今回は、前回の続きから話を進めていきたいと思います。
ハクアは、自分が死んでいたという事実を聞いて、どうなってしまうのか……。
それでは、どうぞご覧ください。
side:ハクア
「君は、既に亡くなっている人間なんだよ?星野珀亜」
目の前の女の子からそんなことを言われて、僕は何も言えなくなってしまった。
僕はあの時、既に………すると、
「それにね……本当は、生まれてくるのは双子のはずだった」
「………双子?」
「君のお兄さんとお姉さん………その二人だけが、星野アイの子供になるはずだった。でも、何故か三人目の子供である君が生まれてきた」
「それも………創世の女神が……?」
「さぁ?そこに関しては、私にも分からない………ただ……」
「ただ……?」
僕は冷静を装いながら、その子の話を聞く。
「どの出来事も、私の知らない力が働いたとしか言いようがないね」
「そう……なんだ……」
本来、僕はお母さんの子供じゃない………
「やけに冷静だね?もっと驚くかと思ったけど……」
「いや……これでも驚いているんだけど………」
「ふ~ん……」
「……なんで教えたの?」
「え?」
僕は、なんでそのことを今、このタイミングで教えたのかを訊いた。すると……
「……
「………その時?」
「そう………真実を知る時が……」
真実を……知る時………。
「じゃあ………また何処かで……」
「!ちょっと待っ………いない……?」
そうして、その子は消えてしまったのだった。
「………戻ろう」
朝食の時間も近づいていたので、僕は宿に戻ることにした。
宿に向かって歩いているうちも、僕はあの時の女の子の言葉について考えていた。
一つ、僕はあの時に致命傷で死んでいる……二つ、今生きているのは、誰かが僕の生存を願ったから……三つ、僕は本来、お母さんの子供に転生することはなかった……いや、そもそもこの時代にすら………それに、今までのどの時代でも、僕は……。
「――――?」
ダメだ……つい悪い方向に考えてしまう。取り敢えず、一つ目と三つ目は置いておくとして………二つ目は、一体誰が……?僕を知っている人なのは確実だろう。
「――ア君?」
だとしたら、何の目的で僕を――
「ハクア君!」
「っ!……あかね先輩?」
「おはよう」
いつの間にか、宿の前に着いていたようで、僕の目の前にはあかね先輩がいた。
「………おはよう」
「どうかしたの?何か考え込んでるみたいだったけど……?」
あかね先輩が顔を覗き込んできて、そう言ってきたので僕は、
「あー……うん、ちょっと……ね」
そう答えた。今の僕は、少し暗い顔をしているだろうか……すると、
「?どうし………えっ?」
急にあかね先輩が手を伸ばしてきたかと思えば、僕の頭を撫でてきたのだ………でも、少し落ち着いたかな。
「………ありがとう」
「ふふっ……いくらでも、撫でてあげるからね?」
「っ!そ、それは………」
「さて、行こっか?」
「……うん」
そうして、あかね先輩と一緒に朝食を食べに向かうのだった……。
side:ルビー
朝食を食べ終わった後、私はいい景色の見える崖の上で風に当たっていた。その手には、昨日拾っておいたキーホルダーがある。それには……
『アイ無限恒久永遠推し!!!』
と書かれていた。
これは、私の前世であるさりながせんせに渡したものだ。せんせはこれをずっと大事にしてくれていたんだなぁ………後でお礼でも言っておこう。そんなことを考えていると……
「ルビー」
「あっ、お兄ちゃん!」
お兄ちゃんがこちらにやってきたのだ。
「これ……」
「!それって……!」
私はキーホルダーを見せながら、お兄ちゃん………せんせに、
「ありがとう……ずっと、持っていてくれて」
そう、お礼を言った。
「いや……それは、俺にとっても大切なものだ。だから……気にするな」
お兄ちゃんは、少し照れくさそうにしながらもそう言ってくれたのだ………すると、
「いーけないんだーいけないんだー!」
「「?」」
私たちの後ろから、そんな声が聞こえてきた。二人で振り返ると、そこには私たちよりも年下………幼い女の子が立っていたのだ。
「それって遺体から抜き取ったやつでしょ?いけないんだよ?そんなことしちゃ」
私を指差して、そう言ってくる女の子。
「……お前、誰だ?」
お兄ちゃんが女の子に向かって、警戒するように言う。
「あれ?君もいるのか……まぁ、いいか」
「お前は、見たところ普通の人間じゃないようだが?」
「へぇ……鋭いね。流石だ」
女の子はお兄ちゃんの言葉に対して、そんな反応をする。
「私たちに何か用なの?」
私がその子にそう言うと、
「……君たちの知らないことを教えてあげようと思ってね?」
私たちの……知らないこと……?
