そして、ハクアの秘密が遂に……。
それでは、どうぞご覧ください。
side:アクア
かみなりジャマト祭りを阻止してから、数日後……
「はい!OKです!」
「「「「お疲れ様でした!」」」」
今日はとある場所で、B小町が出演する番組のロケが行われていた。今回は、母さんとの共演がある番組であり、俺は付き添いとしてこの場に来ていた。ちなみに社長たちも来ているが、今は鏑木プロデューサーと話の最中だ。
「四人とも、お疲れ様」
「ありがとう!お兄ちゃん!」
撮影が終了し、母さんやルビーたちがこちらに向かってくる。
「ありがとね~アクア!」
「どういたしまして」
そして、四人と話をしていると……
「あれ?そう言えば、ハクたんは?」
メムがこの場にいないハクアのことを訊いてきたのだ。
「今日はいないのね……てっきり来るものかと……」
「あぁ……ハクアだったら――」
『ハクアー?私たち行くねー?』
『……あれ?……珍しいな』
朝、出ていく時にハクアに声を掛けようとすると……
『……』
『きっと、疲れてるんだよ……ここの所、色々あったしね』
『そうだな……』
ソファの上で眠っていたのだった。
『……ん?』
『あっ……起こしちゃった?』
俺たちが近づいて行くと、
『あ……うん、大丈夫……っ!』
『おっと……!』
ハクアが起きて、ソファーから立ち上がろうとするが、頭を抑えてふらついてしまう。
『大丈夫?何処かつらくない?』
『うん……大丈夫だよ……』
「――というわけで、休ませてる」
「ハクたん最近、休めていなさそうだったからね~」
「まぁ、しっかり休ませてあげましょう?」
メムと有馬がそう言った。そんな会話をしている中、俺はあることを考えていた。
二日前、以前からあかねにお願いしていたハクアのプロファイリングができたとの事なので、ルビーと一緒にとあるカフェで話を聞きに行った時のこと……
『ハクア君は、基本的には優しくて物静か。これはイメージ通り……だけど……』
『……だけど?』
『時々、普段の性格からは考えられないくらいに冷静になる時があって……』
冷静さが出るのは、デザイアグランプリで戦っている時のことだろう……。
『それで……』
そう言うと、あかねの手が少し震え始めた……。
『お義姉ちゃん、大丈夫?』
『どうしたんだ……何か言いづらいことでも……?』
『ううん、そうじゃなくって……』
……明らかに様子がおかしい気がするが。そして、あかねは口を開いて……こう言った。
『ハクア君は……明らかに死生観がおかしい』
死生観が……?
『……それって、どういう?』
ルビーがあかねに対して、そう訊くと、
『簡単に言えば……「死」への恐怖が少ない……ううん、ないに等しいんだよ……』
『『!?』』
あかねは、震えながらそう言ってきたのだ……死への恐怖がない……?そう言えば……前世のあいつも確か……。
『私、怖いんだ……ハクア君が何処かに行っちゃいそうで……もし、そうなったら『大丈夫!』……ルビーちゃん?』
『大丈夫。もしハクアがそういう風になっても……私たちで何とかするから!』
ルビーがあかねに向かってそう言った。
『あぁ、俺もハクアをどうにかして見せるから』
俺もルビーに続いてそう言った。
『二人共……うん、ありがとう。私ばかり不安になってても、仕方ないよね。私も、そうならないように繋ぎ止めておくから……』
ということがあったのだ……これは、あくまで推測だが……ハクアは、俺たちと違って……
何回も転生を繰り返しているのではないか……と。
これが事実なら、白愛や珀亜の自身の死に対しての意識の薄さにも、説明がついてしまう………なら、ハクアはあんな思いを何度も……?
