女神の子   作:アキ1113

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 今回も、前回の続きから書いていきたいと思います。

 スエルが『終幕のデザイアグランプリ』の開催を宣言し、黒ツムリがドライバーとIDコアを人々に配っていましたが、果たして何をする気なのか……?

 それでは、どうぞご覧ください。


新世Ⅺ:黒狐への鎮魂歌

 side:アクア

 

 ケケラとの戦いから数日後、俺たちは普段通りの生活をしつつ、スエルが何か仕掛けて来ないかと警戒していた………まぁ、一番警戒しているのはハクアなんだがな……。

 

 そのせいで神経をすり減らしており、最近はあまり眠れていないらしい……今日はあかねとデートに行ってくると言っていた。これで少しでも休まるといいんだが……。

 

 そんな俺はというと、ルビーや有馬、メムと遊ぶ約束をしていたので、待ち合わせをしていた。

 

 「さて、そろそろ来るはずだが……」

 

 「おーい!」

 

 「!噂をすれば……か」

 

 ルビーは俺を見つけるやいなや、飛び込んで抱きついてきた。

 

 「お待たせ!待った?」

 

 「いや、大丈夫だ」

 

 「いつも思うけど……あんたたち、相変わらず距離感がバグってるわね?」

 

 「あはは……」

 

 有馬はそう言ってきて、メムも苦笑いをしていたが……

 

 「……?このくらい普通だろ?」

 

 「そうだよ?何言ってるの先輩?」 

 

 「そう言えば、あんたらそう言う感じだったわね……!」 

 

 この距離感にも慣れてしまったので、今さら疑問にも思わなくなってしまった。

 

 「あんたら……ハクアにもその距離感で……?」 

 

 「あー……そうだけど?」

 

 「最初の頃は戸惑っていたけど……今では慣れっこだよね?」

 

 「「あ…そう……」」

 

 その言葉に、二人は最早なにも言わなくなってしまった。

 

 「さ、行こう?」

 

 ルビーの一言で、俺たちは最初の場所へと向かって歩いていく。

 

 「それにしても……凄かったわね、アクア」

 

 「……?」

 

 「そうだよ~!まさかあんな風に戦っているとは思わなかったよ!」

 

 「そ、そうか……」

 

 この前のケケラとの戦いは、どうやら中継されていたらしく……いろんな人から話し掛けられている。その度に色々訊かれるものだから、もう勘弁して欲しいのだが………すると……

 

 「あ、あのっ!」 

 

 「「「「……?」」」」

 

 「あなたは、仮面ライダー……ですよね……?」

 

 突然、俺に二人の男女が声を掛けきたのだ。だが、いつも声を掛られるような感じではなく……何処か不安気な様子で……?

 

 「あぁ……そう、だけど……?」

 

 俺はその二人にそう答えた………そして……

 

 

 

 

 

 

 

 side:あかね

 

 「こうやって過ごすのも、久しぶりだね?」

 

 「うん……久しぶりだ」

 

 私たちは、久し振りにデートをしていた。というのも……

 

 

 

 

 

 

 数日前のサロンで、私はハクア君にこんなことを訊いた。

 

 『ハクア君……最近、休んでる?』

 

 『え?』

 

 スエルがいつ何を仕掛けてくるか分からないと言って、最近のハクア君はそれに備えて気を張っている……が、その様子からは、少し無理をしているように見えた……。

 

 不安なのも、何が起きても大丈夫なように備えておきたいのも分かるけど………ハクア君だって、この前まで監禁されているも同然の状態……それも有刺鉄線で身体中を縛られていた………さらには、あの拘束を破った後もゲームマスターと戦ったと聞いた……このままでは、先にハクア君の方が倒れてしまう……。

 

 『家で…ちゃんと寝てる?』

 

 『大丈夫、もちろん寝てるよ?』

 

 ハクア君はそう言っているけど……どう見ても疲れたような顔をしている。そんなハクア君に私は……

 

 『ハ・ク・ア・君?』

 

 『え、えっと……』

 

 少し圧をかけながら、名前を呼んであげた。すると……

 

 『……最近、あまり眠れてません』

 

 観念したのか、正直に話してくれたのだ。 

 

 『うん!正直でよろしい!』

 

 『はぁ……何で分かったの?』

 

 何で分かったって訊かれても……

 

 『だって、どう見ても疲れた顔してたし……』

 

 『……そんな顔、してた?』

 

 『うん、してたよ?』

 

 『そっか……』

 

 どうやら、本人は気が付いていなかったみたいだ。このままじゃ、本格的にまずいかも………そして、私は……

 

 『ハクア君』 

 

 『ん?』

 

 『膝枕してあげるから、少し休んで?』

 

 『え?でも……』

 

 『いいから!ほら!』

 

 『う、うん……』

 

 私がそう言うと、ハクア君は私の膝の上にゆっくりと頭を乗せた。そんなハクア君の頭を私は撫でてあげる。私の手には、ハクア君の綺麗な髪の感触が伝わってきていた………改めて思うけど、流石はアイさんの子というべきか……世の中の女の子たちが羨ましがるような髪を持っている……。

 

 『あかね……?』

 

 『!……不安なのも分かるけど……戦う前に倒れたら、本末転倒だよ?』

 

 『うん……ごめん……』

 

 私がそう言うと、ハクア君は素直に謝ってくれた。

 

 『あ、明日……空いてる?』

 

 『うん、空いてるけど……?』

 

 『じゃあ……デート行こう!』

 

 『それはもちろんいいけど……急にどうしたの?』

 

 『!細かいことは気にしなくていいから……ね?』

 

 『……うん、分かったよ』

 

 これで、ハクア君が気を張りすぎることがなくなるといいんだけど……あと、自分の心配をしないところは本当に直して欲しいと思っている………あれ?ハクア君……何だか少し眠たそう……? 

