遊戯王GX~もしも万丈目兄弟の仲が良かったら~   作:カイナ

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第一話 デュエルアカデミア中等部入学

 準がデュエル界を手中に収めるべく優れたデュエリストになると決めてから数年の時が経つ。

 彼はある日、兄達に呼び出されていた。呼び出された食堂には数々のご馳走やケーキが用意され、さらに準の兄である長作と正司は準が食堂に到着してそうそうパンパーンとクラッカーを鳴らしていた。

 

「「準! デュエルアカデミア中等部主席合格おめでとう!!」」

 

「ありがとうございます、兄さん達。だけどこれくらい出来ないと尊敬する兄さん達の力になるなど夢またの夢ですから」

 

「そう言ってもらえて兄達も嬉しいぞ準!」

「準、中等部合格を祝って俺達からプレゼントがあるんだ。ぜひ受け取ってくれ」

 

 兄達からデュエルアカデミア中等部合格を祝われ、準は嬉しそうに微笑みながらも謙虚な姿勢を崩さない。その様子に正司が感激し、長作はそう言ってカードケースを差し出す。受け取った準がカードケースの中を確認すると、そこには四枚のカードが封入されていた。

 

――ダイヤモンド・ドラゴン

――エメラルド・ドラゴン

――サファイアドラゴン

――アレキサンドライドラゴン

 

「これは……」

 

 四枚ともキラキラと煌めいているパラレルレアカード。それに驚いている準に対し、兄二人が自慢げにふんぞり返った。

 

「お前は確かドラゴン族デッキを使っているんだろう? 中等部になればさらなる力が必要だと思って私と兄者で探したのだ!」

「デュエルモンスターズには詳しくないが、キラキラしているからきっと強いんだろうと思ってな! 金は多少かかったが、遠慮するな!」

 

「あ、ああ……」

 

 正司と長作がはっはっはと笑いながら説明、しかし準が苦笑いをしており、流石に様子がおかしいと思ったのか二人がきょとんとした顔を見せる。

 

「どうした、準?」

「これは私と兄者からの祝いの品だ。遠慮せずに受け取って、お前のこれからのデュエルに役立ててくれ」

 

「あ、いや、ありがとう。兄さん……だけどこれ……」

 

 兄二人に対して準は言いにくそうにしつつも、意を決したように口を開く。

 

「半分くらい、実戦的なカードじゃないんだ……」

 

「「…………えっ?」」

 

 その言葉に長作と正司が呆けた声を出す。

 

「まずダイヤモンド・ドラゴンなんだけど、このモンスターはレベル7モンスターで、レベル7モンスターを召喚するには生贄になるモンスターが二体必要になるんだ。それでこのステータスは正直実戦レベルじゃない……」

 

「なんと……」

 

「エメラルド・ドラゴンはレベル6モンスターで召喚には一体の生贄で済むし、それで最低限のステータスはある……」

 

「ならば」

 

「だけど、同じレベルには加えて優れた効果を持ち、攻撃力は同じだけど守備力で上回る[マテリアルドラゴン]のようなカードがあるんだ。ほらこれ」

 

「う、うむ……」

 

 兄二人は準が時々自分のデッキからカードを見せながらの説明に汗をだらだら流しながら空頷き、なんだか嫌な予感を二人は感じ取っていた。

 

「サファイアドラゴンとアレキサンドライドラゴンは下級モンスターとして優れたステータスを持ってるから、この二体は実戦にも使用できる……けど、エメラルド・ドラゴンはギリギリな感じだしダイヤモンド・ドラゴンに至っては観賞用のカードって言っていい……」

 

「だ、だが我々はデュエルアカデミア中等部に入学する弟のための強力なカードをと注文したぞ!?」

 

「多分だけど兄さん達……騙されたんだと思う。売れない観賞用のカードをこれ幸いと売りつけたんだろうね。一応サファイアドラゴンとアレキサンドライドラゴンは実戦にも耐えうるカードだから多少はマシだけど……」

 

 素人が上手い具合に乗せられて騙された。尊敬する兄に対してこんな事言いたくないが、しっかり言っておかねば同じことを繰り返す可能性がある。そう思い、心を鬼にして指摘する準。それに対して長作と正司が頭を抱えて吠えた。

 