「お兄ちゃん……?」
「!どうした?」
「いや………もしかして、あの事考えてた?」
「!」
「当たりだね?」
ルビーに、俺の考えていることを言い当てられてしまった。すると……
「私だって……本当はすごく不安なんだよ?」
「ルビー……」
「でも……今は頑張らなきゃ!」
そんな会話をしていると……
「「!?」」
「えっ?」
「なになに!?」
突然、法螺貝を吹く音が鳴り響いた。そして……
「……えぇ!?」
「あんたたち……それ……!」
「ん?……はぁ!?」
「これって……!」
俺たちの格好が、着物姿に変わっていたのだ。俺は深い青色の羽織を上から着た姿であり、ルビーは淡い赤色の着物を着ていた。加えて、二人とも腰に刀を差していたのだ。
「わぁ……!」
母さんだけは、俺たちの格好を見て目を輝かせていたが……大方、すごく似合っているとでも思っているのだろう。すると……
「!おい、あれ……!」
一人のスタッフさんが、何かを見て指を差した。
「お兄ちゃん……」
「あぁ……来たな……」
「えっ?」
「何が………え?」
その指差す先には……
『『ジャ』』
『『ジャ』』
ジャマトたちがいたのだった。
「何……あれ……」
「これって……やばいんじゃ………」
有馬とメムがジャマトを見て、震えながらそう言った。
『ジャ?』
『ジャー!』
そして、ジャマトたちがこちらに向かってきたのだ。
「ルビー」
「うん、やるしかないね!」
俺たちは刀を抜きながらそう言い……
「!二人とも!?」
「あんたたち何やって……!」
「アクたん!?ルビーちゃん!?」
三人の静止を聞くはずもなく、ジャマトたちに向かっていくのだった……。
side:ハクア
『珀亜様!ジャマトが現れました!』
「っ!……分かった」
ツムリさんからそんな連絡が入った。
「……行くか」
僕は、数日前からの体の不調を感じながらも、あのバックルを手にしてジャマトたちとの戦いに向かうのだった……。
side:透
「ジャマトグランプリ第二回戦……戦国ゲームの始まりよ!」
ベロバがそう言って、第二回戦が始まった。
このゲームは、敵の大将のニラムから家宝のヴィジョンドライバーを奪うというものだ。前半戦はこちらが攻め込み、後半戦があればあちらから攻め込んで来るルールみたいだ。
「さぁ……存分に暴れていらっしゃい!」
「……言われなくても」
「そのつもりだ……」
俺たちはそう言って、ヴィジョンドライバーを奪いに行くのだった……。
side:ルビー
『『ジャー!』』
「やぁ!はぁ!」
私は腰に差してあった刀や、前にハクアに教えて貰った合気道を使って、ジャマトたちと戦っていた……良かった、意外と戦えてる……!
「フッ!ハァ!」
お兄ちゃんの方も、東京ブレイドで散々使ってきたのか慣れたように刀で戦っていた。
「……凄い」
「強いね~……アクたんとルビーちゃん。あんなに戦えるなんて……」
「二人共……」
先輩とMEMちょが、私たちの戦いぶりに驚いている。ママは私たちを心配そうに見つめていた……早く終わらせて安心させてあげないと……!
