女神の子   作:アキ1113

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 今回は、前回の続きからです。

 過去のトラウマを思い出して演技をしたハクア……その後、どうなったのか……。

 それでは、どうぞご覧ください。


演舞Ⅳ:消えない傷跡

 side:あかね

 

 「とりあえず、あっちで休もう。明らかに大丈夫じゃないから……ね?」

 

 「……うん」

 

 明らかに様子のおかしいハクアを連れて、別室に行ってハクア君を椅子に座らせる。

 

 「……今は調子どう?」

 

 「さっきよりは全然……」

 

 汗もかいている……パニック発作に近いものだろうか……。

 

 隣で休んでいるハクア君を見て、私は頭の中を整理した。

 

 ハクア君……というよりも、ハクア君たち三つ子の母親は死んでいる……もしくは、母親が目の前で死にそうになった経験がある……その二つしか、可能性として考えられない。

 

 父親と母親は、苺プロの社長と副社長……だと思う。みんな苗字は「星野」と名乗っている。それが、芸名だとしたらいいのだが、そうでなかった場合……社長たちは里親ということになる。そして……かなちゃんのあの言葉に対しての反応……

 

 ハクア君だけで見れば、簡単に推測ができる。

 

 ハクア君たちの母親は既に亡くなっている。それも彼の目の前で……そう、ハクア君だけ(・・)で見れば……だ。

 

 もし、ハクア君たちの母親が亡くなっているとして、あの言葉でアクア君の反応があまりないのが引っかかる……元々ダメージを受けないだけかもしれないけど。

 

 そんなことを考えていると……

 

 「ハクア、気分はどうだ?」

 

 兄であるアクア君が様子を見にやってきたのだ。

 

 「あ……うん。さっきよりはいいよ」

 

 「そうか……良かった」

 

 ハクア君の言葉を聞いて、安心するアクア君。

 

 「アクア君、ちょっといい?」

 

 「?あぁ……いいけど……」

 

 「僕は大丈夫だから……」

 

 「……分かった」

 

 ハクア君を部屋の中で休ませて、私はアクア君にあることを聞いた。

 

 「それで……どうした?」

 

 「うん……ハクア君がこうなったことに、何か心当たりはない?」

 

 私は、そう訊いてみた。すると……

 

 「……10年以上前に、B小町のアイがストーカーに襲われた事件……知ってるか?」

 

 「え……うん、知ってるけど……?」

 

 どうしてその話が出てくるんだろう……?

 

 「その時、報道自体はされなかったけどアイは社長たちの子供三人を預かっていた」

 

 「……その子供って」

 

 「あぁ……俺たち三つ子だ」

 

 「……!」

 

 あの事件に、そんな事実が……私が驚いている間にも、アクア君は話し続ける。

 

 「そして、その三つ子のうちの一人がアイを庇って……刺された」

 

 「!?」

 

 ……え?じゃあ……

 

 「その刺された子って……」

 

 「あぁ……そういうことだ……」

 

 だから、あんな風に……あれ?

 

 「……なんで、お母さんが死ぬってことに反応して……」

 

 「これは推測だが……庇うときにアイが母親と重なったのかもしれない。今回も、それが思い出されたのかも……」

 

 なるほど……それなら合点がいく。でも、まずいこと言わせちゃったよね……。

 

 「ありがとう……こんなこと聞いちゃって、ごめんね」

 

 「言ったのは俺だ。それに、俺もまさかここまでトラウマになっているとは思っていなかったからな……」

 

 「そう……なんだ」

 

 こんなになるまで、抱え込んでいたんだ……。

 

 「あかね……ハクアのこと、見てやってくれ」

 

 「うん、もちろんだよ」

 

 少しでも、ハクア君の力になれるようにしないと……!すると……

 

 「あ、一つ頼んでもいいか?」

 

 「うん、いいけど……」

 

 そして、頼まれたのが……

 

 「暇な時でいいから……ハクアのプロファイリングって、できるか?」

 

 ハクア君のプロファイリング……?