 

 その様子を見た私は…… 

 

 『……このまま寝てもいいよ?』

 

 『え?』

 

 『少ししたら起こすから……ね?』

 

 『……じゃあ……お言葉に甘えて……』

 

 『うん、お休みなさい………いい夢を』

 

 そのまま、ハクア君は寝息を立て始めた。口ではああ言っていたけど……相当、疲れていたみたいだ。ハクア君は可愛い寝顔をしながら、すやすやと眠ってしまっている……そんな顔を見ながら、私は起こさないように頭を撫で続けるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 あの後、私も思わず寝てしまって、逆にハクア君に膝枕されていたのは少し恥ずかしかったなぁ………。

 

 「あかね?」

 

 「えっ?ううん、何でもないよ?」

 

 「……?」

 

 そんな話をしていると……

 

 「あははは!」

 

 「待ってよ~!」

 

 「お母さ~ん!」

 

 子供たちの遊ぶ元気な声が聞こえてきた。

 

 「こういうのが……続くといいね?」 

 

 「うん……守らないとね。この世界を……」

 

 私たちは子供たちを眺めながらそんな会話をする。そして、私はハクア君に……

 

 「……ねぇ」

 

 「ん?」

 

 「ハクア君の願いって……何?」

 

 「僕の……願い?」

 

 唐突にそんなことを訊いた。ハクア君はその言葉に、驚いたような表情をしていた。

 

 「あ、正確には……『誰もが幸せになれる世界』を創った後の願いね」

 

 「創った……後の……?」

 

 あれ?この反応は……

 

 「もしかして……考えたこともなかった?」

 

 「う、うん……」

 

 やっぱりかぁ………そんなことだろうと思ってはいた。だって、ハクア君は自分よりも誰かの幸せを優先して考えているのだから………まぁ、そういうところにも惚れたんだけど……。 

 

 「でも……」 

 

 「?」

 

 「もし……叶うなら―――」

 

 ハクア君は私に何かを言おうとした………その時、

 

 『仮面ライダーの皆さん、ごきげんよう。これより、終幕のデザイアグランプリを開催します』

 

 「「っ!?」」

 

 空中に浮かんだ映像に、黒い服装のツムリさんが映し出されたのだ。あれが………そして…… 

 

 『……変身』

 

 その黒いツムリさんが、何かのポーズと取りながらそう言うと……

 

 「「「「ENTRY」」」」

 

 「え!?」 

 

 「おい!なんだこれは!!」 

 

 人々に装着されたドライバーのIDコアが光り出し……

 

 「ARMED HAMMER」

 

 「ARMED SHIELD」

 

 「ARMED DRILL」

 

 「ARMED CHAIN ARAAY」

 

 「「!?」」

 

 全身が黒の仮面ライダーへと変身してしまったのだ。みんな、いつの間にドライバーを……!

 

 そして……

 

 「っ……うおおおおお!!」

 

 「っ!うわぁ!?」

 

 「幸せになるのは、俺だ!」

 

 突然、ライダーの内の一人が近くの別のライダーを攻撃し始めた。

 

 「っ!やめろ!」

 

 ハクア君はすぐさま走り出して、その二人の間に入った。

 

 「「っ!?」」

 

 「何で戦うんだ!争っても意味はないのに……!」

 

 ハクア君がそう言って、戦いをやめさせようとする……けど、

 

 「戦わないと……幸せになれないからよ……!」

 

 「え……?」

 

 「っ!どけ!」

 

 「っ!?」

 

 「ハァァァーー!!」

 

 その言葉が通じることはなく、ライダーたちはまた争いを始めてしまった……。

 

 「うわ~ん!!」

 

 「っ!そうだ……!」

 

 私は子供たちの泣いている声を聞いて、すぐさまそこに駆け寄って……

 

 「!お姉ちゃん……?」

 

 「大丈夫だよ?さぁ、こっちに……」

 

 「う、うん……」

 

 子供たちを安全な場所へと連れて行こうとする。 

 

 『これは、お互いの幸せを奪い合うデスゲーム……』

 

 幸せを奪い合う……?そんなの……ひどい……!

 

 『生き残れるのは、ただ一人………最後まで生き残ったライダーは、幸せを手にすることができる』

 

 そんなアナウンスがされる中、私は子供たちを避難させていくのだった……。

 

 

 

 

 

 side:スエル

 

 『いいぞー!』

 

 『やれやれー!』

 

 『これは見逃せないな~!』

 

 『誰が生き残るかな~?』

 

 オーディエンスたちは、リガドΩに装備されているカメラを通して、ライダーたちの争う様子を見ていた。

 

 「さぁ……存分に楽しませてもらうよ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 愚かで醜い、人間たちの苦しむ様を……!』 

 

 スエルやオーディエンスたちは口を揃えてそう言いながら、デスゲームの様子を楽しむのだった……。

 

 

 

 

 

 

 side:アクア

 

 「ARMED WATER」

 

 「ARMED PROPELLER」

 

 「「「「!?」」」」

 

 俺に声を掛けてきた二人にドライバーが装着されたかと思えば、全身が黒い仮面ライダーへと変身してしまった……というか、何処でドライバーを……?