「「DESIRE DRIVER」」
そして、私たちはドライバーをつけ……
「SET」
「SET」
「ハァ!」
「やぁ!」
ジャマトたちの攻撃を避けながら、バックルをセットして、
「「変身!」」
「BEAT」
「NINJYA」
「「「えぇ!?」」」
「おい、何が起こって……あれは……!」
「……アクアとルビーだよ」
「はぁ!?」
「うそ……」
「「READY FIGHT」」
「「ハァ!!」」
ママたちが驚いている中、変身してジャマトたちと戦っていく……すると、
「ドライバーは俺たちがもらう……」
「SET」
「SET」
「「変身!」」
「Jyamato…」 「ZOMBIE」
「Jyamato…」 「ZOMBIE」
透さんたちが来て、攻撃し始めたのだった。
「ハァ!」
「くっ……!」
「うっ……!」
「オラァ!」
「ぐっ!」
「うわぁ!」
透さんがツタで攻撃を仕掛け、体制を崩されてしまう。そこを道長さんにゾンビブレイカーで攻撃されてしまい……
「アクア!」
「ルビーちゃん!」
みんなのいるところまで、吹き飛ばされてしまう。
「くっ……」
「まずい……」
透さんたちがジャマトたちを率いて、一番後ろにいるニラムさんの下に向かう。
「……来るか」
ニラムさんがヴィジョンドライバーを取り出そうとした……その時、
「ハァ!」
『ジャジャ!?』
突如、お兄ちゃんと同じような着物に濃い紫の羽織を着て、黒い狐のお面を被った人がジャマトを刀で斬ったのだ。
「え?」
「誰なの?」
先輩とMEMちょは、突然現れた人に驚いていたが……
「……まさか!」
「来たか……!」
ママとお兄ちゃん……私は気付いていた。そして、ジャマトたちに刀の切っ先を向けながら、お面を外した……そして、
「……お待たせ!」
微笑みながら、ハクアはそう言ったのだ。
「え!?ハクたん!?」
「あんた……何でここに……?」
「ハクア……?」
ママたちは、突然現れたハクアに驚いていた。そして……
「不埒な物の怪は、僕が成敗する……なんてね?」
「DESIRE DRIVER」
そう言って、ドライバーを腰に付けた。
「ハクアたんも!?」
驚いているみんなを余所に、ハクアは私たちも知らないバックル取り出し……
「SET」
ドライバーにセットした。
「変身!」
「BOOST Ver.Ⅱ」
そのバックルのハンドルを捻って、黒い仮面でそれ以外は赤色の目立つ姿へと変身したのだった。
「READY FIGHT」
「ハァ!」
そして直ぐに、私たちの目に見えない速さで移動しながら、ジャマトたちに攻撃を加えていく。
『『ジャ!?』』
「フッ!ハァ!ヤァ!ハァ!」
『ジャー!?』
そして、ジャマトライダーに向かって連続でパンチを食らわせて吹き飛ばしたのだ。すると……
「「JyaJyaJya…STRIKE」」
二体のジャマトライダーが同時に、ツタで攻撃を仕掛けてくる。それを見たハクアは、
「っ!」
「BOOST STRIKE」
『『ジャ!?』』
「ハァ!!」
『『ジャー!?』』
すぐさま、ハンドルを捻って加速して、逆に攻撃を加えていく。さらに……
「REVOLVE ON」
「っ……ハァー……」
ドライバーを回転させて、大きな赤いキツネの姿へと変身して、再びジャマトたちを攻撃していく。
「ハァァァーー!!」
途中で透さんが、ハクアを止めようとしたが……
「なっ!ぐっ……!」
透さんの肩を掴んで、そのままハクア自身が回転してダメージを与えたり、
「ぐあっ!」
道長さんに対しては、急に近づいた後に防御する暇を与えずに噛みついたりと、圧倒していたのだ。
「REVOLVE ON」
「くっ……」
「……退くぞ」
そして、ジャマトたちはハクアの猛攻に対して攻めきれずに、退いていったのだった……。
side:ハクア
僕はブーストフォームVer.Ⅱに変身して、攻め込んできたジャマトたちを撤退させた。
「はぁ……はぁ……」
このバックル……結構、キツイかも……体が熱い……そして、変身を解除すると同時に……
「「ハクア!」」
兄さんや姉さんたちが、僕の下に来て……
「それ……どうしたんだ……?」
「え?あー……ちょっとね……」
ブーストVer.Ⅱバックルについて訊いてきたのだ。さらに……
