魔法少女まどか☆マギカ〜2人の救世主〜 作:SS好きのヨーソロー
俺こと中沢和人は今、珍妙な光景を眺めている。
黒い長髪が特徴的で、クラスメートの暁美ほむら。
彼女の手に握られているのは拳銃。
微かに火薬の匂いがすることもあり、その拳銃が本物であると言うのが確認できる。
どこからそんなものを入手したのか、なぜ扱うことができるのかと言う疑問ももちろん浮かぶがそれよりも動物の存在だ。
その動物はぱっと見、猫のように見える、しかし耳が長く人によっては兎に見えることもあるだろう。
どちらにも見えるソレは見たことのない存在。キメラのようなものだった。
そして、何にせよいちばんの驚きが暁美ほむら、彼女から魔力を感じると言うことだ。
一ノ国の魔法の存在、それは今をもって確信したことだ。
しかしなぜ魔法があるのかが疑問、本来魔法は二ノ国のものなのに一ノ国にて存在するはずがない。
だからこそその光景に驚きを感じている。
「ほむらちゃん・・・ひどいよ・・・!!」
「転校生!あんた何して!」
「・・・違うの、こいつは」
「違うも何もあるか・・・!中沢、危ないわよ!」
何が危ないのだろうか?暁美さんのことについてか?・・・まあ、確かに拳銃は危なく思うだろう。
しばらくすると、美樹が消化器を噴射しその動物を救う隙を作る。
「人に向けて使うものでもないがな・・・っと、投げつけるんじゃないよ危ないなっ!!仕方がない・・・!!"衝撃波"!!」
バッ、とカバンからマジックマスターを開くと杖でルーンを描く。
次の瞬間、衝撃波が起き消火器が吹き飛ぶ。
「っ・・・今のは!?」
「なぜ君から魔力を感じるのかわからない、君があの生物とどう言う関係なのかもわからない。
けど今わかること、それは・・・あの先、二人が逃げた先にとてつもない魔力を感じると言うことだ。
なぜ俺が魔法を使うか、それも君にとっては謎だろう。けど今は行かなければならない、違うか?」
「・・・ええ、そうよ」
「・・・ふぅ。・・・ラビリンス、俺にこの迷宮の・・・答えを導いてくれよ!」
杖の上に設置した宝石が光り輝く。
「・・・中沢和人」
「暁美さん、このことは後で教えるよ。・・・今はそうだな、早く向こうに行く必要がある。クラフターはこれでいいか」
近くにおいてあった清掃用の箒を見つけると、魔法を使う。
「"目覚めよほうき"!さぁ、後ろに乗ってくれ」
「本当にどのような理屈かわからないわね」
「いいからいいから。・・・しっかりと掴まっておいてくれよ!」
ビュンッ!と激しい音がしながら飛行をする。
その間に周囲の景色はどんどん変わっていってしまう。
「・・・どうやら、本当に不愉快な光景になってしまってるようだな。並の魔力じゃこうはならないな」
「ねえ、あなたも魔法・・・少女、じゃないわね。少年?」
「君を魔法少女と呼ぶなら俺はそうだな・・・魔法使い、もしくは魔導士だ!そろそろ見えてきたな!」
「降りるわ、あれは使い魔。本体とは別の存在だけど放っておくと危険なの」
「わかった、俺も戦うさ!」
「これは魔法少女の戦いだから・・・」
「魔法使いとして魔法を使える限り、戦闘に参加する義務がある!」
「・・・勝手にしてちょうだい」
そう言い、降りると拳銃を使い使い魔と戦う暁美さん、美樹が抗議の声を上げる。
「美樹!ともかく彼女は君たちに危害を加えるつもりはないはずだ!」
「そうかもだけど中沢・・・って飛んでる!?」
「ははは・・・あまり見せびらかしたくはなかったのだが。
俺は魔法使い、魔法を使えるんだ。・・・二人共、俺の前を出るなよ。・・・さて、使い魔と言ったな。速攻で終わらせてもらう!"ファイアボール"!」
火の玉を複数放ちながら敵を焼いていく。しかし数が数だ。
暁美さんと2人がかりでもきついだろう。
しばらくすると、別の存在が助っ人としてきた。
それは不幸にも俺がパンツを見てしまった、先輩さんだ。
「あなたたち、大丈夫?って・・・貴方は・・・!」
「先輩、先程は失礼しました、しかし今はお力添えお願いできると・・・チッ、しつこい!"ファイアボール"!"衝撃波"!"氷結"!」
三段連続で炎魔法、物理魔法、氷魔法を放つ。
と同時にカバンからアイテムのジュエルを取り出す。
ばっちりコーヒーだ。それを使いMPを回復する。
先輩も参加してくれたおかげで戦闘はすぐ終わる。
「・・・貴女、この子に何をしようとしたの」
「こいつは・・・!!」
「待ってくれ!・・・理由なく攻撃を加えるつもりはないんだろう?つまり彼女が敵対したのは何らかの理由がある、しかも彼女は先輩や俺たちに敵対する意思はないように思える。
そこの生物、狙われる思いあたりはないか?」
「ないね。それに君は僕のことが見えているのか?」
「あぁ、見えているが?」
「おかしいな、僕は魔法少女に素質のあるものしか見えないはずだが・・・」
「・・・暁美さん、ここは引いてくれないか。君がここで動けば君の立場を悪くしかねない。
お互い、ここは引いた方が安全だろ?・・・後で、連絡する」
連絡先を書いた紙を渡すと相手は離れていった。
「ちょっと、あいつこの子に・・・」
「・・・わかるよ美樹、気持ちはな。けどこの生物のことも俺たちは詳しくないだろう?
