
良ければ、感想や評価の方をよろしくお願いします。
それでは、次回もよろしくお願いします。