遊戯王GX~もしも万丈目兄弟の仲が良かったら~   作:カイナ

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第十三話 月一試験も終わって……

 月一試験が終わり、昇格や降格が決まってその辺の移動にバタバタしている者を除いた大抵の生徒にとってはいつもの学校生活が戻ってくる。

 しかしそう言った生徒達にも多少ながら学校生活に変化がある。それは万丈目準も例外ではなかった。

 

「サイファー・スカウターを攻撃表示に変更し、バトルだ! サイファー・スカウターで天翔の竜騎士ガイアを攻撃!」

 サイファー・スカウター 守備力:1800→攻撃力:1350

 

「リバースカードオープン! 速攻魔法[融合解除]! 天翔の竜騎士ガイアを融合デッキに戻し、その融合素材である[暗黒騎士ガイア]と[ベビードラゴン]を守備表示で特殊召喚!」

 暗黒騎士ガイア 守備力:2100

 ベビードラゴン 守備力:700

 

 準は今日は全寮共用のデュエルフィールドでデュエルをしており、その対戦相手であるブルー男子のモンスターが攻撃を開始した瞬間、準の場の伏せカードが翻り彼の場の融合モンスターが神秘の渦に包まれてその融合素材となった二体のモンスターに分かれ、守備の構えを取る。

 

「逃がすか! サイファー・スカウター! 暗黒騎士ガイアに攻撃だ!」

 

 それに対しブルー男子は追撃を指示する。サイファー・スカウターの攻撃力は1350。いくら守備表示でも2100を誇る暗黒騎士ガイアには敵わない……本来ならば。

 

「サイファー・スカウターの効果発動! このカードが戦士族モンスターと戦闘を行うダメージ計算時に発動し、このカードの攻撃力・守備力は、そのダメージ計算時のみ2000ポイントアップする!」

 サイファー・スカウター 攻撃力:1350→3350

 

「くぅっ……」

 

 まさに戦士殺しの力。爆発的に上がった攻撃力によって暗黒騎士ガイアが粉砕される。

 しかしその融合体である天翔の竜騎士ガイアは竜騎士というカード名に反して種族はドラゴン族、サイファー・スカウターの効果範囲外のはずなのだが、それを融合解除させたのにも理由があった。

 

「ハーッハッハッハ! どうだ万丈目! [DNA改造手術]によって場のモンスターは全て戦士族となっている! これでお前はドラゴン族サポートカードを使えず、そしてお前のモンスターは全てサイファー・スカウターの効果範囲内となった! これがお前の弱点なのはもう丸分かりなんだよ! 俺はこれでターンエンドだ!」

 サイファー・スカウター 種族:機械族→戦士族

 

「……」

 ベビードラゴン 種族:ドラゴン族→戦士族

 

 ブルー男子のどこか説明口調な言葉通り、彼の場に発動しているのは月一試験で三沢が準を打ち倒した緻密に計算されたコンボの根幹を握ると言ってもいいキーカード[DNA改造手術]。

 それによってフィールドの全モンスターは種族が戦士族に変更されており、サイファー・スカウターの効果をフルに活用できるようになっているのだ。

 

「俺のターン、ドロー」

 

 しかし準は相手の挑発に乗ることなく静かにデッキからカードをドロー。そのカードを見てニヤリと笑い、デュエルディスクに差し込んだ。

 

「魔法カード[打ち出の小槌]を発動。自分の手札を任意の数だけデッキに戻してシャッフル、その後、自分はデッキに戻した数だけドローする」

 

 今の状況では使えない、例えばドラゴン族のサポートカードが手札に溜まっていたのだろうか。準は三枚の手札から二枚のカードを選んでデッキに戻し、デッキをシャッフルすると二枚のカードをドローする。その二枚のカードを見た準はフッと笑みを零した。

 

「久しぶりにこのコンボが決まるか……俺はリバース・トラップ[融合準備(フュージョン・リザーブ)]を発動する。融合デッキの融合モンスター一体を相手に見せ、そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター一体をデッキから手札に加える。さらにその後、自分の墓地の[融合]一枚を選んで手札に加える事ができる。

