果たして、ハクアとあかねの関係はどうなるのか……。
それでは、どうぞご覧ください。
side:ハクア
デザイアグランプリ第三回戦が終わってから数日後、今日は今ガチの収録日だ。そして、先輩が現場に復帰する日なのだ。
「本日から、あかねちゃん復帰となります」
「皆さん、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。今回のことは、頑張りでお返ししたいと思っています。よろしくお願いします!」
スタッフや関係者たちから拍手が起こる。そして、
「それでは、カメラ回します!」
「行きましょうか、先輩」
僕がそう言うと……
「そうだね、ハクア」
「!」
……え?
「ちょっと眠いんだよねぇ、収録早くってさ~」
これって……
「あっ、もうカメラ回っちゃってる?」
そこにいたのは、兄さんや姉さん、お母さんのように目に星を宿した先輩……いや、特定の誰かではないが……本能で分かった。この人が……僕の理想の人だと……。
「え……せ、んぱい……?」
衝撃を受けている僕を余所に、先輩は
「あれ?どうしたのハクア?そんな顔して?」
「……」
いや……どうしたって……。
「あかね~」
すると、メムさんやゆきさんがあかねへと抱きついていた。
「戻って来てくれて嬉しいよ~」
「また、仲良くやろうね!」
「うん!」
「復帰できて何よりだけど……もう、大丈夫なのか?」
「え?あぁ、あれね」
その先輩の雰囲気に、メンバーはもちろん現場のスタッフも呑まれていた。
「すごく炎上しちゃったけど、もう大丈夫だよ」
「そ、そうか……ならいいんだけどさ……」
「ねぇ、あかね?今日なんか雰囲気が違うような……」
「え?いつも通りだよ?……ゆきはこういう私……嫌い?」
「……!ううん、今のあかねも好きだよ」
「ありがとう、ゆき」
僕が戸惑っている間にも、会話が進んでいき……
「ねぇ、ハクア?今日は一緒にいよう?」
「あ、はい……」
その言葉に、僕は頷くことしかできなかったのだった……
side:アクア
あかねの様子がおかしい……そう思ったのは、俺だけじゃなくこの場にいる全員が思ったことだろう。だが、一瞬で……この場にいる人を全て惹きつけていった。
そして、こうも思っただろう……ハクアもおかしい……と。その二人は現在窓際で一緒に話している。
「聞いたよ。あの動画ってアクア君だけじゃなくて、ハクアも忙しい時以外は一緒に作ってくれたんでしょ?」
「まぁ……そんな感じです……」
「すごく嬉しかったんだよ。ありがとう、ハクア」
「どう…いたしまして……です」
……ウチの弟の顔がすごく赤いのだが…。すると、あかねが
「……それでさ……それ、いつまで続けるの?」
「え?それって?」
「敬語」
「いや……でも……」
「これからは、私に対して敬語は禁止とします」
「え!?」
「あと、名字呼びもね」
「それは……なんで……?」
「だって、ゆきやMEMちょは名前呼びなのに……私だけ……」
「あぁ……」
すると、ハクアは少し考える素振りをして……
「わかり……分かったよ…………
あかね先輩……」
「……!う、うん!」
……先輩は外れてないが、あかね的にはこれで満足らしい。すると
「ねぇ……」
「何?」
「あかねが変なのは分かったとして……その……」
「うん……」
「「ハクア君(ハクたん)の様子もおかしい!というかなんか可愛い!!」」
うん、そうだな。可愛いのは知ってたけど。というか、よくあかねはここまで仕上げたものだ……。
「あれが恋する………乙女(?)」
「いや、ハクたん男の子だよ………気持ちは分かるけど……」
「ゆき、それ本人には言うなよ……めっちゃ怒られるから……」
「え、マジ?」
「マジ」
「……怒るとこ想像できないけど…気を付けよう…」
一応、ゆきに忠告しておく。別に本人が自分の容姿が嫌いというわけではなく、むしろ好きなくらいなのだが……さすがに、役以外の時は男扱いして欲しいらしい……。
そんな、会話をしていると
「ねぇねぇ!こういう子が好みなの~」
「え、えっと……」
「こういうあかねが好きなんか~」
「ちょ、ちょっと……」
「「ほらほら~」」
「……」
ゆきとメムが、あかねをハクアに近づけながらそう言っていた。……そんな風にハクアをいじめるもんだから、顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。……さすがに可哀そうだ……助けにいくか。
「こ、これは……」
「ちょっと……やり過ぎた?」
「やり過ぎだな」
俺はハクアとあかねの間に入る。
「兄さん……ごめん…」
「え、ちょ、ハクア!?」
その直後、この状況に耐えられなくなったのか、ハクアは教室から出て行ってしまった。……こんなハクアは今までに見たことがない。もちろん、デザイアグランプリでもだ。
「え、ハクたん!?」
「あらら……」
「お前らなぁ……後で謝っておけよ?」
「「は、はい…」」
ハクアへのフォローは俺からも後でしておこう……。
「で、あかねはどうするの!?」
「これガチでガチなやつだよ!?」
「「どうするどうする!?」」
「ど、どうしよう……」
「「「あ、いつものあかねに戻った」」」
こっちも限界だったのか、演技を解いて戻ってしまった。
「でさ、あれはもう堕ちているわけだけど……」
「あかね的にはどうなの?」
「えっと……」
すると、あかねはしばらく考えて……俺たちにもしてこなかった話をし始めた。
「私とハクア君が出会ったのは、小学生の時でね……私、その時から好きになって……いったんだ…」
「「えぇ!?」」
「!?」