 

 『これは、お互いの幸せを奪い合うデスゲーム……』

 

 幸せを……奪い合う……?

 

 『生き残れるのは、ただ一人………最後まで生き残ったライダーは、幸せを手にすることができる』

 

 今度はそうきたか………相変わらず趣味の悪い……。

 

 「ね、ねぇアクたん?ルビーちゃん?」

 

 「アクア、ルビー……あの人たち……」 

 

 「「っ!」」

 

 そんなことを考えていると、変身した二人が互いの武器を構えていた………まずい……このままじゃ……!

 

 「ねぇ、武器を降ろして!」

 

 「お互いに戦うのは―――」

 

 俺たちは何とかして戦いを止めるように、二人の間に入って説得しようとした……が、

 

 「っ!やっぱり俺……君とは戦えない!」

 

 「「えっ?」」

 

 「私もだよ!」

 

 「「えっ?うわっ!?」」

 

 この二人は戦う気がないらしく、武器を地面に置いた後で間に入った俺たちを押しのけて、お互いに抱きしめ合ったのだ………戦わないならいいが……。

 

 「あっちに逃げよう!」

 

 「うん!」

 

 「って、おい!ちょっと待て!」

 

 「あ!お兄ちゃん待ってよ!」

 

 「ちょ、ちょっと!?」

 

 「アクたん!?ルビーちゃん!?」

 

 俺とルビーはすぐさまあの二人を追い掛け、有馬とメムも俺たちの後ろから後を追ってくるのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 side:スエル

 

 『おい!何だあれは!』

 

 『戦えよ!』

 

 『逃げるなー!』

 

 観戦しているオーディエンスから、戦わないライダーたちに対してブーイングが飛ぶ。すると……

 

 「オーディエンスの皆さん……戦いを放棄したライダーは、どうされますか?」

 

 スエルの横に控えていたサマスが、オーディエンスたちにそう問い掛けたのだ。それを聞いた、オーディエンスたちの答えは……

 

 

 

 

 

 

 

 『退場だ』

 

 『退場だ!』

 

 『退場よ!』

 

 『退場させろ!』

 

 「……かしこまりました」

 

 満場一致で、『退場』なのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 side:アクア

 

 「はぁ……はぁ……っ!いた!」

 

 俺とルビーは、やっとあの二人に追いついた………だが、

 

 「?あれは……」

 

 「ゲームマスター……?」

 

 追いついた二人の前には、ゲームマスターらしき人物がいたのだ。そして……

 

 「戦意を喪失したライダーは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 即退場だ

 

 そう言うと、何故かその場で指を鳴らした。 

 

 「え?何、これ……?」

 

 「ど、どうしよう………何かまずいよ……」

 

 すると、頭の上にあるランプが点滅し始めたのだ。あの感じは……明らかにまずい……!

 

 「おい!すぐに変身を―――」

 

 「!早くバックルを外して―――」

 

 俺とルビーは、二人に声を掛けようとした。だが……

 

 「「っ!?」」

 

 「MISSION FAILED」

 

 そのまま爆発が起こり………退場してしまった……。

 

 「噓……こんなの……!」

 

 「っ……!」

 

 ルビーと俺はその光景に衝撃を受けていた………そして……

 

 「やっと追いついた……!」

  

 「大きな音したけど……何かあったの?」

 

 有馬とメムの二人が後から追いついてきたが、俺たちは二人に言葉を返すことが出来なかったのだった……。

 

 

 

 

 side:透

 

 俺と道長は、争い出したライダーたちのいる場所へと向かっていた。そして、その場所に着いたのだが……

 

 「敗者は……即退場だ」

 

 「あ……あぁ……!」

 

 「っ!」

 

 変身が解除された人の前で、ゲームマスターの仮面を着けた人物が、指を鳴らして何かをしようとしていた。

 

 「「ハァ!」」

 

 「ぐっ!?」

 

 「させるかよ」

 

 俺と道長は、その人物に蹴りを食らわせ……

 

 「行くぞ」

 

 「あぁ」

 

 「「SET」」

 

 「「変身!」」

 

 「「ZOMBIE」」

 

 「「READY FIGHT」」

 

 「ハァ!」

 

 「オラァ!」

 

 「「ぐっ!?」」

 

 俺たちは、ライダーたちを傷つけない程度に攻撃を加えて戦いを止めようとした……が、

 

 「あれは……!」

 

 「あいつらが、仮面ライダー……!」

 

 「俺が倒す!」

 

 「いえ、私よ!」

 

 俺たちは戦っているライダーたちに攻撃されてしまう。

 

 「おい!やめろ!」

 

 「俺たちは、敵じゃない……!」 

 

 ライダーたちへの攻撃を加減しつつも、俺たちは何とか攻撃を捌いていくのだった……。

 

 

 

 

 

 

 side:ハクア

 