 

 「できるけど……何で……?」

 

 「……ハクアが何か隠しているなら……もし、それが辛いことなら……知って、力になってやりたいんだ」

 

 「!……そういうことなら、分かった。やってみるよ」

 

 「ありがとう」

 

 「いいよ。私も知りたいしね……ハクア君のこと、もっと……」

 

 それで、力になれるなら……私は……そう思いながら、ハクア君のもとに戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この出来事から数ヶ月後……ハクア君の残酷な真実について知ることを、この時の私はまだ知らない……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「話は終わった?」

 

 部屋に戻ると、立ち上がってこちらへと来るハクア君がいた。

 

 「おい、ハクア。座ってろって……」

 

 「流石にもう大丈夫だよ」

 

 「だめだよ!まだ、座ってて!」

 

 「いや、でも「ハクア君?」……分かったよ」

 

 私の圧(?)で椅子にハクア君を再び座らせる。

 

 「……俺、飲み物買ってくるよ。あかねはハクアの傍に」

 

 「うん、分かった」

 

 「ハクア、水でいいか」

 

 「うん、お願い」

 

 「了解。しばらくハクアを休ませたら、俺たちは迎えを呼んで帰るけど……あかねも出来れば、ついてきてほしいんだが……」

 

 「分かった。私も一緒に行くよ」

 

 そうして、アクア君は頷いて飲み物を買いに行った。……あれ?今思えばこれって、二人きりじゃ……。

 

 「……しばらく休んだら、今日は一緒に帰ろうね」

 

 「……ごめん」

 

 「何が?」

 

 「……迷惑かけて、心配までさせて」

 

 ……もう……ハクア君はいつもこう……そして、私は……

 

 「えい♪」

 

 「え?……!」

 

 ハクア君の頭を私の膝に乗せてあげた……膝枕というやつである。

 

 「え、ちょ。あかね先輩……?」

 

 突然、膝枕されたハクア君は戸惑っているみたいだ。そんなハクア君を余所に、私は彼の頭を撫でる。

 

 「どう?」

 

 「どうって……気持ちいいけど……」

 

 膝枕は好評らしい。そして、私は……

 

 「辛いことは、抱え込んじゃダメだよ?」

 

 「え……?」

 

 「……君に何があったのかは、訊くのは簡単かもしれない。でも、出来ればハクア君の方から話して欲しい……頼って欲しい」

 

 「……」 

 

 私の言葉をハクア君は静かに聞いている。

 

 「だから、その辛さを……少しでも私に分けて欲しいな」

 

 そう、私が言うが……

 

 「でも……その辛さは、僕だけでいい……」

 

 「だけでいいって……」

 

 「それで、傷つけるのは……いやだ」

 

 「!」

 

 ハクア君はそう言ったのだ。……優しいなぁ……ホント。そんなところも、私は惹かれた。でも、その顔は苦しそうだ。

 

 「私の方がお姉さんなんだから……相談くらいはして欲しいなぁ……」

 

 そう少し演技をして言うと……

 

 「……分かった。考えておく……」

 

 ひとまずは、そう言ってくれたのだった……すると、ハクア君は眠そうにしていた。

 

 「少しくらい寝たら?」

 

 「え……でも……」

 

 「私が起こすから……ね?」

 

 「……うん、分かっ…た……」

 

 そして、ハクア君は意外と早く寝てしまった……。

 

 「……ふふっ」

 

 相変わらず可愛いなぁ……さっきまで、あんな演技していた人とは思えないくらいだ。そう思いながら、私は頭を撫で続ける。それから少しして……

 

 「ハクア、飲み物買って「しっーー」…!」

 

 アクア君が帰ってきたので、私はハクア君が起きないようにジェスチャーで伝える。

 

 「……よく寝てるな」

 

 「そうだね……」

 

 そして、私たちはハクア君を少ししてから起こして、迎えでハクア君たちの家に行くことになるのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 「初めましてだね~!ハクアとアクアの母の星野アイです!」

 

 ……え?……なんでアイが?それに………えぇ!?

 

 

 

 

 

 

 side:ハクア

 

 「う…ん……」

 

 「おはよう、ハクア君」

 

 「よく寝ていたな」

 

 どうやら、僕は寝てしまっていたらしい。それも……あかね先輩の膝の上で……。

 

 「あ……うん、おはよう……」

 

 僕は二人に恥ずかしさを抑えながら、そう返すが……

 

 「「……顔赤いよ(ぞ)?」」

 

 「……」

 

 どうやら、抑えられていなかったみたいだ……。

 

 「ほら、水」

 

 「あぁ、ありがとう」

 

 僕は兄さんから水を受け取り、それを飲んだ。すると、兄さんから……

 

 「さっき電話して、迎えに来てもらうように言っておいたからな」

 

 「うん、ありがとう」

 

 どうやら、迎えがくるみたいだ。それまでは休んでいるように、とのことだ。そして、しばらく雑談をしていると……

 

 「二人とも、迎えが来たってさ」

 

 「「はーい」」

 

 迎えが来たみたいだ。この時、僕と兄さんはミヤコさんあたりが迎えに来ると完全に思っていた……電話でもそんな話をしたと兄さんが言っていたからだ。

 

 「歩けるか?」

 

 「流石にそれは大丈夫だよ……」

 

 そんなことを話しながら、歩いていくと……

 

 「……あれかな?」

 

 「あぁ、あれで合ってるぞ」

 

 迎えの車が見えてきた。そして、車のドアが開いたのだが……そこにいたのは……

 

 「あ!お帰りなさい!」

 

 「「「……え?」」」

 

 ……な、なんでお母さんがここに……?っていうかこれって、まずいのでは!?