この話は予想外だった……。俺は以前にハクアからあかねのことを聞いていた。その時は、すごい演技をする子だという話をしてくれていた。その時のハクアには今のような感情はなかっただろう。
「それに……初恋…なんだ」
だが、あっちは初めて会ってから早い段階でハクアのことが好きだったみたいだ。それも何年間も……。
「だから……さ」
「「「?」」」
「ハクア君から来ても来なくても…私から行く……」
「「「!?」」」
「誰にも……渡したくない……!」
これは……噓、じゃないな……。ハクアは常に何かを抱えているように見えた。それは俺やルビー、ましてや母さんにも、それを話してはくれなかった。
それは、デザイアグランプリに俺たちが関わってから……いや、その前からも顕著に出ていたのかもしれない。もし……あかねがその支えとなってくれるのなら……もしかしたら……。
「あかね」
「……何?」
「俺からは何も言わない」
「!」
「だから、頑張れよ」
「うん!」
こいつになら、弟を任せられる。これだけ本気なら、大丈夫だろう……。
「私も応援してるからね!」
「頑張ってね!あかね!」
「ありがとう!ゆき!メム!」
side:ハクア
今ガチの収録を終えて、僕は兄さんと一緒に家に帰っていた。
「大丈夫か?」
「……あ、うん。何とか」
「……本当に?」
「ごめん、噓、大丈夫じゃない……」
「おぉ……そうか…」
正直、あかね先輩のことが頭から離れなくなっていた。あぁ……どうしたんだろう、僕は……。
「ただいま」
「ただいま……」
「お帰りなさい!」
家に帰り、姉さんが迎えに来てくれたが……
「……?」
「……ど、どうしたの?」
……なんか、姉さんがじっと見つめてくるんだけど…?そして……
「……なんか…あった?」
「!」
あの時のことを思い出して、顔が赤くなっていくのが分かる。
「え、ちょ、大丈夫!?」
「……」
「あー……ルビー、ちょっといいか?」
「う、うん……」
「ハクア、疲れただろう…少し休んでろ」
「……分かった」
僕は兄さんの言葉の通り、部屋に戻っていくのだった……。
side:ルビー
「ねぇ…ハクアどうしちゃったの?何かあったの?」
帰って来てから、ハクアの様子がおかしい……今までにない以上に。
「あー……簡単に言うと…」
「い、言うと……?」
そして、次にお兄ちゃんから出てきた言葉に、私は衝撃を受ける。
「……ハクアがあかねに恋した」
「……え、それって……え?」
え……ハクアが……恋……へぇ~……え!?
「恋!?」
「落ち着けルビー…いや、気持ちは分かるけど……」
とりあえず、お兄ちゃんのいう通り落ち着くけど……
「いやぁ…あのハクアが……」
「それに、どちらも初恋だ」
「マジで!?」
その追い打ちにさらに驚く私……そして……
「なぁ…ルビーはどう思う?」
どう、というのはおそらく、あかねちゃんのことだろう……。でも、私の答えは決まっている。
「私はね…ハクアが選んだ人なら、信じられるよ」
「ルビー…」
「ましてやあかねちゃんだよ?なら、きっと大丈夫!」
適当に言っているように見えるかもしれないが、私は本気だ。……ハクアはずっと前から、何かを抱えているようだった。それは、私にも、お兄ちゃんにもママにも話してはくれなかった。
私は、あかねちゃんと会ったことがない。動画を作っている時に他の今ガチメンバーに聞いただけだ。
でも、聞いただけだけど、SNSで言われているような子じゃなくて、いい子だと思った。そして今は、ハクアが好きになるだけのことはあると納得することのできる子だと思う。それに、ハクアが好きになったんだ……家族として、応援してあげないといけないだろう。
「私は、ハクアを信じるだけだよ」
「……!そうだな」
こうして、私たちはあかねちゃんを認めることにしたのだった。なんか気が早いかもだけど……。
ちなみに、ママにもこのことは話すつもりだ。一体、どういう反応をするのやら……。
side:アイ
「あれ?ハクアは?」
今日のスケジュールを消化し、家に帰ってきたのだが……
「母さん……」
「ママ……」
「「大事な話があります」」
「……え?」
なんかアクアとルビーが、真剣な顔で私にそう言ってきたんだけど……本当にどうしたのだろう?
そして、二人から出てきた言葉が……
「「ハクアが恋した」」
「……ふぇ?」
変な声が出てしまったが、それくらい驚いている……。え!?ハクアが!?
「恋!?」
「「一旦、落ち着いて」」
「あ、はい…」
「「ルビー(私)と同じ反応してる……」」
ルビーも私と同じ反応をしたらしい。
「でさ……どう思う?あかねちゃんのこと…」
「俺たちは、大丈夫だと思うんだけど……」
あぁ……そうか。ハクアは前に恋愛を怖がっていたというか、避けている感じがしたから…それで……。
私はあかねちゃんに会ったことは何回かある。女優の仕事などで共演した時だ。だったら……ううん、それがなくても、私の答えは決まっている。
「私ももちろん大賛成だよ!それに……」
「「?」」
「親が子供を信じなくてどうするの?」
「「!」」
単純かもだけど、これが一番の理由だ。私は何よりも、親として子供たちの幸せを願っているのだから……。
「それにしても……」
「「?」」
「で、きっかけは?そこのとこどうなの?」
やっぱり、自分の子供の初恋だ。気にならないわけがない……!
そして、その後あかねちゃんが実は初めて会ったときからだんだんと、ハクアのことを好きになっていったこととかを根掘り葉掘り二人から訊く私なのであった……
読んで下さりありがとうございました。
いつのまにか義兄と義姉、そして義母公認になっているあかねさんなのでありました……とさ。
良ければ、感想や評価の方をよろしくお願いします。
それでは、次回もよろしくお願いします。