 「SET」

 

 「変身!」

 

 「MAGNUM」

 

 「READY FIGHT」

 

 「ハァ!」

 

 僕は変身して、ライダーたちが戦うのを止めようとする……が、

 

 「このっ!やめてって……!」

 

 「邪魔するな!」

 

 「ハァ!」

 

 間に割り込んでも、銃声で威嚇しても全く効果がなかったのだ。

 

 「このままじゃ埒が明かない………なら……!」

 

 「SET」

 

 「BOOST Ver.Ⅱ」

 

 「READY FIGHT」

 

 「ハァ!」

 

 僕はブーストVer.Ⅱへとなり、速さを活かしてライダーたちの武器を全て取り上げていく。

 

 「なっ!?」

 

 「いつの間に……」

 

 「は、速すぎる……」

 

 「こんなの……勝てるわけが……」

 

 武器を取り上げたことで、ライダーたちの戦意を喪失させることができたみたいだ………すると……

 

 「「「……」」」

 

 「ん?あれは……?」

 

 突然、三人のゲームマスターが現れたのだ。何でここに……

 

 「「「戦意喪失は……退場」」」

 

 「っ!?」 

 

 そういうことか……!

 

 「ハァ!」

 

 「「っ!」」

 

 僕は素早く移動して、指を鳴らそうとしていた二人のゲームマスターたちの指を掴んで止めさせた……が、

 

 「退場……」

 

 三人目がまだ残っており、指を鳴らそうとしていたが…… 

 

 「フッ!」

 

 「っ!?」

 

 それを、爪を伸ばして指を鳴らせないようにすることで防いだのだ………その直後、

 

 『第一ゲーム、終了です』

 

 ゲーム終了のアナウンスが流れたのだ。

 

 「っ……」

 

 それと同時にゲームマスターたちも消え、戦っていたライダーたちの変身の解除されたのだ。

 

 『それでは、明日の正午にまた……皆さん、お疲れ様でした』

 

 「お母さん!!」

 

 「っ!あぁ………ごめんね……!」 

 

 あかねが避難させてくれた子供たちも、自分の親の下へと駆け寄っていく。

 

 「ハクア君!」

 

 「あかね……ありがとう。子供たちのこと、守ってくれて」

 

 「ううん、自分にできることをやっただけだよ?」

 

 「それでも……ありがとう」

 

 「!……うん」

 

 僕があかねの頭を撫でながらお礼を言うと、あかねはどこか嬉しそうな表情をしていた。

 

 あっちから仕掛けてきたこのゲーム………戦意を喪失したライダーたちを退場させるのに、ゲームマスターたちがエリア内へと来ている。そして、その中には………もしかしたら、一気に終わらせることができるかもしれない……!

 

 「ハクア君……?」 

 

 「あ、ごめん……少し考え事」

 

 そんなことを考えながら、僕はあかねと一緒にこの場から歩いていくのだった……。

 

 

 

 

 

 

 side:ルビー

 

 終幕のデザイアグランプリが始まってしまった……。

 

 私たちは、今までの予定を切り上げてすぐさまサロンへと集まった。そこで私たちは、さっき見た光景のことを話した……。

 

 「本当に……ふざけたことを……!」

 

 「同感だ」

 

 透さんと道長さんは、運営のやっていることに怒りを感じていた。

 

 「俺の方でも何人かと戦った………まったく、面倒なことを……」

 

 墨田君の方でも、ハクアと同じような状況だったみたい………何とか犠牲者は出なかったらしいけど……。

 

 「逃げることも出来ないのに……酷すぎるよ……」

 

 「それに、オーディエンスたちがこの世界のバッドエンドを望んでいる限り……このゲームは終わらない」 

 

 ママはそう言葉を零し、ウィンさんもこの状況に頭を抱えていた。

 

 「……で、この状況どうするよ?きょうだい?」

 

 そんなウィンさんは、ハクアに何か策はないかと訊いた。すると……

 

 「明日……僕が敵の本丸に乗り込む」

 

 『!?』

 

 その言葉に、この場にいる全員が驚いていた。

 

 「本丸って……」

 

 「スエルと……直接戦うの?」

 

 お兄ちゃんとママが心配そうに訊いたが……

 

 「うん……それで、全て終わらせる

 

 「「……!」」

 

 ハクアは覚悟を決めた様子で、そう言ったのだ。

 

 「それに……宛てはあるんだ

 

 「え?」

 

 「本当か?」

 

 宛て?でも、どんな……?

 

 「うん……その間みんなには、あちこちで争っているライダーたちの戦いを止めてほしいんだ。あと、一般の人たちの避難も」 

 

 ハクアは私たちにそう頼んできたのだ。正直言って、私は納得していない。言葉にはしてないけど、お兄ちゃんやママはもちろん……何より、お義姉ちゃんもそうだろう。この前のカミキの戦いだって……あんなに傷ついて………けど、それを感じたのかハクアは…… 

 

 「お願い……僕を、信じて欲しい」

 

 「「「「……!」」」」

 

 私たち一人一人の目を見て、そう言ってきたのだ。そんなハクアの目は………本気の目をしていた。何を言っても、無駄だと思わせるほどの……。

 

 「……分かった。けど、危なくなったらすぐに戻ってくること!無理もしないこと!いい?」

 