「……知らないことだと?」
「そう……例えば……
星野珀亜は何者なのか………とか?」
「「……?」」
その子の言葉に、私たちは首を傾げた。ハクアが何者かって……
「ハクアは、私たちの弟なんだけど?」
私はそう言ったのだが……
「いやいや……そうじゃなくってね……」
「……何だよ。何かあるならさっさと言え」
その子が中々、言おうとしないのでお兄ちゃんが急かすようにそう言った。すると……
「私の力の届かない場所で、何らかの変化が起きているのは知っていた……けど、変えようがなかった」
「『私の力』って……?」
「変えようが……なかった……?」
「君たち三つ子の………いや、
……双子って、どういう……?
そんなことを思っていると、その子は………
「君たちは……初めは双子で生まれてくるはずだった。私の目の前にいる君たちだけが、星野アイの子供として」
私たちだけが……ママの子供……?
「だが、星野アイに宿った命は………三つだった」
「何を言っているんだ……お前」
「でも、それ以外は特に変わりはなかったのと……さっきも言ったようにどうしようもなかったから、そのまま静観することにしたんだ」
お兄ちゃんの言葉を聞くことなく、その子は話を続けていく。
「そして……あの日がやって来た」
あの日………ママがストーカーに襲われて、ハクアが刺された日……。
「本来、あそこで星野珀亜という人間は亡くなっているんだよ?傷だって致命傷のはずだった………けど、何故か生還を果たした。まるで、何らかの力によって生き返ったように……」
「「……」」
その言葉に、お兄ちゃんも私も言葉を失ってしまう。ハクアがあの時に死んでいるなんて、信じられないんだから……。
そして、私は我慢が出来ずに………
「噓だ!ハクアは生きている!今まで一緒に過ごして!戦ってもきたんだ!私たちの弟を……勝手に殺さないでよ!!」
「ルビー……」
思わずそう叫んでしまう。
「残念ながら本当だよ。それに、星野アイの子供が三つ子になったことは兎も角……君たちは知っているはずだよ?」
「……何をだよ」
「死者の蘇生をも可能にする存在を……」
死者の蘇生って、そんなことできるわけ…………まさか……!
「「創世の………女神」」
私とお兄ちゃんが、同じタイミングでそう言った。
「そう。でも、私だって全部を知っているわけじゃないんだよ?星野珀亜という存在は、ただでさえ謎が多いんだし……」
「……お前の目的は何だ?」
お兄ちゃんがそう訊くと、
「それは………今は言えないかな?」
少し考えた後、そう答えたのだ。
「じゃあ………なんで私たちに、そのことを教えたの?」
私が、お兄ちゃんに続いてそう訊くと、
「……その時が近いからだよ?」
「その時……?」
「真実を知る時がね?」
真実を……知る時……。
「じゃあね……また何処かで」
「!おい!待………いない……?」
お兄ちゃんがその子を呼び止めようとするが、既に消えたようにいなくなっていた。
「……ルビー」
「うん、分かってる。ハクアには言わない………でしょ?」
「あぁ……助かる」
この話は、私たちの秘密にしておくことにした。もし、知られてしまったら………ハクアは……。
それから少しして、準備が出来たというので私は気持ちを切り替えて、撮影に向かうのだった……。
side:あかね
……今朝からハクア君の様子がおかしい………。
私は起きて、ハクア君の様子を見に行った。昨日、本人は大丈夫だと言っていたけど……やっぱり、心配になってしまう。
そう思って、ハクア君のいる部屋に行ったのだが……
『ハクア君?いる?』
『……』
『いない………もう起きて何処かに行ったのかなぁ……?』
ノックしても返事がないため、どこに行ったのかと思っていたけど……丁度、そこに宿の人が通りかかり、ハクア君を見なかったか訊いたところ、宿を出て散歩に行くところを見たというので、私も探しに行くことにした。
そしてすぐに、宿の近くを歩いているハクア君を見つけたのだった。早速、声を掛けたんだけど………
『ハクア君?』
『……』
あれ?無視ってわけではなさそうだけど……?