「おのれあの流れ者の商売人がぁ!!! 珍しくて強力なカードだとまんまと言い抜けおってぇ!!!」

「我ら万丈目グループを敵に回すとはいい度胸だ!!! 二度とこの界隈で働けなくしてやる!!!」

 

 怒りに燃える兄二人を見て万丈目がはぁとため息をつく。

 

「まあ、それはそれとして。ありがとう兄さん」

 

「「む?」」

 

「このカードは大切に使わせてもらうよ」

 

 準の言葉に二人は怒りを忘れたかのように呆けて目をパチクリさせていた。

 

「いや、しかし、なんだ? そのダイヤモンドとエメラルドは実戦では使えないのだろう?」

 

「多少使い辛くはあるけど、それくらい何とかしてみせるさ。何より兄さん達が俺のためにと用意してくれたカード、それを使えないからと切り捨てるなんてそっちの方がデュエリスト失格だ」

 

 兄からの心遣いが嬉しいことに変わりはなく、優しく微笑む準。それに対し兄二人は嬉しさのあまり感涙して準に抱き着いていた。

 

「うおおおお!! ありがとう準!」

「このような優しい弟に育ってくれて兄達は嬉しいぞ!」

 

「に、兄さん達、恥ずかしいからやめてくれ……」

 

 突然抱き着いてきた兄二人に準も困惑しながら苦笑を漏らしていた。

 

 

 

 

 

 それからしばらく時は過ぎ、準はついに小学校を卒業してデュエルアカデミア中等部へと入学。そこの制服である緑色のコートを纏い、入学式を終える。

 なお入学式に、万丈目グループの会長とその秘書を務めていて忙しく予定を開けられなかった両親の代わりとして参加していた兄二人は準の立派な姿に喜びながらビデオカメラを回す親バカな親みたいな行動を取っており、準はやや呆れていたのは別のお話。

 そして入学初日の日程は半日で終わり、準は明日からの授業に備えてさっさと帰り予習の時間に当てようかと思っていた時だった。

 

「お前、主席合格の万丈目準だな?」

 

「なんだ?」

 

 突然後ろから声をかけられ、振り向く準。そこには眼鏡をかけて前髪を右目の方を長く伸ばした髪型をした青い髪の少年と、その隣には茶髪を刺々しいオールバックにした少年が立っていた。どうやら声をかけてきたのは眼鏡の少年らしい。

 

「お前達は?」

 

「俺は取巻太陽! お前にデュエルを申し込む!」

 

「はぁ? 受けてやる理由などない。お前に付き合ってやる時間などないんだ」

 

 取巻なる少年が準にデュエルを申し込むが、準はそれをそっけなく断る。とっとと帰って明日に備えての予習がしたいのもあるが、今日は兄さん達と一緒に帰る事にしている。忙しい兄が時間を作って待ってくれているのに待たせる等言語道断だ。

 

「ふん、逃げるのか?」

 

「なに?」

 

 すると取巻が準を鼻で笑い、思わず準も足を止める。振り返る彼を取巻とその隣の少年がニヤニヤと笑いながら見ていた。

 

「見ろよ慕谷、主席合格だっていうのに尻尾巻いて逃げようとしてる情けない姿をな」

「そうだな。所詮主席合格なんて勉強だけの頭でっかちで、デュエル自体は弱いんだろうよ」

 

「……好きに言うがいい。今日は時間がないんだ」

 

「いや、構わん。やってやれ準」

 

 取巻とその隣の少年――慕谷の嘲るような声に、今日は予定があるから明日にでも戦ってやろうと思いながら足を進めるが、そこにそんな声が挟まる。

 

「長作兄さん、正司兄さん」

 

「俺達に気を遣ってもらうのは嬉しいが。せっかくの友よりの遊びの誘いだ、付き合ってやるのが礼儀というもの」

「兄達の事は気にするな。存分に遊んでやるがいい……それに、お前のデュエルの実力を見ておくチャンスだからな」

 

「……ありがとうございます」

 

 兄二人からの激励を受け、準はくるりと踵を返す。

 

「事情が変わった。相手をしてやる」

 

「ふん。覚悟しろ、主席合格なんて実力もなきゃ意味がないって事を教えてやる!」

 