 俺は融合デッキの[ドラゴンに乗るワイバーン]を見せ、デッキからその融合素材である[ワイバーンの戦士]を手札に加え、その後、墓地から[融合]を手札に加える。

 魔法カード[融合]発動! 俺はフィールドの[ベビードラゴン]と手札の[ワイバーンの戦士]を融合し、[ドラゴンに乗るワイバーン]を融合召喚!」

 ドラゴンに乗るワイバーン 攻撃力:1700 種族:ドラゴン族→戦士族

 

「フン! 攻撃力1700程度でしかも戦士族化したモンスター、サイファー・スカウターの敵じゃない!」

 

「悪いがサイファー・スカウターと戦うつもりはない……ドラゴンに乗るワイバーンは相手フィールドの表側表示モンスターが地・水・炎属性モンスターのみの場合、相手プレイヤーに直接攻撃できる! さらに手札を一枚捨てて装備魔法[閃光の双剣-トライス]をドラゴンに乗るワイバーンに装備! このカードを装備したモンスターの攻撃力は500ポイントダウンする代わりに、装備モンスターは二回攻撃が可能になる!」

 ドラゴンに乗るワイバーン 攻撃力:1700→1200

 

 ワイバーンの戦士が駆るベビードラゴンがばさりと翼を羽ばたかせる。サイファー・スカウターは地属性であり、ブルー男子の場にサイファー・スカウター以外のモンスターはいない。

 つまりドラゴンに乗るワイバーンにダイレクトアタックの権利が出来た。しかしブルー男子は己の優位は崩れていないというようにニヤリと笑みを見せる。

 

「残念だったな! 二回攻撃出来ても総ダメージ2400! 残り3600もある俺のライフは到底削り切れない!…(…あいつの場に残る伏せカード、さっきのターンで伏せられたカードだが天翔の竜騎士ガイアとのバトルで使わなかった以上防御系のカードじゃない。つまりあいつがこのターン何か伏せでもしない限り、次のターンのサイファー・スカウターの攻撃で俺の勝ちだ!)」

 

「バトルフェイズに入る! ドラゴンに乗るワイバーン! 相手プレイヤーにダイレクトアタックだ!」

 

 準の指示を受けたベビードラゴンが宙を飛び、サイファー・スカウターを飛び越えてブルー男子へと接近。それを駆るワイバーンの戦士も双剣を構えたその時、準の場の伏せカードが翻る。

 

「永続罠発動[竜魂の城]! 一ターンに一度、自分の墓地からドラゴン族モンスター一体を除外し、自分フィールドの表側表示モンスター一体の攻撃力をターン終了時まで700アップする!」

 

「バカな!? DNA改造手術でお前のドラゴン族は全て戦士族に――」

「DNA改造手術の効力が及ぶのはフィールドのみ! 墓地のモンスターは全てドラゴン族のままだ! そして竜魂の城の効果によって除外する墓地のモンスターはドラゴン族に限定されているが、攻撃力をアップさせるモンスターについては種族の指定はない! 俺は墓地のベビードラゴンをゲームから除外し、ドラゴンに乗るワイバーンの攻撃力を700ポイントアップさせる!」

 ドラゴンに乗るワイバーン 攻撃力:1200→1900

 

 ベビードラゴンがオーラに包まれ、そのオーラがワイバーンの戦士にも移っていく。それによって闘志が高まったのかベビードラゴンの突進にもワイバーンの戦士の双剣を握る手にも力が籠るのを見たブルー男子が慌てだす。

 さっき彼が自分で言った通り彼の残るライフは3600、それに対してドラゴンに乗るワイバーンは攻撃力1900で二回攻撃が可能。つまり――

 

「これで俺の勝ちだ! くらえ、二重滑空剣(ダブル・グライド・ソード)!!!」

 

「うぎゃー!!!???」LP3600→0

 

 ベビードラゴンの突進の勢いも込められたワイバーンの戦士の双剣術を防ぐことが出来ず、ブルー男子のライフが一気に0を示す。

 圧倒的に優位な状況から敗北したブルー男子はがくりと膝をついた後、悔しそうに準を睨みつけた。

 

「く、くそ、馬鹿な……所詮ラーイエロー如きに負けたやつがオベリスクブルーのエリートである俺に勝てるはずが……」

 

「三沢大地の実力はオベリスクブルーレベル、それはデュエルアカデミアが彼の昇格を許可した事からも明らか。あのデュエルに負けた以上言い訳をするつもりはないが、ラーイエローに負けたのだからラーイエローレベルの実力などという浅はかな発想はやめた方が身のためだ」