『ハクア君?』
『……』
相当、何かを考えているようだ。でも、気付いてくれないのは……少し傷つくなぁ………そして、私はさっきよりも大きな声で……
『ハクア君!』
『っ!……あかね先輩?』
ハクア君のことを呼ぶ。すると、気が付いたようで……
『おはよう』
『………おはよう』
私に驚きながらも、挨拶を返してくれたのだ。私はどうしたのかと訊いたけど、
『あー……うん、ちょっと……ね』
少し暗い顔をしながら、そう答えたのだ。うーん……隠そうとしてないだけまだいいけど、詳しく話す気はないみたいだ………なら、
『?どうし………えっ?』
私は黙って手を伸ばして、ハクア君の頭を撫でてあげた。何かを抱えていることは、何となく分かっている………だから、せめて私ができることを……。
『………ありがとう』
ハクア君は、少し表情を明るくしながらそう言った。
『ふふっ……いくらでも、撫でてあげるからね?』
『っ!そ、それは………』
ハクア君は私にそう言われると、顔を赤くして戸惑ってしまう………いつもはどこか大人びているけど、こういう時は、年相応の反応をするんだよなぁ……。
『さて、行こっか?』
『……うん』
「あかね先輩?どうかしたの?」
「え?ううん……今朝のハクア君を思い出してたの」
「あー……そうなんだ……」
ハクア君は苦笑いしながら、そう返した。それもその筈………あの後、私たちが朝食を食べに行くと、先にいたかなちゃんから……
『うん……あんたも大丈夫そうね』
『まぁ……それなりには……』
『………彼女に慰めてもらった?』
『えっ!?』
そんな風に言われ、動揺したハクア君は……主に女性陣にからかわれたのだった。
「はぁ……何で僕だけが………」
ハクア君が不満を漏らすが、私は、
「ふふっ……からかい甲斐があるんじゃない?」
「それ……あまり嬉しくないんだけど……?」
そう返すのだった。そして、私は……
「うん……大分、表情も戻ったね」
「え?」
ハクア君の顔を見て、そう言った。
「やっぱり、ハクア君は笑顔の方がいいよ」
「!そう……なんだ……」
ハクア君は、照れくさそうに顔を赤くした。
「さてと………はい」
「?」
「昨日はハクア君にエスコートしてもらったから………今日は、私の番だよ?」
私は昨日のハクア君のように、手を差し出した。
「じゃあ……お願い………」
「うん!任せて!」
そう言って私は、ハクア君の手を引いて行くのだった……。
side:ルビー
「撮影終了です!」
「「「お疲れ様でした!!」」」
アネモネさんのその言葉に、そう返す私たち……ついに全ての撮影が終了したのだ。
昨日や今朝のことがあって、少し………いや、大分不安だったけど、上手くできたとは思っている。
そんなことを思っていると、アネモネさんが……
「本当にお疲れ。後は、観光でもしていってよ」
そう言ってくれるが、
「明日の昼には飛行機なんですけど……」
「取り敢えず温泉入りたい……」
「「賛成ー!」」
そうして、PVの撮影を終えた私たちは、温泉へと向かうのだった。
「「「はぁ~……」」」
私たちは温泉に入りながら、そんな声を出した。そうして、くつろいでいると……
「そういえばさ……聞きそびれてたけど、この前のアンタたちの格好って……?」
先輩が私の方を向いて、そう訊いてきたのだ。
「あ!それ、私も気になるかも!」
MEMちょもその言葉に便乗して、そう訊いてくる。うーん……どうしようかなぁ…………でも、バッチリ見られてるしなぁ……。
「全部は話せないけど………それでもいいなら……」
「「うん!それで!」」
「わ、分かった……」
そして、私は全部じゃないけど話し始めた。デザイアグランプリのこと、ジャマトのこと、そして……仮面ライダーのことを……。