「ハクア!けがはない?」
「うん……僕は大丈夫……」
お母さんがそう訊いてくるのに対して、僕は大丈夫だと答える……が、
「あ……れ………?」
突如、目眩と立ちくらみがきて頭を抑えた。その直後……
「ハクア!?」
そのまま倒れ込んでしまい、僕の視界は暗くなっていくのだった……。
side:アクア
「あ……れ………?」
ハクアはそんな声を出すと、頭を抑えたまま……倒れてしまったのだ。
「ハクア!?」
「ハクア!ハクアってば!」
母さんとルビーが、倒れたハクアへと声を掛ける。有馬やメムも突然のことに驚いている。そんな中、俺はハクアの様子を見て……
「……大丈夫。気を失っているだけだ」
そう言ったのだ。
「……無事ってことなの?」
「あぁ……体が熱いけど、冷やして休ませれば、目を覚ますと思う」
「よ、良かった……」
俺の言葉に、二人や周りが安堵する中……
「さてと……」
俺はハクアをおぶって、サロンへと向かおうする……だが、
「よいしょ……」
「アイ……?」
「何処かに寝かせるところは……」
母さんが、ハクアを横抱きにして寝かせる場所を探そうとしていた……というか、意外と力持ちなんだよな……すると、
「でしたら、こちらにどうぞ……」
ニラムさんがそう言うが……
「……あなたは?」
母さんが、ハクアをニラムさんの方に向けないようにしながら、そう言ったのだ。どうやら、警戒しているみたいだ。
「私はニラム……ハクア君たちを支援させてもらっている者です」
「支援……?」
本当のことを言わないようにしながら、ニラムさんはそう自己紹介をする。だが、母さんは信用していないようだ……ここで時間を無駄にするのは良くないな……。
「この人は信用していいよ」
「アクア?」
「!そうだよ!私たちにも良くしてくれているし……」
ルビーも俺の意図を察したのか、母さんにそう言った。
「ルビーまで…………うん、二人がそう言うなら……それに、早く休ませてあげないとね」
「では、ご案内致します……サマス」
「畏まりました。こちらへ……」
そう言って、母さんはサマスさんについて行ったのだった。
「あの……いいんですか?」
俺は、デザイアグランプリとは無関係の母さんを入れることについて疑問を感じ、そう訊いた。
「あぁ……既に目撃者は多数いる。隠しておくことが出来なくなってしまったからね」
「なるほど……」
「それに……ヴィジョンドライバーを奪還し、世界を創り変えれば記憶も消去される。そうすれば、秘密は守られるよ」
記憶を消してしまえば、最初から見ていないのと同じ……という考えみたいだ。
「それに………無関係とは言えないかもしれないが……」
「「……?」」
その言葉に、二人して疑問符を浮かべる………「無関係とは言えない」とは、一体……?
side:ジーン
「少しいいかな?」
「?…お前は……」
先程の戦いを物陰から見ていたジーンは、アクアとルビーの二人を呼び止めて話を訊こうとした。
「ハクアが探している人について知っていること……うーん……」
「何か知らないかな?」
そう二人に訊くと……
「あ!前に確か……」
『その人に……そんなに会いたい?』
『うん……命を懸けるくらいに』
「……って、言ってたよ」
「そうか……そっちは?」
「あぁ……俺は……」
『……もう一度、出会うため』
『ごめんね、今はそれだけしか言えない』
「……って、俺たちが最初に参加したデザグラの時に……」
「君は……そういう話をあまりされていないようだね」
「あぁ……今のルビーの話も初耳だしな。というか、その人の名前すら……」
その話を聞いたジーンは……
「そう。その人の名前をカードに書いているところを……俺たちは一度も見たことがない」
「そう言えば……私たちに教えてくれたことも無かったしね……」
ルビーが思い出したように、そう言った。
「……ミツメ」
「「……?」」
「ハクアが探している人の名前だよ。そして……ツムリの前のナビゲーターだ」
「「!?」」
二人は、初めてハクアの探している人の名前を知ったのと、その人がツムリの前任者であることに驚きを隠せずにいた。
「ツムリさんの……前のナビゲーターって……」
「その人が……ハクアの探している人……」