 「うん、分かってるよ」

 

 そして……私たちはハクアの言葉に頷いて、明日までそれぞれの時を過ごすのだった……。

 

 

 

 

 

 

 side:ハクア

 

 「それで……『宛て』というのは何なのですか?」

 

 「ずっとサロンにいるけど……誰か待ってるの?」

 

 僕はツムリさんとあかねと一緒に、サロンである人を待っていた。 

 

 「まぁね」

 

 「でも、一体誰を……?」

 

 そして、しばらく三人で話をしていると…… 

 

 「……」

 

 「っ!?」

 

 「ゲームマスター……!?何処から……」

 

 突然、ゲームマスターの一人らしき人物が入ってきたのだ。その出来事に、二人は警戒心をあらわにした……が、僕はというと……

 

 「久し振り……あなたなら、ここに来ると思っていたよ?」

 

 その人物に、そう声を掛けたのだ。

 

 「え?」 

 

 「!もしかして……あなたは!?」

 

 あかねはそんな僕の言葉に戸惑っていたが、ツムリさんはその人物の正体に気が付いたようで……

 

 「あぁ……久しいな?」

 

 そう言って、その人は仮面を外すのだった……。 

 

 

 

 

 

 

 side:スエル

 

 「それでは、ゲームを再開しようか」

 

 「オーディエンスの皆さん……ショーを楽しみましょう……!」

 

 サマスがそう言うと、オーディエンスたちは盛り上がりを見せた。そして……

 

 「……変身」

 

 黒ツムリがポーズを取ると同時に、ゲームが再開されていくのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 side:アクア

 

 「くたばれ!」

 

 「お前がな!」

 

 次の日の正午、デスゲームが再開された。それと同時にライダーたちが争いを始めてしまう。すると……

 

 「「ハァ!」」

 

 「「なっ!?」」

 

 「俺たちが相手だ」

 

 変身した透さんと道長さんが、ライダーたちを止めに入ったのだ。

 

 「早く逃げろ!」

 

 「は、はい!」

 

 「皆さん、こっちです!」

 

 その隙を突いて、あかねと一緒に巻き込まれている一般の人たちを安全な場所へと避難させていく。そして、全員を逃がした後……

 

 「あ、二人ともちゃんと加減してくれよ?」

 

 俺は透さんと道長さんに、そう言っておいたのだ。

 

 「分かってるよ――うおっ!?

 

 「なるべく、傷つけないようにしてくださいね?」

 

 あかねも、俺に続いて二人にそう言った。

 

 「あぁ、言われなくても――痛って!?

 

 俺たちの言葉を聞いてくれていた二人だが、横や後ろから攻撃を受けてしまう。

 

 「じゃあ、頼んだ!」

 

 「お願いします!」

 

 俺たちは二人にこの場を任せて、人々の避難を優先して動くのだった……。

 

 

 

 

 

 

 side:ウィン

 

 とある建物の屋上にはゲームマスターがおり、そこでゲームの様子を見守っていた。そこに……

 

 「ハァ!」 

 

 「っ!?」

 

 ウィンが現れたのだ。

 

 「どうしてお前らは……人々の命を弄ぶんだ!」

 

 そう言いながら、ゲームマスターへと殴り掛かっていくが……

 

 「フンッ!」

 

 「ぐっ!?」

 

 「ハァ!」

 

 首を掴まれ、そのまま吹き飛ばされてしまう。

 

 「命などに、意味はない……!」

 

 「っ……」

 

 「この世界も、百年後には存在していない」

 

 ゲームマスターは、倒れているウィンに向かってそう言ったのだが……

 

 「俺たちは!……今を必死に生きているんだ!」

 

 ウィンはそう言って立ち上がっていく。そして、再びゲームマスターへと立ち向かおうとした……その時、

 

 『『『『ジャー!』』』』

 

 「なっ!?」

 

 「え……?」

 

 数体のジャマトが現れ、ゲームマスターへと襲い掛かったのだ。

 

 「ジャマトだと!?何処から……!」

 

 「あれは……ひまわり……?」

 

 そのジャマトたちの頭には、ひまわりの花が咲いていた。その様子に、ウィンが驚いていると……

 

 「数の多さなら、こっちも負けていないよ?」

 

 その横に、大智が現れたのだ。

 

 「お前が……これを……?」

 

 『ジャー!』

 

 「!へぇ……こいつはファンキーな助っ人だな……!」

 

 「さぁ……行くんだ!」

 

 そう言いながら、大智は各地のジャマトを操り、ウィンもゲームマスターへと向かっていくのだった……。

 

 

 

 

 

 

 side:ツムリ

 

 「世界の命運は、皆さんにかかっています………どうか……!」

 

 ツムリはサロンで、各地の様子を見守っていた。

 

 「!あれは……!」

 

 その映像の中に、ひまわりの咲いたジャマトたちがライダーやゲームマスターを止めに入る場面が映ったのだ。

 

 「これなら……!でも……」

 

 これで何とか止めることができるだろうと思ったツムリであったが……

 

 「これは………キモかわ……?」

 

 ジャマトの頭にひまわりという格好を見て、困惑するのだった。だが、そうしながらも戦いの様子を見守るのだった。

 

 「……」

 

 それを見る影に、気付くことなく……。

 