それを聞いた二人はというと……
「「……」」
完全にキャパシティーがオーバーしていた。
「えっと……大丈夫?」
「え?あ、うん……」
「ちょっと衝撃的過ぎて、思考停止してただけ……」
「そ、そうなんだ……」
「それにしても………私たちの知らないところで、そんなことが……」
「そうね………それに、ハクアが世界を救い続けてたなんてね……」
二人は私の話したことに対して、驚いているようだ………私もハクアがそんなことをしていると知ったときは、そんな反応をしたものだ……すると、
「何かあったら………何でも相談しなさいよ!」
「私でもいいから……だから、無理だけはしないでね?」
「!うん……ありがとう!お兄ちゃんとハクアにも言ってあげて……特に、ハクアには念を入れてね?」
そうして、私たちはしばらく温泉に入るのだった……ただ、上がった後……
「ねぇ……何か悩んでいることとかない?」
「え?メムさん急に何を……?」
「何かあるなら、どんどん私たちを頼るといいわ!」
「えっと……ありがとうございます?」
ハクアに早速そう言ったけど、困惑されていたのだった……。
side:ハクア
「へぇ……ここが……」
「荒立神社だね」
僕たちは、最終日に荒立神社にやってきていた。ここには、芸能の神様である天鈿女命が祀られている。そして、猿田彦命も同じく祀られているのだ。
「折角だから、お願い事していこうよ」
メムさんがそう言ったので、みんなでお願いをする。
さて……どうしようかな……普通なら芸能に関することをお願いするんだろうけど………
そんなことを思っていると、ふと………
『君は、既に亡くなっている人間なんだよ?星野珀亜』
『それにね……本当は、生まれてくるのは双子のはずだった』
あの言葉を思い出した………そして、僕は………
「よし、じゃあ行くか」
社長の一声で、僕たちは神社を後にする。すると……
「ねぇ……何をお願いしたの?」
あかね先輩にそう訊かれる。
「ん?それは………『色んな人と共演していけますように』…かな?」
「へぇ……『演技が上達しますように』…じゃなくって?」
「うん、やっぱり……そういうのは自分の努力だと思ってるからさ」
「そっか……ハクア君らしいね」
………噓だ……僕はそんなことを願ってはいない。
あの言葉を聞いて思った……本当にそうなら、僕はここにいるべきなのか……と。もちろん、僕は家族のことを愛している……だからこそ………。
僕が本当に、願ったのは………
僕がいなくなっても、家族が幸せになれますように
………何を願っているんだろ……僕は……。
side:透
「さぁ……俺たちのゲームを始めようか」
そう言って、道長はヴィジョンドライバーを操作した。
「で、どんなゲームにするんだ?」
俺がそう訊くと……
「あぁ……名付けて……
闘牛ゲームだ」
道長はそう答えたのだ。そして……
「道長……」
「……なんだ?」
「牛はお前だろ」
「………うるせぇよ……」
俺は、そう言うのだった……。
side:ベロバ
透たちがベロバからヴィジョンドライバーを奪う少し前……
「さて……」
ベロバはヴィジョンドライバーの機能を使い、あることをしていた。そして、ある記録を見つけたのだった。
「へぇ~!これが……フォルスの弱点……!」
それを見て、ベロバは一人笑みを浮かべるのであった……。
読んでくださりありがとうございます。
ハクアは普段通りに振る舞ってはいますが、本当は動揺しています………あんな願いを願ってしまうくらいに……。
良ければ、感想や評価の方をよろしくお願いします。
それでは、次回もよろしくお願いします。