 

 ブルー男子の言葉を準はそう言い捨てる。すると他のブルー寮に所属する男子生徒がデュエルフィールドへと上がってきた。

 

「負けた奴はどいてろ! 万丈目! 次は俺とデュエルしろ!」

「何言ってるんだ! 次は俺が相手だ! 万丈目! お前に引導を渡してやる!」

「いや! さっきのは何かの間違いだ! もう一度戦え万丈目!」

 

 しかしそれは一人ではなく、しかもさっき負けたばかりのサイファー・スカウター使いのブルー男子まで再戦を要求してくる始末。ぎゃーぎゃーと喚くブルーの同士達に準は困ったように腕組みをして俯いた。

 

「万丈目さーん。ジュース買ってきましたよー」

「万丈目さん! タ、タオルも持ってきました!」

 

 するとデュエルスペースにそんな声が聞こえ、準はそっちを向く。部屋の入り口に慕谷と彰子がそれぞれジュースとタオルを両手に持っている様子が見え、準はちょうどいいとまだ揉めているブルー男子達の方を向き直した。

 

「ちょうどいい。俺は少し休憩を取る、その間に次は誰が戦うか決めるといい」

 

「「「え!?」」」

 

 そう言うや否や準はさっさとデュエルフィールドを降りていき、それを見たブルー男子達は先程までの勢いはどこへやら「お前が行けよ」「いやお前が行けよ」「お、俺はさっき戦ったし……」などと引いた様子で準の相手を押しつけあっていた。

 どうやら連戦で疲れている今なら勝てるかもとでも思っていたらしいな、と相手の考えを察した準は呆れ顔で溜め息を漏らしながら、慕谷からジュースを、彰子からタオルを受け取ってデュエルスペースに備えつけられているベンチに座った。

 

「万丈目さん、最近毎日大変ですね。お疲れではないですか?」

 

「なに、これもいい鍛錬だ。それに取巻ほどではない」

 

「あー……まあ、取巻はなぁ……」

 

 やはり連戦で疲れていたのだろうかタオルで汗を拭う準の姿を見た彰子の気遣うような言葉に準が答えると、慕谷が困ったように笑いながら準がデュエルしていたデュエルフィールドの隣のデュエルフィールドを見る。

 

「XYZ-ドラゴン・キャノンの効果で、手札を全て捨ててお前の場のカードを全て破壊! そしてバトルだ! XYZ-ドラゴン・キャノンでダイレクトアタック!」

 

「ぎゃー!?」

 

 取巻の切り札の一体であるドラゴン・キャノンが相手の場のカードを一掃し、そのまま対戦相手にダイレクトアタックを決めて勝利をもぎ取る。しかしその対戦相手はオベリスクブルーやラーイエローどころかオシリスレッド。

 こっちも休憩に入ったのかデュエルフィールドを降りてやってきた取巻に慕谷が「お疲れ」と声をかけてジュースを投げ渡し、取巻もジュースをパシッと受け取るとベンチに座り込んだ。

 

「大変だな、取巻。ブルーやイエローだけならまだしもレッドまでデュエルを挑んでくるとは」

 

遊城(オシリスレッド)に負けたならワンチャンとでも思われてるんですかね。遊城の実力がレッド離れしてるだけだってのに」

 

 準の労いの言葉に取巻はジュースを飲みながらうんざりした顔で答える。

 この前の月一試験で取巻が負けた相手である十代はたしかにオシリスレッドの所属。しかしデュエルの実力は既にブルーに匹敵すると準は評価しており、そんな相手にデュエルで負けたからと実力では十代に全く及ばないレベルのレッドの生徒にまで挑まれる取巻は準よりも不憫と言っていいだろう。

 

「二人とも大変だよな。俺は普通に同ランク程度のブルーと戦って普通に勝って普通に終わったから今のとこなんもなしだけど」

 

「まーな……あ、そういえば知ってます? 遊城のやつラーイエローへの昇格辞退したらしいですよ?」

 

「本当か? 全く変わり者だな。下手をすればこれが最後のチャンスかもしれんというのに……」

 

