本格的にハクア演じる刃が活躍していくと思います。
それでは、どうぞご覧ください。
side:ルビー
東京ブレイドの舞台は進んでいき、今はキザミが匁に食らいつくも倒れてしまい、そこにブレイドたちが駆け付ける場面になっていた。
「流石に二対一では分が悪い……ここは一度撤退を「何の騒ぎ?」!……刃」
匁は分が悪いと思ったのか、撤退しようとしていた。その時……音もなく、ある人物が匁の隣に現れた。
私を含めた観客たちも、そして演者たちも……突然現れた人物……刃に驚いている。本当に……誰にも悟られることもなく、現れたのだから……。
「……お前……誰だ?」
「アンタ何者?そいつの仲間みたいだけど……」
ブレイドとつるぎがそう言う。
「僕は刃……匁、この人たちは?」
「はい。どうやら、新宿クラスタという徒党を組んでいるものたちかと……」
刃の問い掛けに対して、そう答える匁。
「なるほどね。ありがとう……そこの人たち」
「何だ?」
「ここは一度、互いに引きませんか?」
刃がそう提案する……だが、
「ふざけんな!こっちは身内を痛めつけられているんだ!1兆倍にして返さないと気が済まないわよ!」
キザミを痛めつけられたままなのが気に入らないのか、つるぎはそう言って、刃の提案を跳ね除け、切っ先を向ける。
「そっか……匁、撤退してこのことを報告して」
「刃、あなたは?」
「僕も少ししたら撤退する。このまま、攻め入られるのもまずいしね」
どうやら、刃は一人で二人を相手にするみたいだ。仲間のためなら、自分が傷つくことも厭わない……そんな優しさを持った……どこか、ハクアに似ているキャラクターだと勝手ながら思っている。
「ですが「行って」!」
「君を信じて頼んでいるんだ。大丈夫……僕は、負けないから。あぁ、あと応援呼んで戻ってくるのはなしね」
「しかし……分かりました。ご武運を」
「うん、ありがとう」
そうして、匁は撤退していった。
「なっ…待て!」
撤退する匁を追おうとするが……
「……」
そこに、刃が立ちはだかる。
「「っ……」」
……あれは、ハクアなの?観客席まで伝わってくるこの……殺気、なのかな?完全に刃になっている……。
「アンタが相手してくれるの?」
「……もう一度言う……退いて」
刃は最後の警告の意味を込めて、そう言った。だが……
「あぁ、もう!うるさい!速攻で斬り倒してやるわ!」
つるぎはそう答えたのだ。その言葉を聞いた刃は……
「……」
黙ったまま、盟刀を腰から抜き、鞘を左手で持って、刀の柄を右で掴んだまま構えていた……。
刃のその動きに、観客席にまで緊張感が伝わってくる……そして……
「そっちから来ないなら!」
しびれを切らしたつるぎが、刃に向かって突っ込んでいく……だが、
盟刀・雷刃 一の刃『閃刃』
「え?………ぐあっ!」
「……!?」
突っ込んできたところを、刃が一瞬のうちに刀を抜いて斬ったのだ。そして、刀を収めると同時につるぎは倒れてしまった。
「死んではいない……急所は外した」
「お前……!」
「次……」
そう言っている刃は、先ほどまで匁と話していた時の優しそうな様子とは違い……ただ冷酷に敵を倒す、一人の剣主だったのだ……。
「はぁぁぁ!!」
ブレイドは、刃に向かって斬りかかるが……
「遅い」
「なっ……くっ!」
おそろしい速さで、接近してきた刃に攻撃することも出来ず、自身の盟刀で防ぐのでやっとだった。それもその筈、刃の盟刀『雷刃』は剣主自身の身体能力を強化する力がある。それに加え、刃自身の本来の身体能力もあるため、常人では反応することも出来ない速度を出すことが出来るのだ。
「ぐあっ!」
ブレイドは、その速度と剣技に押されてしまう。そして……
「……そろそろか」
「?」
刃は渋谷クラスタの本拠地の方を向きながら、そう呟いた。
「元々、僕は仲間を逃がして情報を届けさせることが目的……それにこの戦いも成り行き、君たちに恨みもない……だから、ここまでだ」
そう言って、盟刀を収める刃……
「逃げる気か?」
「どう思ってもらっても構わない……けど……」
そう言うと刃は、ブレイドに対して……
「次なにかしたら……その時は全員、僕が斬る」
こちらも震えて、底冷えのするような声でそう言って、渋谷クラスタの本拠地へと去っていったのだった……。
場面は変わって、渋谷クラスタの本拠地。そこでは、あかねお姉ちゃん演じる鞘姫と、お兄ちゃん演じる刀鬼が匁と刃の帰りを待っていた。すると……
「鞘姫様!ご報告がございます!」
「どうしました?そんなに慌てて……あなたらしくもない」
いつもと違う匁の様子に、疑問を覚える鞘姫。刀鬼も喋ってはいないが、同じことを考えているのが分かる。
「……申し訳ありません。報告というのは……哨戒任務中に剣主と遭遇しました」
「剣主に、ですか……それで?」
鞘姫は続きを促した。
「その者は新宿クラスタなる組織の一員と見られ、私を配下に引き入れようと持ち掛けてきましたが、拒否したところ戦闘になりました。確認しただけでも剣主が三名、戦闘の続行は不能と判断し、撤退した次第です」
「よろしい。よくぞ無事に戻った……ん?」
ここで、鞘姫はあることに気付く。