 

 「な、なんでここに……?」

 

 「ハクア大丈夫!?その手どうしたの!?」

 

 「あ、これは……ってそれよりも、なんでここに!?」

 

 「あぁ……それはね……」

 

 そう言って、お母さんはあかね先輩の方を向いて……

 

 「初めましてだね~!ハクアとアクアの母の星野アイです!」

 

 「……あ!は、初めまして!ハクア君とお付き合いさせていただいています。黒川あかねです」

 

 「うん!あ、とりあえず乗って乗って!」

 

 「あ、はい……」

 

 そして、あかね先輩も一緒に僕たちの家に行くことになったのだった。

 

 

 

 

 

 side:あかね 

 

 「あの……私まで良かったんですか?」

 

 私はアイさんにそう訊いた。

 

 「ん?あぁ……ホントはまずいけど……元からあかねちゃんには話すつもりだったしね。私たちのこと。それに……」

 

 「?」

 

 「……あかねちゃんなら、信頼できるしね」

 

 アイさんはそう言った。……信頼されてるのは嬉しいけど……そう易々と話していいことではないだろう。

 

 「なんで……そんなに私のこと……?」

 

 私がそう訊くと、アイさんは微笑んでハクア君の方を見ながら……

 

 「そりゃウチの子が選んだ人だもん……親として信じないとね」

 

 ……母は強しっていうけど、この人が……そうなんだろうなぁ……そう思っていると、

 

 「さぁ!着いたよ!」

 

 どうやら、ハクア君たちの家に着いたみたいだ。そして……

 

 「ようこそ!我が家へ!」

 

 私はもう少し後になると思っていた……彼氏の親への御挨拶(?)をすることになったのだった……。 

 

 

 

 

 

 side:アクア

 

 まず一つ……

 

 

 

 

 

 

 

 どうしてこうなった。

 

 

 

 「あ!お帰りなさい!あかねちゃんもいらっしゃい!」

 

 「お、お邪魔します……」

 

 俺は、ハクアの精神的な面を心配してあかねにもついて来てもらったのだ。その方がハクアも安心できるかと考えたのだ。でも……まさか、母さんが迎えの車の中にいてそのまま家に招くことになるなんて……。

 

 「って!ハクア大丈夫!?どうしたのその手!?」

 

 あの時の母さんと同じ反応をしながらルビーがそう言った。

 

 「あぁ……これは、ちょっと演技してて……力が入り過ぎたっていうか……」

 

 そんな会話をしているルビーとハクアを余所に……

 

 「そもそもなんで母さんが迎えに?」

 

 「社長たちも今は忙しくてね~……それで、私が仕事帰りにマネージャーさんに頼んで迎えに行くことにしたんだよ。あ、社長たちは説得してちゃんとあかねちゃんにも話していいって、言ってもらったから!」

 

 「あぁ…そう……」

 

 「それに…早い方がいいのかもしれないしね……」

 

 話してもいいらしい……ならいいんだが……。

 

 「さ!入って入って!そんなに緊張しなくてもいいからね!」

 

 「は、はい!」

 

 母さんがあかねを招き入れる。

 

 「ハクアは休んでて、ご飯できたら起こすから」

 

 「うん……分かったよ」

 

 そう言って、ハクアは自分の部屋へと入っていった。

 

 「あかねちゃんも食べていく?」

 

 「え!?いいんですか?」

 

 「もちろんだよ!というか食べよ?ハクアも喜ぶと思うから……」

 

 そのルビーの言葉にあかねは……

 

 「じゃあ……お言葉に甘えて」

 

 「やったぁ!」

 

 そう言ったのだった……

 

 

 

  

 

 




 読んで下さりありがとうございました。

 突然始まった御挨拶……果たして、あかねはどうなるのか……?

 良ければ、感想や評価の方をよろしくお願いします。

 それでは、次回もよろしくお願いします。
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