 そんな二人に対して特に盛り上がる事もなく普通に月一試験を終わらせた慕谷は苦笑を見せる。

 取巻も参ったように溜息をついた後、思い出したように今こんな事になっている間接的な原因である十代が昇格を辞退したらしいと話題を出し、それを聞いた準は驚いたような呆れたような顔を見せるのだった。

 

「おぉ~万丈目、こっちにおったのか。ブルー専用デュエルフィールドを探し回っておったぞ」

 

「山本。何か用か?」

 

 そんな時聞こえてきたどこか間の抜けたような呑気な声、そう言いながらすたすたと歩み寄ってくる声の主――山本百合に準が問うと百合は腕組みをしてうむと頷いた。

 

「うむ。クロノス先生から伝言を頼まれての、鮫島校長が呼んでいるそうじゃ」

 

「そうか。分かった……おい!

 

 どうやら伝言を押しつけられたらしい百合の言葉に準は言葉少なく頷くと立ち上がると未だに次のデュエルの順番を押し付け合っているブルー男子達に声をかけ、彼らの視線が準の方に向いたのを確認して続ける。

 

「校長先生が用事があるそうだから俺は少し抜ける!」

 

「なに!? 逃げる気か!?」

 

「しばらく抜けるだけだ。もっとも戻ってきてまで順番争いをされていてはかなわん。俺の名代として慕谷を置いていく」

 

「えっ?」

 

 なんかさらっと慕谷が巻き込まれていた。そして準はどこか意地の悪い笑みを彼に向ける。

 

「何事もなく月一試験が終わって暇だろう? 少しは刺激を与えてやる」

 

「ったく……分かりましたよ。万丈目さんの顔に泥を塗らないよう、頑張らせてもらいます」

 

「んじゃ、俺も休憩終わりって事で」

 

「行ってらっしゃい、万丈目さん」

「ほなな~」

 

 準の言葉に慕谷は苦笑を交えてデュエルディスクとデッキを準備し、取巻も休憩終わりと立ち上がる。そしてデュエル場を出ていく準を彰子と百合は見送るのだった。

 

 なお、

 

「――って、遊城!?」

 

「よ、取巻。なんか知らないけどお前がここでデュエルやってるって聞いてな。またやろうぜ!」

 

「はは、ちょうどいい。月一試験の雪辱戦をさせてもらう!」

 

 取巻がデュエルフィールドに上がって見た相手がある意味因縁の相手(遊城十代)だったり、

 

「丸藤、お前が相手になるとはな」

 

「あはは、アニキに背中を押されたというかなんというか……ブルーの人達も譲ってくれて……」

 

 慕谷の一番の対戦相手がまさかのオシリスレッドである丸藤翔で、苦笑する彼に対して慕谷はデュエルフィールドを降りて見ているブルー男子達の様子から自分の戦い方を見る捨て駒にされたのかとやや憐みつつデュエルを準備をしていたりしたのはまた別のお話。




《後書き》
 皆様お久しぶりです。早いものでもう年末ですね。
 なんかここ数ヶ月クソ忙しくて「あれ?なんか気がついたら今週終わってる……?」みたいな感じがしばらく続いててこっちに手を割く余裕がありませんでした。(仕事だけが忙しかったとは言ってない。Vtuberの配信見てるの楽しい)
 ついでに言うとここまでの話は大分前から書けていたんですが、ここら辺ちょっと長くなりそうというか色々迷うところがあったので下手に途切れさせたらどこで話の流れが切れたり変わったりするか分からず、おおまかな流れが確定するまで置いていました。(そして確定するまでの間に「あれ?なんか気がついたら今週終わってる……?」くらいに忙しくなった)

 そういうわけである程度話の流れも確定したことで今回のお話を投稿しました。
 月一試験も終わり、万丈目にはなんかこう原作でもあった感じでちょっと他のブルー生徒にナメられた感じになってもらいました。もっともうちの万丈目は「ごたごたうるせえかかってこいや!」と真正面から喧嘩買ってますがwというか喧嘩とすら思わず「いい鍛錬」扱いw

 そしてまあ色々とお話が進んでいきますし、話の流れを確定させられるとこまでは書き終わってるんですが今回はキリがいいのでこの辺でと思います。次回はまあ年末年始の忙しい頃に慌ただしく投稿するのもなんだし来週くらいに出そうかなと思っています。いやまあ今も年末の慌ただしい時期なんだけどもw
 それでは今回はこの辺で。ご指摘ご意見ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。
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