 準の言葉に合わせて取巻が言い返し、二人はデュエルディスクを構える。

 

「「デュエル!!!」」

 

 そして二人の声が重なり合った。

 

「俺の先攻、ドロー! 俺は[プチリュウ]を守備表示で召喚! リバースカードを三枚セットしてターンエンドだ!」

 プチリュウ 守備力:700

 

「ふん、プチリュウだと? そんな雑魚モンスターを使うなんて実力も知れたものだな! 俺のターン、ドロー!」

 

 準が出したのはレベルが低く、ステータスも低く、効果も存在しないモンスター。その姿を見た取巻がくくっと笑い、その後ろの慕谷もニヤニヤと笑う。そして取巻は勢いよくカードをドローするとそれをデュエルディスクに置いた。

 

「俺は[X-ヘッド・キャノン]を召喚し、永続魔法[前線基地]を発動! 一ターンに一度、自分のメインフェイズ時に手札からレベル4以下のユニオンモンスター一体を特殊召喚する事ができる! この効果で手札から[Y-ドラゴン・ヘッド]を特殊召喚だ!」

 X-ヘッド・キャノン 攻撃力:1800

 Y-ドラゴン・ヘッド 攻撃力:1500

 

 取巻の場に一気に二体のモンスターが出現、その攻撃力はプチリュウの守備力を上回っていた。

 

「バトルだ! Y-ドラゴン・ヘッドでプチリュウを攻撃!」

 

 主からの指示を受けた赤い機械竜が突進、プチリュウを一撃で粉砕する。だが準はニヤリと笑い、その瞬間彼の場の伏せカードが一枚翻る。

 

「トラップ発動[ブロークン・ブロッカー]! 自分フィールド上に存在する攻撃力より守備力の高い守備表示モンスターが、戦闘によって破壊された場合に発動する事ができ、そのモンスターと同名モンスターを二体まで自分のデッキから表側守備表示で特殊召喚する! 出でよ、二体の[プチリュウ]!!」

 プチリュウ ×2 守備力:700

 

「ふん、雑魚での壁作りか。ゆけ、X-ヘッド・キャノン! 雑魚を粉砕しろ!」

 

 現れたプチリュウの一体も砲撃によって粉砕される。だが結果的に万丈目は無傷でしのぐことが出来、取巻はチッと舌打ちを叩いていた。

 

「それならメインフェイズ2に入ってX-ヘッド・キャノンとY-ドラゴン・ヘッドを除外し、融合! 現れろ、[XY-ドラゴン・キャノン]!! 俺はリバースカードを一枚セットしてターンエンドだ!」

 XY-ドラゴン・キャノン 攻撃力:2200

 

 取巻の指示に合わせてX-ヘッド・キャノンとY-ドラゴン・ヘッドが神秘の渦に巻き込まれながら合体。合体モンスター――XY-ドラゴン・キャノンが彼の場に姿を現す。そして取巻は次のターンに備えてカードをセットし、ターンエンドを宣言した。

 

「俺のターン、ドロー……リバース・マジック[スタンピングクラッシュ]を発動する。このカードは俺の場にドラゴン族モンスターが表側表示で存在する場合のみ発動する事ができ、フィールド上に存在する魔法・罠カード一枚を選択して破壊し、そのコントローラーに500ポイントダメージを与える。お前の場の伏せカードを破壊させてもらう」

 

「え、なんで魔法カードを伏せていて……ぐっ……」LP4000→3500

 

 準が魔法カードを発動すると共にプチリュウが勢いよく伏せカード目掛けて突進、踏み潰すというよりはボディプレスで伏せカード――炸裂装甲(リアクティブ・アーマー)を押し潰して破壊する。その衝撃波が僅かなり取巻のライフも削っていた。

 

「ブロークン・ブロッカーは発動条件が限定されているからな。サイクロンか何かで破壊されては困る。だから破壊されても惜しくはないカードを一緒に伏せて、破壊される確率を少しでも下げていただけだ……まあ、無駄だったがな」

 

 ブラフの心理戦を理解できなかったのか呟く取巻に準はそう説明しつつ、さらに手札を取る。

 

「魔法カード[馬の骨の対価]。俺の場の通常モンスター一体を墓地に送り、デッキからカードを二枚ドローする。プチリュウ、ご苦労だったな」

 

