そして、今回で今ガチ編は一区切りです。次回はデザグラの話を進める予定です。
それでは、どうぞご覧ください。
side:アクア
あかねの自殺未遂騒動から数日経った。俺は、警察署にいた記者たちを利用して騒動を世の中に流した。
ハクアにはこのことを話してある。ハクアには、正直この作戦に納得されるとは思わなかったが……
『分かった。乗るよ』
『……いいのか?』
『うん……先輩を助けるためだよ。何を言われても……なんだってやるよ』
『お前がいいならいいが……』
こうして、ハクアも協力してくれることになったのだった。
『それに……』
『?』
『僕も正直ムカついているからね……先輩を利用した番組も…何も知らずに、安全圏から攻撃する人たちにも……ね』
これは……相当キレているな……。
この騒動で騒いでいるのは、メム曰くごく僅かであり、残りは叩くべきか擁護すべきか迷っているサイレントマジョリティー……
「そこに普段から仲のいい僕たちの様子の動画を見せれば……」
「あぁ、一斉にあかねを擁護する側につく……察しが良くて助かるよ」
「どうも……で、僕は兄さんのアシスト?」
「そうだ。頼めるか?」
「もちろん!」
こう見えて、ハクアも一通りの動画編集を監督に習っているので、こうしてアシスタントの役割を与えたのだ。
「それともう一つ」
「?」
そういうとハクアは、首をかしげる。……まったく、こいつは……。
「お前だよ」
「え?」
「『え?』じゃなくって……お前の方が本当は酷いんだから」
「いや、でも……さすがに先輩を優先して」
相変わらず頑固な……すると
「ダメだよ~ちゃんと自分を大切にしなきゃ」
「そうだよ~」
「俺だって、ハーくんが悪者なのは嫌だからな」
「だから、俺たちに任せておいてくれよ」
今ここにいる今ガチのメンバーがハクアを見てそう言う。
「……やっぱり、僕はいい「「「「ダメ(だ)!」」」」……はい」
「よし、決まりだな」
こうして、さすがの
そして、動画の素材のオフショットなどを集めて動画を作り始めたのだが……
「あー!ここ!長尺の方が素人が頑張って作った感が出るって!」
「あ、うん。分かった」
「ここで俺の曲っしょ!」
「……了解」
「ここはバーンって感じでいこうぜ!」
「うるせーなー……!」
「注文多いなぁ……!」
とにかく周りからの注文が多く、俺は若干イラつきながら制作を進めていた。
そして、こんなときも仕事をこなして、空いている時間はこっちにきて俺のアシストをしてくれているハクアも、隣で注文を聞きつつ作業をしていた。
ハクアには、あかねの方の映像を中心に編集をしてもらっている。本当はそこまでの量をハクアに頼むつもりはなかったのだが……
『あぁ、そっちは僕がやるよ』
『それはありがたいが…その量は『その代わり』…?』
『それ以外は任せたからね』
『……!あぁ、任せろ』
『それに……これは、僕がやりたいからやるんだよ』
という本人の希望で、好きなようにやらせているのだ。実際、ハクアの編集の腕は俺と同じく監督のお墨付きをもらっているほどなのだから、こうして任せられるのだ。
そして……もう一人助っ人が……
「みんなー!お疲れ様!差し入れ持ってきたよ!」
「「「「やったー!」」」」
「サンキューな、ルビー」
「ありがとう、姉さん」
そう、このことを話した時にその場にいたルビーも
『私……今ガチは見る側の人だけど……何かできることない?』
と言ってきたのだ。俺たちとしても、家族がいてくれると心強いのと……今ガチメンバーが前から会わせろとうるさかったので、承諾したのだった。あかねとも、騒動が収まったら必ず会わせるつもりだ。
そんなこんなで、主に俺とハクアの頑張りと助っ人の存在もあって数日後……
「うっ、うぅぅぅ……」
「大丈夫?お兄ちゃん?」
「大丈夫?兄さん?」
俺は……絶賛死にかけ中であった。
「な、なんで……ハクアはあまり疲れて……?」
「いやいや、僕だって疲れてるよ……ただ、昔から色々とやってたからね。体力は兄さんよりもあると思うよ?」
「あー……どうりで強いわけだ……」
さ、さすがデザ神……そういえば昔からハクアは何か隠れてやってた気がする……。
「ほらほら監督、そして助監督さん、エンコード終わったよ。投稿しちゃうからね」
「……いいスペックだね、あのマシン」
「クソ……もうちょい寝かせろよ……」
「ハハハ……」
「ほら、兄さん捕まって」
「お兄ちゃん、私にも」
「あぁ、ありがと……」
俺はハクアとルビーの肩を借りながら、パソコンの前へと移動する。
「どのくらい伸びるかなぁ、最低でも5000はいってほしいよねぇ……」
「それも普通なら結構難しいけど……最初の1分で100リツイートくらいいけば最終的には結構なバズになると思うよ」
「よし、100だな!」
「まぁ、やれることはやったんだ…さぁ、ショーダウンといこうじゃないか!」
「お前が一番何もしてないだろ」
「リーダー面が酷いね」
「ほとんど、お兄ちゃんとハクアじゃん……」
「えぇ…ルビーちゃんまで……?」
しれっと、ルビー混ざっても違和感のないくらいに仲良くなっているのはいいことだとして、いよいよ投稿する時がきた。
「よーし、いっくよ~!」
メムが投稿ボタンを押した。そして、画面を見てみると……
「行ける!これ行けるよ!きたぁぁぁーーー!!」