「今の報告だと、あなたが慌てるようなことは何もないように思えるのですが……?」
剣主が現れたのは無視できない事態だが、匁が慌てている理由になりえるとは思えない。
「……それが……私が撤退するために、刃が剣主二人を相手に……」
「「!?」」
匁がそう言うと、鞘姫と刀鬼は驚いたような表情をする。
「私は、情報を伝えるようにと言われ……刃は応援を呼ぶのはなしだと言い……」
匁はその時の様子を二人に伝える。すると……
「僕がどうかしましたか?」
「「「!」」」
剣主たちを相手にしていた刃が戻ってきたのだ。
「鞘姫様、兄上。刃、只今帰還いたしました」
そう言って、刃は鞘姫の前に跪いた。
「……よくぞ、無事に戻った」
「良かった、無事で……」
「……ご迷惑をお掛けしました。鞘姫様、兄上」
「……匁、報告は?」
「えぇ……あなたのおかげで」
「そっか……」
匁も刃が傷一つなく戻ってきたことに安堵していた。
「……匁、報告は先ほどのもので終わりか?」
「はい……私からは以上です」
「あなたもよくぞ無事に戻った。下がってもよい」
「はっ。失礼します」
そうして、匁は去っていった。
「僕からの報告は何も……辺りに不穏な動きもありませんでした。強いて言えば、剣主と戦闘になったくらいですが……」
「……そうか、とにかく無事で良かった」
「では、僕もこれで…「待って」……?」
刃も一度下がろうとしたが、いつもの口調とは違う鞘姫に引き止められてしまう。
「……なんで、一人で二人を相手するようなことを?」
鞘姫はそう訊いた。
「……匁に情報を届けさせた方が早いと思ったからだよ」
刃も先程よりも砕けた口調でそう言った。
「それに……あのまま侵入される訳にはいかないでしょ?」
しかし、鞘姫は納得せず……
「……それで無理して倒れでもしたら、どうするの」
「そうだぞ……俺も同感だ」
「……」
刀鬼も刃に向かってそう言った。刃は二人に対して困ったような表情を向ける。
二人がこんなにも刃のことを気に掛けるのには訳がある。刃は元々、戦いに向いた性格ではないのだ。匁と同じで……できることなら穏便に事を済ませようとする人物だ。
しかし、刃は盟刀に選ばれた。周りが喜んでいるのに対して、まだ子供だった刃は……震えていたのだった。
盟刀に選ばれたからと言って、戦いの才が必ずしもあるわけではない。だが、何の因果か刃はその才能まで持ち合わせていた。盟刀に選ばれてからというもの、刃は兄である刀鬼以上に鍛錬に励んだ。気付けば、渋谷クラスタで鞘姫の『弐の太刀』と呼ばれるまでに成長していた……自分の本心とは反対に。
強くなることは、刃本人にとっても望んだことだった。でも、それが誰かを守る強さならともかく……相手を傷つけるための強さを刃は望んでいなかった。実際、初めて盟刀を使って戦った時も勝利したのだが、刃の顔に笑顔は無かったのだ。寧ろ、その後に精神が参ってしまい倒れてしまったのだ……。
それから、刃は戦う時……仮面を被った。ただ、感情もなく、冷酷に敵を倒そうとする剣主の仮面を……。
そんなこともあって、昔から刃を見てきた鞘姫も、兄である刀鬼も刃のことを……強いとはいえ、心配しているのだ。
「大丈夫……無理する気はないよ。それに、ここまで強くなったんだから」
刃は鞘姫と刀鬼を安心させるように言った。
「それよりも……どうするの?」
「……私も……戦いたくはないよ。でも……」
「話から聞くに、穏便に済むようには思えないが……」
話を変え、これからどうするのかを鞘姫に訊く刃。
「やっぱり、戦うしか……」
「だろうな」
「また……戦うのか……」
刀鬼の言葉に刃がそう呟いた。
「でも……やるしかないか」
「あぁ……心配することはない。お前は強い。そして……俺もいる」
「……うん、それに約束もしたしね」
刀鬼と刃は昔、ある約束をしていた……
二人で鞘姫を守る……どちらかが欠けることなく。
という約束を。この約束を守るために、今までお互い鍛錬を積んできたのだ。
「被害をこれ以上大きくするわけには……仲間もどんどん殺されていく。何もしないわけにはいかない」
「うん、最善なのは新宿クラスタを今のうちに叩くこと……」
「分かってる。でも、私の命令で多くの人が死んでしまう……どうしたら……」
鞘姫もここで戦うことが、最善策だと分かっているがなかなか決断できずにいた。すると……
「鞘姫……俺たちは、君の剣であり盾だ。君の意志が俺たちの意志だ」
「どんな決断でも、僕たちは君についていくよ」
「二人とも……」
「それに、この命……簡単にくれてやるつもりはない」
「僕も、兄上と同じ気持ちだよ」
そんな二人の言葉を聞いた鞘姫は……
「……今すぐ配下たちを集めて」
「「はっ」」
二人に配下たちを集めるように言った。そして……
「刀を抜けば、たちまち血が流れる……ですが、戦わなければ守れないものもあるでしょう……ならば、私は刀を抜きましょう。合戦です」
新宿クラスタと戦うことを決めたのだった……。
読んで下さりありがとうございました。
今回は、ここまでです。刃の技のモデルは……ご想像にお任せします。
良ければ、感想や評価の方をよろしくお願いします。
それでは、次回もよろしくお願いします。