 場に残った最後のプチリュウをドローに変換し、モンスターゾーンをがら空きにする代わりに手札を二枚増やした準。その四枚の手札を見て彼は不敵に微笑んだ。

 

「俺は[ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-]を守備表示で召喚し、魔法カード[ドラゴンを呼ぶ笛]を発動! このカードは俺の場にロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者-が存在する時にのみ発動でき、手札からドラゴン族モンスター二体を特殊召喚する! 出でよ、[エメラルド・ドラゴン]! [ダイヤモンド・ドラゴン]!」

 ロード・オブ・ドラゴン-ドラゴンの支配者- 守備力:1100

 エメラルド・ドラゴン 攻撃力:2400

 ダイヤモンド・ドラゴン 攻撃力:2100

 

「じょ、上級・最上級モンスターがいきなり二体!?」

 

「し、しかもあの輝き……まさかパラレルレアカード!?」

 

 突然自分の場のモンスターの攻撃力を上回る攻撃力を持つドラゴン含めて二体のドラゴンが出現した事に驚く取巻と、ソリッドビジョンに映される二体のドラゴンが虹色の煌めきを放っている。その正体を見抜いてこっちも驚く慕谷。長作と正司が準の後ろで「あれは我々が準にプレゼントしたカード!」とはしゃいでいた。

 

「バトルだ! エメラルド・ドラゴンでXY-ドラゴン・キャノンを攻撃! エメラルド・バースト!」

 

「くうぅっ……」LP4000→3800

 

「さらにダイヤモンド・ドラゴンのダイレクトアタック! ダイヤモンド・バースト!」

 

「ぐああぁぁぁっ!」LP3800→1700

 

 エメラルド・ドラゴンの放ったブレスが合体ロボットを粉砕、がら空きになった場にダイヤモンド・ドラゴンのブレスが放たれて取巻に直撃。一気にライフを大幅に削らせる。

 

「お、おい取巻! 何やってんだよ!?」

 

「う、うるさい! いきなりパラレルレアカードなんて想像もつくはずがないだろう!?」

 

「ふん。レア度などデュエルそのものにはなんの関係もない。こいつらはただの攻撃力2400と2100の通常モンスター……その本質を見極め、使いこなしてみせる。それが俺にこいつらを贈ってくれた兄さん達への俺が出来る最大限のお返しだ。俺はこれでターンエンド」

 

「「準……」」

 

 慕谷がダイレクトアタックをモロにうけた取巻の不甲斐なさに声を荒げると、取巻はパラレルレアカードに対して委縮した様子で叫ぶ。しかしそれに対して準はそう答え、そもそもは兄が悪徳商人に騙された結果つかまされたカードとはいえ、兄からの心の籠った贈り物を使いこなそうという決意を示していた。

 ちなみに長作と正司はそんな弟の姿に感涙している。

 

「く、くそう! 俺のターン、ドロー!」

 

 取巻は悔しそうに唸りながらカードをドロー。するとそのカードを見た途端彼はニヤリと笑った。

 

「俺は[X-ヘッド・キャノン]を召喚! 続けて前線基地の効果で[Z-メタル・キャタピラー]を召喚だ! そして俺はX-ヘッド・キャノンとZ-メタル・キャタピラーを除外融合! 現れろ、[XZ-キャタピラー・キャノン]!」

 XZ-キャタピラー・キャノン 攻撃力:2400

 

 取巻の場に再び現れる合体ロボット。そのステータスはエメラルド・ドラゴンに並び、サファイアドラゴンを上回っている。

 

「バトルだ! XZ-キャラピラー・キャノンでダイヤモンド・ドラゴンを攻撃! パラレルレアカードだろうと攻撃力はこっちが上だ!」

 

「ちっ……」LP4000→3700

 

 ダイヤモンド・ドラゴンがX-ヘッド・キャノンの肩の砲塔とZ-メタル・キャタピラーから展開した砲塔からの二段砲撃によって粉砕され、準のライフが僅かに削られる。しかしその程度は想定内といわんばかりに彼の場の伏せカードが翻った。

 