 

 

 

 

 

 

 side:スエル

 

 「余計な真似を……」

 

 ライダーたちがゲームを止めようとしている様子を見て、スエルはそんな言葉を呟いた。

 

 「ゲームの妨げになっています……いかがされますか?」

 

 「邪魔なノイズは……排除するまでだ……」

 

 サマスに向かってスエルは当たり前のようにそう言った……その時、

 

 「排除されるのは……お前たちの方だよ?」

 

 「「っ!?」」

 

 スエルとサマスの二人が後ろを振り向くと、そこにはハクアと一人のゲームマスターがいたのだ。

 

 「フォルス!?何故、あなたがここに……?」

 

 サマスが驚いた様子で訊いてきたが…… 

 

 「私が案内したからだ」

 

 そのゲームマスターは、着けていた仮面とマントを外した。

 

 「なるほど……通じていたか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギロリ

 

 

 

 

 

 

 side:ハクア

 

 「……久しいな?」

 

 その人物……ギロリさんは、僕たちの前で仮面を外してそう言ったのだ。

 

 「ギロリ……!」

 

 「ギロリって……ゲームマスターの……?」

 

 そんな風に反応している二人を余所に……

 

 「それで?少し見ないうちに……運営の言いなりになってるの?」

 

 僕は少しだけ、挑発するようにそう言った。

 

 「……そんな訳ないだろう?」

 

 「まぁ、そうだろうと思ったよ」

 

 「……それで、私に何をしろと?」

 

 そう訊いてきたギロリさんに対して、僕は…… 

 

 「あなたなら知ってるでしょ?スエルのいる場所」

 

 「「……!」」

 

 「なるほど……そういうことか」

 

 ギロリさんはそう言って、僕がしようとしていることを理解してくれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういう経緯で、僕はギロリさんと一緒にここまで乗り込んできたのだ。

 

 「デザイアグランプリは、いつから一部のVIPのみを楽しませるコンテンツになったのだ?」

 

 ギロリさんはスエルに向かって、そう問い掛けたが……

 

 「全ての原因は、お前の隣にいるフォルスだ……フォルスが抗ったことで、VIPたちの反感を買った。」

 

 スエルは、僕が原因だと言ってきたのだ。そんなことになっていたとはね……。

 

 「お前だって、フォルスを目の敵にしていただろう?」

 

 スエルはギロリさんにそう言ったのだが……

 

 「しかし、彼は今……いや、今までも世界平和に貢献している。その証拠に、何度も世界を救ってきた……彼こそが、我々が求めていた『仮面ライダー』の姿ではないのか!!」

 

 ギロリさん……そんなことを……。

 

 「一ゲームマスターの分際で、スエル様に意見する気?」

 

 「私だけではない!正しきデザイアグランプリを望むオーディエンスたちが居ることを忘れるな!!」 

 

 「っ……何が言いたいの?」

 

 サマスがそう言ったので、僕は……

 

 「要するに……お前たちの思い通りには行かないってことだよ?」

 

 「DESIRE DRIVER」

 

 そう言いながら、腰にドライバーを装着した。

 

 「スエル……お前はここで倒す。それで、世界を変えて……この世界は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハッピーエンドだ!

 

 X BOOST

 

 SET IGNITE

 

 「……変身!」

 

 「REVOLVE ON」

 

 DAYBREAK BOOST

 

 FALSE X

 

 READY FIGHT

 

 僕はそう言って、フォルスXへと変身した。

 

 「創造主に抗うなど……言語道断」

 

 スエルは、僕を真っ直ぐ見ながら右手を動かし…… 

 

 READY

 

 マグナムバックルをドライバーの左側に召喚した。さらに……

 

 MAGNUM INFINITY

 

 「っ!?」

 

 バックルを操作して、背後にマグナムシューターを何十丁か召喚して一斉に発射してきたのだ。

 

 「フッ!ハァ!」

 

 僕はその攻撃を柱を蹴って加速しながら避けていくが…… 

 

 「ぐっ!?」

 

 銃弾を一発食らってしまい、体制を崩してしまう。

 

 「フン……」

 

 「っ!」

 

 その隙を見逃さず、スエルは攻撃を放ってくる。

 

 「ハァ!」

 

 僕は防御するために壁を創り、その攻撃を防御しつつ…… 

 

 『MAGNUM SHOOTER 40X』

 

 『RIFLE』

 

 こちらもマグナムシューターを背後に何十丁か創造した。そして……

 

 「……ん?」

 

 「ハァ!」

 

 攻撃で煙ができたタイミングで、僕も一斉にマグナムシューターで反撃を仕掛けた。 

 

 「ほう……」 

 

 「っ……ハァ!」

 

 そして、銃弾が舞っている隙間を縫ってスエルへと向かっていき、攻撃を仕掛けていく。だが…… 

 

 「くっ……!」

 

 「私と同じようなことができるとはな?だが……!」

 

 「っ!ぐあっ!?」

 

 近づき過ぎたせいか、あちらのマグナムシューターでの攻撃をもろに食らって吹き飛ばされてしまう。僕はそのまま、何処かの空間に転送されてスエルもこちらへと向かってくる。

 

 「フッ!ハァ!」

 

 僕はフォルスクロスバスターで攻撃を加えようとするが、スエルはそれを軽く受け流した。

 