確実に俺たちが正しい、あの子が間違っていると言い切れるものでもないだろ。
先輩、この生物に危害を加えたのはわかります・・・ですが、ここは一旦割り切ってもらってもよろしいでしょうか?
状況をまだ把握していない奴が偉そうに述べるのは非常に申し訳ないのですが・・・・・・」
「・・・はあ。まあこの子達が守ってくれたからいいわ。それに、頬叩いちゃったしね」
「ありがとうございます・・・その節は申し訳ないです」
「いいわよ。わざとじゃないんだろうし。私こそごめんなさいね」
「あー!?じゃあこの人がパンツ見ちゃったって人ぉ!?」
「美樹ぃ、大きい声で言わないでくれるかな。俺の黒歴史を。今日俺ベッドで悶えることになるからさ・・・」
「う、うぅ・・・・・・私も恥ずかしいから忘れてほしいわ。
・・・あの子のことは気になるけど、まあとりあえず貴女たちに説明したいこともあるの。キュゥべえのことが見えているのも気になるし。私の家に案内するわ」
というわけで軽い自己紹介を終えると先輩のお言葉により、俺たちはマンションに案内された。
「うわぁ、すごい!景色綺麗!」
「おいおい、あまりはしゃぐなよ美樹、わからなくもないけど・・・」
「いいわよいいわよ。気にしないで?さ、上がっていって」
にこやかに微笑む彼女に感謝しながら中に入る。
言葉の節々から伝わる上品さや気品さの通り部屋は綺麗に片付いている。というかめちゃくちゃ綺麗だ。
「・・・あ、そうだ。ケーキを焼いてたのよ、よかったら食べていって。紅茶も淹れるわ」
「何から何まですいません、ありがとうございます。・・・何か手伝うことはありますか?」
「いいのいいの、お客さんはゆっくりしていて」
ニコリ、と微笑む彼女。
任せておいた方が良さそうだ。
「僕と契約して魔法少女になってよ!」
あちらでは2人を勧誘する謎生物・・・キュゥべえがいた。
2人とも頭にハテナを浮かべている。と言うかこの存在に目を見開いている。
「もう、2人をすぐに勧誘しちゃダメよキュゥべえ?見境ないのはモテないわよー。あの暁美さん?だったかしら。あの子もしつこくしたんじゃないでしょうね」
「酷い言いようだねマミ。そんなわけないじゃないか。それにあの子は契約した記憶がないんだ。」
「キュゥべえとやら、俺もひとつ聞きたい。いいか?」
「何だい中沢和人」
「暁美さんが使用していた武器、あれも魔法か?」
「・・・どうだろうか。攻撃は魔力を感じた。あの魔法は間違いなく契約者が使用できる魔法だ。しかし本体の拳銃自体は魔力を感じなかった」
「あの服や装備は魔法少女という存在特有のものとして認識していいか?」
「記憶にはないのだが・・・そうだね、あの服や装備・・・見たところ盾かな?あれははっきり魔法少女のものだ。断言していい。
それよりもぼくからも質問だ。中沢和人、なぜ君は僕の存在を認知できる?僕の姿は魔法少女にしか見えないんだ。しかし君は生物学上は男だ」
「・・・そうだな。俺はまず、魔法使いだ。多分お前の認知していない種類の魔法だろう。力の説明は・・・複雑だからしなくてもいいか。まあ今日試してわかったことがあるが、あの使い魔とやらを倒す能力は有しているようだ」
「ふむ、気になることは多いがまあいい」
「さて、と。できたわよー」
先輩が用意してくれたケーキをいただく。
甘いケーキでつい頬が緩む、はっきりいうと美味しいケーキだった。
「うわ、これすごい美味しい!」
「うん、本当に美味しい・・・」
「よかった・・・中沢くんはどう?甘いの、って男の子って苦手・・・って聞いたけど」
「まあ、男が甘いのが好きってのは確かにイメージがつきませんね。けど俺は甘いの好きですよ。ですからこのケーキはとても好みです。それに紅茶との相性もいいですし。