「トラップ発動[レベル・レジストウォール]! 自分フィールドのモンスターが戦闘または相手の効果で破壊された場合、そのモンスター一体を対象として発動し、レベルの合計がそのモンスターと同じになるようにデッキからモンスターを任意の数だけ選んで守備表示で特殊召喚する。俺はレベル7のダイヤモンド・ドラゴンが破壊されたことで、レベル4の[アレキサンドライドラゴン]、レベル2の[ミンゲイドラゴン]、レベル1の[輪廻竜サンサーラ]を守備表示で特殊召喚! ただし、この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される」

 アレキサンドライドラゴン 守備力:100

 ミンゲイドラゴン 守備力:200

 輪廻竜サンサーラ 守備力:0

 

 ダイヤモンド・ドラゴンの身体が砕け散った後の場に現れる新たなドラゴン達。これで準のモンスターゾーンはすべて埋まり、しかし取巻は笑みを崩していなかった。

 

「俺はリバースカードを一枚セットしてターンエンド!…(…このカードは[聖なるバリア-ミラーフォース]。あの雑魚どもを生贄にして上級モンスターを出して攻撃してきたところで一掃だ……)」

 

 取巻はまだ逆転のチャンスを信じてターンエンドを宣言。準が「俺のターン」と宣言し、デッキに指をかける。その時彼は静かに目を閉じていた。

 

「(感じるぞ、お前の鼓動…)…ドロー!」

 

 勢いよくカードをドローする準。その時、彼の場の輪廻竜サンサーラとアレキサンドライドラゴンが光と闇に包まれる。

 

「俺は輪廻竜サンサーラとアレキサンドライドラゴンを生贄に捧げる!」

 

 二体のドラゴンが包まれた光と闇、それが道しるべになったかのように新たなドラゴンが出現。準はそのモンスターを、己の相棒をデュエルディスクへと叩きつけた。

 

「出でよ、[光と闇の竜(ライトアンドダークネス・ドラゴン)]!!!」

 光と闇の竜 攻撃力:2800

 

 かつてとあるプロの大会を観戦しに行った時、会場限定パックを購入した時にたまたま入っていたカード。その時に試合していたプロにサインを貰いに行った時、その憧れた人にも「いいカードだ」と褒められ、それ以来相棒として様々な大会を勝ち進んだ、いわば彼のフェイバリットカード。

 

()光と(ライトアンド)闇の(ダークネス)……(ドラゴン)……?」

 

 万丈目の場に降臨したドラゴンは雄々しくそれでいて優雅な咆哮を響かせ、その姿を見上げる慕谷が呆然としたように見上げて声を漏らす。しかしそれと相対している取巻は、このまま万丈目が攻撃してくれば返り討ちと信じて余裕の様子を崩していなかった。

 

「チェックメイトだ。エメラルド・ドラゴン! XZ-キャラピラー・キャノンを攻撃! 俺の勝利のため、その礎となってくれ! エメラルド・バースト!!」

 

「ハハハハハ! かかったな! トラップ発動[聖なるバリア-ミラーフォース]!! これでお前のモンスターは全滅だ!!」

 

「よっしゃ! いいぞ慕谷!」

 

 エメラルド・ドラゴンの放つブレスが、取巻の発動したカードの効果によって彼の場に展開された不可視の障壁に阻まれ、取巻が得意気に言うのに便乗して慕谷が腕を振り上げ取巻の勝利を悦ぶ。

 

「フ……言ったはずだ。チェックメイトだとな」

 

 だが準が冷静にそう答えたその時、光と闇の竜が咆哮しエネルギーを放出。雷撃のようなそのエネルギーが聖なるバリアに直撃すると同時、バリアが消滅してエメラルド・バーストがXZ-キャラピラー・キャノンに直撃。だが迎撃のキャノンがエメラルド・ドラゴンに直撃して両者共倒れの結果となった。

 

「な、なんで!?」

 

「光と闇の竜の効果だ。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にする。ただしこの効果でカードの発動を無効にする度に、光と闇の竜の攻撃力と守備力は500ポイントダウンするがな」

 光と闇の竜 攻撃力:2800→2300

 

「そ、そんな……」

 

 取巻が愕然とする。これで彼の場のカードは尽き、手札もゼロ。それに対して準の場にはミラーフォースを防ぐために僅かに力を使ったとはいえ、取巻のライフを削るには充分な攻撃力を保つ光と闇の竜が攻撃の権利を有したまま残っている。