 「ハァ!」

 

 「っ!」

 

 スエルも逆に攻撃を仕掛けてきており、僕は目の前に壁を創りながら防御しようとするが、それも容易く打ち破られていく。

 

 「ヤァ!ハァ!」

 

 「フッ!ハァ!」

 

 「っ!?」 

 

 さらには武器までも脚で抑えられ、手から離されてしまった。

 

 「ハァ!」

 

 「ぐっ!?」

 

 その直後、僕はスエルのパンチで吹き飛ばされてしまう……が、

 

 「っ……ハァ!」

 

 地面を叩くと同時に地面の柔らかさを変えるように創造することで、衝撃を伝えて地面をうならせた。それによって手から離れたフォルスクロスバスターを浮かせて地面をバウンドさせる。

 

 「フッ!」

 

 「っ!」

 

 僕は攻撃を避けながら、スエルの背後に跳び込んでフォルスクロスバスターを掴んだ。

 

 「ハァ!」

 

 「くっ……」

 

 そして、銃撃でスエルの体制を崩す……が、またもやスエルは右手を動かして……今度はブーストバックルを召喚した。

 

 READY

 

 その後、ブーストバックルを操作すると五つのブーストバックルが飛んできて、倒れそうになったスエルの体制を立て直させた。

 

 BOOST INFINITY

 

 そのブーストバックルたちは、僕を取り囲むように飛んできたが……

 

 「っ!ハァ!」

 

 僕は小さいブラックホールのようなものを創り出して、ブーストバックルを吸い込ませた。

 

 「創世の力は、自分の意志で操れるものではない………それを、思い知らせてやろう……!」

 

 「っ……」

 

 そう言って、スエルは再び右手を動かして、バックルを召喚しようとした……が、

 

 「!……何故だ……?」

 

 「え……?」

 

 何故だか右手動きが途中で止まり、そのまま腕が力が抜けたように動かなくなったのだ。これって……?

 

 「まさか………オーディエンスの分際で……!」 

 

 オーディエンス………っ!もしかして……!

 

 

 

 

 

 

 

 side:???

 

 「この世界は、じきにハクアによって創り変えられる」

 

 「そうなったら、お前たちも無事では済まないよ?」

 

 未来から来たVIPたちのいる部屋に、二人の人物が来ていた。

 

 「君たちも、消滅するのはいやだろう?」 

 

 「「っ……」」

 

 「もし、今すぐ未来に帰るというのなら……」

 

 「少なくとも、俺たちが身の安全は保障するけど……どうする?」

 

 その二人は、VIPたちの菓子を取り上げて食べながらそう言ったのだ。

 

 「今の俺たちにできることはやった……これで、スエルの力を削ぐことができるはずだ」

 

 「でも、まだどうなるかは分からない……」

 

 一人の人物が、もう一人に向けてそう言うが……

 

 「大丈夫だ」

 

 「……?」

 

 「だって、俺の推し(・・・・)だよ?それに、あの二人もいる。俺たちは自分の推しを……あのきょうだいたちを、信じるだけだろ?」

 

 「!……あぁ、そうだね」

 

 その二人は、ハクアたちの勝利を願うのだった……。 

 

 

 

 

 

 

 side:あかね

 

 私は一般の人たちをアクア君と一緒に避難させた後、サロンへと戻ってきていた。

 

 「ん?」

 

 そこには、モニターであちこちの様子を見ているツムリさんがいた………が、

 

 「え?」

 

 突然、モニターを消したツムリさんがサロンから出て、何処かへ行ってしまったのだ。私はツムリさんを追い掛けようとした……けど、

 

 「っ!?」

 

 「……」

 

 そこには、何故か黒いツムリさんがいたのだ……な、何でここに……?

 

 「……ねぇ?」

 

 「はい?」

 

 「何で……ここにいるの?」

 

 私は黒いツムリさんに話し掛けて、何故ここにいるのかを聞き出そうとした。

 

 「あなたに教える必要はありません」

 

 「っ……」

 

 やっぱり、そうなるか……

 

 「ねぇ……ツムリさんに、何かしたの?」

 

 「……何のことでしょう?」

 

 「っ……」

 

 私はそう訊いたけど、はぐらかされてしまう………さっきまで、ここにはツムリさん一人だけ……なら、狙いはツムリさんなのではないかと思ったのだ。目的は、聞き出せなかったけど……。

 

 「では、私はこれで……」

 

 「あっ!?」

 

 そのまま黒いツムリさんもサロンから出て行ってしまう。その様子を見て、私もツムリさんを追いかけることにするのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 side:ハクア

 

 「……ありがとう」

 

 BOOST CHARGE

 

 「っ!」

 

 僕はスエルの動きが止まっているうちに……

 

 BOOST TACTICAL VICTORY

 

 「フッ!」

 

 「ぐっ!?」

 

 「ハァ!」

 

 「ぐあっ!?」

 

 攻撃を加えて吹き飛ばしたのだ。その衝撃で上にある水道管が壊れ、雨のように水が出てくる。

 

 「くっ……」

 

 そして、僕はフォルスクロスバスターを左側のホルダーに仕舞い……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「これで………本当の幕引きだ!!」

 

 DAYBREAK BOOST TIME

 

 バックルのレバーを二回倒した後、スエルに向かって走り出していく……。

 

 「ハァァァーー!!」

 

 これで、終わらせるんだ!そして……『誰もが幸せになれる世界』を……!!