先輩はお菓子作りの天才ですね・・・」
本当、これでお店でも出せるじゃないかというレベルだ。
これ、普通に金払ってでもたまに食いたくなるレベル。
「そ、そう?えへへ、気に入ってもらえて何よりよ」
「・・・さて、と。話を俺が仕切るのが場違いだが許してほしい。
キュゥべえとやら、まずは魔法少女がどういうものか、なぜ鹿目、美樹に契約を希望しているのか等を説明願いたい」
「わかったよ。・・・まず、この世界には魔女という存在がいる。
この魔女によって今日までたくさんの人が死んでしまった。最近そういうニュースを見かけないかい?」
「そういえば・・・よく聞くなぁ」
「そう、最近の怪奇事件はこの魔女による仕業だ。魔女の存在は魔法少女にしか認知できず、一般人は認識できないんだ。魔法使い?と述べている君を例外としてね」
「あの不快な奴らは使い魔・・・魔女の手下ということか」
「そういうことだね。それに対抗するのが魔法少女たちということさ」
「・・・では、魔女との戦いは命懸けの戦いであるのは間違いないな?」
「あぁ、そうだね。魔法少女が破れると・・・死ぬ」
その一言に2人ともこくり、と息を飲み込んでいた
「・・・命懸けの戦い。彼女らにはそれを天秤にかけるメリットがあるのかな?」
紅茶を飲む。内心この生物に対しての警戒を強めていた。
というのも、シズクというオリバーに付き添っていた大妖精がいたからだ。
彼はとても面白く優しい生物だったのに対し、このキュゥべえとやらはその様子を微塵も感じさせない。
「あぁ、もちろん!魔法少女は契約するときに何でも願いが叶えられるんだ」
「何でも?」
「・・・願い」
「あぁ、そうさ。それ相応の対価は出さないとだろう?」
それ相応の"対価"か。
その説明は命懸けの戦いに対する説明だろうな。
しかし、対価は逆に対しても受け取れる。
願いの対価となる、何かしらのデメリット・・・それがあるのではないかという疑念が浮かび上がっていた。
しかし、巴先輩を見る限りそんな雰囲気は受け取れない。
・・・巴先輩自体が理解していない?いや、それはどうだろうか。戦闘方式を見ていたがあれは一朝一夕のものじゃないはずだ。
・・・後で暁美さんに伺ってみるか?
「・・・おや、中沢和人。急に静かになったね」
「俺自身が知りたいことを聞きたかっただけだ。本来の主役はこの2人だからな。質問責めして申し訳ない。また何か不明点があれば聞いても良いか?」
「ああ、僕に答えられることであれば答えよう」
というわけで3人の会話を聞いていたが話は暁美さんのことになっていた。
「世の中には、悪い魔法少女もいるのよ」
「・・・転校生とかね!」
不機嫌そうにする美樹に、つい苦笑いしてしまう。
「・・・何よ」
「・・・美樹、お前のその正義感は正しいのかもしれない。けど、絶対に決めつけるな。」
「で、でも・・・!!」
「悪いことがしたくて、命懸けになったのか?
誰かを貶めたくて、命をかけ続けるのか?」
「っ・・・!!」
「・・・えぇ。魔法少女の中には仕方がなくそうするしかなかった人もいた。だから・・・決めつけはできないのよ」
「別に全否定するつもりはない、ただ暁美さんにも暁美さんなりの理由がある、と思っただけだ」
「・・・うん、ほむらちゃんは・・・悪い人じゃ、ないと思う」
「・・・まあ、そうだろうけどさ」
「悩めばいいさ、正解は一つじゃないんだしな。・・・先輩、俺そろそろ帰ります。
今日はお世話になりました、ケーキご馳走でした」
そう述べると頭を下げ、外を出る。
スマホを見ると、メッセージが来ていた。
渡した連絡先は、早速役に立っている。