 

「攻撃だ! 光と闇の竜! シャイニング・ブレス!!」

 

「うわあああぁぁぁぁっ!!!」LP1700→0

 

 そして放たれた光のブレスに飲み込まれ、取巻のライフが0を示すのだった。

 

「そ、そんな……この俺が……」

 

 敗北した取巻ががくりと膝をつき、勝者である準を見上げる。が、彼はぐっと唸ると準を指さした。

 

「ず、ずるいぞ! パラレルレアカードを使えば強いに決まっている!」

 

「パラレルレアカードは確かに貴重なものだが。あれはデュエル上はただの通常モンスターだ。俺はその本質を見極め、使いこなせるようにデッキを組んでいる。お前が負けたのはお前のプレイングの甘さにある」

 

「なんだと!?」

 

 取巻の的外れな指摘に準は冷静に答え、その内容に取巻が再び吠える。

 

「お前のデッキはあの海馬瀬戸も使用していたXYZシリーズを軸にしたユニオンデッキだと見受ける。だがやっている事がワンパターンだ。手札を使って効果を使う必要がないのなら、除外融合ではなくユニオンした方がX-ヘッド・キャノンに戦闘破壊耐性を与えられるし、[ゲットライド!]のようなサポートカードも使いやすくなる。二体融合するのであれば、それらの融合モンスターは共通してレベル6なのを利用した[フュージョン・ウェポン]のようなカードで強化するという手もあるだろう。ただ何も考えずに強力なモンスターを出して戦っているだけの相手に負ける程、俺は甘い鍛錬をした覚えはない」

 

「ぐ……」

 

 たしかに取巻のやっていた事と言えばX-ヘッド・キャノンを軸にユニオンモンスターを出して単調に攻撃していただけ。ミラーフォースによる逆転の一手は光と闇の竜に阻まれたとはいえ、逆に言えばそれ以外は絡め手を使っていない行き当たりばったり。

 対して準は自分のモンスターが破壊される事を見越した上でのさらなる展開に繋げる、先を見据えたデュエルを行っていた。その二つがぶつかればどちらが勝つかなど言うまでもないだろう。

 項垂れる取巻と彼に駆け寄る慕谷を見ながら、準は優雅に踵を返す。

 

「だがまあ――」

 

 そこで思い出したように口を開いた。

 

「――X-ヘッド・キャノンのユニオンとなるY-ドラゴン・ヘッドとZ-メタル・キャタピラーを続けて引き当てているドロー力は認めてやらんでもない。あとは戦略を学び、練り直せ。そうすればお前はもっと強くなれるだろうさ」

 

「ま、万丈目……さん……」

 

 そう言って兄の元に歩いていく準を見て、取巻が目を輝かせる。

 それから翌日、準は取巻に妙に懐かれたりその繋がりで慕谷とも絡むようになったりするのだが、それはまた別のお話。




《後書き》
 なんか思ってたよりウケていたので、前話投稿から一か月後の今日、投げる前に書いていた最後の話を投稿してみる事にしました。
 最初に、原作の方で長作が使っていたパラレルレアの所謂宝石ドラゴンを万丈目に託す中でちょっとギャグというかコメディを挟みつつ、中学入学で万丈目が主席の座を気に入らずに喧嘩を売った感じで原作でも万丈目の取り巻きをやっていた二人が登場です。
 ちなみに取巻のデッキは確かアニメ中には言及なかったはずなので、どうせこの話の中ではもう使わないであろう、アニメで万丈目が使用していた一角であるXYZデッキを使わせました。

 そして最初に言いましたが、今回の話が投げる前に書いていた最後の話です。これ以上はガチで期待しないでください……。
 いや、意外とノリよく考えて、「十代VSクロノスの入学試験デュエル」とか「万丈目ノース校留学」とかのアニメ序盤であった色んな展開をアレンジする感じで色々思いついてはいるんです……ただ、時間とか体力とか諸々で書ける自信がないのと、一番重要な今回の話のヒロイン登場話で詰まってるのでそこより後の話が思いついてもどうにもならんっていうか……。

 まあともかく、ここまでお読みくださりありがとうございました。
 それでは今回はこの辺で。ご指摘ご意見ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。
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