アクアとルビーに話を聞いた後、ジーンはデザイアグランプリのプロデューサーであるニラムの下を訪れていた。
「何故、このような場所に?観戦は、オーディエンスルームでお願い致します」
「少し…訊きたいことがあってね」
そして、ジーンは続けてこう言った。
「この時代から約500年前の戦国時代……こんな名前のデザ神がいた」
「……」
ニラムはその話を黙って聞いている。
「そのデザ神の名は………真田白亜。ちょうど同じ『ハクア』という名前だ」
「……何が言いたいんです?」
「『生まれ変わった僕がいつか、世界を守る覚悟を決めた時、それを実現する力』……そのデザ神は最後にこんな願いを書いた。そして……それが今になって、叶えられた……その力が、あのフォルスの姿だ……違う?」
ジーンがそう訊くと、ニラムは……
「……あぁ……君の言う通りだ」
ジーンの考えを認めたのだった。
「……こんなことを知ってどうする?」
ニラムがジーンにそう訊くと、
「知りたいんだよ!ハクアのことを……全部!」
そう答えたのだった。
「あなたのような人が……オーディエンスの鑑かもしれませんね?」
そう言って、ニラムとサマスは去って行ったのだった……。
side:ツムリ
「……本当に乗り込む気ですか?」
「そうよ……こうなったら、私自らの手でドライバーを取り返してみせるわ!」
ツムリとチラミの二人は、ジャマト側の城の前まで来ていた。それは、チラミが直接ヴィジョンドライバーを取り返そうとしていたからであった。
「危険です!今すぐ引き返して「あら?ちょうど良かったわ~!」…!」
「べ、ベロバ……!?」
すると、ベロバがツムリたちの前に現れ……
「捕らえなさい」
『『ジャー!』』
「ひ、ひぃーー!!」
ジャマトたちがチラミを両側から抑えて、右の親指を前に出させられた。
「な、何を……」
「チラミ!」
『『ジャー!』』
「っ!」
チラミの下に行こうとしたツムリであったが、ジャマトたちに行く手を阻まれてしまう。
「私はね……このドライバーの変身機能が欲しいの……だから……」
「ま、まさか!そ、それだけはご勘弁をーー!!」
ベロバは、ゲームマスターの指紋でしか起動させることの出来ない、ヴィジョンドライバーの変身機能が欲しいらしく、チラミの指紋を手に入れようとしていた。そして、チラミは自分の指を取られると思い、必死になっていたが……
「……え?」
ベロバはレーザーレイズライザーで、チラミの右親指を読み込み……
「アハハ!これでデザインできるわ!」
そう言って、自分の指にチラミの指紋をデザインした。
「え?アタシの指は……?」
「はぁ?アンタの汚ったない指なんていらないわよ」
「失礼ね!毎日手入れしてるわよ!」
「そんなことどうでもいいわ」
「はぁ!?」
そう言った後、ジャマトたちはチラミを解放し、
「じゃあね~!」
そのまま城へと去っていったのだった……。
side:アイ
「……」
「ハクア……」
私は、突然気を失ってしまったハクアを抱えて、サマスさん……ニラムという人と一緒にハクアたちの支援をしている人に案内され、ベッドのある部屋でハクアを休ませていた。
サマスさんから少し聞いたが、ハクアたちはあの化け物と戦うことで理想の世界を叶えるゲームに参加していたらしいのだ……それも、命を賭けた。
知らなかった………ハクアたちがこんなことをしていたなんて……それに、ハクアが一番長く戦っていたなんて……。
相変わらず、ハクアはいつも誰かを守ってばかりだ………私がストーカーに襲われた時も、私を庇って刺された。あかねちゃんが自殺しそうになった時だって、ハクアも辛いのに助けに行った。それに、今日だってあんな化け物を相手に一歩も退くことはなかった。ましてや、戦って……圧倒して追い払ってしまったのだから……。
「ごめんね……私……」
私は……ハクアを守れているのだろうか……逆に守られてばかりなんじゃないのか……つい、そう思ってしまう。
「私………ハクアのこと、絶対に守ってみせるからね?」
私があの化け物と戦う姿は全然想像できないけど……ハクアが辛い時に、支えてあげるくらいは……そう思って、私はハクアの頭を撫でるのだった……。
side:ハクア
「……ん?……あれ?ここって……?」
僕は……確か……うん?