 

 そして……

 

 X BOOST VICTORY

 

 「ハァァァーー!!」

 

 レバーをもう一度倒し、スエルにとどめを刺そうとし………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「幕を引くのは………お前の方だ……!」

 

 REVERSE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……!?」

 

 その音が聞こえたかと思えば、いつの間にか僕の変身が解除されていた。上からは、さっきの僕の攻撃で破裂した水道管から出てきた水が、雨のように降り注いでいた。

 

 「っ!何が……?」

 

 僕がその出来事に戸惑っていると……

 

 「お前の時間を、創世の力を持つ前まで巻き戻した」

 

 「っ!?」

 

 時間を……巻き戻した……?

 

 「星野珀亜……お前の敗因は、創世の力を人間のまま使おうとしたことだ」

 

 「……」

 

 「その傲慢さが……お前に最大の不幸をもたらす……!」

 

 そう言って、スエルは誰かに道を開けた………そこには……

 

 「……」

 

 「!……ツムリ……さん?」

 

 何故か、白い花束を持ったツムリさんがいて、僕の方に向かって歩いて来ていた。

 

 「何で……ここに……?」

 

 僕はツムリさんにそう訊いた。そして……

 

 「……ごめんなさい」

 

 「え?何を言って―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 side:あかね

 

 「はぁ……はぁ……っ!いた……!」

 

 私はやっと、ツムリさんへと追いついた。そこには、ハクア君と黒いツムリさんに何かをされたであろうツムリさん………その後ろには、黒と金の仮面ライダーがいたのだ。多分、このライダーに変身しているのが………スエル……!

 

 「……ごめんなさい」

 

 「え?何を言って―――」

 

 そして、ツムリさんはハクア君にそう言った後………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………え?」

 

 花束の中に隠していたであろうナイフを、ハクア君のお腹に突き刺したのだ……。

 

 「っ……!!」

 

 「ハクア……君……?」

 

 「この時を、ずっと待っていました……ハクア」

 

 ナイフはお腹から抜かれて、ハクア君のお腹の傷からは、おびただしい量の血が流れていく……。

 

 「っ……そういう……ことか………」

 

 噓だ………噓だ……噓だ!!

 

 「っ!ハクア君!!」

 

 私はすぐさま、お腹から血を流して倒れそうになりながらも立っているハクア君へと駆け寄った。

 

 「うっ……!」

 

 「あぁ……!早く……早く血を……!」

 

 ハクア君は立っているのが限界だってのか、その場に倒れ込んでしまった………私は泣きながらも、傷口を抑えて血を止めようとした……けれど、血は止まることなく流れていく………

 

 「その出血………致命傷か」 

 

 「っ!?」

 

 「星野琥亜の死は、確定したようだな?」

 

 スエルがそう言っている間も、私は必死に血を止めようとしていた……が、

 

 「止まって!……止まって!……止まっ―――っ!?

 

 ハクア君が突然、私の手を掴んできたのだ。

 

 「ハクア君……何で……?」

 

 「自分の身体のことは……自分がよく、分かってるよ……あの時と、同じだから………」 

 

 「え……?」

 

 「多分これ……ダメなやつだ……」

 

 ハクア君は私に向かって、そんなことを言った…… 

 

 「ダメだよ!そんなこと言わないで!!」

 

 「あかね……?」

 

 「大丈夫だから……きっと、助かるから……だから、頑張って!諦めないでよ!!」

 

 私はハクア君を支えながら、必死に声を掛けた。そう言う私の手は、ずっと震え続けていた………すると……

 

 「……そうだ……あかね?」

 

 「!な、何?」 

 

 「けがは……ない?」

 

 「!私は大丈夫だよ!それよりも自分の心配をして!もう喋らなくていいから!!」

 

 ハクア君は、私の心配をしてきたのだ………こんな時にまで……!

 

 「あかね……」

 

 私の言葉を聞くことなく、ハクア君は喋り続ける。

 

 「幸せに……なるんだよ?」

 

 「っ!それは……ハクア君もだよ……!」

 

 「……」

 

 「だから………死なないで……!!」

 

 段々と意識がなくなっていくハクア君に向けて、私は大声でそう言った。だって……ハクア君がいないと、私は……!

 

 「……ごめんね?本当は……僕も、一緒にいられたら………」

 

 「っ……!」

 

 その言葉に、私はさらに涙を流してしまう………こんな……こんなの……!

 

 「みんなには、ごめんって……伝えておいて?……あぁ……これだけは……言わないと………」

 

 「え……?」

 

 そう言ってハクア君は、泣いている私の頬に手を添えて…… 

 

 「あかね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 愛してる―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デザイアグランプリルール

 

 

 人々の幸せを

 

 決して諦めてはならない。

 

 

 




 読んでくださりありがとうございます。

 ハクアは……一体、どうなってしまったのか。そして、『誰もが幸せになれる世界』を創ることはできるのか……?

 次回……本編最終回です。


 良ければ、感想や評価、あれば「ここすき」の投票もよろしくお願いします。

 それでは………次回の本編最終回も、どうぞよろしくお願いします。
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