遊戯王×プリキュアオールスターズ 世界を超えた絆 作:風森斗真
「さて、今後の方針が決まったことで……セバスチャン」
「はい。お嬢様」
ありすが呼びかけると、瞬時に
マナたちは慣れているのだろうが、そのあまりの素早さにソラたちと遊里、未来は目を丸くする。
そんな彼らの様子を気にするそぶりは見せず、ありすは淡々とセバスチャンに命令を下す。
「プリキュアの皆さんに、わたしたちが遭遇した現象を共有してください。それと、今後、このことについて話し合いの場を設けたいことも伝えてくださいな」
「かしこまりました」
「それと……未来さん、遊里さん。ぶしつけではあるのですけれど、ひとつ、お願いをしてもよろしいでしょうか?」
突然、ありすは遊里と未来に視線を向け、そんなことを問いかけてきた。
一体、どんな無茶ぶりをされるのか、遊里と未来は身構えたが。
「あなたがたの
あまり無茶とは言えない用件であったため、少しばかり肩透かしをくらった気分になった。
むろん、機密事項は守ってくれるということらしいが、生徒手帳はもとより、決闘盤は自分たちがいた世界の最新技術が詰まった代物。
それを貸し出すということは、異世界の技術を提供するということであり、下手をすれば自分たちの身を危険にさらすことになりかねない。
だが、未来は世話になった手前、断りづらい立場にある。
どうやって断ろうか考えていると。
「もちろん、あなたがたの身の安全は保障しますし、この事態が落ち着いたら、しばらくはこの技術を封印し、公表は控えます。なにより、わたしたちがあなたがたとの連絡手段を持っておきたいのです。それ以上のことは、この事態が収まってからじっくり考えていこうかと」
どうやら、悪用するつもりは一切ないらしい。
さらには、
「……約束してくれるんだろうな?」
「えぇ、もちろんです。それに、この技術は下手な扱い方をすれば戦争のように他者を傷つけることに使用されかねません。エンターテインメントのために使われてきた技術がそのようなことに使用されることは、わたくしも避けたいと思っております」
未来の問いかけに、ありすの顔からは微笑みが消え、真剣なまなざしを向けてきた。
どうやら、ありすも立体幻影映像が戦争やそれに関連する産業に使われる危険性を考慮していたようだ。
「……わかった」
「未来が合意したなら、俺も合意しよう。預けるといっても、どれくらいの時間が必要なんだ?」
「ざっと一時間、というところでしょうか。四葉の科学力のすべてを集めれば、システムの概要をつかむことくらいのことは、その時間でできそうです」
異世界の技術であるため、もっと解析に時間がかかると思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
どれだけの科学技術が四葉ありすの下に集中しているのだろうか、少々、うすら寒いものを感じた遊里と未来であった。
「丁寧に扱ってくれ」
「かしこまりました」
遊里と未来はセバスチャンに決闘盤を預け、解析が終わるまでの間、どう時間をつぶすか話し合おうとした瞬間。
「ねぇねぇ! 遊里さんと未来さんのこと、色々聞かせてよ!」
「はっ! そうですね!! 遊里さんと未来さんの話、聞いてみたいです!!」
「そうね。デュエルモンスターズのことも、もっと色々聞いてみたいし」
「ねぇねぇ! カードがあるんだったら、ルール教えてよ! わたしもデュエルモンスターズってので遊んでみたい!!」
マナたちからそんな提案がされた。
自分たちの過去のことを話すことはまったく問題ないのだが、デュエルモンスターズのルールを教えてほしい、という点に関しては、遊里と未来は同時にどうしたものかと腕を組んだ。
なにせ、デュエルモンスターズの歴史は長く、その間にもルールは何度も改変されてきた。
最初のうちは簡単だったのだが、時代を経るごとに複雑さを増していき、一朝一夕で理解することは難しいほどだ。
だからこそ、デュエルアカデミアという、デュエルモンスターズの競技者養成を目的とした教育機関が生まれたわけだが。
「まぁ、簡単な概要だけなら、なんとかなる……か?」
「カードについては……まぁ、決闘盤のデータを見れば今までの決闘の記録が残ってるだろうから、そこを参考にしてもらえば量産も可能だろうし」
「とはいえ、こいつらの性格にあったテーマのカードって揃えられるか?」
「さすがに難しいんじゃ……」
ルールを教えるだけでは終わらないことは、未来と遊里も簡単に想像できていた。
ルールを覚えた後は実戦を、となるだろうと考えていたのだが、遊里も未来も現在、カードは手元にあるものしかない。
一応、遊里は孤児院の子どもたちやデュエルモンスターズのカード販売会社にサンプルとして渡して収入を得るために、自分が使用するもの以外のデッキを作ったことは何度もある。
だが、それもカードありきのこと。
作成するときはレシピやカードテキスト、制限規制を守っているかどうか確認するため、専用のパソコンを使用しているが、それも寮の室内に置きっぱなしだ。
かといって、自分の愛用しているデッキを渡すことはしたくない。
どうしたものか、と考えていると。
「お二人の決闘盤からデータを抽出し、同じ材質でカードを作ることは可能ですよ」
「うぉぉっ??! セバスチャンさん、いつの間に戻ってきたんですか??!!」
「つい今しがたです。それよりも、カードを複製されるのであれば、その旨、施設に連絡いたしますが、いかがしましょう?」
『ぜひお願いします!!』
いつの間にか背後に回っていたセバスチャンの問いかけに、遊里と未来が返答しようとした瞬間、マナたちが声をそろえ、さらには目を輝かせながらそうお願いしていた。
プリキュアといっても、十四、五歳の女の子。
様々なことに興味はあるだろうし、やってみたいという気持ちが強く出ているのだろう。
マナたちの要望に、セバスチャンはさわやかな微笑みを浮かべ。
「かしこまりました」
と返答し、その場から離れていった。
セバスチャンがカードが入っていると思しきアタッシュケースを数個、抱えた状態で戻ってきたのは、その数分後である。
こうして、種類こそあまりないが、カードを手に入れたマナたちは、遊里と未来の指導を受けながら、自分のデッキを作りはじめ、遊里と未来の決闘盤と生徒手帳のシステム解析が終了するまでの時間をつぶすのだった。