「……」
「……ありがとう、お母さん」
どうやら、気を失ってサロンまで運ばれたらしい。そして、今まで傍にいてくれたのだろう……お母さんが、僕の手を握って眠っていたのだ。
僕は、お母さんを起こさないようにベッドから出て、サロンを出ようとした……が、
「やぁ……気分はどうだい?」
「ジーン……」
僕がベッドが置かれている場所から出ると、そのタイミングでジーンがやってきたのだ。
「……何か用?」
僕がそう訊くと……
「やっと……君の正体が分かった気がするんだよ!ハクア!」
「……」
ジーンが、僕の正体が分かったと言うのだ。
そして、ジーンは続けてこう言った……
「君を始めて見かけたあの時から、ずっと気になっていたんだ……何故、あんなに強いのか。何故、ジャマトとの戦いに慣れているのか。そして、君はその強さでジャマトから何度も世界を救い、伝説を築き上げてきた」
僕は、その言葉を黙って聞くことにした。
「本来、世界を創り変えると記憶は失われ、デザイアグランプリやジャマトに関することは忘れてしまう……でも、君はそうはならなかった。もし、そんなことが可能だとすれば……君には記憶を受け継ぐことのできる特別な力がある!」
「そうだとして……僕の言葉を信じるの?」
僕がそう問い掛けると……
「信じるよ!いや……信じさせてくれ!」
迷うこと無く、そう言ったのだった。
「君は、幾度となく転生を繰り返してきた……それも数回とかのレベルじゃなく、2000年間も……」
「……」
「そして、これは俺の考えだけど……君が探しているのは……
最初の母親である、ミツメのことだよね?」
「……何で、そう思ったの?」
僕はジーンがその結論にたどり着いた理由を訊いた。
「君の願いだよ」
「僕の……願い……?」
「そう、君の願いは……最初と最後に叶えた願い以外は、同じようなものだろう?それは、家族や親しい人たちがデザイアグランプリやジャマトによって、犠牲にならない世界だ」
「……それで?」
「昔のデザ神で、同じような願いを叶えるために戦った人がいたんだ……そのデザ神の名前は、真田白亜」
「……!」
……そこまで知っているんだ……。
「輪廻転生を繰り返している間、時にはデザグラに参加してジャマトたちと戦って世界を救い………ある時には、デザグラとは無関係の人生を送ってきた」
ジーンが話を続けてそう言う。
「今から楽しみだよ……君とミツメとの再会が!きっと、感動するだろうなぁ……」
そんな風に言うジーンに対して、僕は近づいて……
「前も言ったと思うけど……僕たちの人生は、お前たちの娯楽じゃないんだよ」
少し怒気を含めて、そう言った。そして、サロンを出て行こうとすると……
「もう少し休んでいた方がいいんじゃないの?そのバックルには、何かしらの副作用があるんでしょ?」
ジーンが、バックルには副作用があるのでは……と、言い出したので、僕は……
「少しだけ、熱が体に伝わりやすいってだけだよ?………すぐに慣れる……」
おそらく、僕が気を失ったのは熱失神によるものだろう……爆発的な加速や高速機動ができる代償として、中に熱が伝わりやすくなっていて、体温が上がっていく……使用すればするほど、その影響は顕著に現れるのだ。
そして、僕はそのままサロンを後にしたのだった……。
side:アクア
俺たちは、ハクアの様子を見に行こうとサロンへと来ていた。ちなみに、ハクアには母さんがついてくれているみたいだ。
そろそろ目が覚めている頃だとは思うが……そして、サロンへと入っていくと……
「アクア!ルビー!ハクア見なかった?」
母さんが慌てた様子で、ハクアの居場所を訊いてきたのだ……まさか……
「え?ハクアなら見ていな……って、まさか!」
「私が起きた時には、居なくて………どうしよう……」
母さんが涙ぐみながら、そう言ったのだ。
……まずいな……あの状態で行ったとして、ジャマトに襲撃されでもしたら……。
「探しに行ってくる」
「私も!」
そう言って、俺たちはサロンを飛び出していった……無事でいてくれよ……!