「「「「「よっしゃー!」」」」」
『あ……ちが……わ…私…』
『先輩!……一旦、落ち着いてください。ゆきさんケガの方は?』
『うん、大丈夫だよ。こんなのフォトショで消せるし、仕事に影響なんてないよ』
『ほら、先輩…ゆきさんもああ言ってますし、大丈夫ですよ』
『そうそう、焦っちゃたんだよね……結果を残そうとして、慣れないことしようとして……』
『ごめんなさい……私…』
『だから大丈夫だって……私はね?真面目で頑張り屋さんなあかねのこと…好きだよ?』
『!』
『あかねは私のこと……嫌い?』
『……ううん、私も大好きだよ!』
そして、この動画の対してSNSの反応はというと……
『今ガチメンバー仲いいじゃん…』
『このバッシングはゆきも望んでいないだろうな』
『あかねのこと応援したくなったわ』
さらに、ハクアに対しても
『なんだ、こういうことかよ』
『行動めっちゃイケメンじゃん』
『批判していたの恥ずかしくなったわ……』
『ハクア君も頑張れー』
あかねと同じかそれ以上のコメントが寄せられた。
この動画は24時間後に7万4千リツイートを達成……ハクアと黒川あかねのイメージを変革すると同時に、『今ガチ』の人気を決定づけることとなった。
side:ハクア
あの動画が投稿されてから、炎上騒ぎもある程度の収束を見せた。……まぁ、言う人は何年経ってもこのことを言い続けるだろうが。
今は今ガチの最新話の収録が終わり、みんなで楽屋にいた。すると
「こんにちは、みんな」
「「「「!」」」」
あの事件の日以来だろうか、先輩が現場へと来てくれたのだ。
「こんにちは、先輩……うん、元気になってなによりです」
「ありがとう……ハクア君も元気そうで良かった」
こうして先輩が来たのにはわけがあるそうで……
「私ね、次の収録から復帰することにしたんだ」
「そうなんですね。あ、でも無理はしないように」
「分かってるよ……それを言うなら、ハクア君の方こそ」
「いやいや、先輩の方が――」
そんなやり取りをしていると……
「「「……」」」
「…三人して、どうしたの?」
三人……特に女性陣二人からの生温かい視線を感じたので、そう言う。
「いやぁ?別に~?」
「仲がいいなぁ~って、思っただけだよ?」
「ね~あかね?」
「え!?いや……えっと……」
……なんか先輩の顔が赤い気がするが?そう思っていると、兄さんが
「お前の方はどうなんだ?」
「どうって?」
「あかねのこと、正直どう思っているんだ?」
と、意外にストレートに聞いてきた。ちなみに先輩はゆきさんとメムさんにあっちでいじめ(?)られているため、この会話は聞こえていない。
「あー……正直に言うと…」
「言うと?」
「……先輩が自殺しそうになったあの時、失うのは嫌だって思った。大切だ……って思った……」
「!……そうか」
これが何なのかは分からない……でも、これが恋だというのなら……僕は、先輩のことが……。
「ねぇ?二人で何の話?」
「いや、ただの世間話だ……な?」
「え?う、うん」
「ふぅん……でさ、今あかねもキャラを付けた方がいいんじゃないかって話になってさ」
あぁ、そうすることで自分を守るってことか。
「なるほどな。何かを演じていれば、それが自分を守る鎧となるからな……で、具体的にはどうする気だ?」
「それが……中々思いつかなくて……」
まぁ、すぐに思いつくのは難しいだろう。
「んー……ねぇ?ハクたんの理想の女性像ってどんなの?」
「え?なんで僕?」
「いやぁ……もうハクたんしかあり得ないでしょ?」
「どんな子が好きなの?教えてあげて!」
「急にそんなこと言われても……」
理想の女性像……ねぇ……。そうして、僕はしばらく考える…………。
「ハクア君?」
「ハクたん?」
「あぁ、ごめんごめん。理想の女性像だったね……」
そして僕は、思いつく限りのことを言う。
「優しい……陽だまりのような……太陽みたいな笑顔」
「陽だまり…」
「太陽…」
「あと……動き?…が完璧な人」
「「「「……?」」」」
僕のその言葉に、みんなして首をかしげる。
「心が強い人、そして……」
「そして?」
「……目が綺麗な人…かな?」
お母さんの目は綺麗だ。
そういえば、母さんもそうだったなぁ……。
「「「うーん……」」」
とりあえず、思いつく限りあげてみたがみんなして困惑しているみたいだ……。僕だって分かってないのだから。
「あぁ、やっぱり…分かりにくかった?」
「あ、ううん…相手に求めるものっていうのは分かったけど……」
「誰と同じかって言われると……」
「……」
それもそうか、特定の誰かというわけではないしね。すると
「なんとなくだけど……分かったかも」
「「え!?」」
マジか……さすが先輩だ。
「ハクア君の好みの女性……やってみるね!」
「あ、はい」
そうして、僕たちは次の収録を楽しみにしておくのだった……が
「じゃあ、帰るか」
「うん、そうしよ『♪』…あ」
もしかして……と思ったが
「……なんか久しぶりに感じるね、これ」
「あー……色々あり過ぎたからな」
また、次の戦いが始まるのだった…………
読んで下さりありがとうございました。
とりあえず、炎上を収めるところまではいきました。
次回から、デザグラの話にまた入っていきます。
良ければ、感想や評価の方をよろしくお願いします。
それでは、次回もよろしくお願いします。