side:ハクア
サロンを後にして、僕はふらつきながらも歩いていたが……
「くっ……」
まだ、目眩がするようで、その場で膝をついてしまう……すると……
『『ジャ』』
「っ!こんな時に……!」
横からジャマトライダーが二体やってきたのだ。そして……
『『ジャー!』』
「まずい……くっ!」
『『ジャ!?』』
何とか一撃目は防いだものの……
「!ぐっ……」
二撃目で、そのまま気絶させられてしまったのだった……。
side:ジーン
ハクアが気絶させられた直後、ジャマトライダーたちはハクアを何処かに連れて行こうとするが……
「ハァ!」
『『ジャ!?』』
何者からかの銃撃を受けたのだ。そして、出てきたのは……
「お前たちの好きにはさせないよ?」
ハクアの後を追ってきたジーンだったのだ。
『『ジャー!』』
「っ!」
ジャマトライダーたちは、ジーンを攻撃したが、上手く避けられてしまう。
「ZIIN SET」
「変身!」
「LASER ON」
「ZIIN LOADING」
「フッ!ハァ!」
『ジャ!?』
「READY FIGHT」
「ハァ!」
『ジャジャ!?』
ジーンは変身して、得意の重力操作でジャマトライダーたちを攻撃していく……すると……
「違反者、発見~!」
「ベロバ……」
ジーンの前に、ベロバがヴィジョンドライバーを装着して現れた。
「サポーターがゲームに関与するのは、ジャマトグランプリではルール違反よ?」
「知るかよ……お前たちのルールなんか」
ベロバの言葉に対して、ジーンはそう返した。そして……
「そう。なら……レッドカード、あなたは退場よ。ジーン」
「GLARE2 LOG IN」
「何っ?」
ベロバはヴィジョンドライバーに、デザインした指紋を認証させてから、カードを取り出し……
「変身」
「INSTALL」
「I HAVE FULL CONTROL OVER GLARE2」
「っ!?」
グレア2へと変身したのだった。さらに……
「HACKING ON CRACK START」
ジャマトライダーたちを洗脳したのだ。
「SET UPGRADE」
ベロバはモンスターバックルを左側にセットして操作し、
「REMOTE CONTROL」
「SET UPGRADE」
続けて、マグナムバックルを同じく左側にセットして操作する。
「REMOTE CONTROL」
「MAGNUM」
「MONSTER」
すると、ジャマトライダーたちにマグナムとモンスターが強制的に武装されたのだ。
「くっ……ハァ!」
ジーンは何とか応戦しようとするが……
「ハァ!…ぐあっ!」
重力操作で上をとっても、マグナムシューターやドローン兵器に攻撃されて、撃ち落とされてしまう。そして、落下したところを狙って……
「終わりよ!」
「DELETE」
「MAGNUM TACTICAL BLAST」
「MONSTER STRIKE」
「うわあああぁぁぁーー!!」
一斉に攻撃を受けてしまい、変身も解除されて、ジーンは吹き飛ばされてしまった。
「ぐっ……!」
「さぁ……推しの最期をその目に焼き付けなさい!」
そして、モンスターを装備したジャマトライダーがハクアを捕まえ、マグナムを装備した方がハクアに銃口を向けた。
「っ!やめろ……!」
「こんな不幸なことが他にあるかしら~!ゾクゾクするわ~!」
ベロバがそう言った直後、マグナムシューターから弾丸が放たれ……
「!いやだ!!あああぁぁぁーー!!」
ハクアへと向かっていくのだった……。
ジャマトグランプリルール
サポーターが、ゲームに
直接関与してはならない。
読んで下さりありがとうございます。
遂に明かされたハクアの秘密……アクアとルビー……そして、アイはこれを知った時、どの様な反応をするのでしょうか……。
ブーストVer.Ⅱの副作用は、MarkⅡとは違うものにしました。
そして、ブーストVer.Ⅱの全身像が描けたので載せておきます。
【挿絵表示】
分かりにくいとは思いますが、少しだけMarkⅡとは色が異なっています。
良ければ、感想や評価の方をよろしくお願いします。
それでは、次回もよろしくお願いします。